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雪子と対照的に末娘の妙子は自由奔放な性格で、男との恋愛事件が絶えず、それを処理するためにも幸子夫婦は飛びまわらざるをえない。そんな中で一家は大水害にみまわれ、姉の鶴子一家は東京に転任になる。時代はシナでの戦争が日ましに拡大していき、生活はしだいに窮屈になっていくが、そうした世間の喧噪をよそに、姉妹たちは花見、螢狩り、月見などの伝統的行事を楽しんでいる。
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Posted by ブクログ
板倉と災害 この巻は、板倉で始まって板倉で終るので、末っ子の妙子の動向に終始してゐた。またある面では災害の巻として、言葉たくみに水害、風害、病気を読まされて圧倒された。 西洋に人気があるのもわかる気がする。ある時期の人間といふのが、切り出して拡大してみれば誠に波瀾に富んでゐるのは、SFやミステリ...続きを読むなどの大仕掛けを加へなくても面白い物語になることの証左であり、勇気づけられた。
上巻に続き、阪神間とりわけ芦屋の風情ある光景が目に浮かぶ。上巻では雪子がメインに話が展開されていたが、本作では妙子が話の中心となる。 神戸大水害、板倉の病気など鬼気迫る内容も多く、ハラハラしながらあっという間に読み終えた。下巻が楽しみ。
上・中・下、三巻本の中巻。 戦争の影の忍び寄る中、四季折々の暮らしを営む姉妹。 大水害に遭うといった苦難もありながら、彼女たちの日々は続いてゆく。
この本は本当に、登場人物たちが発する上品で小気味良い関西弁の台詞が楽しい 当時の上流階級が贔屓にしていただろう実在の名店が色々登場するのも楽しい 谷崎が描写する食べ物の、なんて美しくて美味しそうなことか、、
上巻では旧家の姉妹たちのはんなりとした暮らしぶりが淡々と語られるに終始していたが、中巻になると雪子の縁談の難航や、幸子の身に悲しい出来事が起きたり、妙子が水害に見舞われるなどが語られ、ゆるゆる続くかと思われた物語に起伏が生じる。 これらが蒔岡家の行末の暗さを象徴するように感じられ、上巻から続く季節や...続きを読む姉妹の美しい描写に切なさが帯びてくる。
鶴子一家は東京へ栄転する、台風大水の被害で建物は被害を受ける、おさく師匠は亡くなる、隣人家族は独逸へ帰る、四季折々と仲の良い姉妹はそのままに、時勢と併せて彼女たちを取り巻く状況は変化していく。 結局、雪子と妙子のお嫁騒動の話題しか書かれてないのだけれど。展開も面白いし、日本の文化情緒と時代性を捉えつ...続きを読むつ言葉遣いも巧みで流れるように読める名文。
細雪を読んでいる間中、ずっと不思議だったのですが、どうして、延々とひとつの家庭の毎日を眺めるだけなのがこんなに面白いのでしょうか。さすが文豪。 上巻のときに、もしや…と思っていたことが本当になりました。4人姉妹(といっても長女はほとんど出てきませんが)の中だったら妙子が結構好きだなーと思ってたので...続きを読むすが、前言撤回です。身内にさえ秘密主義というか、腹黒いというか、どこか信用のおけない感じが苦手です。 逆に、上巻ではなにを考えているのか全然だった雪子が、中巻だと少しだけその心理を吐露してくれて、意外と男前だなという印象に。 妙子は、自称サバサバ系というか、内心がすごくドロドロしているのが苦手なのかもしれません。 そのせいか、上巻よりも雪子のお見合い話に引き込まれ、愛知の田舎でのお見合いは、読んでいて辛かったです。 しかし、小さなアップダウンはあるものの、取り立てて大きなドラマが起こるわけでもないのにこんなに面白いなんて。さすが文豪、さすが谷崎。と何度も唸りました。
中巻。昭和13年7月3~5日の阪神大水害にはじまる。細かな描写。「海のよう」だったらしい。読むだけで怖い。 その大水害で妙子を助けた板倉と妙子の恋愛の結末。 相変わらずの安定した物語力。 谷崎の描く「蒔岡家」という一家を見つめ続けることで、「家」というものがどのようなものなのか、感じられるような気が...続きを読むする。
中巻では、隣に住んでいたドイツ人が帰国するなど、戦争の跫音が次第に大きくなってくる。もっとも、蒔岡家は世間に比べればその影響は決して大きくないように見え、それでいて後に崩壊することが予期されるような不思議な穏やかさを纏った生活が描かれている。季節ごとの風流な行事も鮮やかで、起きている事件の哀しさや...続きを読む激しさと不思議な共存を成し遂げている。 そんな中でも一番の事件は四女妙子と写真家板倉の悲恋だろう。板倉は家柄が悪いために、三女幸子は二人の交際を快くは思うことができない。『ロミオとジュリエット』のように(・・・といっても未だに読んだことがないのだけれど)、読者は「身分違いの恋」=応援したくなる存在、と考えがちではないだろうか。 しかし、この小説では幸子視点(彼女の一人称ではない)で語られることも相まって、二人の恋は妙子たちの浅はかな行動として映りやすい。身分の違いは小説内で「人種」という強い言葉で形容されることもある。人種と聞くと、やはり想起するのはアパルトヘイトのような「非道極まる差別行為」だろうか。現に、軽薄で甲斐性なしの幼馴染奥畑ですら、人種が同じだけマシだとまで描かれているのだ。板倉が死にそうなシーンなど、幸子が「板倉には悪いけど、死んだら面倒ごともなくなって助かっちゃうな・・・」という趣旨の独白をしている。 では、この小説は人種差別を糾弾するような社会派オーラを纏っているのかといえばそんなことはない。悲劇の恋は終わるとともにあっさりと他の場面に移ってしまうし、この時代はこういう価値観だったんだよ、という程度の雰囲気しかない(ゴーディマ『ジャンプ』で描かれるアパルトヘイトだって、単純には描かれない)。 みんなで桜を見たことも、蛍狩りを楽しんだことも、お見合いがうまくいかなかったことも、大水害が起きたことも、愛する人が死んでしまったことも、そして忍び寄る戦禍の影でさえも、この物語では平等に過ぎ去ってゆく。 それは、今季を逃し周りが憂慮しているのをどこ吹く風で「ふん」としている雪子のような視点かもしれないし、人の栄枯盛衰をただじっと見守る老樹の視点かもしれない。時代に取り残される人、時代の先を突っ走る人、その狭間に立つ人、何も気にしない人。人によってその人が感じる時の流れは様々であり、その流れに身を任せるのも逆らうのもその人次第。そうした、様々な時の流れが共存することが、この小説が美しい所以なのかもしれないな。
「上からダラダラ名家の生活読まされてつまらないなァ」と思ったけど中の後半から一気に面白くなった。 時代の移ろいを妙子という自立した女で激しく書いている。 それぞれの姉妹が、それぞれの強さを持っていて好きになってきた。 「運」という言葉は、科学や医療が未発達だからこそある言葉なのかもしれない。
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