一穂ミチのレビュー一覧
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一穂ミチさん、2冊目。「スモールワールズ」にはとても惹きつけられたものの、その後、間が開いてしまった。
2025年、明日子と双子の弟・日々人は、歳の近いいとこがいて、明日から彼女と一緒に暮らすことになることを父に知らされる。戸惑う二人の前に現われた彼女・今日子は、コールドスリープから目覚めたばかりの30年前の女子高生だった…という出だし。
1995年と2015年を見比べながら風俗やテクノロジーの違いが話題の中心になる前半は懐かしさで面白くはあるがやや冗長。そこからちょっとひねった展開になるが、小さいところをぐるぐるしてただけで、話が広がる前にドクターストップがかかった感じ。
軽い語り口でサクサク読める、かわいらしい感じのお話。色々な葛藤がある話だったが結構あっさり終わってしまい、“完全版”として加えられた掌編がなかったら、ちょっと物足りなかったかも。
掌編の中では今日子が彼氏になるかなーって思っていた沖津くんが語る「堂上今日子について」が良かった。
どうでも良いが、どっちが今日子でどっちが明日子が、ときどき分からなくなっていた。 -
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ネタバレテレビ局を舞台としている物語なので、
「YESかNOか半分か」のシリーズかと思ったら,そうでもなさそう。また別のお話。
テレビ局でバイトする20歳の大学生、羽村結(はむらゆい♂)と報道記者兼解説員の後藤京平の恋愛ものではあるけど、
半分はやっぱりテレビ局で働く人たちのお仕事物語。
一穂ミチさんのBLは、大体半分仕事、半分(弱)恋愛ってのが多いかなーと思う。今回もそれ。
結の母がテレビ局で働く事をものすごく反対していている理由も、それでもテレビ局でバイトしている理由もちゃんと出てくるのがいい。ただの過保護母ではないのだなーと(それでも過保護だけどね)
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Posted by ブクログ
相手の真意を理解する。
相手との性格の違いや、人生観の違いを許容する。
そこにリスペクト出来ないのであれば、好きだのなんだのは、ただの戯言だと思う。
相手の身勝手を頭ごなしに否定するのではなく、その前段階にどんなロジックがあるのか探し出すもの。
無数の恋愛模様がある中で、相手を否定して自分を正当化する事がどれだけ無意味な事か。
少なからずある失敗を元に、それでもまた誰かを好きになるという事が美しいと思える小説。
「恋は中央線」という言葉があった。
中央線は、阪急京都線のように河原町を出て梅田に到着する、ゴールのある線。
でも僕は、環状線みたいなものだと思う。
同じ駅に何回着いたとしても新鮮を味わおうとする努力だと思う。
「好き」と言われることを馴染ませないようにする心持ちを持つ。
僕はそんな電車に乗りたい。 -
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ジャンルとしてはどんなジャンルになるんだろう。
違うとしても自分はこの物語に詰められたものは青春なんではないかと思った。
結婚には興味がないし、仕事も食べていける収入があれば充分。
受付嬢の美雨が三十歳の契約終了を前に出会ったのは、
売れないお笑い芸人の亨だった。
亨や相方の弓彦、亨とシェアハウスで一緒に住む芸人たちと
過ごす中で訪れる嵐。
周りに合わせて生きてきた美雨が見つける、初めての希望とは。
個人的には芸人たちの生き様に惹きつけられる一方だった。
確かに、不幸を救えるのは笑いだけかもしれないし、
夢や目標は、それを追いかける人にとっては一種の呪いかもしれない。
それでも、歯食いしばって魂をすり減らしていく生き様は魅力的だ。
そんな素敵な側面が垣間見える度に、
主人公の美雨に共感できなくなってしまった。
第3章までは割と美雨の思いに共感できるし、
だいぶイタい子というのが逆に魅力となっていた。
だが、第4章に入りその魅力が完全に崩れた。
うん、もはや余計なことしかしない存在でしかなくなり
簡単に一言で済ませれば邪魔な存在と化していた。
確かに物語を転がし、かつ美雨の成長を鑑みると
そうなっていくのは必然的であり、何らおかしなことはないのだが、
どうにも釈然としないというか、逆に彼女の得たものって何なんだろうと
ページを前に捲り直したりしてしまった。
ひどく個人的な意見かつ、的を得ていないのは重々承知だが、
芸人という存在と非常に相性が悪いキャラクター性かもと思ってしまった。
いつもの一穂ミチの世界観を十二分に表しているキャラなのに。
その最後の失速感だけが残念だったなという印象になってしまったが、
物語自体は非常に面白く、上質な内容。
無限と書いてネバーエンディングストーリーと読ませるには笑わされた。
一握りの人間だけに分かれ道が存在する作品なのかもしれない。 -
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アンソロジーの良いところは、今まで読んだことのない作家の作品に触れられるところ。6人のホラー作家のうち、私はなんと4人が未知の人。映画化作品ではよく知っているのに原作は未読だったりして、今さらながら「読んだことなかったわ」と自分で驚く。
「最恐」を謳っているけれど、さほど怖くはありません。でも登場人物たちの確実に潰えて行くさまは感じ取れます。個人的には『にえたかどうだか』にドキドキしました。
そういえば、私の勤務先の博物館にも「見える人」「感じる人」はやっぱりいて、そういう人たちが「絶対近寄れない」という場所があるんですよね。憑いていてもおかしくないものを収集してきているわけだから当たり前のことですが、そんな話を聞くたびに、私は霊感がなくてよかったと思います。怖いもん。 -
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ネタバレテレビ局周りの人物を描いた連続短編。
軸になる人物がいるわけではないが、後半にかけてメッセージ性が強くなり面白かった印象。
とくに阪神淡路大震災で兄弟を亡くしたお笑い芸人にインタビューし、VTR作成をする無気力な新米ディレクターの回である〈冬〉の章は刺さる言葉がいくつかあった。
序章の〈春〉は幽霊が出てきたりして、「そんなのありか…?」とは思ったが妙なオカルト系に引っ張られず、現実感のある話がその後は続いたのでよかった。
舞台はテレビ局だったが、皆が少しずつ持っていそうな不満や問題を上手にフォーカスしていて身近なものに感じる一冊だった。 -
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わたしは澤村先生が本当に大好きだということを、この本を読むことで改めてしみじみと実感いたしました。どうしてこんなに面白く、怖い話が書けるのでしょうか。どこへ並んでいても先生のお話が一番好きです。コンビニで、スーパーで、デパートで、田舎で都市部で、わたしは一筋の光明を見るでしょう。それが澤村先生です。夜の海にも朝の山にも、新しく見つけられる気がします。はい?どういうことですか?さっぱり分からない。まぁだからあの、それほど先生のお話は近くに生きているということです。
この本ではその澤村先生を一発目に置いているわけですが、初手王手すぎます。お願いしますと挨拶を交わした直後「はい、王手」とされるということですね。いや、いやいやいやって。それをぜひみなさんにも味わっていただきたいです。
もう一つ、原浩先生の感想は身から出た闇の方にあげていますが、828-1、本当に素晴らしいお話ですので、広く読んでほしいです。この二つが読めるというだけでこの本は星5に値します。短編でこの質の高さ、異常です。大変恐ろしいです。