【感想・ネタバレ】来世の記憶のレビュー

あらすじ

「あたしの前世は、はっきり言って最悪だった。あたしは、おっさんだった」地球爆発後の近未来。おっさんだったという記憶を持つ「あたし」の親友は、私が前世で殴り殺した妻だった。前世の記憶があるのは私だけ。自分の容姿も、自分が生きてきて得たものすべてが気に入らなかった私は、親友が前世の記憶を思い出すことを恐れている。(「前世の記憶」)「ああもうだめ」私は笑って首を振っている。「うそ、もっとがんばれるでしょ?」「だめ、限界、眠くて」寝ている間に終わった戦争。愛も命も希望も努力も、眠っている間に何もかもが終わっていた。(「眠りの館」)ほか、本書のための書き下ろしを加えた全20篇。その只事でない世界観、圧倒的な美しい文章と表現力により読者を異界へいざない、現実の恐怖へ突き落とす。これぞ世界文学レベルの日本文学。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ほとんどのお話が不穏な余韻を残していく、仄暗い世界観を纏った短編でかなり好み。

「眠りの館」
眠って眠って放棄して何もかも終わった世界、でも本当に?

「れいぞうこ」
腐ることを恐れて冷蔵庫で眠り、でも穏やかに腐りゆく未来を覚悟している少女

「スパゲティ禍」
死のかたちがあまりにもシュールすぎるディストピア

「スマートフォンたちはまだ」
なぜかはうまく言えないけどこのお話が一番好き。
自分自身に対してなんだか切実で祈りみたいなものを感じて。

「怪獣を虐待する」
怪獣の存在も、怪獣を虐待するという行為も、すべてが何か別の意味を持っている気がして。怪獣を虐待した夜に見る夢も不穏で、この世界が気になる。

「誕生」
昨日までの世界が、外では確実に壊れている気配がずっとあるのに全体像が明かされず、余韻が怖すぎる。

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

余韻の残る読後感。
特に好きだったのは、
『時間ある?』はラストにゾッとしたし、
『スパゲティ禍』の茹で上がりのホカホカ感とすぐ冷めて「もうこれ以上冷たくなることはないと思っても、まだまだ冷たくな」るのが、スパゲティあるあるだなと思ったけど、それが元〇〇だった物だと思うとえも言われぬ気持ち悪さを感じたし、
『鈴木さんの映画』はわたしもニコラス・ケイジのホログラムがほしかったし、
『鍵』のシスターフッドにアツくなったし、
『いつかたったひとつの最高のかばんで』は、彼女たちがうらやましかった。

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2023年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

既視感のある現代的な場面の中に近未来的な展開があったり、普通のどこにでもある日常のようでいながら異世界が捻りこんでくるような、とっても不思議な読み応えのある20の短編小説。一見普通なのにどこかに狂気を秘めていることって実際にありますよね。それをこんなふうに物語に出来るなんて凄い。現代アートを小説にしたみたいな楽しさがありました。でもグロかったりもします。スパゲティ、パスタが好きな人も『スパゲティ禍』を読んだあとはなんかウエッとなるかもしれません。AIのニコラス・ケイジが健康相談員の『鈴木さんの映画』がユーモラスで面白かった。「ニコラス・ケイジ起動」「ニコラス・ケイジ終了」私もやってみたいです。

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2020年08月19日

Posted by ブクログ

変な世界、最初は表現についていけなかったが、読み込んでいくうちにハマりました。
ちょっと考えながら読むので、気持ちに余裕がある時に読んでください。

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2025年04月29日

Posted by ブクログ

良作ぞろいの短編集。少女の残酷さと若さへの追憶、執着が、程よい怖さとエンタメの素になっている。「フラン」、「切手占い殺人事件」、「時間ある?」(一番ゾッとした)が印象的。ベストSF2021に収録された「いつかたったひとつの最高のかばんで」も収録されている。

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2022年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

20の短編。

・前世はおっさんだったあたし。
・友達と部屋で遊んだまま眠りこけて世界が戦争になったと・しても眠り続ける私。
・自分自身を腐らせないために、毎晩冷蔵庫に入って眠る私。
・ピアノがいつの間にか凶暴化し、ピアノが上手だった子がいつしかピアノ化していくまで。

・私が19歳だった頃、大阪に当時の彼氏と行った思い出。
・切手に取り憑かれたクラスの女子たちの狂気。
・大好きで軽蔑す友人と電話のやりとりと彼女に贈ったサンスベリア。
・人々がスパゲッティを嫌い、人自身もスパゲッティになっていく中、毎日それを食べて生き続けるぼく。

・美術館に入ったまま戻ってこない彼女と彼女が探し求めていた喉仏を持つ彼。
・ニコラス・ケイジ風の医療用AIに話しかける事務員。
・ネグリジェで外出するおばあちゃんの若い頃の記憶。
・怪獣を虐待する住民たちが見る夢。

・花柄の服を嫌う少女と合唱の発表会。
・夜に出歩く赤い服のおばあちゃんを怖がる夫と私。
・出産した後の病院の外で起きていることを確かめるまで。

全部じゃないけど。独特の、藤野香織さんらしい世界。

夜に外を歩いているおばあちゃんの見方をする私、鍵、が印象的で面白い。

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2021年12月16日

Posted by ブクログ

私の好みとは違った。

自分の感性と噛み合わず気味悪さと異質な感じが際立ってしまい、途中で読むのを止めようかと思った。

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2021年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「前世の記憶」★★★
「眠りの館」★★★
「れいぞうこ」★★★
「ピアノ・トランスフォーマー」★★★
「フラン」★★★
「切手占い殺人事件」★★★★
「キャラ」★★★
「時間ある?」★★★
「スパゲティ禍」★★★
「世界」★★
「ニュー・クリノリン・ジェネレーション」★★★
「鈴木さんの映画」★★★
「眠るまで」★★★
「ネグリジェと世界美術大全集」★★★
「スマートフォンたちはまだ」★★
「怪獣を虐待する」★★★
「植物装」★★★
「鍵」★★★
「誕生」★★★★
「いつかたったひとつの最高のかばんで」★★★★

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2021年01月08日

Posted by ブクログ

タイトルに惹かれて借りた初読みの作家さん。長短20編が収録されているが、意外なことに同じタイトルの作品はなかった(「前世の記憶」というタイトルの作品はあった)。うーん、なんというか……。純文学系の作家が書いたSF的な作品が多い印象だった。異常が当たり前の日常に焦点を当てて展開するが、どこにも行き着かない。好き嫌いが別れると思うが、どちらかというとぼくは苦手なタイプだった。

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2020年08月19日

Posted by ブクログ

よくもまぁ、こんな不思議な物語を20個も…!と、しかも全部面白い。奇妙で少し気味が悪くて、ちょっとドキドキする。藤野さん好きだなー。次は長編読みたいなー

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2020年08月05日

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