谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 人魚の嘆き・魔術師

    Posted by ブクログ

    東洋を舞台ながらもエギゾチックに彩られた谷崎潤一郎の耽美小説
    ワイルドのサロメの挿絵師ビアズリーによく似た水島爾保布氏のイラストはストーリーの浮世離れした幻想的な世界を彩るのに一役を買っている
    また作者の作風から欧州コンプレックスを匂わせる描写も少なくなく、そのような当時の欧州への憧憬の世情や傾向を垣間見せる作品としても単なる和製耽美小説以上に重要なキーとなる作品とも言えると思う

    0
    2026年06月13日
  • 猫と庄造と二人のをんな

    Posted by ブクログ

    やっぱさ、猫っていつもこうなんだよね。ただそこら辺にいてゴロゴロくつろいでたり、気が向いた時に人間の相手してやったり、気まぐれにニャアとひと鳴きすれば喜ばぬものは居らぬように、存在そのものがあまりにも格別で魔性なんですよねえ。

    文豪・谷崎潤一郎が「限界猫飼い達の狂おしき日々」を軽妙且つチラリと覗く変態性でもってあんまりにもどこかで聞いた事がある感じで認めているものだから、ややもしたら実録エッセイなんじゃないのかというぐらいにゲラゲラ笑って読めた一冊。
    とにかく猫がやりたい放題してて凄く良いし、振り回されて右往左往する人間の姿がこれまた良い。

    表題作に加えて《ドリス》という残念ながら未完で終

    0
    2026年06月13日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    春琴のほうが佐助の存在にズブズブなんじゃないか
    何にも見えない世界で、佐助、と名前を呼べば、いや、呼ばなくても、すぐに察して、手を取ってくれる存在が幼い頃からずっといるんだぞ。どこまでも甘えていい存在が、安心がそばにある。
    春琴にとっての佐助、依存どころか世界そのものでしょ

    春琴ってファムファタール的な存在として語られるんだろうけど、どっちかというと絶対離れられない麻薬みたいな男を得てしまった女の子のように思う

    あまりの高貴ゆえ素直に愛を捧げられない乙女

    世界の全てだった男が自分のために世界から目を閉ざしたことの重さ

    ハッピーエンドなようなそうでも無いような
    佐助は盲目になったことで春

    0
    2026年06月11日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    自身の美意識に新しい見方が加わった一冊だった。この本を読んで学校の授業で豊臣秀吉の金の茶室のことを聞いた時のことを思い出した。当時は天井から柱まで全て金箔なんてむしろ下品だし、成金趣味も甚だしいとか思ったものである。しかし、当時は、今の様に全体を明るく照らすライトなんかではなく蝋燭のゆらゆらとした明かりが茶室の美しい明暗を作り出していたのだ。そう考えると確かに全体が金でも下品にならなかったのも頷ける。また、現代まで西洋の影響を受けず、道具が独自の発展を遂げていたらとの考えが面白かった。途中途中の写真に癒され、さくっと読めるのでとても良い。何度も読み返したくなる本。

    0
    2026年06月04日
  • 新装版 細雪 下

    Posted by ブクログ

    桜の園の日本版というのがわかる気がする。父親が亡くなってだんだん貧乏になっていく4人姉妹、長女が養子を迎えて家督を継いでいる。3女のお見合いを軸に話が進んでいくんだけれど、経済的な不如意も戦争の気配(二次大戦直前、日中戦争は始まっている)もなんのその、家の格とかを気にする娘たち。
    話の筋は雑誌連載だったというだけあって面白い。当時のベストセラーだったそうな。
    (実は下巻にたどり着くまで、お見合いを繰り返す三女ってちょっと知恵遅れかと思っていた。)

    0
    2026年06月02日
  • 人魚の嘆き・魔術師

    Posted by ブクログ

    谷崎潤一郎の、耽美的な短編2作。
    どちらも大正6年(1917年)の作品。
    発表当時の水島爾保布の挿画を完全収載。これが時代色もあり、妖艶な魅力で雰囲気を増しています。

    「人魚の嘆き」
    若くして莫大な財産を相続した主人公の若者は、眉目秀麗で優秀と、何ひとつ不足がなかった。
    その貴公子、当初は仲間と遊蕩にふけったが、数年で飽きてしまった。
    贅沢な屋敷に選り抜きの美女を集めて側室とし、日々その特技を披露させ、それでも退屈してしまう。
    最高に美しいもの、世にも珍しいものを求め続けるのだったが‥
    中国は清朝の時代、最盛期だった乾隆帝の次の皇帝の御世というあたりも、爛熟頽廃の気配を漂わせる設定ですね。

    0
    2026年05月31日
  • 鍵・瘋癲老人日記

    Posted by ブクログ

    日記を盗み読み合う夫婦。子どもの心理も面白い。

    老人ここまでのエロさは狂気!すごい!

    文章上手い!

    0
    2026年05月23日
  • 卍(まんじ)

    Posted by ブクログ

    100年くらいの前の小説に心を動かされた。
    百合の美しくも儚い作品かと思いきや、男の登場で人間の内なる悪の部分を凝縮した完璧な純文学。
    ラストは必見。

    0
    2026年05月15日
  • 痴人の愛

    Posted by ブクログ

    再読。色々とそれらしい解説はあるんだろうけど、素人としては、谷崎潤一郎の性癖大公開スタイルはほんと愛せるワ〜って感じ。潔い。
    「己は絶対無条件で彼女の前に降伏する」
    やっぱり格が違うというか、ホンモノすぎてちょっと笑ってしまう。ほんとうにすべてを捧げて崇拝する感じ。愚かだと鼻で笑ってやりたい気もするけれど、愚かさに抗えない感じがこの作品のすきなところだなあ。歪んだもの同士でも、くっつけたらぴったりはまっていい感じになるかもしれない。この場合は、ぴったりはまるように片方が努力しなきゃいけないんだけど、でもたぶんそれさえも悪くないはず。それにしたって、谷崎潤一郎はほんとうに文章が読みやすくてきれい

    0
    2026年05月09日
  • 台所太平記

    Posted by ブクログ

    めちゃくちゃ面白いし、とにかく明るい気持ちにさせてくれるし、平和やし、こんなに素敵な本なのに。
    評価が分かれてしまうのは、ザ文豪!谷崎潤一郎っぽさが無いからかなぁ。
    爆笑できる場面もあるし、最後はほっこり。ほぼ実話みたいなものなんやろうけど、谷崎潤一郎が女中さんを雇っていた時代はこんな感じだったんだろうな。みな個性的で、雇う側と雇われる側が対等になる瞬間が読んでて本当に楽しい。
    漫画みたいな小説だけれど、挿絵も可愛くて大好き。

    0
    2026年05月04日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    谷崎の着眼点もそうだが、何よりもそれを精緻に表現する能力がずば抜けている。文章を読むまで言語化されていなかったぼんやりとした美しさに輪郭が与えられたようだった。

    0
    2026年05月01日
  • 猫と庄造と二人のをんな

    Posted by ブクログ

    このタイトルなら、絶対前に読んでる!
    でも、猫と、猫好きな飼い主と妻と元妻が猫を巡って一騒動~という、ざっくりした記憶しかなかったので、再読してみました。
    これがめちゃ面白い!
    笑える心理コメディになってます。

    離婚して再婚したばかりの庄造。
    元妻の品子から、今の妻の福子の所へ、「猫のリリーをくれ、それだけしか望まないから」という手紙が来る。
    庄造の猫バカっぷりにイライラし始めていた福子は、猫を品子に渡すように迫ります。
    福子も可愛がっているようだったのに?態度の急変に戸惑い、あたふたと逃げ腰の庄造。
    人当たりは良いが、気が弱くて、怠け者な庄造です。
    品子はしっかり者だけど、姑と折り合いが悪

    0
    2026年05月01日
  • 痴人の愛

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった…。
    三宅夏帆さんの新書(『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』p67-71)で紹介されて初めて知り、手に取りました。

    ナオミズムが流行したとのことで、悪女ナオミに注目していたけれど、とてつもない存在感を発揮していたのは主人公の変態童貞紳士(愛を込めて)・ジョージでした。

    カフェで見かけた15才の西洋人っぽい女の子を自分好みに育てようと引き取る変態さ。
    結果、ナオミは良い子に育つわけでなく…。
    人の悪口を平気で言うし、金遣いは荒いし、垢のついた服を放置するし、嘘をつくし、浮気はするしの自由奔放なティーンになり、ジョージはたびたび振り回される展開に。
    なのに、ジョージはナオミをま

    0
    2026年04月27日
  • 新装版 細雪 下

    Posted by ブクログ

    長いから3巻目だけ読んだ。女同士の感情の機微、その時代の女性の手の中にあった重大論点への向き合い方、性格による違い など織りなす雰囲気を楽しめた。
    (佐久間良子の気品と三松の着物が圧巻な映画は何度も見てる)
    自分が長女だからか、物語では脇役の鶴子にも感情移入したりして とにかくそれぞれの立場の姉妹の個としての辛さ、それでもお互いを思いやる心での自己犠牲(意識的にも無意識的にも)に自分のことのように動揺させられて、面白かった。
    また、谷崎潤一郎の文章が描く世界はやはり本当に美しい

    0
    2026年04月26日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    琴、三弦の名手であり、盲目の美女→春琴
    男女関係があるも表に知られないようにし、最後まで師弟関係を貫き通した→佐助

    春琴と佐助、2人の生き様と谷崎潤一郎の文章の妙に、非常に興味を掻き立てられました。こんな愛もあるのかー、とゾクゾク感ハンパなし!とても短い小説でありながら、深みがあります。文章が何しろ素晴らしいです。この小説は、句読点が結構な割合で省略されています。現在も筆でフォーマルな手紙を書くときには、句読点を省くのが通例ですので、谷崎さんは小説の原稿を筆で書かれていたのかな?と想像しました。

    芸の道の厳しさ、春琴のわがままな性格と盲目である故の苦悩、佐助の徹底した春琴への敬愛、奉仕の精

    0
    2026年04月21日
  • 刺青 痴人の愛 麒麟 春琴抄

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    谷崎潤一郎の著作が4つも収録されていたので購入したが、文字の黒色が多く、長く積読していた。
    文体は古く、読みづらさはあるものの、内容は全く古くなく普遍的な主題の作品だったと言える。特に、代表作である『痴人の愛』と『春琴抄』は良かった。

    『痴人の愛』は、

    『春琴抄は』は、

    個人的には、〇〇のほうが好みだった。

    0
    2026年04月16日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    現在新築でマイホーム計画中で、今流行りの和モダンの雰囲気に惹かれているが、なぜ和の心地良さが自分が好きなのか言語化できないなとふと思い、日本人の暮らしの美学についてさまざまな角度から論究を進めた名著としてこの本を読み始めた。

    ふわっとした日本の風情って心地いいなって感覚が綺麗に言語化されていて感性が研ぎ澄まされた気がする!

    作者の谷崎潤一郎さんは明治〜昭和時代の方で、文体としては当時の表現のままのため、普段近代小説ばかり読んでる身としては最初読みづらかったが、
    谷崎さんの表現がとても繊細で日本の雅致表現の幅に圧倒されて、途中から全く気にならずに読み切りました。

    谷崎さんの日本の侘び寂び表

    0
    2026年04月01日
  • 刺青・秘密

    Posted by ブクログ

    谷崎らしい、マゾヒズムたっぷりのお話、谷崎の自伝的お話など収録されている本。
    やはり谷崎の技術、ストーリーには感動させられました。

    0
    2026年03月26日
  • 蓼喰ふ虫

    Posted by ブクログ

    小出楢重展でつい購入。100年くらい前の本だし、読むのに時間がかかりそうと思ったけど、スラスラ読めた。セックスレスの夫婦が別れる前の物語で、全然古さを感じない。

    0
    2026年03月11日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    美しい文章とそれを補完して余りある写真の数々。明るさの中にある陰、陰のうちに潜む明るさが本全体を通して静かに迫ってくるよう。

    0
    2026年03月09日