あらすじ
親友の名前はトランジで、私はピエタ。
彼女に出会ったその日から、最高にクレイジーな人生がはじまった――!
平凡な日々を送る女子高生・ピエタのクラスに転校してきた、頭脳明晰な少女トランジ。
トランジは周囲で殺人事件を誘発する体質の持ち主で、事件を解決する探偵でもあった。
彼女に惚れ込んで、助手に名乗り出るピエタ。
まわりの人が次々に死んでいく中、
トランジの一番近くにいるピエタはなぜか死なないままで――?
たとえ世界が滅び行こうとも自分たちの人生を謳歌する、ふたりの少女の物語。
芥川賞作家が放つロマンシス・エンターテインメント待望のコミカライズ第1巻!
感情タグBEST3
何かでチラッとだけで読んだことがあったけどその時はちゃんと読む事はありませんでしたが、今回たまたままた見つけて読みました。面白かったし、続巻も読むのが楽しみです。
Posted by ブクログ
大好きな『ピエタとトランジ』が漫画化されたって? そりゃ、読まなきゃ嘘だろう。連載を追うのがファンのあるべき姿だろうけれども、ドラマでも一気見タイプなので申し訳ないけれどもジリジリしながら単行本化を待ってました。
藤野可織の同名の連作小説集をコミカライズ。
だいぶ原作の雰囲気そのままで、ビジュアライズされることでより分かりやすくなる。頭の中でぼんやり浮かんでたあれこれが、目の前に!
掲載されているのは、ピエタとトランジの出会いである高校生のエピソードから、大学生まで。
「ピエタとトランジ」前後編
「高校教師飛び降り事件」
「ファミレストイレ事件」
「女子寮殺人事件」前後編
ピエタとトランジは、元々の名前があるはずだけれど、ここだはそんなの一切言及されない。ピエタは、マリアが(一見)死んだ(ように見える)キリストを抱くマリアを描いた絵を指していうものだそうで、対するトランジは、中世ヨーロッパの貴族たちの墓標に据えられた、死体が朽ちていく様を表した像を指す。どちらにしても強烈な死のイメージと分かち難いもので、それを自称する二人の周囲は、常に死に満ち満ちている。ちなみにトランジは本名を捩っていることが分かるが、果たしてどんな名前なのかな(笑)。
小説が全部コミカライズされているわけではないのだけれど、欠落が感じられないくらいにスムーズに読めた。けど、この作品をきっかけに小説に行く人も結構いるんじゃないかしら。彼女らが愛おしくて、みんな知りたくなるし。小説は、単行本のもよかったけれども、文庫のデザインがまためちゃ素敵なので、持っているだけでも幸せになれるよ。
小説での最初のエピソードが書かれたときには、すごく面白いし、楽しいし、好き、と思ったけれども、その時に胸の奥にあった違和感を原作者の藤野さんは、この本の巻末にもコラムとして書いてくれている。
最強バディなのは女子高生や女子大生だからじゃないし、そんな記号なんかなくたって、彼女らは最強なんだ。世界が滅ぼうとも、最後まで彼女たちは力強く歩いていくはずなので、次巻が待ち遠しい。
キスガエさんのことは、多分、何かの小説の表紙絵などで知っていて、漫画化の話が出たときにこの人なら原作を損ねずよい漫画になるだろうと思ってたけれど、期待に違わず、で嬉しかった。
さて、原作をまた読み返す旅に出るとするかな。