あらすじ
取人を乗せた船は、佐渡へ向かって海原に漕ぎ出す。取人浚いの起こした騒ぎに巻き込まれた景虎は、その船の荷部屋にいた。そこで彼は夢を見る。己の過去と、己の記憶にはないはずの過去を…。そして、知らぬはずの記憶はまるで実際に体験したかのような現実味を彼に与えた。それは景虎の宿体・兵蔵太の記憶であった。その記憶は彼の知らぬ間に入り混じり、人格に影響を及ぼし始めるが…!?
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Posted by ブクログ
信仰って恐ろしい。
信じているものの側から見れば正義なのかもしれないけれど、その正義が結果的には殺戮であったり呪いであったり…。
鉄や凛太郎たちの思いも間違ってはいない、はず。
人買いなんかあってはならない。
だけど、だからといって、殺戮はよくない。決して。
だからこそ、切なさが残る。
どうしようもない。
そんな世情を恨むしかないのかな。
やるせない。
藤も犠牲になってしまったし。
晴家の「藤は俺たちの花だったんだ!」という慟哭が、痛ましかった。
景虎さまは兵蔵太の記憶にどんどん呑まれていき、言動がおかしなことに。
最初は宿体を変えればいいと考えていたけれど、最終的には兵蔵太を抱えて生きていくことを決めた。
刺した直江を責めなかった。
景虎さまがどんどん強く、大きな人になっていく!
こうやって死ぬほど葛藤しながらひとつひとつ乗り越えていったんだなあ。
繊細だから余計に、痛みを多く抱えてしまうんだろうなあ。
換生という行為については、今後もずっと最後まで暗く後ろめたい気持ちを抱えながら過ごしていたみたいですし。
そして直江さん……まさかこんなに早い段階で唇奪ってただなんて聞いてない!
ええええ?!
遂には御館の乱は間違いだった、とまで思い始めてるし。
あんな眼差しを持つ人とわかってたら、殺さなかったって。殺したくなかったって。
直江、、、。
いつのまにか「あなた」って言い始めてる直江ににまにましちゃいました。
景虎さまと速之助、とってもいい感じにお別れできてなんだか心がほんわかしてたのに、速之助のこれからにとっても期待をしていたのに、呆気なく長秀に身体奪われちゃった!
なんでこんな仕打ち!
これ、謙信公の指示なんでしょうか。
なんて非道な。
軍神かもしれないけれど、偉大なかたなのかもしれないけれど、謙信公ってだいぶ容赦ない気がしてます。怖い。
藤が白衣女に。
吉祥丸が毘沙門刀に。
ひとつひとつピースがはまっていく感じ、心地よいです。