谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 陰翳礼讃

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    美しい写真とともに日本の美について綴られた随筆
    すっかり明るい室内に慣れてしまった現代人からすると伝統ある寺社仏閣の薄暗さは不便であるように感じるが、そこに蟠る陰こそが障子越しの柔らかな光を、揺らめく灯火の明かりを、それに合わせて鈍く輝く螺鈿や波打つ金箔を、
    奥行きのある美しさとして表現している。
    特に金箔や螺鈿の美しさは、煌々と全てを照らす電灯の元では充分に発揮されないのだろうと気が付かされました。
    文体は硬くなく、添えられた写真が綺麗なので引っかかることもなく読み進められます。
    日本家屋に潜む闇は、野外の闇よりもザラザラとした手触りがる、そのような一文がありましたが、昔祖父母の家の片隅に蹲

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    2025年09月23日
  • 春琴抄

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    ネタバレ

    我儘で気の強い春琴と崇拝にも及ぶ愛を持った佐助の物語。
    私は「愛するということは、その人のために自分の命をも捧げられるということ」と定義している。
    佐助は春琴のために「視力」を捨てて、彼女と同じ苦痛(彼等にとっては苦痛ではなかったが)を受け入れた。春琴が私のために死ねと言えば、彼は自分の左目を針で刺したように、自分の命でさえも春琴を想い、満足を感じながら捧げたであろう。
    春琴は佐助が盲目になって以降も、依然心を開いていたのは彼に対してだけであり、「ほんとうの心を打ち明けるなら今の姿を外の人には見られてもお前にだけは見られとうないそれをようこそ察してくれました。」というセリフからも、佐助への気持

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    2025年09月22日
  • 春琴抄

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    「今まで肉体の交渉はありながら師弟の差別に隔てられていた心と心とが始めてひしと抱き合い一つに流れて行くのを感じた」
    この一文に佐助と春琴の愛の模様が表れていると思った。
    またその後の「盲人の師弟手を取り合って空を仰ぎ遥かに遠く雲雀の声が落ちて来るのを聞いていた」の一文から、最も彼らの愛の深さ、様子を感じられた。
    彼らの中でしか通じない愛の形。彼らだけの幸せの形。

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    2025年09月09日
  • 春琴抄

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    ネタバレ

    盲目の三味線奏者の春琴と彼女の奉公人である佐助を描いた小説。二人は師弟関係であるが、徐々にお互いに恋愛感情を抱くようになる。ところが話が進んで終盤辺りになると、彼は春琴と同じ状態になろうと針で両目を潰すという行動に走った。その際の描写は痛々しく、佐助の異常さが伝わる。

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    2025年08月31日
  • 春琴抄

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    ネタバレ

    盲目の娘・春琴、彼女の下男・佐助、二人だけの人生が描かれた物語。

    物語の途中から佐助は春琴の弟子となり歪な師弟愛が展開され、めくるめく耽美を味わうものの、春琴が重い火傷を負い佐助が自ら眼を傷つけ盲目となる件は狂気が過ぎる。読んでて目が痛いーーー。

    語り手による物語は自分の拙い想像力では鮮やかに再現できない場面もあり、ところどころ文章を楽しむことに重きを置いて読み切りました。読み慣れていない文章ですがやっぱり文豪の作品って面白いです。

    佐助にとって春琴は永遠でありすべてだったんでしょうね。

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    2025年08月18日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    とても豪華な1冊。
    求めていた文豪の短編がビッシリ詰まっていて、不気味!耽美!最高!
    夏目漱石、夢野久作、江戸川乱歩、太宰治が入っていてとても嬉しい。
    どれも面白くて良い。

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    2025年08月14日
  • 猫と庄造と二人のおんな

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    ネタバレ

    猫リリーと庄造の関係、庄造と妻福子、前妻品子の関係を細かく描写した小説で、リリーを頂点に、庄造、そして福子と品子という上下関係が明らかになっている。人間の言葉を話せないリリーだが、その可愛らしい姿の為か、庄造からの無償の愛を受けている。それに対し、福子はリリーに嫉妬するという歪な構造となっている。本作は猫をめぐっての三人の関係性が注目どころである。

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    2025年08月10日
  • 陰翳礼讃

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    7月30日は谷崎潤一郎の命日ということで。

    『美というものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。』

    民藝とはちょっと違う観点。

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    2025年07月30日
  • 人魚の嘆き(乙女の本棚)

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    7月30日は、谷崎潤一郎文学忌、潤一郎忌
    1917年大正6年 雑誌「改造」初出

    幻想と耽美の短編

    富豪の若き貴公子――南京随一の美男子。
    両親の死後、莫大な財産を背景に放蕩にふけり、美貌を武器に美女を漁る日々。
    あらゆる快楽に飽き果てたころ、ヨーロッパから来た人魚に心奪われる。
    水槽越しに募る恋情。
    ついには人魚の種族に堕ち、自らも異形となることを願うように。
    しかし人魚は、西洋の海を恋い慕う。
    その願いを叶えようとする貴公子――
    彼もまた、人魚とともに西洋へと旅立っていく

    イラストはねこ助さん。耽美な物語に添えられた繊細なイラストが、世界観を一層引き立てていました。ただ、個人的にはもう

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    2025年07月29日
  • 刺青(乙女の本棚)

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    7月30日は、谷崎潤一郎文学忌、谷崎忌
    1910年明治43年 「新思潮」初出
    商業雑誌デビュー作 一躍文壇の人となる

    文庫でもレビューしているけど
    冒頭の時代設定の文章が日本に中の時代を
    想像させて心地よい
    彫師の男の物語
    いつか理想の女の肌に芸術を刻みたい――
    そう夢見ていた男は、ついにその完璧な肌を見出す。
    だが刃を入れた瞬間、支配していたはずの彼が、
    すでに女の虜となっていた。

    彫り上げられた女は 痛みとともに“美”を宿す
    恐れや従順を脱ぎ捨て、受動的な存在から
    支配する側へと昇華する。

    イラストは夜汽車さん
    美しいけれど 谷崎の幻想耽美には向いていないかもしれません
    着物を美しく

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    2025年07月29日
  • 卍(まんじ)

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    関西弁の告白態小説。疑心暗鬼に陥る様が丁寧に描かれていて面白かった。光子の自分勝手で強欲な所が周りを狂わせていく感じとか、登場人物は少ないのにドロドロとしていた。

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    2025年07月24日
  • 刺青(乙女の本棚)

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    文章は読みやすいし、絵はとても美しい。
    特に瞳の境界線が淡いのが好き。
    でも話はドン引き。
    稀代の彫物師が5年前に見た、籠から少し出た女の片足に惚れて、たまたま巡り会えたお使いで来た芸妓の卵の彼女に「顔も雰囲気も最高に好み」と薬で眠らせて(!)勝手に背中に蜘蛛の刺青を入れる。
    まじで彫物師の男の勝手な大暴走。犯罪だよ。
    許可なく刺青を入れられて吃驚されたり、芸妓デビューに障るかも知れない。一晩帰ってこなかったから周りからの目もある。
    彼女が激怒しなかったから話はまとまった感じだけど、昨今の飲み物に睡眠薬を入れて女の子を眠らせて無体をする男の話を思い出して、ムカムカした。

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    2025年07月22日
  • 人魚の嘆き(乙女の本棚)

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    幻想的だし、敗退的で物哀しい雰囲気を感じた。
    文章がきれいだなぁ。
    特に人魚の容姿を表す文がとても好き。

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    2025年07月21日
  • 痴人の愛【電子限定かきおろし漫画付】<デジタル版>

    匿名

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    ぶっ飛んでたかな。
    男の子も顔綺麗。だからまわりからよってくるんだろうね。昔からヤらされてたって言ってたけど、それが原因で行動がぶっ飛んでるのかな。
    話としてはありかなと思いました。

    #エモい

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    2025年07月14日
  • 細雪(下)

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    谷崎潤一郎の代表作にして、日本の近代文学を代表する作品のひとつ。
    1942-48年に書かれた。

    文庫版にして三巻にまたがる長篇小説。

    舞台は1936-41年の兵庫・蘆屋(芦屋)。

    旧幕時代からの豪商としてならした名家・蒔岡家の四姉妹を中心に、第二次世界大戦前夜の阪神生活文化が描かれる。

    長女の鶴子は、本家の奥様として、早逝した父母の代わりに入婿の辰雄と一緒に蒔岡家を切り盛りする。

    二女の幸子は分家の奥様。辰雄と折りの合わない二人の妹を宥め、監督する。

    三女の雪子は、美人として阪神間に名が轟く姉妹の中でも1番の美人でありながら、複雑な事情と不運によって三十を超えても嫁に行き遅れていた

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    2025年07月11日
  • 痴人の愛 アニメカバー版

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    軟弱なのか変態か。 随分、相手に振り回される主人公だったな、と。歳が離れて、自分に下手にお金があると相手が望むものをなんでも買っちゃうから結果的に相手にいい影響はないような。
    それでいて、惚れた弱みにかなり付け込まれてて、それに振り回されちゃう主人公って、、、と。カッコいい話でも無ければ、おどろおどろしい話でも無くて、弱っちい男の話だったな、と。

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    2026年03月14日
  • 痴人の愛 アニメカバー版

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    おすすめポイント
    ・大正ロマンを満喫したい人におすすめ
    ・銀山温泉や城崎温泉に持ってって読んだら、いい気持ちになれそう
    ・筋書き自体は大したことないのに、表現がやはり「読ませる表現」…唸ります
    ・「ナオミ帰ってきて」というだけの事なのに、ものすごいページ数を割いてくどくどと、もとい滔々と表現される…これが明治時代にあったってすごいな
    ・当時はこれ、新聞連載だったらしいですね。当時のサラリーマンおぢたちの夢とロマンが詰まってやがるぜ

    残念なところ
    ・ちょいちょい谷崎のフェチがぶっ込まれる。お前が足フェチなのは十分わかったよ。笑

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    2025年06月19日
  • 二人の稚児(乙女の本棚)

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    絵がきれい。
    文章と合っていて読み易く感じた。
    谷崎さんだからちょっと変態的なとこへ行き着くのかしらんと期待したら、とてもきれいな最期でした。
    でも急に前世の話が出て、とんとん拍子に進んでクライマックスはちょっと拍子抜けかな。
    もっと長い話にもできたように感じた。

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    2025年06月06日
  • 刺青・少年・秘密

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    ネタバレ

    刺青…
    妖艶とか蠱惑的という言葉がぴったりなお話。
    直接的な表現は全くないのにドキドキ。

    少年…
    幼い少年少女の無意識の退廃的欲求が凝縮されたお話。私的には地雷というか、最後まで読めなかった。

    秘密…
    刺激を求めて女装して自ら秘密を持ったり、昔の女の秘密を暴いたあげくに勝手に冷めて捨てたりするお話。こいつ…!!!

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    2025年06月02日
  • 台所太平記

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    いやあ、面白いですね

    絵が入るのですが、谷崎役の作家先生にはうさみみの被り物をしています。
    卯年ではないので、聞き耳ずきんの意味でしょうが、キモ可愛い。表紙中央右で寝転がってる親父ですね。
    バラ売り全集にも載ってますが、あちらには絵がない、こちらをお勧めします。
    とにかく久しぶりにガツガツ読んでああ面白かったと言えるお話でした。
    お好みで。

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    2025年05月31日