藤野可織のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「私の身体」を「生きる」とは何だろう。いや、「私の身体」とは何だろう。そもそも、「私」とは何だろう。
各作家たちの切り口は様々だが、みな共通しているのが、己という存在を不可欠に構築するこの肉体というものの生物的な役割にも社会からの眼差しにもかなり戸惑い、苦しみ、受け入れたり受け入れられなかったりしながらどうにか生きている点で、強く連帯感を持ちながら読んだ。
痛ましさを感じたのが、執筆陣の女性たちはほぼほぼみな性被害の経験がある点。私にもあるし、私の友人たちもほとんどあると思う(学生の頃、痴漢が話題になったとき、その場にいた10人ぐらいのなかで痴漢に遭ったことがない子は1人しかいなかったことを -
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Posted by ブクログ
かなり好き!女同士のバディもの。シスターフッドとも言えるけど、“バディ”の方がしっくりくる。
ピエタとトランジ以外の登場人物は入れ代わり立ち代わり出てきてどんどん死んでいくけれど、2人が楽しそうならもうそれでいいねと思えるぶっ飛んだ本。倫理観なんてない。でもこれでいい。これがいい。だって2人が最高だから。
女子高生のままお話が進むのかと思いきやだんだん2人も歳をとっていく。
歳をとっても高校生の頃の変わらない温度感のやり取りをする2人が最高!一時的に離れることはあっても結局二人でいることを選ぶ。選んでくれる。
本当に仲のいい女同士の会話ってこういう感じだよな……としみじみ思う。
こんなに愛 -
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Posted by ブクログ
792
352P
藤野可織
1980年京都府生まれ。2006年「いやしい鳥」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2013年「爪と目」で第149回芥川龍之介賞、2014年『おはなしして子ちゃん』で第2回フラウ文芸大賞を受賞。他の著作に『ファイナルガール』『ドレス』『私は幽霊を見ない』『来世の記憶』などがある。
わたしがこの世で一番好きな小説は「ピエタとトランジ」です 2人の女子高生がやがて死を呼ぶババア探偵バディになって世界を滅ぼす話……
ピエタとトランジ (講談社文庫)
by 藤野可織
臨時休校中で、私たちは真っ昼間からずっと四人用のボックス席に居座っていた。ランチに彩り野菜のドリア(トラ -
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幽霊を見ない著者が人が体験した怖い話を聴いて回る様子をときにコミカルに書き綴った本。
様々な怪異に遭遇した人の話がみちみちに詰まっているのだが聴取している本人はそういったものは見ないのでカラッとしているというか。
私は一度だけ変なものを見た事があるが、この本に出てくる人達もそういう温度感で自身のエピソードを語る。
地続きの中の違和感をそのまま流してしまいただ日常は続く。
当たり前だけど幽霊に限らず自分の見ているものって真の意味で自分にしか見えていないし、知覚・認識できないものって一生分からんのだろうなと思ったし、そういうものの集積で世界が成り立っているのって不気味で怖いと思った。 -
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購入済み
何かでチラッとだけで読んだことがあったけどその時はちゃんと読む事はありませんでしたが、今回たまたままた見つけて読みました。面白かったし、続巻も読むのが楽しみです。
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藤野可織さんの同名小説のコミカライズ。約1年前に小説を読んだ時、私は「自分がもし絵を描ける才能があるならファンアートを描いてみたい」というような感想を残したのですが、ファンアートどころか、漫画家のキスガエさんによって本格的にコミカライズされたのがとても嬉しくて1、2巻揃えて読みました。原作の雰囲気そのままで魅力的なピエタとトランジ二人が生き生きと描かれていてとても良かった。ダークなのに重すぎないのは、ストーリーが軽快に駆け抜けていくからだと思います。初対面の時は高校生だった2人が大学生になり、社会人になり、中年期、壮年期、老年期までバディを組んで突き進みます。
世界は滅びない
滅びるのは人類 -
購入済み
スマホやSNS、夜間の塾といった最近の子供の事情を暑かった作品が目新しかったです。正直、文体は少し大人向けの作家さんも混じっており、そのせいか内容的に少し子供向けとしては上級の怖さかなと思いました。
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Posted by ブクログ
子供向けだけど容赦なく怖い。舞台が小学校になってたり主人公が小学生なだけで内容はガチなホラーだった。
むしろ子供がひどい目に遭うのが苦手な人には大人向けホラーよりずっときついかも(基本的に想定読者と同年代の小学生が怖い目に遭うので)
ホラー作家の皆さんは大人向けに書いてるときと同じくらいの出力出してるし、児童書作家さんは本気で子供怖がらせようとしてるし。
普段児童書とか読まなくても、質の高いホラーショートショートがたくさん読みたい!って人にも強く強くおすすめします。
収録作の中では、短い中で不気味な世界観をリアルに描き出した『おだんご当番』『ぢんぬるさま』、行間に二人の関係性がぎっしり詰ま