中島岳志のレビュー一覧
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インドは何世紀かにわたってイギリスの植民地として支配された。そんな状況下で、インド独立を掲げてイギリスの帝国主義に対抗した者がいた。本書は、そのうちの一人で日本と親密な関係を築いたラース・ビハーリー・ボースの評伝である。インドで過ごした頃、テロを実行したこともあって、彼は指名手配され、逃亡生活を余儀なくされた。それで、日露戦争で勝利した日本に関心を持ち、官憲の目をくぐり抜けて何とかインドから脱出した。それ以後、イギリスはボースをめぐって日本に干渉したこともあり、日本に滞在したときも警察の目から逃れるのに必死だったが、その際、玄洋社や黒龍会といった右翼団体、パン屋の中村屋の支援もあって生き延びる
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ネタバレはじめに
インド出張に行くことになったので、購入しました。
体系的にインドのことを知れたので、インドに興味がある方は読む価値があります。
インドの入門書としてはとても良いと思います。
学んだこと
インド人の5%が国の富の60%以上を保有している一方で、下層から50%の人口の保有する富はたったの3%だという。
相続税がないので、金持ちが維持される
バラモン教にインドの土着信仰を取り込み、ヒンディー教になった。
無信仰を名乗らないほうがいい
ヒンディー教✖️イスラム教=シク教 ターバン
現在は22言語ある。今後も追加される可能性もある
日本語の50音はサンスクリットから作られている可能性がある
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「利他」に偽善的なものを感じつつも、必要なものだよなあという気持ちもあり、興味のあるテーマなので読んでみた。
正直3章以降は難しすぎたのだけれど、伊藤亜沙さん、中島岳志さんの文章に、何度も視野を広げてもらった。以下、特に印象的だった部分のメモ。
伊藤亜沙さんの文章では、効果的利他主義という考え方を知った。徹底的な「評価と比較」をして行う利他だ。
例えば、他者のために働きたいと考える若者が、限られた給料のNPOに就職したりせずに、ウォール街でお金を稼いで寄付する方を選ぶというような考え方となる。
利他の原理を「共感」にしないのが目的らしい。共感によって行う利他では、ふだん出会うことのない遠い国 -
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政治に興味を持たないとなあ〜と思い、軽い気持ちで手に取った一冊ですが、思いのほか衝撃を受けました。
一言で言うと、「死生観をも揺るがす一冊」
まず、政治とは何なのか、誰のためにどのようにして作られたのか、よく出てくる「左翼」「右翼」「リベラル」「保守」などを丁寧に解説してくれます。
これを読むと、今までどこに立てばよいかまるで分からなかったところから、何となーくですが、「自分はこの辺の立場かな?」というのが見えてきます。
今まで蚊帳の外のような気持ちだった政治初心者からするとこれがとても嬉しかったです。所属できるチームに目星がついた感じ。笑
次に現代の政治があるのは、「死者」の存在があって -
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オルテガ曰く、大衆とは、特に理系の専門家や技術者に原型があるとのこと。オルテガは人間が不完全な生き物であることを自覚していたため、複雑な事象をシンプル化して合理的に考えることの危うさを指摘していた。
オルテガは本当の意味での保守主義者である。現在、保守というと、リベラルとの対立の文脈で語られるものの、本来はフランス革命の洞察で知られるバークなどが源流にあり、人間は不完全なのだから、一気に物事を変えるのではなく、少しずつ微調整していこうという発想。
私もその意味では、保守主義者なのだと思う。特に今の時代、簡単に多数派の熱狂に流されて、わかりやすい言説に流されがちであるものの、その背景わ歴史を -
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私とは、私と私の環境のことである。
自分というものを絶対視せず、たまたまその環境に存在するという視点を各々持つことが大事。
両親の存在、子作りのタイミング、そのまた先祖の存在、その人たちの気分や住まい、複雑に絡み合い奇跡的に存在しているという。
歴史はその時々の意味に沿って紡がれており、それを蔑ろにするべきではない。
歴史に敬意を持ち、過去から学び、議論をし続けることが大事。
一人一人がよく考え、気に入らない考えや人の思想も認めて受け入れることが、正しい民主主義につながるという。
大衆をコントロールする政治は可能だが、ナチスなどに持続性はなかった。 -
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数値化すればするほど減っていく利他性。言動が内発的な利他性から、外発的もしくは内発的な利己性になってるから?
人は信頼してる時、他者の自立性を尊重。悩んでる人に対して諭すことなくツンツンして自らの解決を待つ感覚
利他とは聞くことを通じて相手の隠れた可能性を引き出すこと、と同時に自分が変わること
二つそれぞれあるのに、不ニであり、一に似たのも。主語が2人の考えに似てるような気がした
現代では、論理上の矛盾がないことが正しさの証とされるが、現実世界の説明としては非常に脆弱。むしろ矛盾のまま表現できる方がよほど現実的です。
計算された利他は、本質的な意味では利他にはなりえない。
自分がした -
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東京工業大学のなかにある人文社会系の研究拠点「未来の人類研究センター」に集まった研究者のうち、「利他プロジェクト」の5人のメンバーでそれぞれ<「利他」とは何か>について執筆したものをまとめたものが本書です。発刊は2021年。
「利他」といえば、「利己」の反対の行為で、つまり自分の利益を考えて振舞うのではなくて、他者の利益になるように助けてあげること、力になってあげることとすぐにわかるじゃないか、とせっかちにも僕なんかはすぐに答えを出してしまったりするのですが、本書を読んでみると、一言に「利他」といっても、たとえばそこに「利己」が裏面にべったりとひっついていることがわかってきて、かなり難しいの