中島岳志のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「戦争を知る世代が持って欲しい良識」
本書で語られる保守は自分の持っていたイメージとは違っている。
理性の完全性を疑い、歴史の検証に耐えた伝統などを重視する態度が保守のおそらく本質で、単なる反左翼の思想ではないようだ。
リベラルと保守は相反する概念だと思っていたが、「自由」と「寛容」を重んじるリベラルと保守は親和性が高いようだ。
ある概念はその歴史性を踏まえて認識される必要がある。リベラルと保守は、異なる物を排除しようと血みどろの争いをしてきた歴史の反省に立ち、その歴史を積み重ねてきた。
昔、保守派と目される元作家で都知事を務めた大物政治家が、目をパチクリさせながら「北朝鮮が拉致被害者を返さないのなら超法規的に戦争を仕掛けるべきだ」と仰っていたのを思い出した。彼の態度は恐らく正統な保守ではない。
対して中曽根内閣で官房長官を務めた後藤田正晴先生はどうであったか。自身で戦争を体験した彼はペルシャ湾への自衛隊掃海艇の派遣を身を挺して阻止した。
自分の体験したのと同じ困難を次の世代に感じさせたくないとの思いがあったのだろう。
リベラル保守はともすれば「決められない」とか「スピード感がない」など悪い面もあるが、戦争とか、取り返しのつかない事態の出来を防ぐ力があるのではないかと思った。
併せて読みたい
「SPY×FAMILY」 遠藤達哉 -
Posted by ブクログ
コロナ後の世界というのはわたし自身にとっても明確にいろいろな意味でそれまでと変わりました。
わたし自身は50代半ばですがワクチン接種は拒否しています。
コロナウイルス自体に関しましては、日本人にとってはもともと大騒ぎをするほど大して問題ではなかったのですが、健康な人達までもがコロナワクチン注射を受けてしまうことによって、ワクチン注射を打った人たちの体内で悪いウイルス・菌が増殖をしてしまい、その悪いウイルス・菌を周り・周囲や日本中にばらまいてしまうことになるという説を信じています。
そしてコロナ以前にはわたし自身では、「何とかコツコツと学び続けてさえいけば、生きていく道はあるのではないのかな」「学び続けてさえいくことが出来たならば、道は開けるのではないのかな」とぼんやりと考えていて、毎日平均6〜8時間くらいはなにかしらの学習をし続けていたのですが、今は自分なんかがいくら何かやっていっても格差、階級とかがどんどんと開いていって固定化していき、何も希望ややる気がでないような心境です。
鎌田實
人と人との関係であれば、フィジカルディスタンシング、ソーシャルコネクティング(物理的に距離を取り、社会的につながること)が大切になってくる。どうすれば、「離れてつながる」ことが実現できるのかを考えていかなくてはなりません
まえがき
第1章 人間とは生命とは
養老孟司
福岡伸一
角幡唯介
五味太郎
第2章 歴史と国家
ユヴァル・ノア・ハラリ
情報を得て自発的に動くことのできる人間は、警察の取り締まりを受けて動く無知な人間にくらべて危機にうまく対処できます。
ジャレド・ダイアモンド
イアン・ブレマー
大澤真幸
藤原辰史
長期戦に備えよ―歴史が伝えること
中島岳志
藻谷浩介
山本太郎
伊藤隆敏
第3章 社会を問う
ブレイディみかこ
斎藤環
東畑開人
磯野真穂
荻上チキ
鎌田實
人と人との関係であれば、フィジカルディスタンシング、ソーシャルコネクティング(物理的に距離を取り、社会的につながること)が大切になってくる。どうすれば、「離れてつながる」ことが実現できるのかを考えていかなくてはなりません
第4章 暮らしと文化という希望
横尾忠則
坂本龍一
柚月麻子
あとがき -
Posted by ブクログ
利他という言葉を最近になってラジオで耳にし興味を持つようになりました。なんとなく自分よりも相手や周りのために尽くす意味合いかと思っていましたが、利他にも色々あるらしいです。
本の内容は全体的に難しく感じましたが、利他について考える行為自体がとても大切な事なのだと感じた。何のための利他なのか、誰のための利他なのか。
一章 伊藤亜紗さんの
・利他は自分のためになる?
・数値化によって消える利他の感情
・他者のコントロール
・信頼と安心
が良かったです。
利他的な行為を行う上で自身が気をつけること、利他的な行為を相手から押し付けられた時の考え方等自分と相手の関わりの中で客観視するヒントを貰えたように思います。本の内容の中には心理学の返報性の原理やアドラーに結び付けられる箇所もあると感じました。
中島岳志さんの
・利他は私たちの中にはない
も良かったです。自分に置き換えて考えると分かりやすい。なるべく自然体でいたいですね。普段から気負わず背負いすぎず自分らしく過ごしていけば良いのだと思いました。 -
Posted by ブクログ
伊藤亜紗の「利他」についての概論が一番よかった。
なぜ今、「利他」なのか、ということが、まず知りたかったので、ジャック・アタリの合理的利他主義や効果的利他主義についての説明がありがたかった。
中島岳志のいう「利他」は合理的利他主義とは違い、湧き起こるものであること、親鸞のいう若松英輔の「利他」は民藝の文脈からの「ウツワ」にその本質を見出すものであった。特に中島岳志に関しては、意外。ここだけではわかりにくいので、中島岳志の「思いがけず利他」もこの後読んでみようと思う。
國分功一郎の言う中動態がなぜ「利他」と繋がるのか興味があったが、なるほど「義」がそうであったか。つまりはやむに止まれぬ、湧き起こる気持ちとしての「利他」を語るには中動態で説明できるということだ。
これは腑に落ちた。
自分の中に訪れるものを受け取るということ。
中動態は依存症や同調圧力に屈するような、自分の意志を超えてしまうマイナスの面ももちろんあるが、こういったプラスの面ももちろんあるのだ。(中動態はプラスもマイナスも無いので当たり前なのだが)
「利他」の「意志」を中動態で捉えると、中島岳志のいう「利他」と相通じる。そう考えると、納得できる。
(でも、中動態の説明は難しかった…。)
磯崎憲一郎のいう「利他」は文学の書き手がいざなわれる「利他」について。
いずれも、人間は「ウツワ」であり、「意志」は自分が作るものでなく、向こうからやってくるものだ、というのが彼らの「利他」の考え方だ。
それぞれのアプローチで「利他」が書かれているが、読み終わってもなお、世に広めるのは、最初に紹介された合理的利他主義、効果的利他主義でいいじゃないかという気持ちは変わらないな。
まずは、それで動こうというコンセンサスをみんなが持つ。情けはなにより自分のため、でいいではないか。
そうでなければ、間に合わないくらい、今世界はのっぴきならない状態にあるんじゃないかと思うのだが…。
ジャック・アタリのいう合理的利他主義「情けは人の為ならず」でないと、現代社会に届かないと(私は)思う。
「利他」とはそうではない、という彼らの主張の方が正しいのか見極めたい。
-
Posted by ブクログ
政治のことがわからないので勉強のために読みました。
世田谷区の保坂区長の実績を振り返りつつ、自公政権のオルタナティブになるには、野党なにが足りないかを考えるという内容でした。
印象に残ったのはパターナルvsリベラルとリスクの個人化vs社会化の2軸で政治のスタンスを整理する方法です。
自民のやり方はパターナルかつリスク個人化に分類されているので、本当は、野党が逆張りで代替案を提示すべきなんだ、ということを知ることができました。
保坂区長は区民との熟議を通して政策を考えたという話がありましたが、これはオードリー・タンの「傾聴」と同じスタンスだと思います。
また、不動産を公共財として使うという政策も、さまざまな書籍で語られているポスト資本主義を体現するものだと感じました。
自分はそんな価値観に共感できるので、この本で勉強した内容を頭に置きつつ、政治に参加していきたいと思います。 -
Posted by ブクログ
2020年夏に刊行された本。コロナ後の社会の変化について。 人間、生命、歴史、国家、くらしと文化をテーマに21人の知性が語る。
インタビューと寄稿された文で構成されている。コロナが蔓延し拡大していた頃の見解なので、現在の視点で読むとやや違和感がある意見もあるけれど、総じてコロナをきっかけに、今後社会が大きく変化すること、先が見通せない不安がつきまとうことで一致している。コロナ発生から1年が経って、ワクチン接種が進んでいるが、なかなか終息しないのが心配。 経済活動は悪化しているが、でもマクロレベルでの指標と実態の乖離は、それほど危機的ではないように思う。 影響が出てくるとすれば社会構造の変化、人間の付き合い方の問題だろう。 この本は、賞味期限が短いと思うので、読むなら早めがよい。 5年から10年経って、彼らの予想がどうだったのか検証には使えるかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ラジオ「荻上チキセッション」が夕方に移ってから聞くようになり、荻上チキさんとはどういう人かと探していて行きあたった本。読みたいと思った人の章のみ読みました。
養老孟司:「不要不急とは」という、今回もまた若干ずれた感のある内容なのだが、この用語への同氏の違和感は、医者でありながら現場ではなく解剖をやっている自分、また現在の老人で公職にもない自分の存在は不要不急なのではという根本から生まれている。そこからさらに、人間自体不要不急なのではという話。この辺りは、前回読んだ氏のインタビューで、老人はコロナ禍を乗り切ったところで生き甲斐はあるのかという疑問と相反するようで通じるところがあり、面白いなあと思った。それにしても毎回若干ずれてるのに毎回養老先生が出てくるのは、よっぽど好かれているということなんだろうなあ。
五味太郎:絵本作家だからなのか子供にあたたかい視点。そもそもの教育が、子供の権利のはずなのに子供に失礼だというところから発し、不安だったのはコロナ禍のせいなのか、収束して非日常から戻った際の「日常」は(特に子供にとって)そもそもよかったのかという議論。学校はありがたいけれど、現行の教育に対する疑問や批判が帳消しにされるべきではないということなのだろう。これまたコロナ云々を超えた根本的議論。
荻上チキ:検察庁法改正(定年延長)が見送られたことに見る世論の動きの分析。良くも悪くも議論が単純化されることで世論が盛り上がるというところに、なるほどなと思った。
ブレイディみかこ:息子が受けた、コロナ禍でのアジア人蔑視発言から、各人が自分のなかにある偏見に気づくきっかけになったという話。分析する息子さんも、その発言を注意した級友も、なんとも冷静ですごいなあと思う。またキーワーカーへの拍手の要不要論も、それが次世代に残すであろう影響から反対はできないというブレイディさん、現在がそうこうで終わらせずコロナ後に続いていく、次世代を育てていくという先を見据えた視点にハッとした。
(お名前を失念):会うことが暴力という言葉になるほどなあと思った。だから「あつ森」のように会わなくて良い平和なゲームが人気になると。裏を返せば、会うことの暴力に対峙できない人の中に、その分の暴力をネット上で振るう人がいるのではないかと思わないでもなかったが、生身とバーチャルの違い=暴力・重力という視点が面白いと思った。