中島岳志のレビュー一覧
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伊藤亜紗の「利他」についての概論が一番よかった。
なぜ今、「利他」なのか、ということが、まず知りたかったので、ジャック・アタリの合理的利他主義や効果的利他主義についての説明がありがたかった。
中島岳志のいう「利他」は合理的利他主義とは違い、湧き起こるものであること、親鸞のいう若松英輔の「利他」は民藝の文脈からの「ウツワ」にその本質を見出すものであった。特に中島岳志に関しては、意外。ここだけではわかりにくいので、中島岳志の「思いがけず利他」もこの後読んでみようと思う。
國分功一郎の言う中動態がなぜ「利他」と繋がるのか興味があったが、なるほど「義」がそうであったか。つまりはやむに止まれぬ、湧き -
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政治のことがわからないので勉強のために読みました。
世田谷区の保坂区長の実績を振り返りつつ、自公政権のオルタナティブになるには、野党なにが足りないかを考えるという内容でした。
印象に残ったのはパターナルvsリベラルとリスクの個人化vs社会化の2軸で政治のスタンスを整理する方法です。
自民のやり方はパターナルかつリスク個人化に分類されているので、本当は、野党が逆張りで代替案を提示すべきなんだ、ということを知ることができました。
保坂区長は区民との熟議を通して政策を考えたという話がありましたが、これはオードリー・タンの「傾聴」と同じスタンスだと思います。
また、不動産を公共財として使うという政 -
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2020年夏に刊行された本。コロナ後の社会の変化について。 人間、生命、歴史、国家、くらしと文化をテーマに21人の知性が語る。
インタビューと寄稿された文で構成されている。コロナが蔓延し拡大していた頃の見解なので、現在の視点で読むとやや違和感がある意見もあるけれど、総じてコロナをきっかけに、今後社会が大きく変化すること、先が見通せない不安がつきまとうことで一致している。コロナ発生から1年が経って、ワクチン接種が進んでいるが、なかなか終息しないのが心配。 経済活動は悪化しているが、でもマクロレベルでの指標と実態の乖離は、それほど危機的ではないように思う。 影響が出てくるとすれば社会構造の変化、人 -
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ラジオ「荻上チキセッション」が夕方に移ってから聞くようになり、荻上チキさんとはどういう人かと探していて行きあたった本。読みたいと思った人の章のみ読みました。
養老孟司:「不要不急とは」という、今回もまた若干ずれた感のある内容なのだが、この用語への同氏の違和感は、医者でありながら現場ではなく解剖をやっている自分、また現在の老人で公職にもない自分の存在は不要不急なのではという根本から生まれている。そこからさらに、人間自体不要不急なのではという話。この辺りは、前回読んだ氏のインタビューで、老人はコロナ禍を乗り切ったところで生き甲斐はあるのかという疑問と相反するようで通じるところがあり、面白いなあと -
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- カート
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試し読み
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中島岳志
血盟団事件 宗教団体 血盟団よるテロ事件を記録したノンフィクション
この本を読むかぎり、血盟団事件は 破壊により国家再生を目指す宗教団体のテロであり、五一五事件、二二六事件など 軍事クーデターの呼び水となった事件
反国家によるテロでなく、国家主義者によるテロ。国家の再生は国家を破壊することにより可能になるという宗教的神話(ノアの箱舟の大洪水など)に基づいている
事件の怖さ
*宗教的な思想(大乗思想=自己犠牲による世界救済やユートピア実現を目指す)が 自分の社会的役割や貧困に苦悩する人々に光を与えて、テロと結びついた
*昭和恐慌により農家は貧困化し、政府や富裕層への不満が増 -
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「政治家は国内政治において、大別すると<リスク>(お金)と<価値>をめぐる仕事をしています」
本書ではy軸でリスクの社会化/個人化をはかり、x軸で価値観への介入・干渉/多様性への寛容をはかることで、4象限で政治家のビジョンを捉えるもの。各人の政治スタンスを批判するような意図はなく、あくまでも本人の発言をもとに著書や過去のインタビューをもとに解説されているのでよく理解できた。
2018/9~2019/4の連載をもとに2019年6月に発行された本だけど、その後、選挙や内閣改造もあったので、そのあたりをめぐる動きを、これをもとに復習というか答え合わせ。実績ある風、やってる風が得意な人もいれば、隅っこ