あらすじ
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人気シリーズ「乙女の本棚」から、イラストレーター・しきみの自選作品集が登場!
描き下ろしとして芥川龍之介+しきみ『悪魔』も掲載
小説とイラストの出会いを祝福する、魅惑の1冊。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。そのなかからイラストレーター・しきみによる作品をピックアップした美しい画集が新たに生まれました。
収録されているイラストは、萩原朔太郎『猫町』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、夏目漱石『夢十夜』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、谷崎潤一郎『魔術師』のなかから選ばれた、イラストレーター本人がお気に入りのものばかり。
さらに、描き下ろしとして芥川龍之介『悪魔』も収録し、通常シリーズとはことなるサイズ感で小説とイラストが楽しめます。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
【目次】
萩原朔太郎『猫町』
江戸川乱歩『押絵と旅する男』
夏目漱石『夢十夜』
坂口安吾『桜の森の満開の下』
谷崎潤一郎『魔術師』
芥川龍之介『悪魔』(全文収録・イラスト描き下ろし)
※本書について
本書は、乙女の本棚シリーズとして刊行された『猫町』『押絵と旅する男』『夢十夜』『桜の森の満開の下』『魔術師』のなかから、イラストレーター・しきみ自身が選んだイラストを掲載しています。巻末の『悪魔』のイラストは描き下ろしです。小説部分は『悪魔』は全文、その他は抜粋となります。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
イラストレーターのしきみさんの、乙女の本棚作品集です。どこか怪しい美しさのある、しきみさんのイラスト。作品の冒頭に、どういう意図でこのイラストを描いたのか、解説が入っていて、一度読んだことのある作品でも、新たに楽しむ事が出来ました。
新規収録作品は、芥川龍之介の悪魔。短い作品ですが、インパクトがありました。最後の悪魔の表情が、文章を底上げしている気がします。
素敵な作品集でした。
Posted by ブクログ
「堕落させたくないもの程、益(ますます)堕落させたいのです。」
美しい顔をした悪魔はこう言って、涙を流した。
美しいものはそのままにして愛でたい、という思いはあるのに、それを汚してしまいたいと思う己の醜さに悪魔は涙した。悪魔は、人を堕落させるのが仕事なのだろうから、そう思い悩んでしまう辺りが悪魔に似つかわしくなく、哀れんであげたい気持ちになった。
大切にしたいけど、悲しませたい。
清くいてほしいと思うけれど、真っ黒にしたい。
この欲望はどこから来るのだろう。
占有したい感覚、所有して支配したい気持ちは、どうして生まれてくるのだろう。
どうして、美しいものほど、汚したくなるのだろう。
多分、それは、自分を汚れたものだと心のどこかで思っているから。美しいものを妬ましく思っているから。
プライドが高くて自己肯定感低めの私と、この悪魔はシンクロするところがある。
自分より優れているものは、そのまま清く気高くいてもらいたい。だけれど、引きずり下ろして、結局自分と同じ場所の人だったと思って安心感を得たい思いも持ち合わせている。
そして、自分が引きずり下ろしたという、自分の影響力に優越感を感じたくもある。
毒された相手が回復しようものなら、嬉しい反面、より多くの苦しみを与えて堕落させたいと思ったりもする。
自分に満足していれば、そんな酷いことはしない。
でも、誰かに愛されたくて、かまってほしくて、仕方なくそうしてしまうこともあるのも、分かる気がする。
勿論讃えることはできないけれど、こういう矛盾や葛藤が人間らしさなのだと思う。だから真っ向から否定はしたくない。
悪魔も人間も、自分は醜いと思って涙できるのなら、醜くなんかなく、寧ろ美しい部類に入れるという考え方もありそうだ。
湧き上がる気持ちを無理に矯正しようとするのではなくて、自分を含めた悩める人に対し、手を差しのべて、理解しようとする人になりたいなと思った。
Posted by ブクログ
イラストレーターのしきみさんが乙女の本棚シリーズで描いた作品を集めた画集。
全部で6作品収録だが全文収録は芥川龍之介の「悪魔」のみ、他は抜粋して収録している。
悪魔は初めて読んだが短い文章になんとも言えない感情を詰め込んだ作品。イラストの宣教師と悪魔との対比が良かった!
Posted by ブクログ
しきみさんのイラストは、シンプルだけど可愛くて、怪しさもあり、どこか不安も感じる。しきみさんのイラストを見ながら古典文学が読める「乙女の本棚」シリーズは贅沢でとても良い企画だと思います(もちろん他の方がイラストの本も素晴らしいです)。