谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 人魚の嘆き・魔術師

    Posted by ブクログ

    なによりも挿絵が好きすぎる。うっとりする

    大正の唯美主義の、ただこの奇妙で不気味でおぞましい世界の美しさに浸るだけが目的の本が好きだ
    これでもかと散りばめられた難読熟語のことごとくが、なにかの美しさを表すことば
    美しさを表すことばってこんなにたくさんあるんだ

    宝物みたいな本だ

    0
    2026年07月23日
  • 痴人の愛

    Posted by ブクログ

    純文学にしては非常に読みやすくスラスラ読めてまるで映画を見ているようだった。
    ナオミに対する描写があまりにも繊細でリアルスティックで谷崎潤一郎の筆の巧さを全身で感じ、戦慄さえも走った。
    一言で表すと女性の肉体は男にとって蜜であり毒であるのだ。一度舐めてしまったら毒とは気づかず君主の体は蝕まれていく。
    実際にそれは武器となり現代社会では欠かせないものになってる。

    0
    2026年07月18日
  • 蓼喰ふ虫

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    夫婦仲が冷え切っている斯波要と美佐子を主人公にした小説。ベタベタな恋愛小説や、あるいは逆につねにケンカするなど険悪すぎる恋愛関係を描いた小説はよくあるが、この「離婚しそうでしない宙ブラリンな状態」を描いた作品は個人的に記憶になく、なかなか新鮮に感じた。なにせ、物語の冒頭から夫婦仲が冷め切っており離婚に向かっている様子が描かれているにもかかわらず、終盤になってもなかなか具体的に進展せず、けっきょく作中では離婚せずに終わってしまうのである。ぶじに離婚が成立して大団円を迎えると思っていたため、そうはならずに虚を衝かれたような思いがしたが、しかしあるいはコレもまた「恋愛小説」なのかもしれない。そして、なかなか進まない離婚のいっぽうで、繰り返し登場して印象的であるのが人形浄瑠璃。むしろ人形浄瑠璃のほうがメインであるとすらいえる。「物言わぬ」人形、「役割を演じている」人形など、いろいろな示唆的な意図も多分に含まれているとは思うが、しかし文学関係者ならともかく、ただのいち読者がそのように「文学的」に読むのも野暮であろう。全体的に物語としては進展に乏しいともいえるのであるが、だからといって本作が退屈かといえばさにあらず。むしろこのようなフワフワした不思議な状態を的確に描いているからこそ、物語はたんなる離婚話よりも何倍も厚みをもって心に響いてくるし、このような作品に仕立て上げられることこそが、のちにノーベル文学賞候補にもなった谷崎の大作家たる所以である。人生は小説ではない。結婚しているから仲が良い、離婚するからいまにも殴り合いのケンカを始めそう、そのようなことはぜったいにない。こういう、離婚するのかしないのかわからない状態のほうが、かえって「人間」らしいのである。

    0
    2026年07月14日
  • 痴人の愛

    Posted by ブクログ

    出版された時、ナオミズムという言葉が流行るくらいには強烈な女性像だったらしい
    現代でも強烈だと思うが。

    0
    2026年07月04日
  • 人魚の嘆き・魔術師

    Posted by ブクログ

    男女共に魅了する美しいが書かれていた2作品だった。聞き馴染みのない単語も多いけれど、言葉選びや表現がとても綺麗。

    0
    2026年06月22日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

     大まかなあらすじを知った状態で読んだことも理由だろうが、近代文学の名作にしては読みやすく、純粋に面白かった。
     佐助と春琴のつながりは、主従・師弟・相弟子・実質上の夫婦と、複雑かつ奇妙である。そして、春琴の嗜虐性は度を超えた恐ろしいものとして傍目には映る。しかし、佐助は春琴との関係に心底喜びを感じているようであり、例の事件後には自ら双眼から光を奪うことで、「此の世が極楽浄土にでもなったように思われお師匠様と唯二人生きながら蓮の台の上に住んでいるような心地」となるのだった。
     このような、当人にしか分からない関係や感情というのは、谷崎の『痴人の愛』や凪良ゆうの『流浪の月』にも見られると思う。人間、他人のことに口出しするのはよすべきということか。
     とはいえ、本作の面白さは、2人の不思議な関係や感情を、軽妙洒脱な文章に身を任せながら眺められる点にあると思う。所々の展開に驚かされつつも、読後にはきっと微笑ましい気持ちになれる、本作はそんなハートフルな物語である。

    0
    2026年06月17日
  • 人魚の嘆き・魔術師

    Posted by ブクログ

    東洋を舞台ながらもエギゾチックに彩られた谷崎潤一郎の耽美小説
    ワイルドのサロメの挿絵師ビアズリーによく似た水島爾保布氏のイラストはストーリーの浮世離れした幻想的な世界を彩るのに一役を買っている
    また作者の作風から欧州コンプレックスを匂わせる描写も少なくなく、そのような当時の欧州への憧憬の世情や傾向を垣間見せる作品としても単なる和製耽美小説以上に重要なキーとなる作品とも言えると思う

    0
    2026年06月13日
  • 猫と庄造と二人のをんな

    Posted by ブクログ

    やっぱさ、猫っていつもこうなんだよね。ただそこら辺にいてゴロゴロくつろいでたり、気が向いた時に人間の相手してやったり、気まぐれにニャアとひと鳴きすれば喜ばぬものは居らぬように、存在そのものがあまりにも格別で魔性なんですよねえ。

    文豪・谷崎潤一郎が「限界猫飼い達の狂おしき日々」を軽妙且つチラリと覗く変態性でもってあんまりにもどこかで聞いた事がある感じで認めているものだから、ややもしたら実録エッセイなんじゃないのかというぐらいにゲラゲラ笑って読めた一冊。
    とにかく猫がやりたい放題してて凄く良いし、振り回されて右往左往する人間の姿がこれまた良い。

    表題作に加えて《ドリス》という残念ながら未完で終わってしまった作品がおまけ的に収録されております。どっちも好き。

    《猫と庄造と二人のをんな》…洋画家・安井曾太郎氏の挿画が素晴らしい。カーテンにしがみついてなんかやってる猫とか呼び掛けても全然反応しない猫の背中とか、ざっくりとした線からしっかと光景が目に浮かびます。
    本作に登場する人たらしの猫は〈リリー〉、推定10歳の雌猫。そのリリーを二十歳の時に拾ってきたのが限界猫飼いの〈石井庄造〉、「もう来年は三十に手が届く」(p54)頃でありながら「幼い時から母親に甘える癖がついてゐるのが、此の歳になつてもまだ抜け切れない」(p33)、ボンクラ亭主。ただし無類の猫好きなので口移しで魚をリリーに与えてチュッチュしたりリリーが布団に入ってきた時には「一方の腕を枕に貸してやつたまゞ、なるべく体を動かさないやうに行儀よく寝て」(p51)たりと深い愛情をもってリリーと接している。ちなみにリリーが怒った時の描写「背を円くして毛を逆立て、尻尾をピンと跳ね上げながら、脚を蹈ん張つてぐつと睨まへる恰好と云つたら、子供が大人の真似をしてゐるやうで、誰でもほゞ笑んでしまふのであつた。」(p48)という一節、そう、やんのかポーズに着目した最初の作家は谷崎潤一郎氏だったのではないだろうか(超適当)。あとリリーが「非常に臭い瓦斯を洩らした」(p52)場面が凄く好き。
    そんなしょうもない庄造を巡って元妻〈品子〉と現妻〈福子〉がバチバチに火花を散らし合うのだけど、これがまた輪をかけてしょうもない。あろう事か品子は「リリーを寄越せ」という脅迫の手紙を福子へ送り付け、リリーが居るからいつまでも息子の身が入らないのだと考えた庄造の母〈おりん〉はそもそも猫が嫌いだったのでリリーを品子の元へやってしまうのだった。
    寄越せと言ったもののこれまた猫がそんな好きじゃない品子と、品子に全く懐かないリリーだったが、一緒に過ごすうちに双方へ情が湧いてくるこの辺の心情の変化が面白い。猫に心情もなんもないかもしれないし、もちろん喋りはしないのだけど態度の変化からゆっくりと女性同士(一人と一匹)の連帯が生まれてゆく感じ。
    愛猫を奪われた形の庄造は募る寂しさからリリーに一目会いたいと、元妻の家の近くの草むらに潜んでみたり最終的には侵入をするという中々な不審者っぷりを発揮するが、幼稚性を克服することなく彼はなーんも変わらなかったというような示唆のラストシーンで終わる。

    《ドリス》…先に書いたように未完の作品なのであるが、おそらく谷崎潤一郎氏が考える理想の女性像を〈ドリス〉という名の美しいペルシャ猫に重ね合わせて描こうとしたのではなかろうか。本書中でも屈指の変態性を感じられる一節「可愛くなると不思議なもので、彼はドリスの糞便の世話をするのを、億劫だとも不潔だとも思はなかつた。「うん、よしよし、何処でも好きな所へやりな、あとは己が拭いてやるから。」」(p152)からは深淵のようなフェチズムが立ち昇る。ドリスちゃん、きちんとトイトレしなきゃダメじゃないか…。
    というかこれ、ほぼ「猫の風呂の入れ方」の話しかしてないじゃないか…。

    いますぐ猫に踏んづけられたい。


    2026.6.13
    1刷再版

    0
    2026年06月13日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    春琴のほうが佐助の存在にズブズブなんじゃないか
    何にも見えない世界で、佐助、と名前を呼べば、いや、呼ばなくても、すぐに察して、手を取ってくれる存在が幼い頃からずっといるんだぞ。どこまでも甘えていい存在が、安心がそばにある。
    春琴にとっての佐助、依存どころか世界そのものでしょ

    春琴ってファムファタール的な存在として語られるんだろうけど、どっちかというと絶対離れられない麻薬みたいな男を得てしまった女の子のように思う

    あまりの高貴ゆえ素直に愛を捧げられない乙女

    世界の全てだった男が自分のために世界から目を閉ざしたことの重さ

    ハッピーエンドなようなそうでも無いような
    佐助は盲目になったことで春琴が見ている世界に辿り着けた、春琴と同じ世界に辿り着けた
    ふたりとも盲目になったことでふたりにしか分かり合えない世界に到達した喜びを感じる
    しかし、盲目になった佐助が見つめるのは美貌を損ない、歳をとり、内面も変わっていく今の春琴ではなく、かつての完璧な美貌を持つ傲慢な、過去の春琴の幻影である

    ハッピーなのかそうで無いのか
    佐助からしたらハッピーに溢れた生涯でしょうが春琴からしたらちょっと寂しい

    0
    2026年06月11日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    自身の美意識に新しい見方が加わった一冊だった。この本を読んで学校の授業で豊臣秀吉の金の茶室のことを聞いた時のことを思い出した。当時は天井から柱まで全て金箔なんてむしろ下品だし、成金趣味も甚だしいとか思ったものである。しかし、当時は、今の様に全体を明るく照らすライトなんかではなく蝋燭のゆらゆらとした明かりが茶室の美しい明暗を作り出していたのだ。そう考えると確かに全体が金でも下品にならなかったのも頷ける。また、現代まで西洋の影響を受けず、道具が独自の発展を遂げていたらとの考えが面白かった。途中途中の写真に癒され、さくっと読めるのでとても良い。何度も読み返したくなる本。

    0
    2026年06月04日
  • 新装版 細雪 下

    Posted by ブクログ

    桜の園の日本版というのがわかる気がする。父親が亡くなってだんだん貧乏になっていく4人姉妹、長女が養子を迎えて家督を継いでいる。3女のお見合いを軸に話が進んでいくんだけれど、経済的な不如意も戦争の気配(二次大戦直前、日中戦争は始まっている)もなんのその、家の格とかを気にする娘たち。
    話の筋は雑誌連載だったというだけあって面白い。当時のベストセラーだったそうな。
    (実は下巻にたどり着くまで、お見合いを繰り返す三女ってちょっと知恵遅れかと思っていた。)

    0
    2026年06月02日
  • 鍵・瘋癲老人日記

    Posted by ブクログ

    日記を盗み読み合う夫婦。子どもの心理も面白い。

    老人ここまでのエロさは狂気!すごい!

    文章上手い!

    0
    2026年05月23日
  • 卍(まんじ)

    Posted by ブクログ

    100年くらいの前の小説に心を動かされた。
    百合の美しくも儚い作品かと思いきや、男の登場で人間の内なる悪の部分を凝縮した完璧な純文学。
    ラストは必見。

    0
    2026年05月15日
  • 痴人の愛

    Posted by ブクログ

    再読。色々とそれらしい解説はあるんだろうけど、素人としては、谷崎潤一郎の性癖大公開スタイルはほんと愛せるワ〜って感じ。潔い。
    「己は絶対無条件で彼女の前に降伏する」
    やっぱり格が違うというか、ホンモノすぎてちょっと笑ってしまう。ほんとうにすべてを捧げて崇拝する感じ。愚かだと鼻で笑ってやりたい気もするけれど、愚かさに抗えない感じがこの作品のすきなところだなあ。歪んだもの同士でも、くっつけたらぴったりはまっていい感じになるかもしれない。この場合は、ぴったりはまるように片方が努力しなきゃいけないんだけど、でもたぶんそれさえも悪くないはず。それにしたって、谷崎潤一郎はほんとうに文章が読みやすくてきれいだねええ。

    0
    2026年05月09日
  • 台所太平記

    Posted by ブクログ

    めちゃくちゃ面白いし、とにかく明るい気持ちにさせてくれるし、平和やし、こんなに素敵な本なのに。
    評価が分かれてしまうのは、ザ文豪!谷崎潤一郎っぽさが無いからかなぁ。
    爆笑できる場面もあるし、最後はほっこり。ほぼ実話みたいなものなんやろうけど、谷崎潤一郎が女中さんを雇っていた時代はこんな感じだったんだろうな。みな個性的で、雇う側と雇われる側が対等になる瞬間が読んでて本当に楽しい。
    漫画みたいな小説だけれど、挿絵も可愛くて大好き。

    0
    2026年05月04日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    谷崎の着眼点もそうだが、何よりもそれを精緻に表現する能力がずば抜けている。文章を読むまで言語化されていなかったぼんやりとした美しさに輪郭が与えられたようだった。

    0
    2026年05月01日
  • 猫と庄造と二人のをんな

    Posted by ブクログ

    このタイトルなら、絶対前に読んでる!
    でも、猫と、猫好きな飼い主と妻と元妻が猫を巡って一騒動~という、ざっくりした記憶しかなかったので、再読してみました。
    これがめちゃ面白い!
    笑える心理コメディになってます。

    離婚して再婚したばかりの庄造。
    元妻の品子から、今の妻の福子の所へ、「猫のリリーをくれ、それだけしか望まないから」という手紙が来る。
    庄造の猫バカっぷりにイライラし始めていた福子は、猫を品子に渡すように迫ります。
    福子も可愛がっているようだったのに?態度の急変に戸惑い、あたふたと逃げ腰の庄造。
    人当たりは良いが、気が弱くて、怠け者な庄造です。
    品子はしっかり者だけど、姑と折り合いが悪く、4年で追い出されてしまった。
    姑は、親戚の若くて財産がついている福子に目を付けて、息子が福子とくっつくように事を運んだのでした。
    リリーは、これがまたとても綺麗で賢い猫で、既に10歳。妻二人よりも長い仲で、ベタベタなのですね~(笑)
    庄造は、抵抗むなしく猫を品子の元へやったものの、心配でたまらず、しまいには恋しくて一目でいいから見たいとこっそり出かける始末。

    品子の方にも、色々な思惑があって、好きでもなかった猫の引き取りを望んだのでしたが。
    飼い始めたら、当初は上手く行かなくて奮闘。逃げられたりしたのに、色々あって、可愛くてたまらなくなってしまう。
    ついには、こんな可愛い生き物の良さを感じていなかったなんて、情の薄い女だったから結婚も上手く行かなかったのだと、反省までするのでありますよ。
    リリーの方も、理由はどうあれ自分を捨てた庄造よりも目の前の品子に心を開いていくようになったのね~。リアル!
    猫愛に目覚めた品子さん、幸せを手にしましたね(笑)

    「蓼喰う虫」に比べると、かなり軽いです。
    夫婦の揉め事を扱っているのは同じなので、3回結婚した実体験がモデルかと読み始めましたが、主人公や再婚した妻の人間像が違う気がする…
    2回目の離婚の後に書かれているのですが。
    谷崎潤一郎の末妹・須恵が、福子のモデルのようです。夫や、姑も、そっくりらしい。
    ただ、離婚する時の心境や、猫に思い出が絡みついてしまうことなど、心理面の細やかさは体験が反映している所も大いにあると思われます。

    まあ大作ではないし、登場人物がすごく好きでもないから、★は4つかな…と思ったけど~
    猫好きとしてはわかりすぎる描写が、捨て置けない気がして来ましてね。
    すぐまた読み返したところ、猫小説としては素晴らしいかも!と思うに至りました。
    猫というのは、本能が割りと残っていて、人間から見ると、気まぐれに見えたり、神秘的に感じられたりもする。
    それが気になって、よくわからないのに惹かれてしまう所もある生き物。
    でも、人と愛情の交流が可能な生き物の筆頭に近いのではないかと。気が合えば、ラブラブになれますからね~!
    それが近年の猫ブームの本質ではないかしらね。

    谷崎潤一郎が描くと、綺麗な雌猫の女らしさが光るのもありますが。
    これ誇張ではなく、雌猫の愛情の示しかたには、色気も、ありますよ。動きのしなやかな優美さ、は雄にも備わっているけど。
    男女のゴタゴタというより、人と猫の愛が深まっていく関係を、この時代に、ここまでありありと描ききってる!という点で、★5つ並みに好ましいと。見直した次第です(笑)
    (26年4月29日)

    0
    2026年05月01日
  • 痴人の愛

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった…。
    三宅夏帆さんの新書(『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』p67-71)で紹介されて初めて知り、手に取りました。

    ナオミズムが流行したとのことで、悪女ナオミに注目していたけれど、とてつもない存在感を発揮していたのは主人公の変態童貞紳士(愛を込めて)・ジョージでした。

    カフェで見かけた15才の西洋人っぽい女の子を自分好みに育てようと引き取る変態さ。
    結果、ナオミは良い子に育つわけでなく…。
    人の悪口を平気で言うし、金遣いは荒いし、垢のついた服を放置するし、嘘をつくし、浮気はするしの自由奔放なティーンになり、ジョージはたびたび振り回される展開に。
    なのに、ジョージはナオミをますます離せなくなり、遂には信仰の対象にしていくという。(理解できない!)
    自分好みに育てることができているようでよかったです。

    自分が選んで小さい時から育てたこともあって、ナオミのヤバいところが見えなくなっているのだろうと思いました。あとは度を超えている西洋人や白色への憧れが一種のフィルターとなっているようでした。


    振り返ってみれば、ジョージの行動には何度も笑わされました。

    発作的にお馬さんになりたくなったり、ナオミをベビさん呼びしたり、あからさまなチラリズムにイライラムラムラしたり。

    後半では、口はつけずに吹きかけた息を吸わせるという新たなキスを生み出したナオミが面白すぎてあっぱれと思ったのですが、妄想を用いて何もないところで息を吸い込むジョージが出てきた時には面白すぎて勝ち目がないと感じました。

    何もかも凄すぎて、誰かと語り合いたい1冊です。

    0
    2026年04月27日
  • 新装版 細雪 下

    Posted by ブクログ

    長いから3巻目だけ読んだ。女同士の感情の機微、その時代の女性の手の中にあった重大論点への向き合い方、性格による違い など織りなす雰囲気を楽しめた。
    (佐久間良子の気品と三松の着物が圧巻な映画は何度も見てる)
    自分が長女だからか、物語では脇役の鶴子にも感情移入したりして とにかくそれぞれの立場の姉妹の個としての辛さ、それでもお互いを思いやる心での自己犠牲(意識的にも無意識的にも)に自分のことのように動揺させられて、面白かった。
    また、谷崎潤一郎の文章が描く世界はやはり本当に美しい

    0
    2026年04月26日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    琴、三弦の名手であり、盲目の美女→春琴
    男女関係があるも表に知られないようにし、最後まで師弟関係を貫き通した→佐助

    春琴と佐助、2人の生き様と谷崎潤一郎の文章の妙に、非常に興味を掻き立てられました。こんな愛もあるのかー、とゾクゾク感ハンパなし!とても短い小説でありながら、深みがあります。文章が何しろ素晴らしいです。この小説は、句読点が結構な割合で省略されています。現在も筆でフォーマルな手紙を書くときには、句読点を省くのが通例ですので、谷崎さんは小説の原稿を筆で書かれていたのかな?と想像しました。

    芸の道の厳しさ、春琴のわがままな性格と盲目である故の苦悩、佐助の徹底した春琴への敬愛、奉仕の精神......。春琴が襲われて顔に外傷をおった後の佐助の行動に、言葉を失いました。やっぱり佐助はそうするのか- なんとなく予想してました。

    0
    2026年04月21日