谷崎潤一郎のレビュー一覧
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ネタバレ谷崎は敬遠しがちなんですが、みんな細雪面白いって言うから(?)、朝ドラみたいだよと言われたのを契機に手に取りました。朝ドラみたい…!面白い…!全然クセがなくて、これは好きかも笑。元祖「あの子は貴族」だと思った。
太平洋戦争中に執筆して批判されるのもわかるが、これは在りし日への懐古と、精一杯の軍国主義への抵抗だよなあとおもいつつ読みました。途中途中不穏な形で入る情勢も、実際にこんな感じでみんなおそるおそる、だったのだろうし。
自分はずっと関東にいて、親も標準語しか喋らないので、言葉がどれだけ古い感じ・お上品な感じがするのか肌感がなくて、悔しい〜〜〜
雪子の「ふん」という返答どういう感じか分からなくて、どういうかんじ?!てのが一番気になったこと笑。
京都出身の人に、どんなどんな?て聞いて実演してもらって笑、確かに彼が「うん」というとき、「うん」と「ふん」を足して2で割ったような感じだと思った。私はうん!って力強くう・ん、なんだけど、もっと柔らかい感じ。もっとこれから耳を澄ませて、「うん」というのを聞こう。
あと聞き忘れたので聞きたいのは、娘さん(とうさん)、こいさんの肌感!
雪子の目元のシミも気になる。。生理周期に合わせて色が濃くなったり薄くなったりするシミ。チャッピー曰く、「「結婚=妊娠・出産」によってホルモン環境が安定すれば症状が軽減するというのが、当時の医学的な考え方でした。」、「昭和初期の社会では、未婚女性の不調は「未婚のままでいること自体が身体や精神に悪い」とみなされることが多く、医者もその価値観を共有していました。」というのも納得。
京都にお花見行くシーン好きだった。着物も決めて、どこで何して、、ってまさに上流階級〜という感じで。
あとお花を描写するシーンも好きだったなあ。
「おや、何処かで丁子が匂うてる。ー」(p162)
沈丁花、いい匂いするよね…おりしも今は金木犀が良い匂いする季節に。
蘆屋の描写も素敵
…南側の方には、芝生と花壇があり、その向うにささやかな築山があって、白い細かい花をつけた小手毬が、岩組の間から懸崖になって水のない池に垂れかかり、右の方の汀には桜とライラックが咲いていた。…ライラックは今雪のように咲き満ちて、芳香を放っていた。そのライラックの木の西に、まだ目を出さない栴檀と青桐があり、栴檀の南に、仏蘭西語で「セレンガ」と云う灌木の一種があった。(p.170)
「悦子それ見てたら、その花の中に吸い込まれそうな気イするねん」「ほんに。ー」…
ーいかにも、そう云われてみれば、この床の間の罌粟の花のせいが確かにある。…取り敢えずその花を下げたあとへ、水盤に燕子花と姫百合とを配して持って来たが…少し季節には早いけれども、香川景樹の嶺夕立、ー夕立は愛宕の峰にかかりけり清滝河ぞ今濁るらん、の懐紙を床に掛けて貰った(p.190) -
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美しい写真とともに日本の美について綴られた随筆
すっかり明るい室内に慣れてしまった現代人からすると伝統ある寺社仏閣の薄暗さは不便であるように感じるが、そこに蟠る陰こそが障子越しの柔らかな光を、揺らめく灯火の明かりを、それに合わせて鈍く輝く螺鈿や波打つ金箔を、
奥行きのある美しさとして表現している。
特に金箔や螺鈿の美しさは、煌々と全てを照らす電灯の元では充分に発揮されないのだろうと気が付かされました。
文体は硬くなく、添えられた写真が綺麗なので引っかかることもなく読み進められます。
日本家屋に潜む闇は、野外の闇よりもザラザラとした手触りがる、そのような一文がありましたが、昔祖父母の家の片隅に蹲っていた闇は細かい砂粒のような印象を受けました。
日本家屋と灯籠で過ごすことはできないけれど、日本の伝統工芸などに触れるときは、追い払われてしまった陰を思い起こして日本の美について触れてみたいと思います。
古刹や伝統工芸に触れるときに思い出したい一冊 -
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ネタバレ我儘で気の強い春琴と崇拝にも及ぶ愛を持った佐助の物語。
私は「愛するということは、その人のために自分の命をも捧げられるということ」と定義している。
佐助は春琴のために「視力」を捨てて、彼女と同じ苦痛(彼等にとっては苦痛ではなかったが)を受け入れた。春琴が私のために死ねと言えば、彼は自分の左目を針で刺したように、自分の命でさえも春琴を想い、満足を感じながら捧げたであろう。
春琴は佐助が盲目になって以降も、依然心を開いていたのは彼に対してだけであり、「ほんとうの心を打ち明けるなら今の姿を外の人には見られてもお前にだけは見られとうないそれをようこそ察してくれました。」というセリフからも、佐助への気持ちが伺える。
物語は三人称視点で書かれており、読み進めていく間、春琴と佐助ふたりの(特に佐助に厳しく接する春琴の)気持ちが気になっていた。形式上、結婚など愛し愛される関係にはならなかったが、以上のように、私はふたりの間にはふたりだけに通ずるものが存在していたことに、美しさを感じた。
あと、あまりにも具体的で繊細であったから、
え、これ実話?違うよね、え??フィクション?すごまじかってかんじ -
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7月30日は、谷崎潤一郎文学忌、潤一郎忌
1917年大正6年 雑誌「改造」初出
幻想と耽美の短編
富豪の若き貴公子――南京随一の美男子。
両親の死後、莫大な財産を背景に放蕩にふけり、美貌を武器に美女を漁る日々。
あらゆる快楽に飽き果てたころ、ヨーロッパから来た人魚に心奪われる。
水槽越しに募る恋情。
ついには人魚の種族に堕ち、自らも異形となることを願うように。
しかし人魚は、西洋の海を恋い慕う。
その願いを叶えようとする貴公子――
彼もまた、人魚とともに西洋へと旅立っていく
イラストはねこ助さん。耽美な物語に添えられた繊細なイラストが、世界観を一層引き立てていました。ただ、個人的にはもう少し大人びた二人の描写でも良かったかな、とも感じました。それでも、人魚と貴公子の儚くも幻想的な恋を彩るには、あのタッチもまたひとつの解釈なのかもしれません。 -
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7月30日は、谷崎潤一郎文学忌、谷崎忌
1910年明治43年 「新思潮」初出
商業雑誌デビュー作 一躍文壇の人となる
文庫でもレビューしているけど
冒頭の時代設定の文章が日本に中の時代を
想像させて心地よい
彫師の男の物語
いつか理想の女の肌に芸術を刻みたい――
そう夢見ていた男は、ついにその完璧な肌を見出す。
だが刃を入れた瞬間、支配していたはずの彼が、
すでに女の虜となっていた。
彫り上げられた女は 痛みとともに“美”を宿す
恐れや従順を脱ぎ捨て、受動的な存在から
支配する側へと昇華する。
イラストは夜汽車さん
美しいけれど 谷崎の幻想耽美には向いていないかもしれません
着物を美しく描いてくれてありがとうございます
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Posted by ブクログ
文章は読みやすいし、絵はとても美しい。
特に瞳の境界線が淡いのが好き。
でも話はドン引き。
稀代の彫物師が5年前に見た、籠から少し出た女の片足に惚れて、たまたま巡り会えたお使いで来た芸妓の卵の彼女に「顔も雰囲気も最高に好み」と薬で眠らせて(!)勝手に背中に蜘蛛の刺青を入れる。
まじで彫物師の男の勝手な大暴走。犯罪だよ。
許可なく刺青を入れられて吃驚されたり、芸妓デビューに障るかも知れない。一晩帰ってこなかったから周りからの目もある。
彼女が激怒しなかったから話はまとまった感じだけど、昨今の飲み物に睡眠薬を入れて女の子を眠らせて無体をする男の話を思い出して、ムカムカした。 -
匿名
ネタバレ 購入済みぶっ飛んでたかな。
男の子も顔綺麗。だからまわりからよってくるんだろうね。昔からヤらされてたって言ってたけど、それが原因で行動がぶっ飛んでるのかな。
話としてはありかなと思いました。 -
Posted by ブクログ
谷崎潤一郎の代表作にして、日本の近代文学を代表する作品のひとつ。
1942-48年に書かれた。
文庫版にして三巻にまたがる長篇小説。
舞台は1936-41年の兵庫・蘆屋(芦屋)。
旧幕時代からの豪商としてならした名家・蒔岡家の四姉妹を中心に、第二次世界大戦前夜の阪神生活文化が描かれる。
長女の鶴子は、本家の奥様として、早逝した父母の代わりに入婿の辰雄と一緒に蒔岡家を切り盛りする。
二女の幸子は分家の奥様。辰雄と折りの合わない二人の妹を宥め、監督する。
三女の雪子は、美人として阪神間に名が轟く姉妹の中でも1番の美人でありながら、複雑な事情と不運によって三十を超えても嫁に行き遅れていた。
四女の妙子は、器用かつ前衛的で、故に数多くの災難を引き起こすトラブルメーカー。
物語は、雪子の見合いの話と、妙子が起こす騒動を軸に、主に幸子の視点から描かれる。
四姉妹の性格はそれぞれ異なり、個性がある。
長女の鶴子は保守的かつ前時代的なので、前衛的で行動力のある妙子とはよく衝突する。
雪子は典型的な箱入り娘で、電話にすらまともに出れないほど引っ込み思案な性格だが、頑固なところもあり、辰雄を毛嫌いしている。
そんなわけで、本来は本家が管理するべき二人の妹を預かり、監督しているのが幸子である。
本家と妹の板挟みになり、気苦労の多い人であるが、彼女自身も気が弱く世間知らずなので、主にトラブルを解決していくのは、幸子の旦那の貞之助になる。
本書は全編を通して船場言葉(近世から近代にかけて使われていた格式高い大阪商人のことば。らしい)で会話が書かれており、現在の関西弁とは異なり、優美な印象を与える。
また、蒔岡家は大阪に名を馳せる豪商の名家であり、家の格式の違いを理由に雪子の嫁入りの話を断ったりしていたが、幸子たちの父が亡くなってからは衰退の途を辿っていた。
とはいえ、幼少期から名家のお嬢様として育てられた彼女たちがそうそう変わることはできず、逞しさとはまったく無縁の、世間知らずで甘い、しかし有閑的で優美な存在として描かれる。
そんな彼女たちが激動する世間に呑まれ、苦しみ、傷ついていく。
この蒔岡家の凋落の様子と、第二次世界大戦に突入していく当時の日本の描写から、読者はノスタルジックを感じる。
これが本書のひとつの魅力である。
現代の忙しないリベラルな社会に生きる私たちとすれば、精神的にも肉体的にも甘い彼女たちに苛つきながら読むことになる(神戸から東京に列車で移動するだけで疲労困憊になるとか、30を過ぎて猶も満足に他人と口を利けない雪子とか、それを結婚できない原因だとは思いもしない家族とか)。
しかし、これが彼女たちの常識であり、生き方なのだ。
いかに家の格を大事にし、外聞にこだわるか。
旧き上流階級社会と、家父長制というものを、本作を読むことで本当の意味で腹落ちできた。
長い小説でありながら、多彩な表現と一貫して丁寧な心景描写によって読ませられる、美しい作品。
関西ネイティブな私としては、かつて大阪に根付いていた高貴かつ華麗な文化を味わうことができた心地良い小説だった。 -
購入済み
いやあ、面白いですね
絵が入るのですが、谷崎役の作家先生にはうさみみの被り物をしています。
卯年ではないので、聞き耳ずきんの意味でしょうが、キモ可愛い。表紙中央右で寝転がってる親父ですね。
バラ売り全集にも載ってますが、あちらには絵がない、こちらをお勧めします。
とにかく久しぶりにガツガツ読んでああ面白かったと言えるお話でした。
お好みで。
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