谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

    Posted by ブクログ

    5年以上前に買った本を再読したので、この度感想を書くことにしました。
    これだけ「〇〇フェチ」という言葉が浸透した現代の日本ですが、谷崎潤一郎がいなければこうじゃなかったのかもしれないと思いました。(というか、きっとそうですよね。)
    まさにフェチ界のレジェンド。
    『富美子の足』では、足の描写に5ページ余りも使っています。そして、その描写のなんと艶かしいこと…。
    とても面白く、楽しい読書体験になりました。

    0
    2022年05月29日
  • 吉野葛・盲目物語

    Posted by ブクログ

    ある理由から谷崎潤一郎氏の吉野葛を読む必要ができた事から読んだのであるが、思いの外地元奈良を書き写すことに成功しており引き込まれた。
    国栖の紙漉きや義経千本桜の初音の鼓、津村の母が嫁いだ島之内と奈良を結び付けるのに暗がり峠が持ち出されたり、と奈良の歴史を理解する上でも重要な要素要素が上手に散りばめられており谷崎氏の才覚が遺憾なく発揮された所であることがわかった。地元奈良は何故にこれに触れぬのか理解しがたい。
    舞台、アニメにしても味わえそうだわ◎

    0
    2022年05月02日
  • 猫と庄造と二人のおんな

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    別れた女房から請われて愛猫を引き渡した男が、居場所のなさのあまりに現妻と元妻の目を盗んで愛猫に会いに行くという物語。大きな事件は起きないけれど、それぞれの登場人物の思惑と心の動きが描かれていて読まされる作品だった。

    0
    2022年04月29日
  • 細雪(下)

    Posted by ブクログ

    初めてまともに純文学というものを読み、その魅力に気づけた一冊。
    上中下と読むのは大変だったし、話自体も起承転結とかがあるわけじゃなく、蒔岡四姉妹の日常をつらつら描く、という感じなのだけど、読んでいて全然退屈しなかった。
    日本人、特に関西に住んでいる方はぜひ読んでみるべき。そして谷崎潤一郎の文体、何だかとても好き。男の人なのに何処か文に女性のようなたおやかさがあるからなのかな。他の作品もぜひ読んでみたいと思った。

    0
    2022年03月31日
  • 鍵・瘋癲老人日記

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    夫婦が互いの日記を盗み見ていたり、浮気を嗾けてみたり…寝取られるか寝取られないかのスレスレで興奮してみたり、夫に気持ち悪さを感じながらも欲を満たす妻、最後は全てが妻の手の内にあったようで何とも滑稽な感じだった。瘋癲老人日記は息子の嫁に性欲を覚える脚フェチの老人の話で、惚れられてるのをいい事に何百万もする宝石やバッグを買ってもらうし、その代わりに脚を差し出す…なんて、エロジジイが上手く弄ばれている感じが良かった。

    0
    2022年03月28日
  • 新装版 細雪 中

    Posted by ブクログ

    百年くらい前の話なのに、蒔岡姉妹の日常に起こる珍事件の数々が面白過ぎてスイスイ読めちゃう。
    谷崎潤一郎、すごいなあ
    下を読むのも楽しみ

    0
    2022年03月23日
  • 細雪(下)

    Posted by ブクログ

    長い長い小説だった。
    しかし、読み終えてしまった。面白い。

    関西弁の盛り込まれた会話文や、繊細な心理描写に加え、洗練された背景説明が特徴的だと感じた。
    それらのため、読者は監督不在の、メッセージ性のないあるいは限りなく薄い、映画を見るような感覚で物語を楽しめるのではないか。

    0
    2022年02月01日
  • 細雪(下)

    Posted by ブクログ

    長女が東京で子育てに追われ、
    次女が家の体面を保ちつつ生活をし、
    三女が幾多の縁談を避けながらも変化を過ごし、
    四女が我を通して望まれない恋愛をする

    そんな蒔岡家の日々は、最後のページをめくった後にも続いているような、巡る人の世に終わりなど無いと思わせるような、不思議な読後感。

    0
    2022年01月25日
  • 細雪(上)

    Posted by ブクログ

     上巻では物語にこれといった刺激がなく、ダラダラと話が進んでいく。しかし会話文に船場言葉を入れることで、間伸びした展開を優雅な落ち着きのあるものへと昇華させている。また、会話文以外の文体も明解かつリズミカルな、情緒的な構造となっており、読むにつれてどんどんと引き込まれていく。
     上級国民のはんなりとした生活美に、期末レポートを書くことを忘れさせる、そんな作品。

    0
    2022年01月15日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    電車で読んだらダメリストにランクインのニヤニヤ本。
    繰言もぼやきも偏屈も、文筆家の手にかかれば美しいフレームに嵌められた美術品のようにツンとすました一級品。
    あー、ほんとそれ!そうですよねーと激しく首肯したくなることをスパッと過不足なく言い表しているところは胸がすく。
    今のご時世ではそんな言い方できないだろうということを小気味よくバッサバッサと悪様に言う様はむしろ爽快なほど。

    建築界のバイブルということだが、むしろ料理の捉え方に瞠目した。
    【引用始】
    日本の料理は食うものではなく見るものだと言われるが、こういう場合、私は見るものである以上に瞑想するものであるといおう。そうしてそれは、闇にまた

    0
    2022年01月11日
  • 細雪(上)

    Posted by ブクログ

    昭和天皇に献上され読まれたという大衆小説。

    現代であれば芥川賞を受賞するタイプの作品。
    そっくり百年間時計の針を戻したような、市中のとある旧家を描いた物語。

    もったいつけたような表現が多いが、それが余計に登場人物の心情をようよう描いている。面白い。

    0
    2023年02月23日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

    Posted by ブクログ

    なんだか、谷崎潤一郎に弄ばれているような感じがした。

    推理小説ではないので考え込まず素直に読めたのが心地よかった。

    0
    2022年01月07日
  • 台所太平記

    Posted by ブクログ

    巨匠のフェチな視点からの女中たち。個性派揃いの娘たちを見る作家の視点。

    谷崎潤一郎の晩年の作。居を熱海に移す前後から雇った女中たちを丹念に描く。娘のように可愛がる視点なのだか、特に妙にエロチックなところはさすが巨匠。川端康成と谷崎についてはもっと若い頃から読んでいたらもっとハマっていたかも。

    結婚が終着点、女性の幸せという所が現在の価値観とは異なるが、結婚後も幸せに暮らす女中たちの姿に安心のラスト。

    挿絵も良い。

    1
    2021年12月27日
  • 卍(まんじ)

    Posted by ブクログ

    故郷の祖母と話しているような文体が懐かしかった。

    内容はスキャンダラス、だけどはっきりとは書いていないから上品でもあった。後半の薬を多用する辺りからはヤベーな・・・と思って読んだ。

    0
    2021年12月21日
  • 作家と猫

    Posted by ブクログ

    三谷幸喜さんの「おっしー」の話しは、新聞で泣かされ、又、泣かされました。

    猫は、ずるいから。
    猫は、知ってるから。
    人間が猫に勝てないことを。
    そんな人が多いことが実感できる本です。


    0
    2021年11月22日
  • 細雪(下)

    Posted by ブクログ

    谷崎潤一郎の代表作『細雪』下巻。
    戦時の思想・言論統制により掲載が止められた上巻、中巻と異なり、下巻の本作は、GHQの検問化にあったものの1947年雑誌掲載され、1948年に刊行されました。
    その後、1950年代に世界各国で翻訳され、日本を代表する文学作品となります。

    上、中巻に続き、大阪の旧家の四姉妹の日々が綴られます。
    話の中心は、縁談がまとまらないまま年月が過ぎていく三女の雪子と、自由な思想で動き回る四女の妙子で、二人に頭を抱える次女・幸子の苦労が耐えない様子が引き続き描かれます。
    東京に移り住む事となった長女の鶴子は、元々存在感は薄かったのですが本作ではますます希薄になったと感じまし

    0
    2021年10月29日
  • 細雪(中)

    Posted by ブクログ

    谷崎潤一郎の代表作『細雪』の中巻。
    上巻に引き続き執筆されましたが、私家版として刊行された上巻と違い、完成後長らく日の目は見られない状態でした。
    中巻は戦後ようやく中央公論社から刊行されます。

    内容は上巻の続きで、大阪の旧家の四姉妹の日々が綴られるものとなっています。
    自分の人生のため、洋行の希望や、手に職をつけるための活動を始める妙子と、それを快く思わない恋人の奥畑。
    そんな折に発生する大水害でヒーローのように現れて妙子を救った板倉に苛立ちが募る奥畑と妙子の恋愛事件や、お隣に住んでいた仲の良かったドイツ人一家の引っ越し、恩師の逝去、そして板倉の病気と、次から次へと発生するトラブルだらけの日

    0
    2021年10月17日
  • 台所太平記

    Posted by ブクログ

    いゃあ〜谷崎の文章は、美しいな〜
    まず読んでそう思いました。谷崎作品に共通するテーマとしては、フェチです。サド・マゾ・レズ等、様々なフェチシズムを流麗の如く美しい文章で表現する。さすが近代文学の奇才。

    0
    2021年10月17日
  • 秘密(乙女の本棚)

    Posted by ブクログ

    日常に倦んだ男が、刺激的な”秘密”を持つべく、気まぐれから夜な夜な女装しては街を練り歩く話。
    艶やかな着物に身をつつんで、人々の視線を恣にしては悦に浸っていた男だったが、とある晩、すさまじい美貌の妖女に出会う。まさに一顧傾城のその女は、どこかで見覚えがある気がするのだが……。

    という感じで、設定も筆致もちょっとエロティックで読みながらドキドキした。
    女と再会した明くる日の晩の素晴らしい大雨に始まり、指定された逢い引きのルールはこれまた随分とアブノーマルで蠱惑的だし、退屈な日常からこんな非日常に連れ出されちゃったら行く末は変態まっしぐらですよ。
    秘密、というものの危うい快感を伴う蜜の味。
    てっ

    0
    2021年10月22日
  • 卍(まんじ)

    Posted by ブクログ

    関西を舞台にしている作品で、物語の中のやり取りも大阪弁で交わされており親近感が湧く。女のバトルはいつになっても恐ろしいものだ。

    0
    2021年10月10日