【感想・ネタバレ】人魚の嘆き(乙女の本棚)のレビュー

あらすじ

※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

人気シリーズ「乙女の本棚」第39弾は、文豪・谷崎潤一郎×イラストレーター・ねこ助のコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

私はむしろ人間よりも人魚の種属に堕落したい。

歓楽の絶頂を極め、なお新たな楽しみを求めつつもそれが手に入らない貴公子。あるとき彼は、珍しいものを扱う外国人に出会う。

谷崎潤一郎の名作が、書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどで美麗な人や獣を描き本シリーズでは『ルルとミミ』『鼠』『魚服記』『山月記』『赤とんぼ』を担当するイラストレーター・ねこ助によって描かれる。名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

文中に出てきた「ビアズレエ」というのが何なのか分からず調べてみた。ヨハネの首を持ったサロメの絵が出てきた。オーブリー・ビアズリーという若くして亡くなった男性が描いた、オスカーワイルド著サロメの挿絵になったらしい。サロメは美しくも恐ろしい魔性の女として語られているし、フランス語で「お前の口に口づけしたよ」という言葉が記されていて、人魚の描写にはこれ以上ないくらいぴったりだと思った。終わり方が想像に任せる美しい締めで、この後貴公子と人魚がどうなったのか本当に最後まで知りたかった。この絵を知った後では口づけはしたのではないかと思った。商人の男が「気の毒に」と心配して去ったように、幸せとは言えないような残酷で美しい接吻だっただろう。

0
2025年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話としては、まず、語彙力と言葉の選び方がすごい。
前半、すべてを手にした貴公子のつまらない日々について書かれていて「人魚全然出てこない…」って思ってたら、中盤、謎の魅力的なオランダ商人が人魚を売りにやってくる。
オランダ商人から人魚を買ったあと、怒涛のスピードで人魚を地中海に返して物語が終わる。
者は途中で書くの飽きたのかな、と思うぐらい人魚と貴公子の生活ストーリーがほぼなかった。あと、七人の絶世の美女たちの特徴について、最初の4人ぐらいはちゃんと書いてるのに、3人ぐらい端折っててちょっと笑った。
人魚が本当に貴公子のことを恋しく思ってたとは思えず、上手く騙して地中海に帰ったんだと思うけど、結果、貴公子は行ってみたかったヨーロッパに行けることになったし、Win-Winな感じで終わったのは良かった。
最後、貴公子は人魚を手放したことを嘆いてる感じしないし。
人魚とオランダ商人の関係はどうなんだろうと思う。別れを惜しむ感じしてたけど、人魚としては自分を捕まえて売る悪い人のはず。二人はぐるだったとは思う。読解力ある人は全部わかるのかもだけど、一昔前の小説って全てを語らない手法(?)で読者を引き込みますね。
実際に金持ちが風俗嬢を高値で水揚げしたのに逃げられた、みたいな話を元に書いたのではないかと私は思います。笑

絵について、全てがとてもきれい。
裸体の人魚が性的でなく神秘的で、水彩画みたいな淡い色合いが上手なねこ助先生が描いてくださったのは大正解だなと。
貴公子がダウナー系な見た目なのは最近っぽいなと思ったし、オランダ商人の背景にはやはりチューリップがあった。

0
2024年11月22日

「小説」ランキング