谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 痴人の愛 アニメカバー版

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    男と女ってのは面白いものだ。簡単に気狂いになれる。それを緻密に官能的に表現している。僕はなんだか、ナオミが嫌いになりそうだ。というか嫌いだ。だからこそこの作品は良いと言えるのだ。

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    2024年05月28日
  • 白昼鬼語~探偵くらぶ~

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    ネタバレ

    谷崎潤一郎の作品の中でもミステリ系のものを集めた一冊。

    以下特に好きだったものについて。

    『秘密』
    ありきたりな刺激では満足できなくなった男が女装して出歩いたりしているうちに、過去に関係があった女とたまたま出会い、道中目隠しをしたままで逢瀬を重ねるが…
    途中までの情熱とラストの呆気なさがとてもよかった。

    『途上』
    乱歩も好きだったという作品。
    プロバビリティーの犯罪。探偵が歩きながらする会話の中でじわじわ追い詰めていく様が好き。

    『私』
    学生寮で盗難が頻発し、主人公の「私」がどうも疑われているようだが…
    嘘はつかずにうまくミスリードさせているところと、人間や人生の不可解さがよく現れてい

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    2024年05月14日
  • 細雪(下)

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    上中下一気に読んだ。

    人の矛盾を孕んだ細やかな思考の流れを
    心地よいリズムで悠長に書きつけてあって
    日記を読んでいるような
    それでいて全て主語は三人称(主に次女の幸子)
    独特な中毒性のある、素敵な文章で読み始めたら止まらなかった

    雪子の見合いに始まり、
    雪子の結婚で終わる
    およそ五年?ほどの歳月を描いたストーリー

    人を着ているもの、体型肌艶、話し方雰囲気などで色々と考察する視点は
    SNSなどないし情報も少ない上で、
    結婚はもちろん人付き合いが生きる術となる時代に
    どれだけ重要視されていたのか思い知ったし
    その視点に今も学ぶことが多いと感じた
    板倉のことを若くて丈夫なのにどこか幸薄い相のあ

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    2024年05月12日
  • 二人の稚児(乙女の本棚)

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    わぁい!
    きれいな本! きれいな本!
    と思わず手にとってしまいました。
    たぶん、二人の稚児という作品は、挿し絵のない活字だけの本で何回か目にしています。
    作品への印象はかなり違います。
    実をいうと、登場する二人の稚児を一方は、世俗で成功し、一方は努力して信仰において成就したのだと、文字のみで読んだときにそう読んだのですが、どうも、そのようではないのではないか。
    そもそも、ふたりは身分に隔たりがある。
    こんな例って、他に何かあったろうか、と思ったら、そういえば、モーツアルトの歌劇「
    魔笛」では、王子のパミーノ(?)と鳥刺しのパパゲーノの対照的な結末があり、そこでは高貴とおもわれる夜の女王の娘のパ

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    2024年05月09日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    「谷崎潤一郎」といえば、明治・大正・昭和の三つの時代に活躍した、『痴人の愛』『春琴抄』『細雪』などの代表作で知られる、文化勲章も受けた日本を代表する文豪のひとりでしたね。(1965年に鬼籍に入られています)

    本書『谷崎潤一郎 犯罪小説集』には、以下の4作品が収録されています。
    ・柳湯の事件(1918年)
    ・途上(1920年)
    ・私(1921年)
    ・白昼鬼語(1918年)

    本書を読んだことで、いわゆる「文豪」と呼ばれた作家たちとミステリー(犯罪小説、推理小説、探偵小説)作品の関係を調べていくと、非常に興味深いことが多く、そういう点でも、本と読書の魅力を改めて感じることが出来ました。

    谷崎潤

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    2024年04月14日
  • 細雪(下)

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    上中下通じて上方の上流階級の家族の日常が美しい絵巻物のように描かれている。
    その舞台の中で繰り広げられるゆっくりとした栄華の没落。そしてこいさんの破天荒ぶり。といったところが読みどころか。

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    2024年04月09日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    谷崎潤一郎が実は推理小説、ミステリーらしきものをいくつもしたためており、しかもそれがどれも秀逸らしい、と知り手に取った一冊。
    収録されている4篇ともキャリアの序盤、100年と少し前に書かれたもので、やたらと"気違い"などという言葉が登場し、マイノリティやハンディキャッパー、あるいは女性に対する差別が顕在的かつ余りに露骨だなあ…と、今となっては半ば呆れてしまうところはあるが、読んでいるうちに我知らず、その時代に生きているかのような錯覚に陥る。
    それほどまでに、作品が持つ見えざる膂力は凄まじく、つまり、文章の美しさ、完成度が際立っている。
    プロットの方も、江戸川乱歩が文壇に現れ

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    2024年03月28日
  • 二人の稚児(乙女の本棚)

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    幼いときから稚児として寝食を共にしてきた千手丸と瑠璃光丸。成長とともに“煩悩”への向き合い方が変わって、それぞれの道へと分かれていく。女性の姿の描写が細かく丁寧で、谷崎さんの嗜好が現れているなあと…。どちらが正しいとか間違っているとも言えない難しいお話だったけど、“耽美”という言葉がピッタリな、“綺麗”なお話だと思った。

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    2024年03月23日
  • 二人の稚児(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    「乙女の本棚」シリーズ37弾。

    幼少期から一緒に稚児として育ってきた千手丸と瑠璃光丸。女人禁制の比叡山で成長してきた二人の運命の分かれ道。
    二つ違いの年齢で、成長の具合がズレてしまうのが、なんともいえない。
    どちらが正解いうのでも、幸せかというのでもなく、個々人の選択の結果を、耽美に表現しているのが面白い。
    夜汽車さんのイラストが、また秀逸。

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    2024年03月20日
  • 春琴抄

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    ページ数が少ないと言う意味では読みやすいと言えるけど、句読点が省略されている点では読みにくいと言える。自分は慣れない文章のリズムに苦戦して結構時間がかかった。

    話自体は至ってシンプル。
    心理描写も少なく物足りなさを感じるほど簡潔。
    言われるほどの良さが分からなかったなと思い巻末の解説を見ると、春琴抄のその簡潔さに究極の美を感じる人が多いよう。
    「百の心理解剖だの性格描写だの会話や場面だの、そんなものがなんだとの感じが強く湧いてくる」と谷崎潤一郎は苦悩したという。

    昔は(今も少し)結末を有耶無耶にして「あとは皆様のご想像にお任せします……」というような投げかけの物語が大嫌いだった。もやもやす

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    2024年04月05日
  • 秘密(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    乙女の本棚シリーズ初読み。
    思ったよりイラスト数が多かったが、文字だけのページでは改行が少ないので少し読みにくい。また、背景が真っ赤なページも読みにくい。
    イラストは妖艶で美しくて期待通りだった。


    表紙の男も艶っぽく、美男だからこそ口紅を塗る様も色目かしく、もっと見たくなる。
    "秘密"を求めたくなる気持ちも共感でき、"秘密"があるからこそ魅力的に感じる女、秘密がなくなった途端に終わり。
    〜私の心はだんだん"秘密"などと云う手ぬるい淡い快感に満足しなくなって、もッと色彩の濃い、血だらけな歓楽を求めるように傾いて行った。

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    2024年03月09日
  • 美食倶楽部 ――谷崎潤一郎 大正作品集

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    ネタバレ

    目次
    ・病蓐の幻想
    ・ハッサン・カンの妖術
    ・小さな王国
    ・白昼鬼語
    ・美食倶楽部
    ・或る調書の一節―対話
    ・友田と松永の話
    ・青塚氏の話

    それほど谷崎潤一郎作品を読んできたわけではないけれど、明らかにこれは今まで読んできた谷崎とは全然違う。
    耽美というよりあからさまに変態寄りだったり、悪夢のような話だったり、なんだろうちょっと大衆的。
    読みやすい文章も相まって、「これ、菊池寛じゃないよな」と表紙を確認すること数度。(切り口はまったく菊池寛ではありません)

    おどろおどろしい作品もあるのだけれど、からりと乾いた文体がどうも日本っぽくない。
    どちらかというとポーとかスティーヴンソン。
    もしかし

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    2024年02月26日
  • 猫と庄造と二人のおんな

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    某所で紹介されてて興味を持ったので読みました。
    出てくる人が皆、猫に翻弄されてて「猫飼いってこうなるよね〜」って思いながらの読書になりました。
    庄造さんの可愛がりっぷりは読んでてちょっと引いたけど、猫ってかわいいから溺愛するのもわかる!

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    2024年02月25日
  • 痴人の愛 アニメカバー版

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    ナオミみたいと皮肉を言われ読んだ
    ナオミの自由奔放さと男を手玉にとる様子が面白く、女の身体を艶かしく表現していてうっとりとした。

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    2024年02月23日
  • 刺青・秘密

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    ネタバレ

    「刺青」と「母を恋うる記」が好きでした。
    男性視点からみる「女性」についての様々な話が収録されていた。

    日本語はこんなにも美しいのかと再認識させられるような本でした。特に「幇間」の春の描写は息を呑むほど綺麗。

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    2024年02月22日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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     文豪が書いた犯罪小説集。プロパビリティの犯罪を扱った「途上」、信用できない語り手を扱った「私」といった、後の探偵小説に繋がる作品という形で面白かった。

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    2024年02月16日
  • 陰翳礼讃

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    こういう本が手元にあって、ページをめくりながらティータイム、みたいな生活が理想。
    いつになったら実現するでしょう・・

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    2024年02月14日
  • 陰翳礼讃

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    なかなかおもしろい。

    エッセイ集であり、表題にある「陰翳礼賛」をきっかけに「適切」とはなにかを探るエッセイが並ぶ。

    「陰翳礼讃」は文字通り「暗さ」についてのエッセイ。
    日本の建物は以前は暗くて、それがよかったのだという。
    古い料亭で、電気を使わずに、薄暗い灯りの中で食事をするのがよいという。
    日本の場合、器や、食べ物そのものが、手元もよく見えないような明るさの中で楽しむようにできているだそうだ。
    西洋はなんでも明るくしてしまう。そして、日本もその影響を受けて、当の西洋人が驚くくらいになんでも明るくしてしまった、と嘆く。

    西洋人が明るさを好むかどうかという話については、聖書において神が天と

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    2024年02月10日
  • 刺青(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    「乙女の本棚」第21弾。
    稀代の刺青師が、理想の女に出会い、自分の好み蜘蛛の刺青を施す話。妖艶な話。フェチシズム?のこと。
    ま、好きずきではあるが、クスリつかって気絶させて勝手に刺青しちゃうって、スゲー話ではある。
    幻想的小説であるんだろうけど、女の立場からしてみると気持ち悪っていう一言である。違う、そういうことじゃないってのも知ってるけど。
    イラストは素晴らしい。美しくて素敵。

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    2024年01月24日
  • 春琴抄

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    伯母の本棚からいただいてきたもの。昭和49年発行。100円。新潮文庫の谷崎作品のカバーはだいぶ昔からこのデザインなんですね。このデザイン好き。
    さて、春琴抄。短いのと伝聞調で内面に深く立ち入りすぎないからテンポ良くて良いですね。同じ芸道ということで唄や器楽だけでなく浄瑠璃や歌舞伎の例も触れられてましたが、このシンプルだけど強力な引力を持つ話は歌や演劇など別の表現方法でも映えるんでしょう。実際繰り返し映画化もされてますし。手元にあるものの表紙折り返しのそでには1972年『讃歌』の写真が引用されてました。どれか見てみようかな。

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    2024年01月19日