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だんだんと鳥に変身していく男をめぐる惨劇、幼い頃に母親を恐竜に喰われたトラウマ、あまりにもバイオレントな胡蝶蘭……グロテスクで残酷で、やさしい愛と奇想に満ちた、芥川賞作家のデビュー作!
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Posted by ブクログ
表題作は大学の非常勤講師である高木成一のパートと、高木の隣家に住む主婦の内田百合のパートが時系列をずらして交互に描かれる構成ですが、とにかく高木のパートがめちゃくちゃ面白かったです。飲み会で泥酔したことがきっかけで高木の家に来ることになった「トリウチ」が、高木が飼育していたオカメインコを食べてしまっ...続きを読むたことにより徐々に鳥へと変身していく、というカフカみたいな感じのストーリーですが、高木vs鳥の壮絶なバトルシーンをはじめ、笑えるポイントが満載でたいへん楽しく読むことができました。雰囲気はもろ「世にも奇妙な物語」で、いつか映像化してほしいなあと思います。 解説にある通り、登場人物たちの感情・記憶などを読み手に想起させるような描写が秀逸で、収録された3作ともリアリズム小説じゃないくせにかなりのリアリティを感じました。あと高木のパートに代表される語り口のうまさも特筆すべき点でしょう。これまで純文系の小説はどちらかといえば敬遠しがちだったのですが、本作は波長がぴったり合ったようで、かなり気に入りました。やっぱり食わず嫌いは損ですね。自分と同年生まれの作家さんですし、もう少し追いかけてみようと思います。
オカメインコ?鳥人間?誰がピッピを殺したの?塀を歩く猫は本当に猫?恐竜?カメレオン?コモドオオトカゲ?食べられたのは誰?胡蝶蘭と分けっこするのは男? 動物も植物も人間も入り乱れた奇天烈な世界に酔いしれる。これはヤバい!!面白かった。
このデビュー作は、ガーリーは抑えられ。 寓話でもない象徴でもない、とうとつなグロテスクが冴える。 「いやしい鳥」 何がどうなるかと思いきや、バトル!! 「溶けない」 集中もっともぼんやり。 「胡蝶蘭」 猫の首というイメージでぐいっと惹きつけられ。
面白かったです。久々に藤野可織さんを読みました。遂にご本を買ってしまった。 好きです。奇妙で不気味でおかしくて。。 表題作はピッピ多分ああなるんだろうな…の予想が当たったので気分悪くなりましたが、そのあとの展開が強烈でした。タイトルの意味…いやしい鳥は堀内なのですね。死闘。元妻はちょっと嬉しそうだっ...続きを読むたけど、高木の話を聞いてもそう思えるのか…余韻(?)が残ります。 「溶けない」もうわぁ…となりましたが、「胡蝶蘭」もとても好きでした。あの花ならあり得る。「分け前はないの」ってよく考えたらすごい言葉。。 グロテスクなのですが軽快なのでするする読んでしまいます、藤野さん。 江國香織さんの解説も面白かったです。「充足を知らない痩せた小説」…言語センス、でもなんだかわかるような。
曖昧で過激なファンタジーという感じで読みながら自分がおかしくなっていく感覚でした。 高木ターンの文章と、胡蝶蘭に「これは、だめ」と諭す場面、すき。
日常が奇妙にねじれる感じ。 特別な言葉を使ってはいないのに、表現として奇妙と感じるから、読めば読むほどに違和感。そこが面白い。 一段落の長さに文学を感じる。国語で習う段落は、この意味合いだったと思い出す。
で?なんやったん?っていうのがいちばん怖い。私が聞いたことも想像したこともないホラーばっかりで、まったく展開の予想もできなくておもしろいです。
不気味でなんかおかしくて「世にも奇妙な物語」的な作風。 若干我々の常識とはずれてるというか、え?なんでそこ簡単に受け入れられるの?っていうのがこわくて不思議な感じ。けど、それがひょっとしたら世界の本質なのかもしれないな。 「それらはこの世にその小説を発生させることを目的に書かれた小説であり、一つ発生...続きを読むするたびに、間違いなく世界が新しい貌を見せる。それは無論世界という海に浮かぶ氷山の一角に過ぎないが、その小説が書かれなければあらわにならなかった一角だ。」 という解説の江國香織の言葉は見事。
深層心理に隠された凶暴な「何か」が具現化することで 人々は、それといかに向き合っていくかを問われていくことになる などと言ってみることもできる 怪奇小説集です 「いやしい鳥」 つめたい人と言われたくない心のなかに付け入って 他人の家に上がり込み、居座ろうとする学生野郎に 飼ってるオカメインコを殺さ...続きを読むれてしまう だけどそれを悲しむ暇もなく 呪いによって?誕生した巨大インコと戦う羽目に 「溶けない」 幼いころ、母親を恐竜に食い殺されてしまった女が そのトラウマを他人と共有したりしなかったり だけど結局はすべて 自分と本質的に向き合ってくれない母親に対する不満が見せた 幻のようにも思える 「胡蝶蘭」 胡蝶蘭を部屋で育て始める女の話 それは非常に凶暴な胡蝶蘭で 触るものみな傷つけてしまうのだけど 植物であるがゆえに 女とはけして交わることができないのだ
短編3つ、読み口がどれも似ている(似たようなテイストの話を集めたのかもしれないが) 本書タイトルの短編は、割と早めに鳥の身に起きる悲劇が予言されていたため、胸をむかつかせながら読み進めることになった、この嫌な気持ちを味わうための本なのかもしれない。
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いやしい鳥
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藤野可織
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