中島岳志のレビュー一覧
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とてもいい内容だと感じました。
私は虫が苦手ですが、内容は文句なく素晴らしいです。
表紙にある四冊が主軸で、人類の歴史と多くの人々、関連する書籍も紹介されています。
政治や体制の主義主張などを叫ぶだけの眠たいものを想像していたら、驚くほどに人の持つ陰のような部分を浮き彫りにしていました。
・服従したがる本能(生存目的)
・強烈な承認欲求
・生まれてきた不安
どれも普段は無視しできる範囲で暮らしています。
そして、本題の「ナショナリズム」。その生まれ、価値、その危険性にも堂々と切り込んで、具体的に示してくれています。私が常々「ナショナリズム」を唱えるメディアから感じる薄気味悪さの -
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近代日本における「アジア主義」の思想とその政治的実践の諸相について、たいへんわかりやすいことばでおおまかなアウトラインをえがき出している解説書です。
アジア主義の入門的解説書としては、井上寿一の『アジア主義を問いなおす』(2006年、ちくま新書)が、政治思想としての側面にかなり深く立ち入って論じています。これに対して本書は、日本近代史のおおまかな流れをわかりやすく解説しつつも、竹内好や橋川文三らの「アジア主義」理解を参照しながら、「アジア主義」という思想的運動のもっていた意義と問題性を著者自身の観点から整理しています。
ただし著者自身の考える「アジア主義」の思想的なポテンシャルがどのような -
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試し読み
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戦争に負けてからこの方、右翼思想はあまり省みられなくなった。大川周明とか北一輝とか、何を言っていたのか現代教育だけでは殆ど知り得ない。だからこそ、近代右翼思想史を「アジア主義」と銘打ってまとめあげたこの本は価値がある。しかし、「アジア主義」という思想体系は実在せず、筆者の中島の頭の中にしかないものだろうと私は思う。
左翼思想の背景にはマルクスという聖典があるが、右翼思想に聖典はなく、あるのはナショナリズムという沸々たる思いである。近代日本のナショナリズムの発現について語るならば、西郷隆盛だけでなくまず尊王攘夷運動から見た方が良いだろう。黒船、開国という出来事が世界と日本という国意識の発見とな -
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「平成の社会と宗教」というテーマで4人の論者がそれぞれの立場から平成の30年を振り返り語った本。
平成の30年間は、ぼく自身が生まれてから今までの期間とほぼ一致したので、この30年間の振り返りはすごく身近に感じた
今まで宗教について、深く考えたことがなく、なぜ人は宗教にはまるのか?について考えさせられたり、仏教やキリスト教など2000年以上もの変わらず続いている宗教を学ぶ意義があるのかを考えるきっかけになった。
WHOによる健康の定義も1998年にスピリチュアルという言葉が加わるほど宗教は密接に関わっている。
こと日本では宗教に対する嫌悪感は多少あるようだが、これはおそらく1995年の地 -
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前大阪市長の平松邦夫が立ち上げた「公共政策ラボ」主催のシンポジウムの模様をまとめた一冊。この本を手に取った理由は、ほかでもない内田樹が討論をリードしているから。早くから橋本徹の教育に関する施策に異議を唱えていた内田樹が、その橋本徹に選挙で敗れた平松邦夫とタッグを組んだわけだから、ちょっと見過ごすことができなかった。
内容は、内田樹がかねてから唱えている(かつ、ワタシも賛同している)「贈与経済」という考え方を、国家規模、グローバル規模であてはめていったらどうなるか、という討論が中心になっている。そして、これをあてはめていくとグローバル社会から脱してゆくことになる、というのがこのシンポジウムのコア