谷崎潤一郎のレビュー一覧
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谷崎潤一郎の『魔術師』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ17巻です。
ヨーロッパから遠く離れたどこか…東京のような都で仲良く歩く「私」と恋人でしたが、恋人が公園へのデートを提案したことで物語の歯車が回り始めます。
「私」は町に公園があることを知りませんでしたが、そこに人々を魅了する「魔術師」がいることを恋人が語りだします。
広場を抜けて魔術師の幻惑を求める群衆が集まる小屋へ入る二人。
生きた蛇の冠を頭に巻き、ローマ時代のトーガを身に着け、黄金のサンダルを穿いた魔術師がそこにいました。
男性なのか女性なのかわからない、両性の美しさを持つ魔術師に「私」は…。
不可思議で美しい純文学を -
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原研哉さんの『白』という本を読んでいて出てきたので、気になって読んでみた。私には難しいかもしれないと危惧して、理解を助けてくれそうな大川裕弘さんの写真が随所に載っている、パイインターナショナルの版を選んだ。
個人的には、物心ついた時からヨーロッパが好きで、見るのは古い洋画ばかり、家具など、洋風のものが大好きだった。和風のものは、それなりに好きではあるが、洋風のものほどドキドキはしてこなかった。
この本は、日本人が、暗さの中で、全部を赤々と灯さず、明るめの清潔感が溢れる白に塗り固めず、暗さの中に少し障子から漏れる光によって作られる陰翳をいかに上手に捉えて情緒的に暮らしてきたか、文化を築 -
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変態作家の嚆矢、谷崎潤一郎の作品の中でも一、二だど思われる『痴人の愛』。とにかく、谷崎の作品は句点がなかなか無いので音読には向かず、学校の教科書には採用されない(いや〜、内容だろう原因は、笑)。
カフェで拾ってきた小娘ナオミを主人公譲治(じょうじ)は理想の女に育て、あわよくば将来の妻にしようと画策する。妖婦になったナオミはバタ臭い西洋女の風貌とその肌の白さゆえ蠱惑なのだ。「白」は谷崎にとってそれ自体がフェティッシュの一つである。より悪に磨きがかかったナオミの白い肌に慴伏し、完全に屈服する主人公は「ナオミは今年二十三で私は三十六になります」と言う一文で、小説は大団円。谷崎は『社会化したマゾヒズム -
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以前に刺青を読んで他の谷崎作品が気になっていたものの、当時の体調と文体の相性が良くなく断念していたものを、機会あってようやく読んだ。
全体として読点句読点がほとんどなく、何処で文章が切れるのかよくわからない部分も多く、読むのにやや苦労したが、記憶とは違い極度に漢文調になっているということもなく、先述の点での骨折りがあった他はすらすらと読めた。
刺青にあった艶めかしく暗い妖しさはこの作品にはなく、読んでいる最中はずっと「いつこれが暗転するのだろう」と思っていたが、とうとう刺青のような薄暗い情念のようなものは表れずに終わり、少し呆気に取られたのだが、読み終わって暫くの後、上手く言い表せないが胸の内 -
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ネタバレ⬛︎吉野葛
死別した母への愛慕から、母の郷里である奥吉野・国栖を訪ねるという津村に同行し、「私」は小説の材料を探して一帯を彷徨する。津村が母や吉野に対して寄せる思いについては、いくつかの印象的なモチーフ-狐・鼓・琴・紙漉きーを伴った伝聞として叙述される。津村は国栖で出会った遠戚の娘に母の面影を見出し、嫁に迎える決心をする。「私」の方は、結局小説を書けずじまいに終わる。
⬛︎盲目物語
織田信長の妹・お市の波乱の生涯を、盲目の奉公人による口述という形で描く。まず目を引くのは、ひらがなを多用した文体である。冒頭から「たんじょうは天文じゅう一ねん」というような表記があり、また同じ熟語について漢字表記
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