一穂ミチのレビュー一覧
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確かに、十和子が主人公のような話だな、と思った。間に過去の話が入ってくるので中々先に進まくって焦れたりもしたが、それが二人の、三人の歴史なんだな、とも思う。
はじめ、「静」は下の名前だと思っていたから佐伯と良時の会話に混乱した。二人の関係を把握するのに時間がかかった。
佐伯の、良時に対する想いが随所に散らばっていて読み返したくなる。佐伯の「ずっと三人で遊んでいようぜ」が後からずっしりとくる。離婚しても、何も変わらない。むしろあるべき姿に戻っただけ、不思議な三人の物語。
西口が佐伯のものまねをしてた、という「良時良時」のセリフをもう一度探したくなった。
タイトルの意味を読んだとき、なるほどと思った。そしてやっぱり読み返したくなる。そんな一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレここまで一穂さんの作品読み続けてきて、漸くビビっと感発動。
相変わらずの特殊職業設定に辟易したものの、もうこの蘊蓄は
読み流してしまおう、と思ったら内容に集中できました。
40過ぎのバツイチ草臥れたオッサンと地味青年の淡い恋
という感じです。青石さんの温度感低めなイラストが絶妙に
マッチしており、何より私の好みの『一重受け』
美形や美人の象徴である二重設定よりも、この涼しげな一重が
大好物の私としましては、それだけで高ポイント。
内容としましても淡々とした中に暖かさがあって、なによりも
受の祖父母のエピソードに涙腺刺激される……。
恋愛面は相変わらず唐突ななだれ込み桃色で、その辺について
だけはガッカリ感が半端無いですが、あのシーンは桃色じゃなくて
ちゃんとごはんを食べて欲しかったです。萎えました。
正直一穂さんの桃色ってBL小説の中ではちょっと……という
感じなので、いっそ朝チュンでいいのに、と思ってしまいます。 -
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ネタバレ政治部新聞記者×国会速記者
特殊な文字を用いて、十分間に4000字というスピードで、ほとんど正確に国会の答弁を表記する。何より速記者という職業に萌えました。
速記、あるいはそれを仕事にする人がいることは知っていたけど、恥ずかしながらその速記者の手法までは知らなかったので、国会で黒子に徹する碧がとにかくかっこよく見えた。そしてそんな速記者の碧が書き留めたいと思う声がある。最序盤だけどこのあたりの、ただ耳を澄まして西口の声を聴く碧の描写にときめきました。たとえその西口の話す内容がAVのことであれ。
一穂さんは初めて読んだけど、文章が上手かったので他の作品も読んでみようかなという気になった。西口と碧が距離を縮めていくさまも丁寧でとても良かったと思う。ただ、最後の最後でエロシーンがどうしても唐突な感じがしてちょっと笑ってしまった。枚数上限に無理矢理エロぶっこみました感が。これだったらエロないほうがいいなって思うくらい。もしくはもうちょっとページ数増やして、無理のない展開でエロにもっていくとかしてほしかったなあ。ていうか最近BLにエロ無くてもいいやって思ってるので個人的にそう思うだけかもしれません。
これだけ文章の巧みな作家さんなので、国会を舞台にした比較的特殊な職業モノではなく、学生とか普通のリーマンとかもっとド直球のものが読んでみたい。
あ、それからサブカプと呼んでいいのかわからないけど城崎誠士郎と杣友弘之の二人が気になった。「……その時から人生は狂った」だの、一人で行かせたことを後悔している、だの。当時の二人のことが知りたくなったし杣友さんのその後も気になってしまった。
オースターの『ムーン・パレス』は是非読みたい。 -
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ネタバレ編集者・岩崎数真×CGオペレーター・仁科縁
子どもの頃、目が見えなかった数馬と再会した縁には、ごく限られた関係者しか知らない事情がある。
ごく平凡で一般的な日々を歩んでいる私には、少数の人が経験している様々なことを知ると、自分の世界の狭さを感じます。
BLという娯楽性の高いジャンルで、大きなことは言えませんが、こういった設定の本で、思いもよらないことが世の中にあって、苦しい思いをしている人がいるってことを振りかえらせてくれます。
で、切なかったりするんですが。
だからって、聖人君子ではなく、諦めの上に立つものであっても下世話だったりする日常もあるし。その辺が綺麗事でなくて、こちらの低俗な意識に罪悪感を持たなくてすむんですよね。