一穂ミチのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりに小説のアンソロジーが読みたくなって購入。
一穂ミチさん、田中兆子さん、カツセマサヒコさんの短編が良かったけれど、あとは文章に深みを感じられずさーっと流してしまった。
一穂ミチさんは短編が本当に上手で、限られた文字数の中で想像を膨らませさせるような文章が良かった。設定からしてもひねりがあって、やっぱり安定の一穂ミチさん。
田中兆子さんの小説は初めて読んだけど、不機嫌で人をコントロールするタイプの女性の視点で描かれていてとても面白かった。どのように不機嫌な自分と言うものが出来上がるのか、不機嫌を撒き散らした後に回収できない自分のプライドの高さ、だけどそれを俯瞰的に見ている自分もいると言う苦しさ。なんだかとても深かった。
カツセマサヒコさんは話題のエッセイを買ってまだ読んでいないのだけど、小説も読んでみたいと思っていたので、ちょうどよかった。友達がみんな結婚したり、恋人がいたりして、少しずつ友達関係が変わっていく中で、自分だけがシングルであると言う状況と向き合う男性のお話。シンプルな文章の中で、この先どうなるのかなあと好奇心をかき立てられる短編だった。 -
Posted by ブクログ
一穂ミチさん、3冊目。大阪のテレビ局で働く老若男女のあれこれ。
社内不倫の前科で腫れ物扱いの40代独身女性アナウンサー、同期たちの早期退職に悩む50代の報道デスク、、好きになった人がゲイなのになぜか一緒に暮らしている20代タイムキーパー、非正規の現状が恨めしくても当たって砕けることもできない30代AD。
テレビ局という一見華やかな場所で働く人たちを描きながらキラキラ感はほとんどなく、幽霊やら児童ポルノやら腹話術やら出てくる、ちょっと変化球な筋書き。
大阪府民にとっては、よく知った阪神間の街の描写が楽しめ、実際に見舞われたかつての地震や台風の記憶が甦るのも一興。
地震で電車が止まっても徒歩で会社に向かい、道中、仕事と家庭を省みる、そんな中年サラリーマンの悲哀がにじむ第2話が好み。
私も暇にかまけて描かれていた風景眺めながら一度歩いてみようかと思わされる(さすがに西宮から福島までを一気には無理か)。
舞台となっているのは朝日放送がある辺りなのに、解説に呼ばれているのが毎日放送の人なのは何故?と思ったが、知り合いだったわけね。 -
Posted by ブクログ
あまりにも切なく、共感だらけの恋物語だった…
恋って本当に苦くて、キラキラしていなくて…リアルな世界観と言葉たちが胸にズキズキ刺さった。
『感情旅行』 一穂ミチ
ご近所さんで、早逝した蒔生。彼と結婚する可能性のあった主人公の華は、訳あって彼の息子千歳から旅行をお願いされ同行することに… 華の心の葛藤と、千歳の秘められた想いを、出雲の穏やかな大地が彩っているような作品だった。ラストシーンは一穂さんっぽい甘酸っぱく爽やかな感じで好きだな
『独身の女王』 麻布競馬場
ミドサー独身の私は「独身のカリスマ」を「教祖様」とあがめていたが、そのカリスマが結婚した。そんなカリスマや友人の影響を受け、私はマッチングアプリをすることに…そこで出会った彼は大学時代憧れていた人だった。自分の人生や想いを、大切に紡いでいきたいと思えた作品だった。
『オレンジシャドウの憂鬱』 砂村かいり
あずみの元カレが友人の礼奈と付き合い始めたらしい…そこから礼奈はあずみに対してSNSで罵言を投稿していく。あずみの上手くいかない恋愛模様が繊細に描かれ、切ない気持ちが溢れた作品。
『さみしがりやの恐竜たち』 こざわたまこ
バツイチ同士の治癒的恋愛の話かと思いきや、ラストは思わぬ方向に話が進んでいく。ひとりの寂しさがぶっ飛んだラストに繋がっていった本作だが、共感するところもややあって…苦しいけどクセになる作品。
『不機嫌依存性』 田中兆子
不機嫌な人の心理を知れて興味深かった作品。主人公のカリンは、結婚するであろうタカヒロにいつも不機嫌な態度をとってしまう。それが仇となり、彼から別れを告げられるのだが…。今まで不機嫌な人を前に嫌悪感が否めなかったが、本作を読んで可哀想な人なのだと考え方が変わった。不機嫌であることは構わないが、やはり不機嫌であることで大切なものを失ってしまうのは悲しい…ならば自分の気持ちに素直になって、自分で自分の機嫌をとって生きていく方が楽であり、ステキな生き方であると改めて感じた作品。
『出会い』 朝比奈あすか
夢に見ていたアパレルブランドの店長になった美咲。そして勤務先の近くのカフェにいる歳下店員に恋心を抱き、ときめきを隠せない日々を送る。しかし月日が経ち、その店員がいなくなってしまう…落ち込みながらも、美咲が前を向いて歩いていく姿が印象的なラストが清々しい作品。
『振りかぶって、さよなら』 千加野あい
会社の部下平に恋心を抱く燈子。それと同時に同僚に勧められていたマッチングアプリの相手野々宮とも食事を重ねていた燈子だが、野々宮に共感のようなものを抱くものの、やはり平のことを忘れられない。純粋な恋心と年相応の現実の恋のどちらを燈子が選ぶのかー、恋ってやはり難しいなと唸ってしまった作品だった。
『となりの独り』 カツセマサヒコ
主人公のヨイチは、定期的に集まる友人グループで唯一の未婚者。彼はグループのみんなに「USJに行こう」と提案するものの、皆家族がいて難色を示す。そのこともあり彼はマッチングアプリで友人をつくるべく出会った女性に、思い切った行動を取るが…。
『結婚をすると
USJに行く対象や目的が変わってくるー。』
この言葉は直截的で、首肯が止まらなかったな。
1番好きな話は、『感情旅行』だった。
どんなにうまくいかない恋でも、自分の成長のためには必要なもので、それを乗り越える強さをこのアンソロジーから教えてもらった気がした。
うまくいかない恋も悪くないなと思わせてくれた作品。 -
Posted by ブクログ
やっと読み終わった…というのがまず感想。
ボリュームがすごい。
GOATは先発の「meets」と「愛」を紙の雑誌で読んだのだけど、今回は電子書籍で購入。
比べてみて大変申し訳ないけど電子書籍の方が読みやすかった。紙の方はたぶん(絶対)狙ってデザインされているんだけど、それがとても読みにくかった。
「悪」というテーマはとてもよかった。
悪とは視点によって正義でもあったりするあいまいなものなので、そこにこそ人の感情の機微はあるんだと思う。
ただほんとに、ボリュームがありすぎる。
申し少しライトであるなら定期購読するんだけど。
他の本が読めなくなってしまう。 -
購入済み
正直、主人公みたいなタイプは、苦手です。あまり感情移入ができませんでした。心理描写が緻密で、この作者さんは流石だなと思うとともに、読んでいる間、ずっと苦しかった。
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Posted by ブクログ
うまくいかない恋 アンソロジーなので
どの短編も単純なハッピーエンドではない。
けれど8人の作家さん其々に、30代ならではの主人公たちの個性的な恋模様が描かれていて面白かった。
収録作は以下の8作品
「感情旅行」・一穂ミチ
「独身の女王」・麻布競馬場
「オレンジシャドウの憂齢」・砂村かいり
「さみしがりやの恐竜たち」・こざわたまこ
「不機嫌依存症」・田中兆子
「出会い」・朝比奈あすか
「振りかぶって、さよなら」・千加野あい
「となりの独り」・カツセマサヒコ
私は「出会い」と「となりの独り」が好みだった。
「出会い」は一歩踏み出せない片想いのお話。
スタートすらしなかった恋もまた、生活に彩りを与えてくれるから素敵だと思う。
「となりの独り」は男女の考え方の違いが如実に出ている作品。経験を積んできてる筈なのに、お酒が入ると油断しちゃうのか、勇み足になるのか、なんとも愛おしい。
今回は、初めての作家さんも読めて新鮮だった。
人の恋愛だと、客観的に見られて冷静に考えられる。
人の恋だからこそ、いいも悪いも含めて羨ましい。
サクサク読める短編で軽めの内容なので、恋愛小説を読まない方にも、気晴らしにオススメしたい。
雑誌CLASSYに掲載されていたようなので、人生の転換期が多いこの辺りのターゲット層に一番響く内容だと思う。