谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 人魚の嘆き(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    うん、これは乙女の本棚向きの小説だな。
    イラストも内容に合っている。貴公子がちょっと若すぎる感じはするが。
    人魚の下半身がいやに長いなと思っていたら、ああ、そういうことだったのね。納得。
    谷崎版人魚姫はこうなるのね。

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    2025年07月21日
  • 春琴抄

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    オタクは春琴抄が好きらしい(デカ主語)と聞いて、オタクなので読んでみた。
    春琴、ツンデレレベル100億って感じ。二人の関係は愛というより信仰とか洗脳みたいなものだと思う。二人とも、もうお互いしか選べないというか。美しい愛!というより、互いに相手の理想の姿をぶつけあっているみたいな息苦しさを感じた。春琴は佐助ならわかってくれるだろうと慢心しているし、佐助は春琴を美しい人だと信じきってしまって、それを献身的に支えられる自分に酔っているように感じた。相手を愛しているというよりも。
    「。」がところどころない特徴的な文体だったけど案外読みやすく、するする読めた。こういう文体のものを読んでいると「ムツカシ

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    2025年07月18日
  • 疵(きず)の迷楼 耽美幻想セレクション

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    ■江戸川乱歩「鏡地獄」
    既読を再読。

    ■谷崎潤一郎「人魚の嘆き」
    未読のまま。
    水島爾保布の挿画ありの中公文庫で読みたいので。

    ■小栗虫太郎「方子と末起」 ★
    初読。まさことまき。
    百合、スール、手紙のやり取りという少女小説、にして不思議の国のアリスモチーフ。
    推理小説<恋愛小説。

    ■泉鏡花「妙の宮」 ★
    初読。
    たった4ページだが、なんでこんな風景を思い描いたのだろう? と。

    ■木下杢太郎「少年の死」
    高原英理・編「少年愛文学選」で既読。

    ■坂口安吾「蝉―あるミザントロープの話―」
    初読だが、混乱をそのまんま文章にした風情で、よくわからなかった。
    Misanthrope はフランス

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    2025年07月08日
  • 刺青(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    なるほど、乙女の本棚的には清吉はこうなるのか。こんなふうにイメージしたことなかったな。清吉には誰が彫ったの、なんていうことは言ってはいけないのだろう。
    絵が乙女度かなり高めなので、これは谷崎の世界とは違うという人はでてきそうだな。

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    2025年07月06日
  • 猫と庄造と二人のおんな

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    「梟書茶房」の、猫をテーマとした袋綴じ本をプレゼントで貰ったので読んだ。

    谷崎のことをよく知らないんだけれど、「陰翳礼讃」「痴人の愛」等の作品から、美学の人だというイメージだったので、こういう大衆小説みたいなものも書いていたんですね、という感想。

    猫をめぐる人間関係、ちょっと面白かったけど、少し感傷に浸ったところで、結局何も変わらないんだろうなこの人たちは。
    リリーがいなかったとしても、結局は我が身はあんまり振り返らず、何となく流されて、人生の後半戦をふわっとそれなりに諦めながら生きていくんだろうな、と思った。

    星としては3.8くらい。

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    2025年06月28日
  • 痴人の愛 アニメカバー版

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    ネタバレ

    ナオミという女が周囲の男たちを翻弄する物語。
    読者視点だと最初は「そんなことある?」とナオミに苛立ちを覚え、それに対する主人公の河合にも共感できずにいた。自分の人生やお金を無駄ごとに使う人なんて馬鹿げていると思っていた。しかし、最終展開に差し掛かり、なにかにた経験あるなと感じるところが多々あった。

    「翻弄する何か」になすがままに翻弄されることは、第三者から見れば馬鹿げているかもしれない。でもその間の幸せや幸福は計り知れないものだと、私も確かに知っていた。それは単に異性や人ではなくても、何か身近なものにさえも共通する、誰しも感じる感情ではないだろうか。
    河合は「ハイドゥハイドゥ」を心の底から求

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    2025年06月26日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

    総題の漢字よし。
    収集箱じゃつまらない、蒐集函なのだ。
    カバーイラストも素敵。
    新潮文庫nexというレーベルで、ヤングアダルトにこの作品たちを差し出した編集部、GJ!

    ■坂口安吾 桜の森の満開の下
    既読を再読。

    ■芥川龍之介 影 ★
    初読。
    芥川といいえばドッペルゲンガーなのでそういうことかと中盤で思わせておいて、ラストなんと映画だった? 夢だった? というオチ!
    しかもそれすら真実かどうか不明な放り出し方。凄い。
    しかし、「歯車」でも感じたことだが、狂気に飲み込まれそうな感覚を、それでも作品化「しちゃえる」ことが、逆に悲劇だったのかもしれないと考えたりもした。

    ■江戸川乱歩 芋虫
    既読

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    2025年06月24日
  • 人魚の嘆き(乙女の本棚)

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    無尽蔵な財産、世にも珍しい美貌と才智とを持ち合わせていた孟世燾。美への執着が凄まじい。酒池肉林の宴に飽き足らず、人魚に恋する。傲慢だった孟世燾が人魚の前では赤子のようだ。西洋文化に圧倒されるのが滑稽だ。ねこ助のイラストがベストマッチ。

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    2025年06月22日
  • 刺青(乙女の本棚)

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    乙女の本棚、谷崎潤一郎と夜汽車さんのコラボレーションです。

    美しい者は強者で、醜い者は弱者とされた時代の物語。美しくあるために刺青がもてはやされていました。刺青師の清吉が見込んだ娘が背中に刺青をされた後の変貌ぶりに驚きました。

    清吉の魂を刺青として打ち込まれ、痛みを知り、臆病さを失くした娘。自らの意思でやったことではないのに、最後に見せた堂々とした姿に圧倒されました。

    夜汽車さんのイラストは、この物語の世界を美しく表現していると思いました。

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    2025年06月18日
  • 二人の稚児(乙女の本棚)

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    乙女の本棚、谷崎潤一郎と夜汽車さんのコラボレーション。夜汽車さんの絵が、とても細かくて表紙から見入ってしまいました。透明感があったり、重厚感があったり、場面での使い分けが巧みで、とてもきれいでした。

    物語は、女人禁制の比叡山に預けられ、山より外の世間を知らずに育った2人の稚児、千手丸と瑠璃光丸のことが、書かれていました。

    2人が煩悩とどう向き合ったかが焦点の物語でした。煩悩と育ちに関係があるのか、気になりました。

    前世でも煩悩に負けなかった瑠璃光丸が物語の最後にとった行動には、真の純粋さを感じました。(私のこの解釈でいいのか自信はないですが···)

    この物語をどのように解釈すればいいの

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    2025年06月18日
  • 魔術師(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズの一冊。
    谷崎もこんな作品を書いていたんだね。
    乙女ではない者からいくつか言わせてもらうと、まずは現代の読者が読むのに、難しい言い回しがある。なんとなく意味はわかるものも多いので、このままでもいいといえばいいのだけど、これは新字体にしたほうがいいのではないかなとか、ルビをふったほうがいいのではないかなとか、読んでいる間にちょっとだけ気が散ってしまう時間ができてしまったかと。
    二つ目。表紙で魔術師の容姿を見せてしまうのはどうなのか。魔術師という言葉から受ける印象と、実際に魔術師を見たときのギャップも、登場人物の心理に関わっているはず。読者にもそのギャップを感じさせたほうがよかっ

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    2025年06月14日
  • 二人の稚児(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズ。
    仏教に詳しく無いけれど、そんなに女人を悪としている教義があるんですね?俗世へ行った千手丸は、見事に色に溺れているけど…。女以外にも、世の中に悪はあるだろうに、何で殊更そこを強調するのか疑問に思いました。この宗派に進んだ上人は、やはり女人に苦い思いをさせられたんでしょうか。
    しかし自ら仏の道に進んだ大人は良いとして、何も知らず選べない稚児達は不憫です。

    瑠璃光丸も少し危ういし、結局どうなったんでしょう。何を信じて生きるのか、どちらの人生にも大正解は無いという事なのかな?

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    2025年06月02日
  • 二人の稚児(乙女の本棚)

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    比叡山で純粋に育てられた千手丸と瑠璃光丸。成長するにつれ女人への煩悩が彼らの心をかき乱す…
    煩悩を断ち切れず下野した千手丸、悩みながらも信仰を貫く瑠璃光丸。2人の関係性、葛藤がひしひしと感じられる。
    最後のシーンは結局女性の神格化…なのか?

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    2025年06月01日
  • 痴人の愛

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    ネタバレ

    文庫本1冊ほどの長さで、ほぼ等間隔で描写が移り変わるのでそこまで胃もたれすることもなく読みやすかった。だが谷崎潤一郎の他作春琴抄と同じようにラストでいきなり情報量が多くなるためそこだけ少々読みづらい。かなり表現が生々しいがそこが痴人の愛の良さだと思う。

    始めは譲治とナオミの共依存の話かと思いながら読んでいたが後半にかけてのナオミの悪女っぷりは凄まじかった。最後まで語り手が譲治だったがいい意味で感情移入できる場面はほとんど無かった。自分にはない恋愛観だった。谷崎潤一郎の良さが少しわかった気がする。面白かったです。

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    2025年05月16日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    ネタバレ

     耽美とは何なのか未だ理解できていないが、収録作から思うに愛憎、背徳、情念、倒錯、フェティシズム、幻想、狂気etcが入り混じったものか。そこにタナトス≒死への衝動が加味された、名だたる文豪らによる10編。

    「桜の森の満開の下」(坂口安吾)や「瓶詰地獄」(夢野久作)は本書のコンセプトをまさに体現している作品か。作家のフェチ全開「刺青」(谷崎潤一郎)、美しくニューロティックな幻想「夢十夜」(夏目漱石)、サスペンスからの意外な結末「影」(芥川龍之介)もそこに沿ったものかと。
    "美"という点では泉鏡花の「浮舟」、折口信夫「身毒丸」なのだろうが、個人的には独特の文体含め作品世界にハ

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    2025年04月25日
  • 蓼喰ふ虫

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    う〜ん、やっぱ結末はどうぞご自由にって。。。
    文学ってこんな感じなんだね。
    でもどう転ぶのか想像を膨らませながら楽しく読めたよ。
    谷崎潤一郎ももう良いかな^^;
    次に行こう!

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    2025年04月23日
  • 刺青(乙女の本棚)

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    すごく神秘的な物語に感じた。
    昔の刺青って今よりもっと痛かったのだろか?
    刺青には様々なものがあるが、刺青というものが神秘的に感じた物語でした。

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    2025年04月22日
  • 春琴抄

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    これは…今風で言うと
    女王さまと下僕笑(違ったらごめんなさい)
    こういう文豪の名作はしっかり読むモードに入るのでいつもより時間がかかります

    人を傷つけちゃいかんでしょ、と思いつつも受ける側がどう見ても喜んでるんだよなぁ

    だとすれば
    これはこれで二人の愛のかたちなので良いのかもしれない

    お勧めされて読んでみたけど
    今までに読んだことないジャンルだったので新鮮でした

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    2025年04月17日
  • 春琴抄

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    ネタバレ

    作品としては短いのに読んでる途中で胃もたれする部分はあったが割と面白かった。最初は句読点カギ括弧改行がかなり大幅に省略されていて少々読みづらかったが、中盤以降は慣れていきスラスラ読めた。

    佐助が春琴を真似るように暗闇の中で三味線を弾いているときからなんとなく気づいてはいたが佐助の愛情の歪み具合は異質だった。
    妊娠が発覚してすぐに子供は養子に出されたため子供に関する描写が一切なかったのがなんともいえない。もうちょっと子供にフォーカスを当てた章があっても良かったと思う。

    春琴の好きなものについての描写が若干読んでて疲れた。別にそこが後々の伏線になっているわけでもなかったので、そこを端折って子供

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    2025年04月17日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    なかなか手を出すのを躊躇ってしまう、私にとってはハードルが高いと思ってしまう文豪たち。
    こういったテーマに沿ったアンソロジーは、手を出しやすく助かります。
    江戸川乱歩の「芋虫」と、太宰治の「駆込み訴え」が好きでした。

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    2025年04月15日