谷崎潤一郎のレビュー一覧
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初版は中央公論社、1963年。「夢の浮橋」が後の潺湲亭のオモテ側を美しく描いた作品とすれば、こちらはその舞台裏とも言うべき小説。大所帯だった谷崎家の暮らしを支えた女中さんたちの「活躍」が列伝風に書き込まれる。
ほんとうに久しぶりの再読だったが、谷崎が女中部屋を「鹿児島県人会」と呼ぶほど、鹿児島からの娘たちが次々とやってきていた、という話はやはり興味深い。高峰秀子の付き人の一人が谷崎家からの紹介だったことも記憶しておきたい。
後の潺湲亭は住宅としては決して大きいとは言えないものだったから、最大で7人の家族と5〜6人の女中さんがいたというからには、相当に賑やかな家だったのだろう。「なぜそん -
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美しい…。
久々に自分が日本人に生まれて良かったと思わせてくれる作品だった。
学生の頃に初めて紐解いた時は、正直なところその良さが分からなかった。
当時本を開いて、句読点が少なく旧仮名が小さな文字でびっしりと並んでいるのを見ただけでウンザリとした記憶がある。
当時から読書好きを自認していたが、まだまだ未熟だったということだろう。
年を経て老眼やら、その他の目の不調やらで、その手の書籍は一層敬遠したくなるところである。
ではなぜこれを手に取ったのか。
実は書店の写真集コーナーなのである。
ふと見覚えのある書名に興味を持ってパラパラとめくるうちにぐいと引き込まれた。
「ん?なんだ?これは…」
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当時の風習や時代背景の雰囲気を感じることが出来る素敵な作品です。
内容は3女の雪子の縁談についての話なのですが破談ばかりで上手くいかないという内容です。
御大家であった昔の格式に囚われて縁談が破断したり、自分の家柄に合う人を探すばかり周りが呆れてしまう。
義兄が進めた婚約を断ってしまい、仕事関係でギクシャクさせ、兄はその後婚約の話をしなくなったりなど。
縁談は今では馴染みがないので読んでいて複雑なのだなと感じることが出来ました。
また民俗学的な興味深い話も多かったです
・丙午は関東では忌み嫌われる。迷信が多い
・未年では関西は嫌われる。縁遠いなど
・興信所→ 企業や個人の信用や所在、行動等につ -
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ネタバレ乙女の本棚シリーズから、谷崎潤一郎さんと夜汽車さんのコラボ作品「刺青」です。夜汽車さんのイラストは、息をのむような甘美な世界を醸し出してくれます。
凄腕の刺青師清吉には、光輝ある美女の肌を得て、それへ己れの魂を彫りこむという夢があった…。なかなか、理想とする女性が見つからず悶々としていたが、ようやくその女性が現れた…。その女性を眠らせ、背中に蜘蛛の刺青を彫りこんでしまうのだが…激しい痛みに耐え抜いた女性は、清吉が求めた真の強さと美しさを身に纏ったのだった…。「お前さんの命を貰った代りに、私はさぞ美しくなったろうねえ」
なんともいえない妖艶な世界でした…。刺青についてこれまであんまり知 -
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明かりを消した曇りの日や雨の日、陽が落ちてきた部屋で、たびたび読み返したくなる本。
日本人が「暗がり」と「翳り」に美を見出す理由が、様々な角度から谷崎潤一郎氏の美しい言葉で綴られている。
そして、そこに添えられる言葉を体現させたかのような大川裕弘氏の写真の数々も、溜息をつきたくなるほどに美しく、一生持っていたい本の一冊。
個人的に特に好きな箇所は
『もう全く外の光が届かなくなった暗がりの中にある金襖や金屏風が、幾間を隔てた遠い遠い庭の明かりの穂先を捉えて、ぽうっと夢のように照り返しているのを見たことはないか。』
という文と、写真。
どんな写真なのか、まだ読んでない方はぜひ実際に読んで見てみて
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