谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 細雪(上)

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    蒔岡家の四姉妹が生きた戦前の関西での日々。
    なかなかまとまらない三女の縁談など、静穏な暮らしの中での出来事が流麗な文体で綴られる。

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    2022年11月03日
  • 細雪(上)

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    文庫版、上中下合わせて1000p超
    ドラマの脚本の様な淡々とした筆致でここまで読ませられるのかと驚愕。
    描写が美しい、言葉が美しい作家は巷に溢れているが、なにより本作は、というより谷崎は日本語が美しい。
    特にこの『細雪』は谷崎の到達点だと感じる。

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    2022年10月19日
  • 陰翳礼讃

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    厠や紙、皿、食、建築などた私たちの生活必需品を例に挙げながら、今は失われた日本の伝統的な美的感覚を考察した本。
    坂口安吾の日本文化私観もだけど、批判的で共感性のある文章はおもしろい!

    私はすっかり近代化の暮らしに馴染んでしまって、例に挙げる厠や能などの美しさをイメージしづらかったが(だから近々能楽堂や歴史的建造物に足を運ぶ)、日本人は陰翳を好むという主張に共感した。

    「美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える」

    つまり、調和のとれた空間や関係性が日本の伝統的な美的感覚なのだ。
    目にはみえずハッキリとしない、もどかしい感じ。その雰囲気の中で個と個の間に

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    2022年10月07日
  • 刺青・秘密

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    ネタバレ

    "当時の芝居でも草双紙でも、すべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった。誰も彼も挙って美しからんと努めた揚句は、天稟の体へ絵の具を注ぎ込む迄になった。芳烈な、或いは絢爛な、線と色とがその頃の人々の肌に躍った(『刺青』より、p.8)"

     少し前に谷崎潤一郎の本のレビューを拝見し、僕も何か読みたいと思い積読本の中から引っ張り出してきた。谷崎の初期の短編7作を収録。

    『刺青』
     谷崎の処女作であり、代表作の一つ。娘を眠らせその背に刺青を彫ることで己の嗜虐性を満たす清吉だが、その裏には「美しい女の前に身を投げ出し、その足に踏みつけにされたい」という欲望が隠れているように思

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    2022年09月28日
  • 新装版 細雪 上

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    少し前の日本は恋の延長戦に結婚があるのではなく、家の発展や今後の過程が、どのくらいうまく行くのかという、極めて現実的な側面を重要視していて、それが愛を作り出していたのかなぁと思った。もちろん恋愛結婚もあっただろうが、まだ家柄や結婚の順番に縛られたり、体裁が重要視されていることに、少し歯痒さを感じた。

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    2022年09月28日
  • 鍵・瘋癲老人日記

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    『鍵』はマゾヒズム度を究極まで高めたパワーアップ版『痴人の愛』といった趣き。日記を介した夫婦の駆け引き、騙し合い、サスペンス的展開に興奮させられっぱなしだった。

    『瘋癲老人日記』は脚フェチエロじじいの開き直り具合が最高。周りの人たちがみんな割と常識人で「こいつ何言ってんだキモ」みたいな態度で老人に接しているのがなんか新鮮だった(谷崎の変態小説の登場人物はみんなどこかしら変態で、積極的に物語の進行に関与しているってパターンが多いので)。

    平安期の古典を題材にした『少将滋幹の母』を除いては、谷崎が戦後に書いた作品を読むのは初めてのことだった。「コカコーラ」や「日航」などの単語が出てくるたびに「

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    2022年09月08日
  • 猫と庄造と二人のおんな

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    akikobbさん、111108さんにおすすめしていただいて。

    面白かった!
    字が小さい文庫しかないんだよなあと敬遠していた作品だったけれど、文字サイズなんて読み始めてすぐ気にならなくなった。

    とにかく猫のリリーが気まぐれさも含めて可愛く、いじらしく、翻弄されてしまうのも無理ないと思うほど。
    キュートでワガママな女(今回の場合は主に雌猫)に振り回されたいという谷崎先生のフェチが、本作でも詰め込まれている。

    品子も庄造も、人間のごたごたのせいでリリーを振り回してしまっているのをかわいそうに思ううちに、「誰にもまして可哀そうなのは自分ではないか」という思いに駆られるように、猫と比べて人間の滑

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    2022年08月31日
  • 卍(まんじ)

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    序盤に園子さんの肩書きが書いてあったことをすっかり忘れて読み進め、感情が揺り動かされたラストでした。情緒の細かいところまで語られているので何ともリアリティがあり、読者の私も光子さんに翻弄されました。最初は女学生の百合だ!って喜んでいたのに…(笑) 生まれ持った性質で人を自然と堕としてしまう魅力の女性というのは、こういう人なんでしょうか。会ってみたいような、恐ろしいような、そんな感じがします。
    大阪弁の口語調で綴られているので、関西弁になじみがない人には読みにくいかもしれません。時間はかかりますが、心の中で音読しながら読むのが何とも楽しく、日本語の美しさを感じます。
    中村さんの解説も、谷崎氏の作

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    2022年08月29日
  • 卍(まんじ)

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    「刺青・秘密」の次に好きでお気に入り。
    美しくて残忍な、悪魔な女を描く谷崎潤一郎はやはり凄いし素晴らしい作家だと再認識できた本。

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    2022年08月16日
  • 台所太平記

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    この作品、何で谷崎作品の中ではあんまり有名じゃないんだろう?と思うくらい面白かった。
    次々女中さんの紹介をしていくだけの小説といったらそれまでだけど、ぐいぐい読まされちゃう。さすが文豪。
    解説が松田青子さんなのも得した気分。

    確かに、今の時代だと人権的にどうなの、みたいな描写もあるけども、出てくる女中さんたちが、出て行けと言われたらさっさと出て行くもののしれっと戻ってきたり、仕事をサボって恋愛沙汰で大騒ぎしたり、雇い主が作ってくれた俳句に文句を言って書き直させたり、とにかく自由でパワフルなものだから、私は気にならなかった。

    『細雪』の雰囲気が好きな人は本書も好きだと思う。
    逆に『細雪』に挑

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    2022年07月26日
  • 細雪(下)

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    細雪。読んでよかった。

    最後まで読んで、ただ仲の良い姉妹というだけでなく、小さなことから事件に至るまで様々な場面での会話や行動を通じて、良いところもそうでないところも知って、イヤだなと思うこともあったけれど、それも全部ひっくるめて彼女たちが好きで、鶴子、幸子、雪子、妙子、みんな幸せになってほしいなぁと心から思う。まるで、古くからの友人みたいな感覚。まだまだ読んでいたいし、時代としてはこれから戦争で大変なことになっていくはずだから彼女たちがとても心配。小説だからこれで終わりなんだけれど、ずっと彼女たちがコロンバンでお茶をしたり、手紙のやりとりをしたり、お花見をしたり、変わらずいきいきと生き続け

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    2022年07月01日
  • 細雪(下)

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    4姉妹が話す言葉は関西弁の中でも船場言葉と呼ばれるものらしい。品があって優雅で本当に素敵な言葉だ〜憧れる〜

    身近な人が死んだり被災したり、かなり辛い出来事が立て続けに起きるのだけど、それに対して登場人物たちが悲しみ苦しむ様子がやけにあっさり書かれているのが印象的だった。花見に着て行く着物を選ぶシーンには3.4ページ使うのに笑
    上流階級とはいえ当時の庶民たちの、何が起きても生活の営みを停滞させない覚悟のようなものが感ぜられて良かった。
    個人の意思よりも家の繁栄と存続が優先されて、何かと窮屈なことも多かっただろう時代を、明るく朗らかに、かつ強かに生きた4姉妹の姿には勇気づけられるものがあった。 

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    2022年06月13日
  • 刺青・秘密

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    あとがきを読んで知ったんだけれど「刺青」は処女作ということで、才能が「開花」してますね。
    谷崎には「開花」という言葉が相応しいように思える。
    あまり谷崎文学に触れてこなかったけれど、彼の小説の見方がぐっと変わりました。
    最初に有名な「痴人の愛」を手に取ったのですが、沼に落とされた感と、またこれから谷崎文学に触れたいという方がいたら私はこの本を薦めたいです。
    妖しくも艶めかしい内容ですが、それを上回る描写力。
    沈美の作家とも言われていますが、圧倒的存在感と真逆の少しふわふわした感じが良い按配で詰め込まれている、気品高いお重の中の風変わりなお菓子と言ったところ。
    甘くて妖艶。
    少し苦い。

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    2022年05月10日
  • 秘密(乙女の本棚)

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    美しい世界観と美しい絵に耽溺できる贅沢な1冊。
    つられて椎名林檎の「短編キネマ 百色眼鏡」が観たくなってくる。

    T女の秘密はいじらしい。
    タネがわかると夢が覚める手品みたいな、脆い秘密が可愛らしい。

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    2022年04月02日
  • 吉野葛・盲目物語

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    随筆的小説と称される「吉野葛」。和歌か俳句を一篇の小説にしたような、わび・さびのある珠玉の短篇。大和の吉野の地に伝わる歴史伝説と、友人津村の「親の在所が恋しゅうて」という心もちが織り重なって綴られる。葛の葉、熟柿、蔦、櫨、山漆……秋の吉野は偲ばれる母の双眸。「春琴抄」を発表する前の作品。

    豊臣秀吉の側室である茶々の母であり、織田信長の妹、お市の烏孫公主を、「めくら」の三味線ひきが語る「盲人物語」。按摩ついでに語ったものなのか、ひらがな多めで記されており、寥々とした唄のように染み入った。

    この盲人、しわしわの爺やと思いきや、32歳ということが終わりころ判明。人生50年の時代だもんね。

    お市

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    2022年03月18日
  • 刺青・秘密

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    再読です。言わずもがな有名な「刺青」「少年」を収録し、なにゆえ谷崎文学が耽美派と呼ばれているのか、その作風が大体わかる一冊になっています。私の場合、谷崎はこの本からのめり込んでいったので、非常に思い入れのある話が多いです。「刺青」や「秘密」は大好きな話ですが、谷崎文学では異色の「異端者の悲しみ」や、幻想的な情緒を醸し出す「母を恋うる記」なども好きです。まあ要は全部好きです(笑)。

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    2022年03月12日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    語注が少なくて読むのに少し手こずったけど、面白くってどんどん読みました。

    『少年』はたしか古屋兎丸先生のコミカライズがあった気がします。光子ちゃんがこれまた嗜虐的で妖しい魅力のある女の子なんですわ。登場人物の年齢が皆まだ幼いという点も、個人的には刺さる部分があったりします。
    『幇間』に登場する三平はまさしくprofessionalで、よくぞ収録してくれた! と勝手に快哉を叫んでいました(笑)。
    『麒麟』は、言わずと知れた孔子が登場する『論語』での一篇を、谷崎なりに解釈した作品。これぞ魔性の女! 愉悦に浸りながら囚人の惨憺たる様相を眺める南子夫人の獰猛な美しさを孕んだ瞳は、ものすごい誘惑だっ

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    2022年03月03日
  • 細雪(上)

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    四姉妹の日常を覗き見ているようで面白かった。
    姉妹とは今も昔もその在り方は変わらないのだろうか。自分たちと重なる場面も見受けられ、懐かしさを覚えた。

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    2022年02月22日
  • 細雪(中)

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    この本は本当に、登場人物たちが発する上品で小気味良い関西弁の台詞が楽しい
    当時の上流階級が贔屓にしていただろう実在の名店が色々登場するのも楽しい
    谷崎が描写する食べ物の、なんて美しくて美味しそうなことか、、

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    2022年02月07日
  • 秘密(乙女の本棚)

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    幾つもの「秘密」で美しく編まれた世界とその結末。
    それに官能的で耽美、豪華絢爛なイラストが添えられています。文章でもイラストでも眼福な一冊。

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    2022年01月08日