谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 猫と庄造と二人のおんな

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    飼い猫を溺愛している庄造、気性の激しい若妻福子、元夫に未練たっぷりの先妻品子の三人が織りなす大谷崎中期の中編小説。物語の鍵となるのは雌猫のリリー。ペルシャ猫の血が入った彼女の愛らしさと主人公の溺愛っぷりが本書の読みどころの一つである。二人の女のそれぞれの思惑でリリーは品子に譲渡されることに。気風の良い母親おりんと嫉妬深い福子に頭が上がらない庄造は愛猫恋しさに懊悩する。
    谷崎特有のマゾヒズムの影も見えつつユーモアに溢れ、猫好きは勿論、犬派やハムスター派にもお勧めの軽やかな一冊。

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    2023年04月27日
  • 卍(まんじ)

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    谷崎潤一郎作品の山に踏み入ろうと思い、かなり過去に読んだ、短編集の刺青に続いて。女性の魔性を描く、というスタイルは一貫していて、その魔性をもってして、周囲の社会的ゲシュタルトが溶解していくのだが、この溶解されゆく感じ、こそがマゾヒズムの真骨頂だと思いました。ゆえにして、肉体的ではなく、それさえ生温いゲシュタルトの内にある低次元な快楽でしかないと告げるように、飽くまで精神的耽溺、一種の麻薬的プラトニックラブが称揚されている。谷崎イズ谷崎。ドープでした。

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    2023年04月22日
  • 台所太平記

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    111108さんのレビューが読むきっかけになりました。ありがとうございました。
    谷崎万華鏡で予習していたので、山口晃さんの挿絵が随所に散りばめられて登場人物のキャラの理解に役立つ。「編集部が抜粋し、再編成」とある。小説家の被り物が見慣れると違和感ないのは何故。
    「家の中が派手で賑やかな方が好きな」千倉家一家と個性的な女中の皆さんとの戦前戦後の様子を生き生きと描かれている。女中さんたち、なんとまあしっかりしていること。
    どの女中さんも愛嬌があってチャーミング。料理の場面は本当に美味しそう。百合の愛読書を『谷崎源氏』としているのには笑ってしまった。臙脂の着物を着た鈴の美しさやブルーのモヘアのカーデ

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    2023年04月08日
  • 刺青・秘密

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    何とも言えない妖艶な物語、風情ある文章が素敵。

    物語が進むにつれ、心情の変化が言葉巧みに書かれているので、自分の思いを上手く文章にできない私としては、さすが上手いな、見事だと敬服。

    作家はこうでなきゃ!

    全部良かったが、敢えていうなら『秘密』『刺青』だな。

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    2023年03月22日
  • 細雪(下)

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    いわれてみれば源氏物語のような詫び・さび・いとをかしの世界を感じさせるような、登場人物のきめ細やかな心情描写がすばらしい。最後の30頁くらいで事態が一気に急展開した。少し衝撃だった。

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    2023年02月25日
  • 刺青・秘密

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    圧倒的文才は変態すら芸術に変える

    内容はかなり変態的だが、不朽の名作して残っているのは、美しい文章のおかげだと思った。

    美しい文章を書くにはやはり知性や自分の感覚を磨く必要がある。

    勉強の大切さを痛感した。


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    2023年02月14日
  • 細雪(上)

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    ネタバレ

    控えめに言ってこれは日本文学の最高傑作です。谷崎は痴人の愛から入り、春琴抄、鍵、刺青、秘密等の短編など、学生時代に読み漁ってきましたが、この細雪は長いことを理由にずっと見て見ぬ振りをしていました。が、幸いにも仕事上の都合で余暇時間が少しできたので、せっかくなら集中して谷崎の大長編に浸ろうとしたのであります。
    上巻の半分ほどページを捲ったところでしょうか、その頃にはもう谷崎の世界にどっぷりと浸かっており、肝心の仕事が手につかないほど頭を支配されてしまっているのでした。これは文学作品を嗜んでいるとよくあることで、頭が作品世界に引き込まれてしまい、ひどく現実が生きづらいよう感じてしまう、そういう悪魔

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    2023年01月28日
  • 鍵・瘋癲老人日記

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    〈瘋癲老人日記〉老人が主人公なのに飽きさせない、むしろ老人が主人公だからこそおもしろい!だからといって奇想天外でなくって真に迫るリアル感。これがホントの大人な小説だね。やはり谷崎潤一郎恐るべし…

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    2023年01月26日
  • 陰翳礼讃

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    私はこの書を読んで気づけなかった日本の美しさを知り、古典的な考え、便利になりすぎない考えを私は自分の人生の中で大切にしたいと思った。日常のあれこれから陰翳を見つけられたらステキですね

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    2023年01月17日
  • 白昼鬼語~探偵くらぶ~

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    大満足でした。
    芥川龍之介に引き続き、手に取ったけれど日下三蔵氏の編集はとても好きですね。
    妖しくて刺激的。
    マゾヒストが罪人や悪に染まるタイプの小説が谷崎の中で個人的に好きなのですが、全く理解出来ない展開でしたが「日本に於けるクリップン事件」を読んで合点がいきました。
    実に谷崎らしく、グレーの一番ハラハラする展開の描写の技量がとてもスリリングで読ませる感じ、良いですね。
    「人面疽」なんて不気味で怖い、もはやホラー。
    「刺青」を読んで以来、谷崎文学の大ファンになりましたが、こんなものも書いていたのかと驚いたしますます好きになりました。
    期待以上の一冊です。

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    2023年01月14日
  • 谷崎潤一郎 電子全集1

    匿名

    購入済み

    よい

    かなり好きな作家の谷崎潤一郎が読める。
    収録作品も多く谷崎ワールドを堪能できるこの値段でこれはすごすぎます。

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    2023年01月12日
  • 春琴抄

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    あるべき所に句読点のない特異な文章はかなり読みづらいが作者独自の文章のリズムのようなものがあり、句読点のある所まで一つの流れになっているのだと考えて読み続けると少しづつ慣れてくる。春琴と佐助の墓を訪れる所から始まり、時代を遡って二人の生い立ち、出会いそして別れと、3人称の視点で人生を追っていく構成は、二人の間に起こったことを具体的には書かず、読者に想像させる余地を残しつつ興味を引っ張っていき最後まで飽きさせない。文章の長さも丁度良く、点数をつけるとしたら限りなく百点に近い芸術の一つだと感じた。

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    2023年01月08日
  • 春琴抄

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    谷崎潤一郎特有のの美しい文体を堪能できる作品です。歪んだ愛、と言いたいところですが、彼らにとってはあれこそが清純な愛の形だったのでしょう。

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    2023年01月02日
  • 秘密(乙女の本棚)

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    耽美派などの作品をイラストとテキストにより表現した作品群らしい。テキスト入りの画集を見ているような雰囲気がある。イラストもきれいなのときちんとテキストを踏まえた作品になっており良い内容だと思う。

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    2022年11月29日
  • 細雪(下)

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    三巻本の最終巻。
    良家の男との縁談が決まった三女、バーテンと暮らす四女。
    それぞれの人生模様が繊細な筆致のもとに描き出される。
    そして、すっと息を吐くように小説は幕を閉じる。

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    2022年11月03日
  • 細雪(中)

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    上・中・下、三巻本の中巻。
    戦争の影の忍び寄る中、四季折々の暮らしを営む姉妹。
    大水害に遭うといった苦難もありながら、彼女たちの日々は続いてゆく。

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    2022年11月03日
  • 細雪(上)

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    蒔岡家の四姉妹が生きた戦前の関西での日々。
    なかなかまとまらない三女の縁談など、静穏な暮らしの中での出来事が流麗な文体で綴られる。

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    2022年11月03日
  • 細雪(上)

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    文庫版、上中下合わせて1000p超
    ドラマの脚本の様な淡々とした筆致でここまで読ませられるのかと驚愕。
    描写が美しい、言葉が美しい作家は巷に溢れているが、なにより本作は、というより谷崎は日本語が美しい。
    特にこの『細雪』は谷崎の到達点だと感じる。

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    2022年10月19日
  • 刺青・秘密

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    ネタバレ

    "当時の芝居でも草双紙でも、すべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった。誰も彼も挙って美しからんと努めた揚句は、天稟の体へ絵の具を注ぎ込む迄になった。芳烈な、或いは絢爛な、線と色とがその頃の人々の肌に躍った(『刺青』より、p.8)"

     少し前に谷崎潤一郎の本のレビューを拝見し、僕も何か読みたいと思い積読本の中から引っ張り出してきた。谷崎の初期の短編7作を収録。

    『刺青』
     谷崎の処女作であり、代表作の一つ。娘を眠らせその背に刺青を彫ることで己の嗜虐性を満たす清吉だが、その裏には「美しい女の前に身を投げ出し、その足に踏みつけにされたい」という欲望が隠れているように思

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    2024年11月25日
  • 新装版 細雪 上

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    少し前の日本は恋の延長戦に結婚があるのではなく、家の発展や今後の過程が、どのくらいうまく行くのかという、極めて現実的な側面を重要視していて、それが愛を作り出していたのかなぁと思った。もちろん恋愛結婚もあっただろうが、まだ家柄や結婚の順番に縛られたり、体裁が重要視されていることに、少し歯痒さを感じた。

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    2022年09月28日