谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 細雪(中)

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    鶴子一家は東京へ栄転する、台風大水の被害で建物は被害を受ける、おさく師匠は亡くなる、隣人家族は独逸へ帰る、四季折々と仲の良い姉妹はそのままに、時勢と併せて彼女たちを取り巻く状況は変化していく。
    結局、雪子と妙子のお嫁騒動の話題しか書かれてないのだけれど。展開も面白いし、日本の文化情緒と時代性を捉えつつ言葉遣いも巧みで流れるように読める名文。

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    2019年07月06日
  • 猫と庄造と二人のをんな

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     猫リリーと庄造と品子(前妻)と福子(後妻)。それに庄造の母おりんが絡むのだが、猫の動きの描写が実に素晴らしい。隷属を好まずしかし愛玩される猫の振る舞いの数々、愛猫家にはたまらない一冊であろう。甲斐性なしの庄造の愛情が人間の妻よりもはるかに猫にばっかり向いていることを、2人のおんなそれぞれが嫉妬したため、前婚も後婚もうまくいっていないのだが、それでもなお猫に振り回される庄造と、そして嫌っていたはずなのにいつの間にか猫を大好きになってしまった前妻と、相変わらず癇癪もちで夫に厳しくあたる後妻の、それぞれが織りなす関西弁がユーモラス。
     登場人物に谷崎特有の色気は全くなく、専ら猫に色気が集中している

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    2019年07月05日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    期待以上の面白さ!谷崎文学らしい艶かしさもあるし、ミステリー要素もばっちり体験できる。うーん、好きだ。

    全作品魅力的だけど、しいて一番を選ぶなら『私』かな。
    一言で言ってしまえは、読者=私=…なところにトリック要素があるんだけどそのプロットがさらに狂気を醸し出してる。昭和の文学だけど、文章も読みやすいし。次は長編に再チャレンジしようかな。。

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    2019年03月17日
  • 夢の浮橋

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    テイストは、『鍵』や『老人瘋癲日記』に近い。いかにも谷崎すぎて、ちょっとやりすぎでは、とも思うが、谷崎的なものを求めて読み始めた者にとっては、期待を裏切らない作品である。

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    2019年02月25日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    谷崎潤一郎、おもしろい!
    一気に引き込まれてしまいました。
    短編4作品。秀作揃いに唸らされます。
    大正時代の風情が趣深い。
    オススメの一冊です。

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    2019年02月11日
  • 卍(まんじ)

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    ネタバレ

    昼ドラのように人間関係がめちゃくちゃドロドロしていて抜群におもしろい。唯一マトモそうに見えた柿内幸太郎すら、なんと最終的には徳光光子と関係をもつに至る。とにかく、登場人物の誰ひとりとしてマトモな者はおらず、全員が異常者である。しかし、本作の真に恐ろしい部分は、その登場人物が展開する愛憎劇それ自体ではなく、果たしていったいなにが真相であるのかよくわからないところである。ラスト・シーンで園子の独白によって明かされるところによれば、園子と幸太郎と光子は3人で心中を試み、園子だけが生き延びたという。しかし、そこに至るまでの過程において、まるでオセロのように、セクションごとに展開が一転また一転とすぐに変

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    2018年10月14日
  • 吉野葛・盲目物語

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    吉野葛:伝承や伝説に満ちた大和国吉野を舞台に、母への思慕を美しく描く。
    盲目物語:お市の方に仕えた盲目の法師の回顧談という形で、物語が展開される。哀しくも美しい。哀切が心に沁みる。

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    2018年10月08日
  • 細雪(中)

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    細雪を読んでいる間中、ずっと不思議だったのですが、どうして、延々とひとつの家庭の毎日を眺めるだけなのがこんなに面白いのでしょうか。さすが文豪。

    上巻のときに、もしや…と思っていたことが本当になりました。4人姉妹(といっても長女はほとんど出てきませんが)の中だったら妙子が結構好きだなーと思ってたのですが、前言撤回です。身内にさえ秘密主義というか、腹黒いというか、どこか信用のおけない感じが苦手です。

    逆に、上巻ではなにを考えているのか全然だった雪子が、中巻だと少しだけその心理を吐露してくれて、意外と男前だなという印象に。

    妙子は、自称サバサバ系というか、内心がすごくドロドロしているのが苦手な

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    2018年09月30日
  • 細雪(中)

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    中巻。昭和13年7月3~5日の阪神大水害にはじまる。細かな描写。「海のよう」だったらしい。読むだけで怖い。
    その大水害で妙子を助けた板倉と妙子の恋愛の結末。
    相変わらずの安定した物語力。
    谷崎の描く「蒔岡家」という一家を見つめ続けることで、「家」というものがどのようなものなのか、感じられるような気がする。

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    2018年07月01日
  • 細雪(中)

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     中巻では、隣に住んでいたドイツ人が帰国するなど、戦争の跫音が次第に大きくなってくる。もっとも、蒔岡家は世間に比べればその影響は決して大きくないように見え、それでいて後に崩壊することが予期されるような不思議な穏やかさを纏った生活が描かれている。季節ごとの風流な行事も鮮やかで、起きている事件の哀しさや激しさと不思議な共存を成し遂げている。

     そんな中でも一番の事件は四女妙子と写真家板倉の悲恋だろう。板倉は家柄が悪いために、三女幸子は二人の交際を快くは思うことができない。『ロミオとジュリエット』のように(・・・といっても未だに読んだことがないのだけれど)、読者は「身分違いの恋」=応援したくなる存

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    2018年01月27日
  • 猫と庄造と二人のをんな

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    完全な犬派で猫に興味の「き」の字もない人間でも、この小説に書かれている猫の愛嬌が悶絶してしまうぐらい伝わってくる。自分に心の相棒がいる人間には心苦しいほど訴えて来る物語だと思う。

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    2017年09月24日
  • 少将滋幹の母

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    ネタバレ

    時平が国常の妻を奪う強烈でドラマチックなハイライトシーン、平中が侍従の君の機知に富んだ嫌がらせで袖にされるさま、国常が妻を想う執念、名場面がいくつかあるけれど、やっぱりラストの滋幹の「お母さま!」に尽きる。
    平中、時平、国常、焦点を当てて語られる人物はあくまでも脇役、滋幹ですら主役ではなく、「母を恋い慕う子の叫び」が主役の本なのだと思った。

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    2017年07月01日
  • 谷崎潤一郎

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    谷崎潤一郎氏の著作をたぶん読んだことがありませんでした。
    文章の量・一文に含まれる単語の量が多く、なかなか
    読むのが辛いところもあるのですが、読み進めていくと
    のめりこんで、面白く読み進められていく内容でした。
    『乱菊物語』は、やはり続きが読みたくなります。
    エンターテイメント性が高く、非常に面白い内容です。
    『吉野葛』『蘆刈』は、谷崎氏の女性感みたいなものが
    わかるような気がします。

    収録されているものすべてにおいて、物語性がすごく
    濃い内容で面白いと思います。
    細雪なども読んでみようかと思いました。

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    2017年01月21日
  • 谷崎潤一郎

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    ネタバレ

    何といっても「乱菊物語」の面白さに尽きる。これほど面白いと思った小説はあまりないと感じたほどだ。前編で唐突に終わってしなっているにも関わらず、である。

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    2016年08月13日
  • 少将滋幹の母

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    ネタバレ

    のめりこんで読んだ。
    人を忘れられないのは苦しい。不浄観も苦しい。
    国経と滋幹の帰り道の場面がいい。
    最後の再会場面もいい。

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    2017年01月10日
  • 陰翳礼讃

    購入済み

    いつ読んでも…

    いつ読んでも飽きない。和紙を眺めるときのように心が和むし、示唆に富んでいて、読みながら様々なことに思いを馳せらせてしまう。私ごときが言うまでもないことですが、名著です。

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    2016年02月11日
  • 猫と庄造と二人のをんな

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    猫が家族な人、家族にしたいけどできない人…もうとにかく猫が好きな人!みんな読むべし!猫の描写がたまらん!猫とのやり取りがたまらん!これは猫が大好きで猫をよーく観察している、そして猫を愛でている人にしか書けない本だ。心当たりがあり過ぎるセリフにクスクスどころか、大笑い。いつの時代もどこの家も同じことしてるんだなぁ。個人的に飼い猫の名前がリリーなのが我が家のリリーと重ねて読めて更に面白かった。元は打算があったにせよ、最後に品子がリリーに傾倒していくのが、これぞ猫の持つ魔力のような魅力なんだよな…と。意外と知られてない作品のようで残念。書店にて「猫」に関する本の特集をしていた中から見つけた。こういっ

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    2017年04月15日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    ドMを文学に昇華した谷崎潤一郎は偉い!
    マゾヒストは一種の演じ手であると語っているあたり、そうだなぁと深く共感するし、空想を伴うこの行為が作家にいい刺激を与えたに違いない。
    特に好きなのは「幇間」「日本に於けるクリップン事件」の2つ。女性に虐げられたい男の快楽と真のマゾヒストの心理を語っている物語に、谷崎のマゾヒスト的考え方、空想の楽しさを垣間見れて、なんだか嬉しくなった。
    そして最後にみうらじゅん氏の鑑賞がある。共感するところが多々あるので、やっぱり私は変態かもしれない。

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    2015年10月03日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    美しい。
    フェティシズムって誰のなかにでもあるんじゃないだろうか?そして、フェティシズムにうっすらと隣接しているのはサディズムでありマゾヒズムである。
    堂々と美しく人間の変態性を書く谷崎先生に好感をもつ。きっと妄想が好きなんだろうな。小説家故当たり前なんだろうけど、妄想と変態性が谷崎先生に活力を与えている気がする。わかる!とちょっと叫びたくなる箇所がいくつか。
    読んでいて、現在恋をしている相手の姿が脳裏をかすめる。髪とか身体とか、気の強さとか。
    私は足への執着は特にないし、あんなにも怪しい経験をしたことはおそらくないのだけれど、共感するところが多々あって、我ながら危険だと思う。
    強いて言えば『

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    2015年09月27日
  • 陰翳礼讃

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    薄い本です。後半に入っている、他愛もない掌篇のいくつかが、僕は一番好きでした。­
    軽くてふわふわ、何のムツカシサも無く、のどごしまろやか爽やかで。薄味で腹に貯まら­ぬ胃にやさしい。
    肩の力も腰くだけな脱力感の中に、ほのめいた品位。群れない孤高と、「へ~なるほど」­と。何ともくだらなおかしいユーモアだなあ、と思っていたら読み終わる。
    読むたびに心地いい谷崎潤一郎さん。そしてこの本を作った編集者さんに、パチパチ。­
    #############­
    谷崎潤一郎さんの、まあ、エッセイ集です。­
    無論の事、最近になっていろいろな掌編を集めて作った本ですから、編集具合は谷崎さん­本人はあずかり知らぬことでし

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    2015年08月20日