谷崎潤一郎のレビュー一覧
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ネタバレ細雪、全然事件起きないし日常〜って感じだと思ってたんだけど、中巻めっっっちゃ色んな事件起きた。上巻は雪子ちゃんの話だったけど中巻はこいさん中心の話だったな…。水害事件ではこいさんを心配に思って幸子姉ちゃんが泣き出すところでわたしももらい泣き…。そして最後は板倉までも…死ぬとは思わなかった…うそでしょ…。
「予想もしなかった自然的方法で、自分に都合よく解決しそうになったことを思うと、正直のところ、有難い、と云う気持が先に立つのを如何とも制しようがなかった。人の死を希うような心が、自分の胸の奥の何処かに潜んでいると考えることは、不愉快でもあり浅ましくもあるけれども、どうやらそれは事実なのである。」これが真理すぎて刺さった。人間を描いているなぁって感じ。
幸子姉ちゃんの人を一方向からじゃなく多方面から見てる感じがすごく好きだったのと、こいさんと雪子ちゃんの爪切りのシーンが美しかったのと、こいさんの良いように色々してあげてるのに好意を無碍にされてる気がする!って貞之助にぶうたれる幸子姉ちゃんが可愛いかった。その妻の顔を見た貞之助が小さい頃の姉妹喧嘩の時もこんな顔してたんだろうなって想い馳せちゃうの愛すぎるだろ!!この夫婦推せる!!!
こいさん中心だけど幸子姉ちゃんの物語でもあった。いよいよ下巻に進みます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ文中に出てきた「ビアズレエ」というのが何なのか分からず調べてみた。ヨハネの首を持ったサロメの絵が出てきた。オーブリー・ビアズリーという若くして亡くなった男性が描いた、オスカーワイルド著サロメの挿絵になったらしい。サロメは美しくも恐ろしい魔性の女として語られているし、フランス語で「お前の口に口づけしたよ」という言葉が記されていて、人魚の描写にはこれ以上ないくらいぴったりだと思った。終わり方が想像に任せる美しい締めで、この後貴公子と人魚がどうなったのか本当に最後まで知りたかった。この絵を知った後では口づけはしたのではないかと思った。商人の男が「気の毒に」と心配して去ったように、幸せとは言えないような残酷で美しい接吻だっただろう。
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購入済み
台所太平記
体験談に基づく随筆風小説。
単一版全集には載ってません。
惜しむらくはイラストが添付されていないこと、
中公版ではイラスト付きで、谷崎先生モデルの作家さんが何故かうさ耳の被り物をしている。
谷崎先生はウサギ歳ではない、聞き耳を立ててる様をうさ耳に表してる。
テキストはとても楽しい話、鹿児島県の西側を走りたくなる、
最南端は東側なので、東側は走ったことあるけど
007のロケ地とかあって風光明媚なのは西側らしい。
食い物もうまいそうです。
お好みで。 -
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谷崎潤一郎の『魔術師』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ17巻です。
ヨーロッパから遠く離れたどこか…東京のような都で仲良く歩く「私」と恋人でしたが、恋人が公園へのデートを提案したことで物語の歯車が回り始めます。
「私」は町に公園があることを知りませんでしたが、そこに人々を魅了する「魔術師」がいることを恋人が語りだします。
広場を抜けて魔術師の幻惑を求める群衆が集まる小屋へ入る二人。
生きた蛇の冠を頭に巻き、ローマ時代のトーガを身に着け、黄金のサンダルを穿いた魔術師がそこにいました。
男性なのか女性なのかわからない、両性の美しさを持つ魔術師に「私」は…。
不可思議で美しい純文学を不可思議で美しいイラストが彩り、世界観を更に色濃く描く良書です。 -
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原研哉さんの『白』という本を読んでいて出てきたので、気になって読んでみた。私には難しいかもしれないと危惧して、理解を助けてくれそうな大川裕弘さんの写真が随所に載っている、パイインターナショナルの版を選んだ。
個人的には、物心ついた時からヨーロッパが好きで、見るのは古い洋画ばかり、家具など、洋風のものが大好きだった。和風のものは、それなりに好きではあるが、洋風のものほどドキドキはしてこなかった。
この本は、日本人が、暗さの中で、全部を赤々と灯さず、明るめの清潔感が溢れる白に塗り固めず、暗さの中に少し障子から漏れる光によって作られる陰翳をいかに上手に捉えて情緒的に暮らしてきたか、文化を築いてきたかを礼讃している。
文章も繊細さを持ちながらもさっぱりとしていてわかりやすく、日本の文化の素晴らしさが自身の感覚に染み込んできた。写真とともに、素敵な一節が切り取られて再度載っているページがあり、ここ、良かったよなぁ、もう一回読めて嬉しいなぁ、と感動した。
ものすごく好きな写真が1枚あって、こういう暗さや空間が好きだなぁと惚れ惚れした。北海道の、あかん鶴雅別荘の写真だった。読み終わった後も、何度もそのページを開いてしまう。
ちょっと西洋の方が読んだら気を悪くするのでは…と心配になったが、これぞ芸術!という文章を楽しめた。
◯もし、あの陰鬱な室内に漆器というものがなかったなら、蝋燭や燈明の醸し出す怪しい光の夢の世界が、その灯のはためきが打っている夜の脈博が、どんなに魅力を減殺されることであろう。
◯畳の上に幾すじもの小川が流れ、池水が湛えられている如く、一つの灯影を此処彼処に捉えて、細く、かそけく、ちらちらと伝えながら、夜そのものに蒔絵をしたような綾を織り出す。
◯美は、物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える。
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Posted by ブクログ
ネタバレ⬛︎吉野葛
死別した母への愛慕から、母の郷里である奥吉野・国栖を訪ねるという津村に同行し、「私」は小説の材料を探して一帯を彷徨する。津村が母や吉野に対して寄せる思いについては、いくつかの印象的なモチーフ-狐・鼓・琴・紙漉きーを伴った伝聞として叙述される。津村は国栖で出会った遠戚の娘に母の面影を見出し、嫁に迎える決心をする。「私」の方は、結局小説を書けずじまいに終わる。
⬛︎盲目物語
織田信長の妹・お市の波乱の生涯を、盲目の奉公人による口述という形で描く。まず目を引くのは、ひらがなを多用した文体である。冒頭から「たんじょうは天文じゅう一ねん」というような表記があり、また同じ熟語について漢字表記・ひらがな表記が混在している場合もある。これによってどういう効果が得られているだろうか?漢字表記は一般的に公的・政治的あるいは男性的な印象を与える。ひらがなはそれと対照的な存在といえよう。本作の文脈で言えば、天下取りに明け暮れる武士=公とそれに翻弄される市井の個人という構図を連想できる。兄・織田信長の策謀を端緒として波乱の人生を歩むことになるお市もさることながら、奉公人の「わたくし」もまた、戦国の世の動乱に翻弄される存在であることを強く印象付ける効果があるのではないか。
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