藤野可織のレビュー一覧
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短編集『おはなしして子ちゃん』に収録されていた「ピエタとトランジ」のその後を描いた作品。
主人公の2人のヒロインのキャラクターが立っているので、いくつかちょっとした事件を並べておけば、場面設定を大きく変えずに連作短編として十分一冊の本にまとまったと思うんだけど、あえてそれを行わずに2人に年を重ねさせ、世界を巻き込んだディストピアに発展していく形にしたのはとても良かったと思う。
探偵を主人公にしたミステリー小説だと、なぜかその周囲で必ず事件が起きるというある種の「お約束」があるんだけど、本作はミステリーの体裁をとっていないにもかかわらずその設定を踏襲しているのが、何とも皮肉めいていて面白かった。 -
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大好きな『ピエタとトランジ』が漫画化されたって? そりゃ、読まなきゃ嘘だろう。連載を追うのがファンのあるべき姿だろうけれども、ドラマでも一気見タイプなので申し訳ないけれどもジリジリしながら単行本化を待ってました。
藤野可織の同名の連作小説集をコミカライズ。
だいぶ原作の雰囲気そのままで、ビジュアライズされることでより分かりやすくなる。頭の中でぼんやり浮かんでたあれこれが、目の前に!
掲載されているのは、ピエタとトランジの出会いである高校生のエピソードから、大学生まで。
「ピエタとトランジ」前後編
「高校教師飛び降り事件」
「ファミレストイレ事件」
「女子寮殺人事件」前後編
ピエタとトラン -
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ネタバレ幼児の「わたし」を語り手に、母の死と、父と「あなた」の(再婚を前提とした)同居が語られる。「あなた」が「わたし」に(というよりは周囲の人間すべてに)心から親密な関係を築けないことを傷のついたコンタクトレンズやほぼ見えない裸眼で表象し、「わたし」もコミュニケーション機能の不全に陥っている様を噛んで尖った爪で表す。
たしかにホラーだこりゃ怖い。
どのような話かがつかみきれない序盤からすでに相当怖い。すべての文章に「ひっかかり」を覚えるのだ。語り手の「わたし」は自分の心情を一切語らないのに、「あなたは~思った」と「あなた」の行動・心情を断定的に語る。それだけで「これは絶対に誰も幸せになれないタイプ -
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ネタバレ高校2年生の時、ピエタの学校にトランジが転校してきた。地味だけど愛想のいいトランジは天才で、そうして殺人を引き起こす特殊な性質を持っていて、ピエタの彼氏の殺人現場を見ただけで犯人を推理してしまうし、ファミレスで勉強しているだけで周りが血の海となる。
このファミレスの話から始まるのだけれど、高校生がファミレスで勉強するという比較的ありふれたシチュエーションなのに、クリームソーダが憧憬の象徴だよねという同意を取りやすい長閑さの話なのに、机に突っ伏していたピエタが全く突然、誰かに頭を持ち上げられて首にナイフを刺されそうになるというとんでも展開となる。なんかだらだらはじまったな〜面白いのかな〜なんて読 -
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「……私の近くにいるとみんなろくな目に遭わないから」頭脳明晰な探偵トランジと親友で助手のピエタ。トランジは周りに殺人事件を誘発してしまう体質の持ち主(本人は望んでおらず手を出してもいない)であるゆえ、2人の行く先々で人が死んでいく。時を超え、国境を超え、デストピアを駆け抜けていく壮大な物語。『おはなしして子ちゃん』に収録されていた同名短編が独立して長編になったのが文庫化されたというので読んでみました。凄く面白かった。バタバタと人が死んでいく…という設定は本来私は好みでは無いのですが、ピエタとトランジの二人の関係性の魅力が輝いていてそちらの楽しさが勝っていました。いわゆる百合なんでしょうけど二人
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ネタバレ探偵のように頭が切れるが、関わった人間がみんな死ぬか殺人犯になるかする特異体質のトランジ。その親友のピエタ。二人は周囲に巻き起こる事件を解決したり、わざと犯人を逃がしたりして異常な日々を楽しく過ごしていたが、ピエタがもう一人の友人をトランジに紹介したことで、徐々に世界の均衡が崩れはじめる。青春ミステリーみたいなポストアポカリプスSF。
長く続く探偵シリーズものでよく言われる、「これって探偵自身が殺人事件を誘発する死神体質なんじゃないの」みたいなやつ。あれが実際一人の女の子に備わっていて、しかも他人に感染するという設定。だから高校時代に運命の出会いを果たした二人の青春ミステリーみたいに始まる -
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ネタバレ短篇集「おはなしして子ちゃん」に収録された「ピエタとトランジ」が帰ってきた!
単行本版の書名は「ピエタとトランジ〈完全版〉」だが、文庫化に際して「ピエタとトランジ」と改題。
「奇想の作家」として凄まじい短編ないし中編を続々発表してきた著者にとって、たぶん最長の作品ではないか。
テーマや核心に関しては、ネット上の著者のインタビューや、山内マリコの「家父長制を殺しに来た」という書評(すごいタイトル)に言い尽くされていると思う。
個人的には、読んでいる最中は気づかなかったが意外としっかりコナン・ドイル「シャーロック・ホームズ」シリーズをふんわり下敷きにしていることに驚いた(しっかり、ふんわり、って -
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ネタバレ単行本のカバーイラストは芥陽子。
もふもふおばけが、カバーにも表紙にも中表紙にも。
文庫ではアンジェラ・ディーンの絵へ。どっちもいいな。
藤野可織のインタビューや対談やツイッターをウェブ上で読むのが好き。
そもそも芥川賞待ち時間に「キューバのゾンビ映画を見てました」(ゾンビ革命ーフアン・オブ・ザ・デッドー)というのも100点の解答で、正直メロメロなくらい好き。
初のエッセイ集をこの角度で出してくるのは、嬉しくてにんまりしてしまう。
(柴崎友香「かわうそ堀怪談見習い」の文庫に解説を寄せているので、同じKADOKAWAということもあり、対にしてみたい。)
実話怪談には疎いが、むしろ藤野さんの地の