中島岳志のレビュー一覧
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安倍首相が立憲主義を壊そうとしているという危機感が溢れる文章が多い中で、オルテガ、マンハイム、福田恆存、吉本隆明などの説明が出てきたり…。保守とはリベラル、それは安倍政権、ネオコン政権や共産主義政権、ヒトラーのファシズム政権のパターナルな決断主義との対極にある!保守にとって重要なのは死者の立憲主義であるとの著者の主張はよく分かるものの、死者を強調しすぎることには少し違和感がないでもなかった。しかしほぼ主張が快い。著者の枝野幸男氏の「リベラルな現実主義」との評価に極めて深い絆・信頼を感じさせられた。そして存在しない抗議に怯え、自主規制を繰り返す。忖度もそうだ。こうして自由が失われてしまっていって
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ネタバレ思ってたのと違ったけどまあまあ
平成論というタイトルに惹かれて読んだけれど,中身は平成における宗教論.池上さんのわかりやすい総論のあとに各著者がそれぞれ1章ずつ考えを書いている.
ざっくりまとめると,バブル崩壊からの心の拠り所として宗教は力を持ったが,オウムの事件で敬遠.ただスピリチュアリティはパワースポット巡りの流行だったり災害を機に改めて重要視されてきている,といったかんじ.
日本での仏教が衰退しているのは僧たちが広める努力をしてこなかったからだ,という記述にはなるほどなと思った.日常で仏教にかかわる場面がないなかで葬式のときだけ高い金を要求されるのだからよいイメージはもてない.
宗教観の -
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「崩御」?
天皇が亡くなるとそう言うんだ、へえ~、というくらいで、とくに厳かな気持ちにもならず自分にとっての平成は幕を開けた。
「下血」という文字が新聞報道にも頻繁に載り、いよいよ容体が危ないとなると、学校も自粛ムードで、文化祭が取りやめになった。別に中止でもいいけど、天皇の具合が悪いのと、文化祭がなんの関係があるんじゃ?とブツクサ。
不謹慎、不遜、なんて畏れ多い態度、と今なら思うが、馬鹿な10代男子の頭の中なんてそんなもの。
平成の幕開けはバブルの余韻にまだまだどっぷり浸かったまま、何事もなく過ぎたが、異変は海外からやってきた。なんとソ連がなくなった!冷戦で二分されていた -
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バークやチェスタトン、あるいはわが国の福田恒存や西部邁の保守思想を継承し、左翼の設計主義から距離をとる一方で、反知性主義的な熱狂に浮かされるような自称保守の浅薄さを批判する著者の立場が語られている本です。
著者の立場は、基本的にはコミュニタリアンに近いように思えました。ある程度共感できるところもあったのですが、本書であつかわれている内容は、原発問題や橋下徹批判など、ややジャーナリスティックなものにかたよっているように感じました。
現実を遊離した理想に基づく性急で革命的な社会の変化に対しては懐疑の精神を向けてみることを怠らず、つねにみずからの思想的地盤を顧みる保守の精神を生かすに際してもっと -
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大正から昭和初期にかけて、親鸞の思想が皇国主義と結びついていった。
本書は、いかにして親鸞の思想がこれらの右翼思想に取り込まれて行ったかを当時の文献を紐解いている。各章のテーマは、歌人同人(三井甲之)、ベストセラー作家(倉田百三)、教誨師(刑務所専属の僧侶)、大衆文学(吉川英治)、浄土真宗の教義の変遷。
親鸞の教えにある阿弥陀如来の「他力」が天皇崇拝に置き換えられるとともに国体論を補強する中心的な概念になった。そして「天皇陛下万歳」と言って死ぬ瞬間の恍惚感に究極の信仰の境地を見出す、というようなことが思想家や宗教家によって論じられた。太平洋戦争末期の特攻攻撃などに先立って、このような議論が