谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 刺青・秘密

    Posted by ブクログ

    谷崎の異世界を覗く感じが好ましい。特に刺青、幇間、秘密、少年の各編は怪しさ満ち満ちていてどきりとする。さすがに美しく端正な文章である。他の谷崎作品も読みたい。

    0
    2022年12月06日
  • 細雪(下)

    Posted by ブクログ

    4姉妹の日常物語の終結。 下巻は中巻以上に様々な事件が起こり、また4姉妹の人間関係が浮き上がってきます。 雪子の見合い話にやきもきする幸子。 妙子の天真爛漫(と、言っていいのかはさて置いて)な振る舞いに、不満を募らせる幸子。 東京からなかなか姿を現さない鶴子。 物語は突然に終わってしまい物足りなさもあるけど、そこはタイトルの細雪"の通り、4姉妹の儚い日常を描いたものだと感じました。 もっと色々書きたいですが、何を書いてもネタバレになりそうなので自重します。 また数年後に改めて読み直したい作品でした。"

    0
    2022年12月01日
  • 卍(まんじ)

    Posted by ブクログ

    光子の誘惑というか、悪魔的な魅力がホント恐ろしい…。
    異性のみならず、同性をこうも骨抜きにまでしてしまうその手段。少し味わってみたいけど、味わったら多分ハズさんと同じ道に陥るんだろうな(笑)

    ミステリーみたいな感じもして、ハラハラしながら読み進められました。

    0
    2022年11月19日
  • 猫と庄造と二人のをんな

    Posted by ブクログ

    谷崎作品で描かれる女性たちはみな美しい。谷崎自身が憧れる強さを持った女性たち。この作品に登場する先妻と後妻はどちらも大人の女性としてのしたたかさがある。また庄造の弱さが際立つのはその母の強さも感じられるからだろう。庄造を取り巻く3人の女に対して、リリーというメス猫も女として描かれているのではないか。読んでるうちに、『痴人の愛』のナオミを思わせる自由な女の虜になっている男と重なった。

    0
    2022年11月11日
  • 細雪(中)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人の死に直面しても、社会的体裁を気にしてしまうこと。これもまた当時の文化なのかと。家柄、前年踏襲の傾向など、今の日本で『それってどうなの?』といった考え方が普通であった時代を今一度見つめ直すいい作品だと感じた。今が良くて、昔が悪いのではなく、昔を知った上で、今をどうするべきかを考える良いきっかけになった。

    0
    2022年11月05日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    暮らしの全瞬間をただすりぬけるのではなく、いったん自分のなかにおとして、瞑想しておもいをめぐらす、それを言葉にする。そういうことに長けていてつい夢中になっちゃうのよね~
    実際、陰翳礼讃って100パー同意!めちゃわかる~みたいな人は少なくとも現代には少ないんじゃなかなあ
    谷崎潤一郎のこころいきがすきなんだよね

    0
    2022年11月01日
  • 細雪(中)

    Posted by ブクログ

    上巻がまったりとした雰囲気なので、このまま続くのかと思いきや、事件勃発しすぎでした。 大洪水に縁談、隔離、手術と目まぐるしい。 幸子・妙子・本家とのやりとりで、人の描き方がまあうまいこと。 幸子の、腹は立つけど義理を通さないといけない等、心と頭の乖離がよく分かるし、情に熱いのかと思ったら、身分違いだ、とばっさり切り捨てたり、そこら辺の匙加減が絶妙。 下巻はどういう結末になるのか楽しみ

    0
    2022年12月01日
  • 細雪(上)

    Posted by ブクログ

    大阪の旧名家だった、四姉妹の日常を描いた始まりの本。 鶴子(長女、本家、既婚)、幸子(次女、既婚)、雪子(三女、未婚)、妙子(四女、未婚)で、主に出てくるのは、次女〜四女。 事件といえば、雪子の縁談が破談になるくらいで、あとはお金持ちの旧家らしく、優雅な京阪神ライフが描かれてるのだけど、人情味ある話なので、飽きなく読ませてくれます。 文章が綺麗で、いつの間にか自分も四姉妹と一緒に昔の京阪神にいる気持ちになってしまう。

    0
    2022年12月01日
  • 金色の死

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    解説によると、新しい思想、文化の出現、私生活での千代夫人をめぐるトラブルなど、谷崎にとって大正期(関東大震災まで)は試行錯誤の時期だった。

    理想の芸術の実現を目指す「金色の死」、撮った覚えのない映画にまつわる「人面疽」、学級を支配する生徒についての政治的な「小さな王国」、6ページに及ぶ足の描写にあっけにとられる美脚賛歌「富美子の足」、探偵との会話によって次第に真相が明らかになる「途上」など、いろいろなタイプの作品が収録されているが、どれも後の作品に通じる要素を含んでいる。(一見まじめに思える人物が、急に変貌する(正体を現す)というのもそのひとつ)

    0
    2022年09月20日
  • 細雪(中)

    Posted by ブクログ

    久しぶりに手に取り、一気に引き込まれた。戦前の芦屋の有産階級の日常が、芦屋の言葉で語られるさまがとても魅力的。

    0
    2022年09月08日
  • 細雪(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    下巻は、雪子の二度の見合いと、妙子の赤痢と妊娠と死産が中心。控えめな雪子と行動的な妙子が対照的に描かれ、幸子はそれぞれに頭を悩ませる。子爵の一族に嫁いでいく雪子と、バーテンダーと夫婦生活を始める妙子の結末も対照的。

    大垣の親戚家族との蛍狩りのシーンが幻想的。

    見合いの世話をする井谷、丹生の両夫人の会話がテンポよく、見合い相手の橋寺、御牧との掛け合いも面白い。

    巻末の回顧では、刻々と変わる時勢のなか、自動車や列車の料金や芝居の場所や演目、映画のタイトル、大水害の様子などを調査し、あらかじめ時系列にあらすじをまとめ、だいたい予定どおりにいったと書いている。また、頽廃的な面が書ききれなかったが

    0
    2022年09月03日
  • 細雪(中)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    中巻は妙子の恋愛事情を中心に、舞の会、阪神の大水害と写真師板倉の救出劇、隣に住むドイツ人シュトルツ一家の帰国、東京での台風、奥畑と板倉の確執、板倉の手術と死など。

    上流社会は世間体を非常に気にして少しでも悪い噂が立つのを恐れること、何事も本家、夫、両親の了解を得ないと事が進まないことなどがうかがえる。

    つらつらと人物の心情や事情が綴られるので、国語の授業的な解釈の必要がない。

    0
    2022年09月03日
  • 細雪(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    大阪の商家・蒔岡家の四姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子の人間模様を描いた小説。日中戦争勃発前後の時代ながら、時局の影もほとんど感じさせず、幸子は二人の妹の結婚に頭を悩ませつつも、のんびりとした日々を送っている。

    長い小説ではあるが、なにかと事件が起きるので飽きずに読める。ときに可笑しく、ときに感傷的なホームドラマ。

    また、(上流社会のものではあるが)当時の風習や価値観などがうかがえるのが興味深い。昔の人はのんびりしていたらしい。見合いの前に興信所に頼んでかなり詳しく相手方の身元を調べていたり、引っ越しの見送りに百人近く人が来ているのに驚いた。新潮文庫の注釈が詳しいのも良い。

    「何しろ本家の連

    0
    2022年09月03日
  • 細雪(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    雪子ちゃんの身が固まったようでよかった〜
    こいさんの出産シーン、短いけど最後に本当に悲しい気持ちになった

    蘆屋の3人姉妹の周りで起こるヒューマンドラマが楽しい3巻でした。

    0
    2022年08月19日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    大学生の時にロシアに10日ほど行ったことがあるんだけど、現地のロシア人学生に「とても興味深かったわ」と言われた思い出がある。当時はあまり読書に熱心でなく谷崎潤一郎も知らなかったので「へ、へえ~そうなんだ(愛想笑い)」としか返せなかった。ハチャメチャに悔やまれる。日本人がいかに闇の中で美を見いだして来たか。具体的な例をあげながら書かれているんだけど、ずっと納得しかなかった。なぜ畳の上に座っていると心安らぐのか。なぜタイル張りのトイレがちょっと落ち着かないのか。心のどこかで感じ取っていた美的感覚を全部言語化してくれていてとてもスッキリする。特に衝撃だったのが、私は今まで金の屏風や金閣や大阪城を見な

    0
    2022年08月15日
  • 刺青・秘密

    Posted by ブクログ

    腕利きの彫物師である清吉
    彼に見染められた娘は背に刺青を彫られていく
    そして、背の刺青が完成するに至り「娘」は幾多の漢たちを足踏みにしていくような「女」に変わっていく

    清吉が本当に女に望んだものとは…

    その妖艶さに惹かれて何度も読み返してしまう

    0
    2022年07月26日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

    Posted by ブクログ

    谷崎潤一郎の小説を読んでいると、最近の「私、○○フェチなんだー」というのがとても軽々しく感じます。
    フェティシズムとは元来こういう物だったのだとおもいしるというか。

    しっとりとした女性の色気、質感、姿形をパーツひとつひとつに着目しつつしつこい程に語っていますが、描かれる欲望と反して描写はなんとも上品で美しい。
    谷崎潤一郎の話はどれも好きですが、この本の中なら『富美子の足』が特に好きです。

    0
    2022年07月11日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

    Posted by ブクログ

    収録作は「柳湯の事件」「途上」「私」「白昼鬼語」の4作品。女性が出てくると怪しくて美しい世界観に一気に引き摺り込まれる感じがする。

    「白昼鬼語」が4作品の中で1番長くて読み応えがあった。オチが予想外でびっくり。

    犯罪小説として1番面白かったのは「途上」。探偵がある男を追い詰めていく様が痛快だった。

    0
    2022年06月16日
  • 細雪(中)

    Posted by ブクログ

    細雪の谷崎潤一郎の描写はどれも読者が情景をイメージできるように書かれていて素晴らしいと思っていたが、洪水のシーンはそれが顕著で特に驚いた。
    自分は洪水の中を歩いたことがないのでイメージすることしかできないけれど、貞乃助が「どす黒く濁った、土用波が寄せる時の泥海」をかき分け進む様子がありありと想像できた。

    最後の方の板倉さんに関するバタバタは衝撃的だった。こいさんどんな人と結婚するのか、下巻が楽しみ。

    0
    2022年06月15日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    多分気持ち悪いのだけれど綺麗なのは何か。

    春琴も佐助も一貫しているから成り立つ究極さだと思う。いや、佐助の方がなのかもしれないけどまあいい。
    春琴は我が儘だけど才があって聡いから確かに疎まれるだろうが私みたいな人間は受け入れざるを得ない。

    所々の佐助の主観的誇大表現(恐らく)みたいなのが面白い。だよね、という笑

    そして年譜を見てもさっぱりなので時代がどうとかはわならないが、難しい単語(古語と言ったら怒られるのだろうか)が多い割に文脈と想像で補填できるレベルなので読みやすい。

    0
    2022年06月05日