中島岳志のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
180808 保守と大東亜戦争 中島岳志 ☆☆☆ 最も考えさせられる
日本の精神は大きくブレる 戦前の超国家主義から戦後の左翼運動へ 思想がファッションになってしまっている
「真の保守」が弱い 明治以降の股裂きのつけ 和魂洋才 何でもありへ
⇒本来の保守は「リベラル」という価値観を共有 「寛容」と「自由」
180810山本七平(P188)☆☆☆「リンチによる絶対服従」「言葉を奪った」
(1)リンチー恐怖の支配ー正常な判断や倫理観を喪失させるー反射的に命令に服従させる
「言葉を奪った」人は絶対服従を余儀なくされ、意志を持つことを放棄する
過剰なゴマすり競争 思考は徐々に停止
(2)リアリティの -
Posted by ブクログ
中島岳志さんをこれからもずっと追っていきたい。どの著作もすごく勉強になるし、考えさせられる。
論理的思考ができない、論理的に破綻していても平気でいられる人にどのように対応すればいいのか。
論理的に考えることを得意にするはずの人はそうでない人をとても看過できないと思いきや、保身のためなのか、出世のためなのか、平気で許すというか、従うという現実を嫌というほど、見せつけられ、知的であることとはどういうことなのかと考えさせられる。
エリートの弱さをしみじみ感じる今、竹内好さんが「優等生はドレイだ」ととっくの昔に看破しておられたことを知る。
戦後の平和は与えられたもので自らの手で獲得したものではな -
Posted by ブクログ
人殺しを正当化するなんて、絶対にあってはいけない。
と、テロリストや犯罪者を断罪するのは、誰でもできます。
しかし、彼らの言い分に耳を傾けるのは、この世界に「絶対的な見方」など、
存在しないことを知る上で、非常に大切なことだ思います。
なぜなら、人殺しさえも、正当化する状況は、今でも十分にあるからです。
この思想性の強い事件を起こした者たち、
宗教家、貧しい農村グループ、実存的不安を抱えた大学生、
腐った指導者に憤りを感じていた海軍・陸軍の将校など
この若者達を取り巻く当時の「現実」は、
今の日本の世相とも類似しています。
もちろん著者は、この事件の捉え方が、
閉塞感漂い、(経済・心理 -
Posted by ブクログ
17/01/28 4:30am
「第二章 脱原発について」について
僕は中学の時は広瀬隆(今となってはただのデマゴーグだとの認識だけれど、彼の著作)など読んでいて、当時は明確に反原発の立場だったのだけど、今では、(東日本大震災を経た後でさえ)手放しに反原発を唱える気になれずにいる。
その立場を、本章の内容に照らして説明できそうな気がする。
著者は、原発を「未来永劫、不完全な存在」であり、「人間が完全でない以上、完全な原発など存在しようが」ないと、保守の原則に従って言う。
すると僕のような素人が思いつく疑問、「では自動車などは?」にも丁寧に答えていて、「重要なのは、(中略)利便性とリスクを天秤に -
Posted by ブクログ
“血盟団事件”?これは「昭和の初め頃の不穏な情勢」を語る文脈で登場する事件の呼称だ。「大蔵大臣を務めた井上準之助と、三井財閥の団琢磨が、青年達によって暗殺されてしまった」という事件である。この事件に関しては、全くこの「2人の要人が殺害されてしまった」という事実と、それが“血盟団事件”と呼ばれているという事実が挙げられているばかりで、「どういう人達が事件を起こしてしまったのか?」、「彼らは何を思っていたのか?」、「何故、そういうようなことを考えるに至ったのか?」ということが、然程詳しく知られているのでもないと思う…
本書はその「どういう人達が事件を起こしてしまったのか?」、「彼らは何を思ってい -
Posted by ブクログ
中島岳志という人を知ったのは、たぶん12年くらい前。おそらく論壇に出始めた頃だと思う。自分と大して年齢の違わない人が活躍し始めていることに軽い驚きを感じた記憶がある。その後も、どんどん気鋭の論客として名を上げていくさまをどことなく意識していたのだが、著作を読んだのはこれが初めて。
保守とは本来何ものなのかを非常にわかりやすく、そして説得力をもって論じている。こんなに読みやすいとは思わなかった。
わりと最初のうちに保守の定義が示される。曰く「保守は特定の人間によって構想された政治イデオロギーよりも、歴史の風雪に耐えた制度や良識に依拠し、理性を超えた宗教的価値を重視します」(p.37)ということで -
Posted by ブクログ
保守思想研究者の中島岳志は北海道大学に努めていて三角山放送局でFlydaySpeakersという番組をしていた時から知っていた。
保守主義者でありながら脱原発やら反橋本やら、私の知っている「保守」たちとは一線を画す主張に興味を持った。
私の持っていた保守のイメージは保守は右翼とあまり違いがなく、愛国的で伝統を固持し新自由主義的、というものだった。これは自民党の議員たちから帰納されたものだったということが今にしてみればわかる。普通保守と言えば今でもこのようなイメージなのではないか。
しかし、本源的な意味での保守とはそうではないと中島は言う。フランス革命を支えた啓蒙思想への反動として生まれた歴史を -
Posted by ブクログ
腰巻きに「おじさんと若者が,ゆるゆると日本の未来を話し合ってみました…」と書かれていますが,そのとおりのシンポジウムの記録でした。
ただ,話されている内容は,立ち位置がしっかりしていて,しかも包容力もある話で,とても好感が持てました。
グローバル化と国民国家とは両立できない…とすると,わたしたちは,もう一度,地に足をつけた国民国家を作る必要があるだろう。
話を聞いていると,「わたしたちの地域の再生も無理ではない」と思い,勇気が出て来ます。できるところから,できる人がやる。
「人はカネのためだけに生きているワケではない。」-これも腰巻きの言葉です。
第3回シンポジウムの結論…「ぬるリ -
Posted by ブクログ
「贈与」や「利他」がタイトルに含まれる本が増えていますね。
現代に生きる私たちは、交換や利己によっぽど疲れているのでしょうか。
ただ「贈与」や「利他」に漂う胡散臭さがあるのも事実。
結局人間は純粋に利他的には生きられないのではないか。
最近、私の考えていたことです。
この本を読んで、その考えは合っていると感じるとともに、
利他は意図せずしっかりと存在することも実感できました。
それは自分という器を誠実に生きるということ。
自分が全力になれることを全力でやることが、人類の歴史や系譜に奉仕することになるという作家・磯﨑憲一郎さんの言葉は、私たちの迷いを幾分和らげてくれるのではないでし