藤野可織のレビュー一覧

  • きっとあなたは、あの本が好き。 連想でつながる読書ガイド

    Posted by ブクログ

    こういうのとても好きなので面白かったけど、結構ネタバレも激しいし、話の雰囲気的にも「あるものを好きな人にテーマからその人に本を薦める」というよりは、「あるテーマのそれも、関連するものも大体読んでる人が読書仲間とグルーピングしてたのしむ」本かな。もうすこしブックガイド的な雰囲気が欲しかった。大学で、部活動見に行ったら内実がサークルだったかんじ?(わかりづらい)でも谷崎の章があったので楽しく読みました。読んでるのも結構あった。笑

    0
    2016年06月07日
  • 爪と目

    Posted by ブクログ

    久しぶりに、何のためでもなく、「ただ活字を読む」という欲のためだけに読み終えました。時間に追われているときに読む、良質な短篇はこの上ない至福ですが。ああ怖かった。
    帯の「史上最も怖い」という言葉は的を得ているからこそ、究極のネタバレというべきか、予感を促しすぎる意味で読者からすれば勿体無いような気もします。
    事実、悍ましいと感じる要素が沢山詰まっています。具体的な言葉で分析し始めようものなら自分の世界にピキッとひびが入ってしまいそうな感のある、人の奥底にある不気味な禁に触れてしまっている作品です。
    語ることの出来る要素で面白みを感じたのは、やはり「目」の役割です。解説にあった、動物の目の発達の過程の説明を含めて、考えさせられるところ、日頃考えることと繋がるところがありました。物事から恣意的に目を逸らせば、人はその物事を無かったことに出来て、ある種の独裁者になれるということ。でも、、、ということ。「目を閉じれば同じ」という言葉が出てくる宇多田ヒカルさんの歌をふと思い出しました。人は疲れてしまうと思考を停止して、目を閉じて、次に開く頃には状況が変わっていることを期待したりするものです。それは必ずしも現実逃避を示唆しているのではなくて、日常における睡眠も同じでしょう。でも、、、がいっぱいあります。自分の住んでいる世界に見たいものと見たくないものがあるということと、目が開いている限り物事を見続けなければならないこと、をどう理解すればよいのでしょう。自分で一生付き合って戦うしかないのでしょうけれど、戦うのに疲れてしまった人は他の存在を精神で殺してしまうのでしょう。私は目が見えることは尊いと思っていて失いたくありません。それでも、一見「できる」という良い機能に思われるものが、「できることをしない」という選択肢を危険を孕んでいるという事実は心に留めておくべきだと思っています。
    久しぶりに、心の向くままに目的もなく言葉を綴った気がします。少し気持ちが休まったのでこの辺りで。

    0
    2016年05月27日
  • きっとあなたは、あの本が好き。 連想でつながる読書ガイド

    Posted by ブクログ

    作家や翻訳家、文学研究者など文学に携わる方々の鼎談。国内や海外、様々な作家の作品が紹介され、話は尽きない。
    自分が抱いていた固定イメージがひっくり返されるような見方もあり、とても新鮮だった。
    読みたい本は尽きないけど、時間は無限じゃないのが切ない。。

    0
    2016年03月22日
  • いやしい鳥

    Posted by ブクログ

     表題作は、どうも世界に入り込めなかったので、特に感想は書かず、併録されている「溶けない」について。

    <溶けない>
     子ども(小学校低学年)のころ、夜眠っているときに足を引っ張られるような感覚があり目が覚めてしまうことがたびたびあった。あの頃はオバケの仕業かとびくびくしていたのを覚えている。この小説で幼い「わたし」が恐竜に遭遇するシーンを読んだ時の印象が、ちょうどこれに似ていた気がする。
     私の「足を引っ張られるような感覚」はもうなくなった。幼少時代の不思議な体験など、大人になるにしたがってそれが何か分かるあるいは気のせいだと思い、雲散霧消していくものだ。
     しかし、この小説では終わらない。じわじわと日常に忍び寄ってきて、あろうことか大学生にまでなった「わたし」まで飲み込んでしまう。
     周囲の人間の反応からすれば、その体験は「わたし」のもうそうだろうとは思うのだけど、「わたし」の視点が妄想を見ているそれとは到底思えないほどにくっきりしている。
     こうしたズレはどうして生まれたのだろうか、この幻想は何かの隠喩なのか・・・そういった疑問は解けないままで心残りだけど、もっと同著者のほかの小説も読んでみたいと思うものではあった。独特の気持ち悪さこそが物語の醍醐味なのだろうか?

    0
    2015年09月05日
  • いやしい鳥

    Posted by ブクログ

    「いやしい鳥」「溶けない」とショートショートの「胡蝶蘭」の3篇は、いずれも不可解な怪物に出くわす話。不条理な状況に翻弄されつつも、それに抗い立ち向かうラジカルさが更に事態を悪化させるのは、初期筒井作品を彷彿とさせる。

    「いやしい鳥」は、お隣に住む主婦を一方の視点に加えたことにより物語に客観性を与えスラップスティックコメディ色が薄れ、筋立ての面白さが増しているように思う。ただ、次々に登場する不快なアイテムがあまりにありふれていてややしらける。三者それぞれの切迫感は感じるのだけど精神的に追いつめられていく様子があまり見られないため全体としてエッジが立っていないように思う。読んでいる間中セサミストリートの曲が頭の中を渦巻いた。

    「溶けない」は、著者得意の母娘もの。女性特有のしぐさの描写は素晴らしく、全体として映像的なイメージの作品となっている。「溶けたりしないくせに。どうせ老いて死ぬくせに」というインパクトのあるひと言が本作の全てだろう。

    「胡蝶蘭」は、わずか15ページほどの短い作品だが、視覚的描写が際立っているので、3篇中最も強い印象を残す作品となっている。「胡蝶蘭はなにも言わなかった。当然だ」というフレーズに、オチを付けねば落ち着かないという著者の上方気質を感じる。こういうの大好き。

    0
    2014年10月22日
  • パトロネ

    Posted by ブクログ

    表題作「パトロネ」は一風変わった幽霊譚。中盤過ぎまではイメージの拡大や推測の拡がりができて面白いのだが、その後は終わらせることに意識が向かってしまっているのか、減速してしまうのが残念。皮膚病と心情をリンクさせたのは上手い。イライラ感が伝わってくる。パトロネって何かと思ったがアレだったのね。オジサンはパトローネと習いました。

    「いけにえ」は普通さ凡庸さに潜在する執着や狂気といった感じ。普通のオバサンの普通の美術鑑賞がツボにはまる面白さ。美術なんて分からないと言いつつもその観賞力はただ者では無い。コミカルな文章だがこの後の作品と比べるとまだ硬い感じがする。言葉の選び方がまだこなれていないからかな。こういう話は大好き。

    0
    2014年10月22日
  • ファイナルガール

    Posted by ブクログ

    7つの短篇が収録されているが、前4編と後ろ3編とではテーマが異なっているように感じた。

    「去勢」「狼」「ファイナルガール」に共通する非日常的なモノによる日常の破壊は、筒井の「死にかた」や「走る取的」にも似て、この後の著者の作品にも見られるスラップスティック作品群に含まれるだろう。

    異常な事態に見舞われる「プファイフェンベルガー」の閉塞感。「戦争」に於ける記憶と実像の入れ子状況など、かなり重いネタにもかかわらずドライにかつユーモアすら含んだ描き方はさすがだ。

    「大自然」はともかく、「プレゼント」だけは良くわからなかった。しかし身体の一部パーツへのフェティシズムにも似たこだわりは、著者の特徴かもしれない。

    0
    2014年10月17日
  • ファイナルガール

    Posted by ブクログ

    何気ない日常のような、だけれどシュールでどこかしら怖く感じてしまう短編集。淡々と何事もないように書かれる事象は、案外異常で。ひそやかな恐怖感が感じられます。
    お気に入りは表題作「ファイナルガール」。なんとも凄惨な物語がとても冷静に語られていくのが印象的。うーむ、こんな人生嫌だ(笑)。
    「狼」も凄いなあ。おそらく子供心には相当恐ろしいぞこの物語。

    0
    2014年07月21日
  • いやしい鳥

    Posted by ブクログ

    このデビュー作は、ガーリーは抑えられ。
    寓話でもない象徴でもない、とうとつなグロテスクが冴える。

    「いやしい鳥」
    何がどうなるかと思いきや、バトル!!

    「溶けない」
    集中もっともぼんやり。

    「胡蝶蘭」
    猫の首というイメージでぐいっと惹きつけられ。

    0
    2014年06月16日
  • ファイナルガール

    Posted by ブクログ

    うーむ。なかなか面白かったなーと本を閉じ、概要を改めてみたところ…なんとなんと。これは恋愛短編集だったのか!!
    これを恋愛小説としたところかまたすごい好き。藤野さんは芥川賞受賞作で虜になったのだが、とても相性がいい。
    今作もいい具合に気味が悪くて、ざわざわーとするのがいいんです。同じ短編集だとわたしはおはなししてこちゃんの方が面白かったなーと感じたのですが、これもなかなか。
    中でも好きなのは去勢、プファイフェンベルガー、表題作のファイナルガール!
    こんな恋愛小説読んだことないよ、まったく。

    0
    2014年05月08日
  • ファイナルガール

    Posted by ブクログ

    なんと、恋愛小説集だったとは。

    覚悟はしていたのだけれど、夜中ひとりで読んでやっぱり後悔。
    こんなにざわざわさせてくれるなんて、憎いあんちくしょうなお人。

    表題作の「ファイナルガール」も好きだけれど、
    熊の防犯ブザーとストーカーの「去勢」がいちばん好き。
    天才!

    0
    2014年05月07日
  • ファイナルガール

    Posted by ブクログ

    芸術としての大自然の中でボーイフレンドと過ごす「大自然」
    熊の防犯ブザーとストーカー「去勢」
    プファイフェンベルガーが好きな女の子はボーイフレンドと映画館の屋上に登る「プファイフェンベルガー」
    教え子で彼女である少女と歯を抜きに行く「プレゼント」
    彼は狼を恐れている、倒そうとしている「狼」
    ハリーとレニーと、そしてサイモンの死「戦争」
    「ファイナルガール」は、小さい頃母親のおかげでアパート唯一の生き残りとなった。しかし連続殺人鬼は何度でも訪れる。
    彼女は30歳で娘を守り死ぬのだと信じる。

    藤野可織は、息を詰まらせる描写がうまいなあ。ホラーでありながらユーモアもあるから、安心して読める。

    0
    2014年04月17日
  • いやしい鳥

    Posted by ブクログ

    「爪と目」「パトロネ」に続いて3冊目、相変わらず不思議ちゃん全開の藤野ワールド。
    飲み会帰りにひょんなことから転がり込んで来た学生がペットのオカメインコを食ってしまったあげく自らがそのものになってしまい飼い主を攻撃するという荒唐無稽なストーリーなのだがやはり構成が冴えている。
    読み手はオポチュニズム然とした隣人の主婦の目線で事件を俯瞰するという設定が面白い。そしてもっと面白いのは藤野さんが書きながらクスクス笑っているのだろうなと思わせる小技の数々。
    若いのに曲者、なかなかやるな!が感想でした。

    PS…ベリーショートながら「胡蝶蘭」が秀逸!新進気鋭の作家藤野可織そのもののシュールな仕上がりでした

    0
    2014年04月15日
  • いやしい鳥

    Posted by ブクログ

    言ってしまえば世にも奇妙な物語。
    現実世界なの起こり得ない方向へすすんていく。

    飽きない程度の長さのお話になっているのて矛盾とか詳しい説明が必要がない。

    「溶けない」は妄想なのか仮想世界なのか最後までわからなかったけどこちらの想像が膨らむ話だった。ちょっと説明不足だったけど。

    ちょっと怖いお話を読みたい時にびったりだと思う。

    0
    2014年03月17日
  • パトロネ

    Posted by ブクログ

    空っぽのパトロネ、中身の入ったパトロネ。残ったものは何なのか。外側からではわからない。触れた者しかわからない。
    幻想、残像、夢、現。解釈は人それぞれ。
    あけすけな感じと限定的な閉塞感。

    0
    2013年11月26日
  • パトロネ

    Posted by ブクログ

    途中までは自意識過剰な女が人とは違うってことをがなりたてるような(表面は静を装いつつも)苦手な文章だと感じて(作者と作品の距離がなさ過ぎるタイプに感じた)、でもそれは実はこうだっんだっていうとあることに気づいてからは全部ひっくり返された。
    純粋にすごい小説だと思いました。
    そしてそのからくりに気付くまでは「なんか怖い」に支配されているのに気付いてからは、気付いたんだから本当はもっと怖いはずなのに何故か安心した。ほっとした。
    「いけにえ」の方はやや肩透かし感が。「パトロネ」がすごかったからかなぁ。

    0
    2013年08月02日
  • 虚弱と歩く

    Posted by ブクログ

    私も中学生頃から虚弱体質であるが、当時は治すことが最優先だった。しかし、今は治すよりどう飼い慣らすか、まさに"虚弱との共存"というフェーズにあるのだなと思った。
    最近初めての胃カメラを経験し、結果十二指腸炎だった。あと、原因不明で右足が痛い。まぁ、老化でしょうが...。

    0
    2026年10月04日
  • 私の身体を生きる

    Posted by ブクログ

    いろんな人の性への考え方があって、理解できるものもあれば出来ないものもあった。
    自分の性に対する考えをもっと整理したいと思った。

    藤野可織さんの話は首がもげるほど共感できた。

    特に共感した部分。
    「私は自分が子どもを望んでいるのかどうかわからなかった。いくら考えてもわからなかった。私は体力がなくて、だいたい無気力で、まともな生活もできず、一般の人よりも劣っていると言う感覚があった。子供なんて産んでしまったら責任のある決定をたくさんしなければいけなくて大変だし面倒だし疲れるだろうと思った。」
    「私は、自分をコントロールできるということに振り回されていた。当たり前でありながら得難い素晴らしい権利に気持ちをぐちゃぐちゃにされ、一瞬ごとに子供がいてもいいと思ったりいたら終わりだと思ったりしていた。自分が情けなかった。」

    0
    2026年09月23日
  • 私は幽霊を見ない

    Posted by ブクログ

    藤野さんの語り口が面白い。
    印象に残ったのは映画館での話
    私もシアター番号を間違えてお目当ての映画が始まらないなぁ…の経験をしたことがあった。
    私は本当に間違えていたから良かった(?)ものの……

    0
    2026年09月17日
  • 虚弱と歩く

    Posted by ブクログ

    虚弱の原因が病気というのが意外にあったのは読む前は想像していいませんでした。だったら虚弱じゃなくて病弱では?と勝手な違和感を感じつつ各人の虚弱を読み進めると、次第に虚弱だから病気になる、とすれば病の根源は虚弱ということになるからいいのか……と言う所に落ち着きました。
    多様性が認められるようになった世の中てすが、それでも虚弱の人に対しては、隠した本音の部分として理解不足や妬みなどがみられます。そんな考えや対応を払拭し、虚弱側の理解を手助けする一冊という面も本書にはあると思います。

    0
    2026年09月14日