中島岳志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者による「血盟団事件」を読んだ時に、宮沢賢治と5.15事件の青年将校たちに共通に流れる血としての日蓮宗を知った時、宗教が現実と交わる時に発揮する禍々しさにたじろぎました。本書では親鸞の教えの「他力本願」「悪人正機説」がいかに日本が戦争に突入する時のナショナリズムの形成に繋がっていったかを検証していきます。キーワードは「煩悶青年」。理想と現実の狭間に悩む自意識過剰の青年たちが「自力」に傷つき「他力」の赦しを求める青春が親鸞に出逢って救われていく、そんな一個一個の物語が激しく日本を神の国にしていくことが怖くなります。そして青春の悩みは性欲との葛藤。笑っちゃうくらいにこの本には自分の性欲を持て余す
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Posted by ブクログ
同い年なのよね、中島岳志。同じ年に同じ大阪の大学に通ってた(当時は別々の大学やったけど)人がTVでコメントとかしてるの見て「オレらもそんな歳になったのか」と思った覚えがある。報道ステーションでまだレギュラーではなかった頃、政治学の研究者をやってる先輩と飲んでる席で「中島岳志ってどう思います?」って聞いたら「保守の論客としては櫻井よし子とかに比べたらメッチャまともやしええよね」って話をしてた。その頃は櫻井よし子と同じ側だったんだなぁ、と。いや、中島岳志はたぶん変わってなくて、世の中が右旋回したせいで真ん中右寄りから真ん中左寄りに立ち位置が相対的に変わったんやろな。その点はオイラ自身もそんな気がし
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Posted by ブクログ
中島岳志さんに注目してるというのに、この本を読んでないのはダメだろうと読むことにした。
そもそも中島さんは「保守」であることを常々宣言しておられる。私としては、中島さんの言っておられることはいつも素晴らしいと思っているのに、「保守」というイメージは昔から全く好きでなく、どうしたものかと思っていた。
大体この本のタイトルにもある「リベラル」と「保守」を合わせることが理解できなかったのだ。ただ、やはり尊敬する内田樹先生がよく「今の自民党は全く保守ではない」とよく言われ、それはそれでよくわかり、今までの私の中の自民党=保守というイメージも崩れていってたのだ。
では「保守」とは何か?
中島さんは -
Posted by ブクログ
面白かった。
確かに、俗的・古臭が漂う醜い保守でもなく、
教条的でなんでも反対し、あぶなっかしい左翼でも
ない、人間の本質をとらえ、そのうえでの
歴史をかさねてきたものの重要性を鑑みた保守。
また、自由を集団的狂信や多数者による専制を疑う
リベラルというのがしっくりくると思われます。
橋下・安倍のなんでも声高に否定する保守、集団的
狂信を起こそうと考えるリベラルに嫌気がさしてくる
ような事象が多くあるような気がします。
かといって、”リベラル保守”というレッテルで突き進む
のも変な気もします。自分たちで考えるということが
必要なのではと改めて思われます。 -
Posted by ブクログ
グローバル化、新自由主義、何だか地に足が付いていないことがどんどん進んでいるような…。身体感覚のない言論が過激さを加速する。匿名のネット上での発言が問題になるのも納得です。
ここのところの内田氏はグローバル化、グローバル企業と国民国家が相入れない関係であることを盛んに書いています。株式会社の平均寿命が10年未満なのにたいして人間の寿命は数十年。我々の身体感覚ではものごとを100年単位で捉えている。それを体現しようとするシステムが国民国家である。企業は100年後のことには興味ないのですぐに効果、結果を求める。この企業の論理が国民国家に浸透してきてしまっている。これが何を生み出すのか私たちは冷静 -
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内田:この20年ほどの「構造改革・規制緩和」の流れというのは、こういう国民国家が「弱者」のために担保してきた諸制度を「無駄使い」で非効率だと謗るものでした。(P.5)
中島:かつての70年代くらいの若者にとって、未来というのは輝けるものとして存在した。とすると、今ある自分の現実に対して「俺にはもっと幸福が先にあるんだ」と思えた。だから今の自分はまだまだ幸福ではない、と言っていた。しかし今の若者には先が見えない。輝ける未来や、今よりよい自分というビジョンが描けない。あるいは欠落している。だったら今の状態を幸せだと言っておかないと…と考えてしまう。(P.62)
内田:今の公共政策の、まず税金を -
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ネタバレp66
- [[スワデーシー]]という概念における富の流出は「先進国vs発展途上国」として常に発生しうる普遍的なテーマではないでしょうか。「チ。地球の運動について」での「労働vs対価」とは異なるものと思う。労働者は、対価(賃金)+スキル+社会的地位など、得られるものは賃金だけではないと思うからです。...が、対価を得るためだけの手段としての労働をしているのであれば、「富の流出」に極めて類似してくると思います。
p86
- 2015年の安倍政権において、憲法五十三条の条件を満たして、野党が臨時国家を要求したが、憲法には「要求があってから何日以内に開催しろとは憲法には書かれていない、いつでもいいん -
Posted by ブクログ
中島岳志氏、的を射た政党、政権の分類方法で、好きな政治学者。
そんな彼が書いた「縄文」。
弥生時代に誕生した現天皇家の系統と、縄文文明の存在は相いれない。
そのあたりを鋭く突く本なのかな、と思い読み始める。
目次を読んでもそういう流れ。
しかし、、、
まずは中島少年が縄文に惹きこまれたほほえましいエピソードにはじまり、
岡本太郎が「縄文」を再発見したお話に。これは魅力的。
弥生の平板な文化より前に、日本人はこんな熱い文化を持っていた!
このあたりはわくわく。
そのあとがよくわからなくなってきた、、、
「ナショナリズム」はまさに私も持つ問題意識をえぐるところなんだろうけど、
なぜかそう読めなかっ -
Posted by ブクログ
ネタバレ大衆の反逆出版当時→イタリアではムッソリーニが、ドイツではナチスが勢力を拡大しており、著者オルテガの故郷スペインもファシズムの波に飲み込まれて行った。
この失望から大衆の反逆は生まれた。
大衆とは?→自分が拠って立つ場所もない個性を失った群衆のことを指す。
自分の信念がなく、時代の流れにただ身を任せるだけの人
(オルテガは特に専門家を批判していた。一分野の専門家に過ぎないのに、知っているかのように振る舞うから)
また大衆は己の能力を過信して、平凡ではなく何か優れたことをしようとする。
しかし人間の非凡さは平凡に見えることの中にある。
自由主義とはとにかく寛大なものであり、他者を受け入れる寛 -