谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    収録作は「柳湯の事件」「途上」「私」「白昼鬼語」の4作品。女性が出てくると怪しくて美しい世界観に一気に引き摺り込まれる感じがする。

    「白昼鬼語」が4作品の中で1番長くて読み応えがあった。オチが予想外でびっくり。

    犯罪小説として1番面白かったのは「途上」。探偵がある男を追い詰めていく様が痛快だった。

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    2022年06月16日
  • 細雪(中)

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    細雪の谷崎潤一郎の描写はどれも読者が情景をイメージできるように書かれていて素晴らしいと思っていたが、洪水のシーンはそれが顕著で特に驚いた。
    自分は洪水の中を歩いたことがないのでイメージすることしかできないけれど、貞乃助が「どす黒く濁った、土用波が寄せる時の泥海」をかき分け進む様子がありありと想像できた。

    最後の方の板倉さんに関するバタバタは衝撃的だった。こいさんどんな人と結婚するのか、下巻が楽しみ。

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    2022年06月15日
  • 春琴抄

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    多分気持ち悪いのだけれど綺麗なのは何か。

    春琴も佐助も一貫しているから成り立つ究極さだと思う。いや、佐助の方がなのかもしれないけどまあいい。
    春琴は我が儘だけど才があって聡いから確かに疎まれるだろうが私みたいな人間は受け入れざるを得ない。

    所々の佐助の主観的誇大表現(恐らく)みたいなのが面白い。だよね、という笑

    そして年譜を見てもさっぱりなので時代がどうとかはわならないが、難しい単語(古語と言ったら怒られるのだろうか)が多い割に文脈と想像で補填できるレベルなので読みやすい。

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    2022年06月05日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    5年以上前に買った本を再読したので、この度感想を書くことにしました。
    これだけ「〇〇フェチ」という言葉が浸透した現代の日本ですが、谷崎潤一郎がいなければこうじゃなかったのかもしれないと思いました。(というか、きっとそうですよね。)
    まさにフェチ界のレジェンド。
    『富美子の足』では、足の描写に5ページ余りも使っています。そして、その描写のなんと艶かしいこと…。
    とても面白く、楽しい読書体験になりました。

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    2022年05月29日
  • 吉野葛・盲目物語

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    ある理由から谷崎潤一郎氏の吉野葛を読む必要ができた事から読んだのであるが、思いの外地元奈良を書き写すことに成功しており引き込まれた。
    国栖の紙漉きや義経千本桜の初音の鼓、津村の母が嫁いだ島之内と奈良を結び付けるのに暗がり峠が持ち出されたり、と奈良の歴史を理解する上でも重要な要素要素が上手に散りばめられており谷崎氏の才覚が遺憾なく発揮された所であることがわかった。地元奈良は何故にこれに触れぬのか理解しがたい。
    舞台、アニメにしても味わえそうだわ◎

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    2022年05月02日
  • 猫と庄造と二人のおんな

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    ネタバレ

    別れた女房から請われて愛猫を引き渡した男が、居場所のなさのあまりに現妻と元妻の目を盗んで愛猫に会いに行くという物語。大きな事件は起きないけれど、それぞれの登場人物の思惑と心の動きが描かれていて読まされる作品だった。

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    2022年04月29日
  • 細雪(下)

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    初めてまともに純文学というものを読み、その魅力に気づけた一冊。
    上中下と読むのは大変だったし、話自体も起承転結とかがあるわけじゃなく、蒔岡四姉妹の日常をつらつら描く、という感じなのだけど、読んでいて全然退屈しなかった。
    日本人、特に関西に住んでいる方はぜひ読んでみるべき。そして谷崎潤一郎の文体、何だかとても好き。男の人なのに何処か文に女性のようなたおやかさがあるからなのかな。他の作品もぜひ読んでみたいと思った。

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    2022年03月31日
  • 鍵・瘋癲老人日記

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    ネタバレ

    夫婦が互いの日記を盗み見ていたり、浮気を嗾けてみたり…寝取られるか寝取られないかのスレスレで興奮してみたり、夫に気持ち悪さを感じながらも欲を満たす妻、最後は全てが妻の手の内にあったようで何とも滑稽な感じだった。瘋癲老人日記は息子の嫁に性欲を覚える脚フェチの老人の話で、惚れられてるのをいい事に何百万もする宝石やバッグを買ってもらうし、その代わりに脚を差し出す…なんて、エロジジイが上手く弄ばれている感じが良かった。

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    2022年03月28日
  • 新装版 細雪 中

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    百年くらい前の話なのに、蒔岡姉妹の日常に起こる珍事件の数々が面白過ぎてスイスイ読めちゃう。
    谷崎潤一郎、すごいなあ
    下を読むのも楽しみ

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    2022年03月23日
  • 細雪(上)

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     上巻では物語にこれといった刺激がなく、ダラダラと話が進んでいく。しかし会話文に船場言葉を入れることで、間伸びした展開を優雅な落ち着きのあるものへと昇華させている。また、会話文以外の文体も明解かつリズミカルな、情緒的な構造となっており、読むにつれてどんどんと引き込まれていく。
     上級国民のはんなりとした生活美に、期末レポートを書くことを忘れさせる、そんな作品。

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    2022年01月15日
  • 陰翳礼讃

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    電車で読んだらダメリストにランクインのニヤニヤ本。
    繰言もぼやきも偏屈も、文筆家の手にかかれば美しいフレームに嵌められた美術品のようにツンとすました一級品。
    あー、ほんとそれ!そうですよねーと激しく首肯したくなることをスパッと過不足なく言い表しているところは胸がすく。
    今のご時世ではそんな言い方できないだろうということを小気味よくバッサバッサと悪様に言う様はむしろ爽快なほど。

    建築界のバイブルということだが、むしろ料理の捉え方に瞠目した。
    【引用始】
    日本の料理は食うものではなく見るものだと言われるが、こういう場合、私は見るものである以上に瞑想するものであるといおう。そうしてそれは、闇にまたたく無言の音楽の作用なのである。
    【引用終】

    羊羹の描写は左党が平伏す一級品。
    【引用始】
    玉のように透明に曇った肌が、奥の方まで火の光を吸い取って夢見るごときほの明るさをふくんでいる感じ、あの色あいの深さ、複雑さは、西洋の菓子には絶対に見られない。
    【引用終】

    同じく収録されている現代口語文の欠点について、のデアルの考察は長年の謎に一つの角度をくれたし、懶惰の説の運動による健康至上主義への抵抗は私が常々唱えていた屁理屈が筆者の手にかかればいかにも尤もらしく昇華されているのがおかしかった。
    【引用始】
    しかしながら不精な人間の眼から見ると、刺戟性の食物を大量に摂取するために、否が応でも運動しなければ消化しきれないということになっては、スポーツも一種の苦役である。それだけの時間を静かに読書にでも費やした方が、あるいはもっと有益であるかもしれない。
    【引用終】

    そしてどのパートにも見られる厠への考察が面白すぎる。どんだけこだわってんの、と突っ込みたくなるほど、何かにつけ厠を引っ張ってくる。世代的に見たこともないがもう眼前にありありと出てくるような記載でそのこだわりぶりに笑ってしまった。

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    2022年01月11日
  • 細雪(上)

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    昭和天皇に献上され読まれたという大衆小説。

    現代であれば芥川賞を受賞するタイプの作品。
    そっくり百年間時計の針を戻したような、市中のとある旧家を描いた物語。

    もったいつけたような表現が多いが、それが余計に登場人物の心情をようよう描いている。面白い。

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    2023年02月23日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    なんだか、谷崎潤一郎に弄ばれているような感じがした。

    推理小説ではないので考え込まず素直に読めたのが心地よかった。

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    2022年01月07日
  • 台所太平記

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    巨匠のフェチな視点からの女中たち。個性派揃いの娘たちを見る作家の視点。

    谷崎潤一郎の晩年の作。居を熱海に移す前後から雇った女中たちを丹念に描く。娘のように可愛がる視点なのだか、特に妙にエロチックなところはさすが巨匠。川端康成と谷崎についてはもっと若い頃から読んでいたらもっとハマっていたかも。

    結婚が終着点、女性の幸せという所が現在の価値観とは異なるが、結婚後も幸せに暮らす女中たちの姿に安心のラスト。

    挿絵も良い。

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    2021年12月27日
  • 卍(まんじ)

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    故郷の祖母と話しているような文体が懐かしかった。

    内容はスキャンダラス、だけどはっきりとは書いていないから上品でもあった。後半の薬を多用する辺りからはヤベーな・・・と思って読んだ。

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    2021年12月21日
  • 作家と猫

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    三谷幸喜さんの「おっしー」の話しは、新聞で泣かされ、又、泣かされました。

    猫は、ずるいから。
    猫は、知ってるから。
    人間が猫に勝てないことを。
    そんな人が多いことが実感できる本です。


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    2021年11月22日
  • 細雪(中)

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    谷崎潤一郎の代表作『細雪』の中巻。
    上巻に引き続き執筆されましたが、私家版として刊行された上巻と違い、完成後長らく日の目は見られない状態でした。
    中巻は戦後ようやく中央公論社から刊行されます。

    内容は上巻の続きで、大阪の旧家の四姉妹の日々が綴られるものとなっています。
    自分の人生のため、洋行の希望や、手に職をつけるための活動を始める妙子と、それを快く思わない恋人の奥畑。
    そんな折に発生する大水害でヒーローのように現れて妙子を救った板倉に苛立ちが募る奥畑と妙子の恋愛事件や、お隣に住んでいた仲の良かったドイツ人一家の引っ越し、恩師の逝去、そして板倉の病気と、次から次へと発生するトラブルだらけの日々がドタバタと書かれます。

    上巻同様、娯楽小説として面白い小説でした。
    日本文学史上にこの作品ありと言われる作品ですが堅苦しさはなく、上中下巻の長編ですが非常に読みやすいので長さを感じさせずに読めます。
    戦時中に書き始められるも国策により掲載禁止になり、戦後ようやくGHQの検閲の元で刊行を行い、昭和天皇にも献本され、今日、世界中で翻訳され読まれるという大変な作品ではあるのですが、中巻に於いては特に崇高なテーマ性なども感じられず、個人的にはただ面白い作品と思いました。
    特に中巻は、要所要所にスペクタクルを感じるシーンが挟まり、エンタメ性を感じました。
    下巻は衝撃展開が待っているので、中巻は4人の日々を紹介しているシーンなのかもと思います。

    ただ、中巻ラストは少し驚きました。
    実年齢以下に見られることが多く、奔放なようでしっかり者の妙子は、個人的に4姉妹の中で一番お気に入りなのですが、一方で奥畑があまり好きくないです。
    家柄よりも出会った相手やときめきを優先して幸せになってほしいなと思っていたのですが、そんな終わり方になるなんて。
    下巻もあまり良い展開にならないことを知っているので、この先は少し読むのが怖い気がします。

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    2021年10月17日
  • 台所太平記

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    いゃあ〜谷崎の文章は、美しいな〜
    まず読んでそう思いました。谷崎作品に共通するテーマとしては、フェチです。サド・マゾ・レズ等、様々なフェチシズムを流麗の如く美しい文章で表現する。さすが近代文学の奇才。

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    2021年10月17日
  • 秘密(乙女の本棚)

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    日常に倦んだ男が、刺激的な”秘密”を持つべく、気まぐれから夜な夜な女装しては街を練り歩く話。
    艶やかな着物に身をつつんで、人々の視線を恣にしては悦に浸っていた男だったが、とある晩、すさまじい美貌の妖女に出会う。まさに一顧傾城のその女は、どこかで見覚えがある気がするのだが……。

    という感じで、設定も筆致もちょっとエロティックで読みながらドキドキした。
    女と再会した明くる日の晩の素晴らしい大雨に始まり、指定された逢い引きのルールはこれまた随分とアブノーマルで蠱惑的だし、退屈な日常からこんな非日常に連れ出されちゃったら行く末は変態まっしぐらですよ。
    秘密、というものの危うい快感を伴う蜜の味。
    てっきり男を翻弄して楽しむための演出かと思いきや、自分に飽きさせないためだったのか、真実は悪女とみせかけてとてもいじらしい振る舞いだったのが意外だった。
    でも女の気持ち分かるな。幻の国に住む、夢の中の女だと思わせておきたい。秘密を暴いたってなんにも良いことなんてないのだから。それはただの現実なのだから。
    それにしても表紙絵がすごく好き。白布で目隠しされた男の色気やばい。

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    2021年10月22日
  • 卍(まんじ)

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    関西を舞台にしている作品で、物語の中のやり取りも大阪弁で交わされており親近感が湧く。女のバトルはいつになっても恐ろしいものだ。

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    2021年10月10日