あらすじ
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人気シリーズ「乙女の本棚」第39弾は、文豪・谷崎潤一郎×イラストレーター・ねこ助のコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
私はむしろ人間よりも人魚の種属に堕落したい。
歓楽の絶頂を極め、なお新たな楽しみを求めつつもそれが手に入らない貴公子。あるとき彼は、珍しいものを扱う外国人に出会う。
谷崎潤一郎の名作が、書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどで美麗な人や獣を描き本シリーズでは『ルルとミミ』『鼠』『魚服記』『山月記』『赤とんぼ』を担当するイラストレーター・ねこ助によって描かれる。名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
感情タグBEST3
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文中に出てきた「ビアズレエ」というのが何なのか分からず調べてみた。ヨハネの首を持ったサロメの絵が出てきた。オーブリー・ビアズリーという若くして亡くなった男性が描いた、オスカーワイルド著サロメの挿絵になったらしい。サロメは美しくも恐ろしい魔性の女として語られているし、フランス語で「お前の口に口づけしたよ」という言葉が記されていて、人魚の描写にはこれ以上ないくらいぴったりだと思った。終わり方が想像に任せる美しい締めで、この後貴公子と人魚がどうなったのか本当に最後まで知りたかった。この絵を知った後では口づけはしたのではないかと思った。商人の男が「気の毒に」と心配して去ったように、幸せとは言えないような残酷で美しい接吻だっただろう。
Posted by ブクログ
7月30日は、谷崎潤一郎文学忌、潤一郎忌
1917年大正6年 雑誌「改造」初出
幻想と耽美の短編
富豪の若き貴公子――南京随一の美男子。
両親の死後、莫大な財産を背景に放蕩にふけり、美貌を武器に美女を漁る日々。
あらゆる快楽に飽き果てたころ、ヨーロッパから来た人魚に心奪われる。
水槽越しに募る恋情。
ついには人魚の種族に堕ち、自らも異形となることを願うように。
しかし人魚は、西洋の海を恋い慕う。
その願いを叶えようとする貴公子――
彼もまた、人魚とともに西洋へと旅立っていく
イラストはねこ助さん。耽美な物語に添えられた繊細なイラストが、世界観を一層引き立てていました。ただ、個人的にはもう少し大人びた二人の描写でも良かったかな、とも感じました。それでも、人魚と貴公子の儚くも幻想的な恋を彩るには、あのタッチもまたひとつの解釈なのかもしれません。
Posted by ブクログ
乙女の本棚。イラストと物語両方に、耽美、退廃、がかなり濃厚に詰まっております。
美しいものが美しいものを求めるのは世の常なのでしょうか。
甘ったるぅぅぅい悪い酒を飲まされたような後味。
良い酒でないから残る、残る。
2025.1.19
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Posted by ブクログ
真珠のような美しい人魚と、両親を亡くし全てを手に入れ人生の楽しみを見失った美しい貴公子の少し切ない大人のお伽噺。
由緒ある格式高い家門、若く美しい容姿、国中の美味い酒、彼に身を寄せる美しい女達。
目も眩むような報酬を求め、様々な人間が貢物を持って行くが彼が気に入ることはなかった。
貴公子は豊富な知識で口が達者な商人たちの贋作までも見抜いていくが、そんな中で珍しく一人の異質なオランダ人に大層釘付けになる。
人の目を惹きつけるオランダ人は、貴公子に大変珍しい美しい人魚を連れてきた。
たくさんの人がこの人魚を欲しがったが、対価がかなり高額なためもうあなたしか手に入れることはできないだろう。
信じられない位高価な対価を支払い、貴公子は人魚を手に入れるが。。。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ。
生まれながらに巨万の富、才知、美貌を持ち、それ故に満たされない心を持った貴公子のお話。
タイトルの人魚は後半にやっと登場します。人魚の描写が印象的で、人のようで違う、迫力のある美しさである事が伝わってきました。難しい言葉遣いの作品でしたが、どういったラストになるのか気になって、一気に読んでしまいました。貴公子の心の渇きは癒えたのか…気になります。
儚げなイラストとピッタリ合っている、素敵な一冊でした。
Posted by ブクログ
谷崎潤一郎氏の描写はこれでもかっというぐらいたくさんの日本語で溢れている。全然意味が分からない言葉も妖艶に見えてくるし、長い文章でも続きが気になる。が今回は終わりがあっという言葉が出てくるぐらい幕が閉じた感覚になった。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。
うん、これは乙女の本棚向きの小説だな。
イラストも内容に合っている。貴公子がちょっと若すぎる感じはするが。
人魚の下半身がいやに長いなと思っていたら、ああ、そういうことだったのね。納得。
谷崎版人魚姫はこうなるのね。
Posted by ブクログ
無尽蔵な財産、世にも珍しい美貌と才智とを持ち合わせていた孟世燾。美への執着が凄まじい。酒池肉林の宴に飽き足らず、人魚に恋する。傲慢だった孟世燾が人魚の前では赤子のようだ。西洋文化に圧倒されるのが滑稽だ。ねこ助のイラストがベストマッチ。
Posted by ブクログ
話としては、まず、語彙力と言葉の選び方がすごい。
前半、すべてを手にした貴公子のつまらない日々について書かれていて「人魚全然出てこない…」って思ってたら、中盤、謎の魅力的なオランダ商人が人魚を売りにやってくる。
オランダ商人から人魚を買ったあと、怒涛のスピードで人魚を地中海に返して物語が終わる。
作者は途中で書くの飽きたのかな、と思うぐらい人魚と貴公子の生活ストーリーがほぼなかった。あと、七人の絶世の美女たちの特徴について、最初の4人ぐらいはちゃんと書いてるのに、3人ぐらい端折っててちょっと笑った。
人魚が本当に貴公子のことを恋しく思ってたとは思えず、上手く騙して地中海に帰ったんだと思うけど、結果、貴公子は行ってみたかったヨーロッパに行けることになったし、Win-Winな感じで終わったのは良かった。
最後、貴公子は人魚を手放したことを嘆いてる感じしないし。
人魚とオランダ商人の関係はどうなんだろうと思う。別れを惜しむ感じしてたけど、人魚としては自分を捕まえて売る悪い人のはず。二人はぐるだったとは思う。読解力ある人は全部わかるのかもだけど、一昔前の小説って全てを語らない手法(?)で読者を引き込みますね。
実際に金持ちが風俗嬢を高値で水揚げしたのに逃げられた、みたいな話を元に書いたのではないかと私は思います。笑
絵について、全てがとてもきれい。
裸体の人魚が性的でなく神秘的で、水彩画みたいな淡い色合いが上手なねこ助先生が描いてくださったのは大正解だなと。
貴公子がダウナー系な見た目なのは最近っぽいなと思ったし、オランダ商人の背景にはやはりチューリップがあった。
Posted by ブクログ
中央公論新社版で読んでいるもの。現代の若者向けの美麗なイラストを添えたシリーズで。このイラストも素敵だけど、中央公論新社版の水島爾保布さんのイラストの方が原作の纏う雰囲気をあらわしててよかったかな。現代の子にはこちらの方が受けそうだけど。
Posted by ブクログ
勝手知ったる自分の文化圏の贅沢に飽きた主人公が、未知で慣れない異国と異形に触れた瞬間、途端にその表現が精緻に活き活きとしてくる。
慣れすぎて辟易すらする自国の美女の媚態や宝物のきらびやかさよりも、得体の知れない人魚の容姿、肌の冷たさが細かく美しく描かれている。
パッと見知らぬものへの興味、興奮で視界が広がる主人公と同じ感覚を味わえるような文章。
しかし、その行く末は、何だか恐ろしい気がする。
ある世界で巨万の富をもち、称えられる美貌や若さをもっていたとしても、世界が変わった途端に唾棄される存在に変わる。
極東から、白人が多数派の欧州。
そのきっかけが人に破滅をもたらすとも噂される人魚。美しく儚い恋物語か、そのさきの暗雲か。
オランダ人商人のいうライン川上流のそれは、歌で人を誘い破滅させるローレライのことだろう。
ねこ助さんのイラストは毎回かわいいが、今回はかわいいながらも妖艶。人魚の肢体の描き方が実にいい!
Posted by ブクログ
巨万の富を手にして地上の美味と美色とに飽き、支那の国でひたすらの退屈を持て余した、孟世燾という名の貴公子。
噂を聞きつけた阿蘭陀人が、そんな彼のもとに連れてきたのは遠い熱帯の海で生き捕らえてきたという、世にも艶やかに照り輝く眩しさの人魚。
「私は此れ迄、心私かに自分の博い学識と見聞とを誇っていた。昔から嘗て地上に在ったものなら、いかに貴い生き物でも、いかに珍らしい宝物でも、私が知らないということはなかった。しかし私はまだこれ程美しい物が、水の底に生きていようとは、夢にも想像したことがない。私が阿片に酔っている時、いつも眼の前へ織り出される幻覚の世界にさえも、この幽婉な人魚に優る怪物は住んでいない。恐らく私は、人魚の値段が今支払った代価の倍額であろうとも、きっとお前からその売り物を買い取っただろう。………」
「………私は地上の人間に生れることが、この世の中での一番仕合わせな運命だと思っていた。けれども大洋の水の底に、かくまで微妙な生き物の住む不思議な世界があるならば、私はむしろ人間よりも人魚の種属に堕落したい。あの瑰麗な鱗の衣を腰に纏うて、このような海の美女と、永劫の恋を楽しみたい。―――この美女の涼しい眸や、濃い黒髪や、雪白の肌に比べると、私の座右に仕えている七人の妾たちは、まあ何という醜い、卑しい姿を持っているのだろう。何というか平凡な、古臭い容子をしているのだろう。」
久方ぶりの有頂天の歓喜と恋心に打ち震えて涙する貴公子の様子と、人魚の描写がとても幻想的だった。
この時代の作品には差別用語がばんばん使われてて痺れるねぇ。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、谷崎潤一郎さんとねこ助さんのコラボ作品『人魚の嘆き』です。ねこ助さんのイラストは、息を飲むほど素敵…繊細で緻密、そしてどこか怪しげな印象です。
ストーリーは、家柄もよく巨万の富を手に入れた上に、容姿にも恵まれ博識でもある中国南京の貴公子が主人公です(天は二物を与えずとは言いますが、二物どころではないですよねぇ…)。世の贅沢を味わいつくした貴公子、やがてそれが魅力的なこととは感じられなくなってしまいます。そんな時、人魚を伴ったオランダ人の商人が貴公子の元を訪れます。法外とも言える対価で人魚を手にいれた貴公子は…。
なんとも、読みにくい!!読めない漢字ばかり…多分こう読むんじゃないかなぁ~と予想しながら、予想もつかない場合は、とばして(汗)!!本当は調べなきゃならないのかもですが…まぁ、自分がよければそれでいい!と自己肯定しながら読みました。読後は、儚くも切ない気持ちでいっぱいになりました。
Posted by ブクログ
絵的に不穏な物語か?と思ってましたが、美しくて切ない物語だった。
美しい姿の人魚を人魚が神に呪われた(私の感じたこと)と思っていたのはとても印象的。
美しいは人間の感情であって美しいとされる人魚はそうでもないんだなと…。
Posted by ブクログ
はい30オネエです
コンプリート間近です
潤一郎です
ほんと潤一郎にしか書けない文章だな〜って思いました
まず漢字がムズい(いや絶対そこじゃないだろ)
読めない漢字多すぎないか潤一郎よ
なんとなく音は想像つくけど意味がさっぱりわからん熟語とか多すぎないか潤一郎よ
あれか?ちょっとした意地悪か?
それとも当時の読者はみな難なく読めたんか?
難なく意味も分かったのか?
いや、絶対そんなわけないね
絶対読めない人が多数いたはずだね
絶対なんて読むの?って聞かれて早口でゴニョゴニョって言って誤魔化した人が多数いたはずだね
くそう潤一郎め!インテリぶりやがって
でもなんかね
何だかその読めない漢字とひらがなのね羅列が美しいのよね
美しい文章なのよ視覚的に(え?何を言うてますの?)
画像として目に飛びこんでくる文章が美しいのよね
いや多分潤一郎側もそんなん言われて困るだろうけど、そう感じてしまったのでしょうがないよね
そしてねこ助さんのイラスト…素晴らしいんだけど、どう見ても貴公子が中国人の顔じゃないw