谷崎潤一郎のレビュー一覧
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電車で読んだらダメリストにランクインのニヤニヤ本。
繰言もぼやきも偏屈も、文筆家の手にかかれば美しいフレームに嵌められた美術品のようにツンとすました一級品。
あー、ほんとそれ!そうですよねーと激しく首肯したくなることをスパッと過不足なく言い表しているところは胸がすく。
今のご時世ではそんな言い方できないだろうということを小気味よくバッサバッサと悪様に言う様はむしろ爽快なほど。
建築界のバイブルということだが、むしろ料理の捉え方に瞠目した。
【引用始】
日本の料理は食うものではなく見るものだと言われるが、こういう場合、私は見るものである以上に瞑想するものであるといおう。そうしてそれは、闇にまた -
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谷崎潤一郎の代表作『細雪』下巻。
戦時の思想・言論統制により掲載が止められた上巻、中巻と異なり、下巻の本作は、GHQの検問化にあったものの1947年雑誌掲載され、1948年に刊行されました。
その後、1950年代に世界各国で翻訳され、日本を代表する文学作品となります。
上、中巻に続き、大阪の旧家の四姉妹の日々が綴られます。
話の中心は、縁談がまとまらないまま年月が過ぎていく三女の雪子と、自由な思想で動き回る四女の妙子で、二人に頭を抱える次女・幸子の苦労が耐えない様子が引き続き描かれます。
東京に移り住む事となった長女の鶴子は、元々存在感は薄かったのですが本作ではますます希薄になったと感じまし -
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谷崎潤一郎の代表作『細雪』の中巻。
上巻に引き続き執筆されましたが、私家版として刊行された上巻と違い、完成後長らく日の目は見られない状態でした。
中巻は戦後ようやく中央公論社から刊行されます。
内容は上巻の続きで、大阪の旧家の四姉妹の日々が綴られるものとなっています。
自分の人生のため、洋行の希望や、手に職をつけるための活動を始める妙子と、それを快く思わない恋人の奥畑。
そんな折に発生する大水害でヒーローのように現れて妙子を救った板倉に苛立ちが募る奥畑と妙子の恋愛事件や、お隣に住んでいた仲の良かったドイツ人一家の引っ越し、恩師の逝去、そして板倉の病気と、次から次へと発生するトラブルだらけの日 -
Posted by ブクログ
日常に倦んだ男が、刺激的な”秘密”を持つべく、気まぐれから夜な夜な女装しては街を練り歩く話。
艶やかな着物に身をつつんで、人々の視線を恣にしては悦に浸っていた男だったが、とある晩、すさまじい美貌の妖女に出会う。まさに一顧傾城のその女は、どこかで見覚えがある気がするのだが……。
という感じで、設定も筆致もちょっとエロティックで読みながらドキドキした。
女と再会した明くる日の晩の素晴らしい大雨に始まり、指定された逢い引きのルールはこれまた随分とアブノーマルで蠱惑的だし、退屈な日常からこんな非日常に連れ出されちゃったら行く末は変態まっしぐらですよ。
秘密、というものの危うい快感を伴う蜜の味。
てっ
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