谷崎潤一郎 × マツオヒロミさんコラボ作品
「秘密」を読みました。
主人公の「私」は、或る気紛れな考えから日常生活から逃れ、隠れ家に密やかに住んだ。
そして夜毎、変装をして自分と知られずに出歩くことに刺激を求めていた。
それは濃い化粧で、女物の着物姿で人から注目されることが快感になるまでに、エスカ
...続きを読むレートしていく。
ある晩、ウイスキーを呷って活動写真に入ったところで私は偶然にも、かつての恋人の女性と再会をした。
そして彼女とまた会うようになるのだが、それは目隠しされて案内される秘密の場所、秘密の関係として…、だった。
それは以前に「私」に捨てられていた女性は、秘密の関係で逢瀬を重ねることを望んだからなのだが、いつまでも神秘のベールを被った「夢の中の女」ではいられないのだった…!
マツオヒロミさんのイラストが作品にぴったりとマッチしていて素敵でした。
レトロ感あってノスタルジックな色づかいがとってもいいんです。
この女性が、秘密の関係にした意味や、結末も予想していたであろう気持ちは感じられて、なんとも切なかったです…
そして主人公は身勝手な最低男としか思えず、やりきれない気持ちが残りました。
ただ、怪しげな世界に陶酔させられてしまうように、
文章やイラストから惹きこまれてしまいました。
秘密を、秘密のままにしておけない心理。
秘密ってどうして、魅力的なのでしょうね…