谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 春琴抄

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    春琴抄。パッと見読みづらいのかなーと思ってたけど、じっくり単語単語で見ていくと意外とすんなり入ってきて、読めた。それがまず嬉しい。

    ただただ美しかったと思う、ところどころで爆発的に良い部分(感情的に)があって、たまらんですわ

    僕は潤一郎の書く自尊心の強い女が好きなんだと思った。

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    2025年11月24日
  • 細雪(下)

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    ネタバレ

    巻末の解説に、私の感想を濃縮し洗練させた一文があった。

    p.497より抜粋
    「ヨーロッパの近代小説が個人主義をその思想として内包しているのにたいして、『細雪』が作者の"主観を消す"ことによって、まれに見る物語文学たりえている」

    この小説を読んでいるとき、登場人物の思考や行動から著者の価値観や美意識の投影を感じなかった。これは中々できることではないと思う。どうしても、誰かに自分の意見を託したくなるからだ。言葉や駆け引きそのものが鑑賞に足る、まさに絵巻という表現が相応しい作品である。

    幸子の苦労が報われた、と言って良い結末だったと思う。本当に良かった。また、貞之助の彼女に

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    2025年11月08日
  • 魔術師(乙女の本棚)

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    2025/11/08
    p.20
     やや長い間、私は唯、無数の人間の雲の中を嫌応なしに進みました。行く手を眺めると、公園は案外近い所にあるらしく、燦爛としたイルミネエションの、青や赤や黄や紫の光芒が、人々の頭に焦げつく程の低空に、炎々と燃え輝いているのです。道路の両側には、青楼とも料理屋ともつかない三階四階の楼閣が並んで、華やかな岐阜提灯を珊瑚の根掛けのように連ねたバルコニイの上を見ると、酔いしれた男女の客が狂態の限りを尽くして野獣のように暴れていました。彼らの或る者は、街上の群衆を瞰おろして、さまざまな悪罵を浴びせ、冗談を云いかけ、稀には唾を吐きかけます。彼等はいずれも外聞を忘れ羞恥を忘れて踊

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    2025年11月08日
  • 二人の稚児(乙女の本棚)

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    2025/11/01
    「いやいや、妄想の闇に鎖されたまろの心と、そなたの胸の中とは、雪と墨ほどに違って居る。浄玻璃のように清いそなたは、わざわざ危険を冒して、修行をするには及ばないのだ。そなたの体に間違いがあったら、それこそ麿は上人へ申し訳がないではないか。面白い所へ出掛けるのなら、そなたを捨てて行きはしない。浮世はどんなにいやらしい、物凄い土地なのか、運よく命を完うして帰って来たら、まろの迷いの夢もさめて、きっとそなたに委しい話をして聞かすことが出来るだろう。そうすればそなたは、自分で浮世を見るまでもなく、幻の意味が分るようになるのだ。だから大人しく待って居るがよい。もし上人がお尋ねになった

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    2025年11月02日
  • 痴人の愛

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    平野啓一郎『私とは何か』講談社現代新書で言及されており、手に取った。
    男性って、やっぱりわがままに振り回されるの好きなんだなあ、と改めて。おばかで可愛く愛おしい。
    内容は狂ってるし、かなり気持ち悪いのに、耽美な文でむしろ読んでいて心地よかった。

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    2025年10月31日
  • 陰翳礼讃

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    ネタバレ

    日本のわびさびを言語化するとこういうことなのかなと。障子ごしの光、和紙のきめの繊細さ、黒光りする古い木材、蝋燭の火の揺らぎを写す漆器、薄暗い能の舞台と衣装で映える黄色人の肌、わずかな光さえ照り返す金屏風…とうとう羊羹の色にまで(!)美しさを見出して、うっとりするような言葉で表現していた。現代的な道具や急激な欧米化で、日本元来の生活様式が追いやられ、陰の美しさが失われることを嘆いているけど、作者自身も衛生面や利便性、費用面で葛藤があると書いていたので親しみやすかった(バチバチに「日本の古い生活様式しか許さん!」みたいな態度ではないので、現代の暮らしに慣れきっている自分たちが責められているような気

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    2025年10月26日
  • 新装版 細雪 下

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    先に読んでた上中巻と比べて、この下巻は格段に面白かったし、怒涛の展開で一気に読んだ。
    しかもここぞというタイミングで、物語が大きく動く出来事を差し込んでくるあたりはさすが谷崎という感じ。絶妙のタイミングだし、安心しきってたところにだ感想もあるだろうし、人によっては今までの流れからやっぱり!って思う人もいるはず。いずれにせよ、谷崎は物語を動かし読者を引き込む天才!
    毎回本当に雪子がかわいそう。幸子も貞之助も優しすぎるゆえにお気の毒。でも妙子の奔放さも嫌いではない。
    登場人物全てに好感が持てるのが救い。
    そして下巻は完全にホラー化、そしてまさかのバッドエンド、、なのか?!
    私的には幸子夫婦みたいに

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    2025年10月21日
  • 細雪(中)

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    板倉と災害
     この巻は、板倉で始まって板倉で終るので、末っ子の妙子の動向に終始してゐた。またある面では災害の巻として、言葉たくみに水害、風害、病気を読まされて圧倒された。
     西洋に人気があるのもわかる気がする。ある時期の人間といふのが、切り出して拡大してみれば誠に波瀾に富んでゐるのは、SFやミステリなどの大仕掛けを加へなくても面白い物語になることの証左であり、勇気づけられた。

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    2025年10月17日
  • 細雪(下)

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    ネタバレ

    え〜〜〜〜〜〜〜ん、読み終わってしまいました涙、、、めちゃくちゃ面白かった、、全然読む手を止められず、そしてこのMakioka Sistersの行く末をまだまだ読んでいられるという気持ち。。似たような本とか読みたい、、ロス!!!

    何が好きだったかって、色々な要素があるんだけど、蒔岡姉妹(と言いつつ、下の3人がメインだけど)のお嬢さん育ちな暮らしぶりとか、お着物や習い事の様子を見るだけで華やかで楽しいし、船場言葉も柔らかくて素敵だし、なんやかんやで仲良し姉妹・時々緊張感、のやり取りも目を離せないし、なんだかんだ全員の気持ちがそれぞれわかるからキャラクターとしても魅力的で、姉妹全員好きだなとなる

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    2025年10月16日
  • 細雪(中)

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    ネタバレ

    上巻は雪子の見合い話が中心であったが、本巻では妙子周りの人間関係であった。カバー裏に、雪子の縁談を早く取りまとめねば、というような言葉があったので、焦燥感に駆られた蒔岡家の奔走が描かれると思いきや、そちらはほとんど進展せず肩透かしをくらった。ただ、妙子と雪子の利害上の対立が浮き彫りになった。当人たちは仲睦まじく接しており感情的な対立は見られないが、板倉の死により一つ悩みの種は消えたものの、利害上の対立は根本的には解決していない。この危うさを下巻でどう着地させるのか楽しみである。

    中巻を読み終えて改めて思うのは、この小説は幸子の心の動きにこそ真髄がある。雪子や妙子は物語の中心でありながら、常に

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    2025年10月12日
  • 細雪(上)

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    人間模様
     久しぶりに面白い小説だったと云っては何だけれど、さう感じたのは正直な感想で、実際すぐ『細雪』が気に入ったのだった。
     上巻は、雪子の縁談を軸に様々な出来事が起る。本家の鶴子を除けば、幸子、雪子、妙子の三姉妹の行動と心情がそばから目に見えてくるやうで、また大変愛ほしく、多幸感がしてくる。そしてこれは決して架空事ではなく八割方ほんとうの事であるのを知ってからは、佐伯一麦の『ノルゲ』を読んだ時と同じく、現実世界の柔和や人間模様が身に沁みた。こう御膳立てするのも今更可笑しいやうだけれども、名作の名に似つかはしいと思った。

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    2025年10月07日
  • 陰翳礼讃

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    潔癖に白くて清潔なタイル張りでは醸し出せない古い木目の深い暖かみのある美しさということ。陰を美しいと思える感覚、新しくないものを美しいと思える感覚はまだ日本人に残っている。谷崎潤一郎の文章、トイレのことを書いていても美しい。再読。


    全文はブログで
    www.akapannotes.com
    @akapanreads

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    2025年09月26日
  • 細雪(上)

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    面白い。三女・雪子の縁談を軸に蒔岡家の人々の会話と心情がつらつらと描かれている。旧家ゆえか相手側の下調べは怠らず、及第点かと思いきや雪子と反りが合わずに破談。逆も然り。

    これでは結婚など遠いぞと呆れるのだが、四姉妹(主に幸子・雪子・妙子の三人)の互いを思いやる故の躊躇いや気遣いを思うと、憎めない。この辺りは谷崎潤一郎一流の筆致ゆえか。

    第二次世界大戦開戦の気配を漂わせながら上巻は終わり、雪子は東京に向かう。旧家の娘として、現代女性として、雪子は如何に自分の身を立てるのか。中・下巻が楽しみである。

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    2025年09月26日
  • 春琴抄

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    美しい。
    心理描写なんてないのに、なんでか佐助が好きになっちゃう。
    夏目漱石樋口一葉がお札になって谷崎潤一郎がお札にならない理由がわかんない。作品に癖が漏れてるから??
    内容は一歩間違えれば変◯的なのに、文章が美しすぎて純文学みたくなっちゃう、それが谷崎潤一郎。

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    2025年09月23日
  • 細雪(中)

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    上巻に続き、阪神間とりわけ芦屋の風情ある光景が目に浮かぶ。上巻では雪子がメインに話が展開されていたが、本作では妙子が話の中心となる。
    神戸大水害、板倉の病気など鬼気迫る内容も多く、ハラハラしながらあっという間に読み終えた。下巻が楽しみ。

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    2025年09月20日
  • 陰翳礼讃

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    日本と外国の違いを言葉化されていて納得しました。集中力が低下している今日この頃ですが、写真があることで、夢中になって読み進めてしまいました。

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    2025年09月19日
  • 春琴抄

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    ネタバレ

    高校生のとき初めて読んで、大学で卒論を書いた作品だから、思い入れが強く、定期的に読みたくなる。

    名家に生まれながら幼少期に病気で視力を失った春琴と、長年彼女に仕えた佐助の愛の物語。
    強い女性と翻弄される男性という谷崎潤一郎らしい構図だ。

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    2025年09月19日
  • 卍(まんじ)

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    いやーすごいなぁ
    谷崎潤一郎が書く女は強烈に強い!ほんで美しい!
    男を狂わすほどの強い女、今回は女も狂わせちゃってるので相当な女でした
    面白くてすぐ読めるんやけどすんごい疲れた

    わたし大阪人なので心斎橋の大丸とか、宗右衛門町とか、天王寺公園、梅田などなど出てくる度にウホホとうれしくなりました、最後までベタベタな古い大阪弁です

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    2025年09月15日
  • 春琴抄

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    変な愛 究極の愛 誰にも入ることのできない恋愛!
    目が見えない女の子、師弟関係だからこその、この二人でしか完成できない愛の形だなー。こんなこともあるのかぁと思った。
    ここまで心で繋がりあってる相手との恋愛、イチャイチャとかは幸福度エグそうやなっと思った
    こういう古い言葉使いの本読んだことなかったけど、この言葉だからこそ昔の師弟関係の張り詰めた感じ、春琴ちゃんの我儘でお高くとまるお人柄が、伝わった気がした。春琴ちゃんかわいい

    目プスプスは好きな人の為or好きな人像を壊したくない自分の為 どっちなんだろう。
    あそこの、春琴の喜びに震える声と佐助がそれに気づいて莫大幸福を感じている描写がめっちゃ面

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    2025年09月13日
  • 春琴抄

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    激重クソデカ愛をどうもご馳走さまでした。こういうのだいすきなんですァ…。佐助にとって春琴は神さまだったんだね。盲目的どころか狂信的で、春琴が黒と言えばたとえ白でも黒になる。谷崎潤一郎のさらさらとした独特のうつくしい文章で綴られると、とんでもない純愛を読んだような気にもなってくるから不思議。

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    2025年09月11日