谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 吉野葛・盲目物語

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    旅エッセイ風の小説「吉野葛」と、お市の方を描いた歴史小説「盲目物語」の中期二篇。
    「母」に「主」‥‥初期のマゾヒリズムとは少し趣が変わっていても、「従属する」という部分で変わらない作者の嗜好を感じてしまった。好きだ〜っ

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    2023年07月14日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    人間っておもしろい
    が率直な感想

    明治から大正にかけて書かれた作品なのに、こんなにも鮮やかですっと入ってくる
    人間の本質的な部分ってずっと変わらないしそこもおもしろい

    「フェチ」なんてかわいいもんだなと思う
    この作品全て強烈なのにほんとにすがすがしく書かれているので恥ずかしくならない
    「それでなに?」感があって読んでて楽しい

    サドマドも同時に感じられてとてもおもしろかったです

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    2023年06月27日
  • 細雪(上)

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    「若草物語」を読み終わったところで、そういやこれも四姉妹の話だったなと、本棚の奥にいたのを引っ張り出してきた。
    意外にもさらさら読める。
    何より東京生まれの谷崎が、ここまで関西人の、特に若い女性の趣味や性格を詳細に把握できていたことに驚いた。
    松子夫人というモデルがあるにしても、まるで神の視点を持っているかのようにありありと描き出すのだから不思議だ。
    新潮版は注釈も素晴らしく、昭和初期の感じをこまかく想像できて楽しい。

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    2023年06月09日
  • 猫と庄造と二人のおんな

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    谷崎の作品を読んだのはこれが初めてだと思うが、筆力にうならされた。ある読書会が課題本として挙げていたので読んでみたのだが、粗筋をみてそのストーリーの小ささに、果たして読み通せるだろうかと危惧していた。しかし、それぞれの登場人物にとっての道理、そして人情のゆれが描かれ、飽きさせない。現代人の生活に、同じような密な道理や人情が働いているのかは疑問としても、自分のなかにあるものを描いてくれていると思う。

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    2023年05月05日
  • 卍(まんじ)

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    知人と「パートナーがその同性と浮気したらどうする」という話になった。「なんか、敵わないよね」という結論に至った気がする。本書はそんな昔話を思い起こさせる。
    ただ、設定としての同性愛や中村光夫が解説で使う「変態性欲」というキツめの言葉、触れ込みの「淫靡で濃密な愛憎」を真に受けると谷崎は誤読すると思う。
    見えてくるのは周囲を誤魔化してでも崇拝される者たろうとするエゴに満ちた悪魔的人間と、跪かざるを得ない凡夫たちだ。悪魔はそのまま谷崎的な女性崇拝につながるのだろう。
    物語はその関係性を構築するため緻密に稼働する。まるで悪魔に奉仕するかのように。

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    2023年05月03日
  • 細雪(中)

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    戦争の足音が忍び寄り、時代の流れには抗えない様相になる中でも、日本の文化的行事や生活様式を変わらぬ価値観で貫いて生きる四姉妹とその家族。我々が生きる現代の日本を思うと、歴史的に見ればほんの数年の第二次世界大戦を経て日本の文化や価値観が劇的に変わったのだと実感する。敗戦とはこう言う事なのかと。。
    結婚一つ決めるのも本家の許可が必要とか、戦後仕事も結婚も自由に選べる今を思えば生きづらい世の中だったとも思いますが、引き換えにならない程の今はなき良き日本もたくさんある。
    神戸の大水害が実際にあった事とは初めて知りましたが、家のしきたりに逆らい奔放に生きる四女妙子がこの大水害にも巻き込まれて九死に一生を

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    2023年04月30日
  • 細雪(上)

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    初めての谷崎潤一郎。
    昭和初期から第二次世界大戦勃発前まで、明治時代より続く上流階級の一族が衰退を辿りながらも、その生活様式や価値観を失わず生活する四姉妹の様子が、優雅で実に美しい。
    四姉妹が京都で花見をする場面は、目の前に満開の桜が咲き誇る景色が見えるようで、その文章の美しさに浸ってしまい、文庫の紹介文に書かれていた小説絵巻とは良く言ったものだと感心してしまう。
    結婚話がなかなか決まらない大和撫子を絵に描いたような三女雪子、自由奔放な四女妙子の行方が気になる中巻下巻。

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    2023年04月30日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」での会話で谷崎潤一郎の「途上」を完全犯罪と言っていたので見てみたがほんとに偶然に偶然を重ねた必然的な事件で驚いた。
    こんな執念深さをもつことに恐怖すら感じた。

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    2023年04月04日
  • 痴人の愛 アニメカバー版

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    さすが谷崎先生、変態でみっともなくて好きです。人間こうなったら終わりと思いながらも共感できるところもあったりして、男という生き物の哀しさ、情けなさにグッと来ました。

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    2023年03月26日
  • 秘密(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    最初は理解して読めたものの女性の登場からよくわからなくなってしまった。
    つまり、よからぬ関係だったということ?
    それとも本当に別世界に迷いこんでたのかしら?
    なんにせよ秘密まみれの作品。
    イラストがすごく綺麗でみとれました。

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    2023年03月22日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    レジに持っていくのをためらうタイトルとは反対に、ポップな装丁。
    楽しめる人と拒絶する人に分かれそう。
    谷崎が好きなら問答無用で受け入れるか。
    「少年」のエスカレートしていく感じがやばい。

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    2023年02月19日
  • 陰翳礼讃

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    名文に寄せる静かな写真。

    紙を取り入れた建築の柔らかみ、温かみ。厠の風流。闇と燭台あっての漆器、金屏風。

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    2023年02月12日
  • 刺青・秘密

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    最近の文学だけではなく、幅広く文学を…と思い手に取った本作。
    大江健三郎さんに引き続き、次は谷崎潤一郎さんの作品。

    いやーーー、本作面白かったーーー( ̄▽ ̄)

    谷崎潤一郎作品、「耽美派」、「性的」、「フェティシズム」なんて様々にご立派な言葉で表現されてきていますが…

    いや、なんというか格式高いロリコンドMエロ小説(こんなこと言うと怒られるのかもしれませんが…)ですね、まどろっこしい言い方してんじゃないよと(笑)
    端的に言うと「美女にめちゃくちゃにされたい願望」っていう…

    いやー、でもコレがとっても面白い(´∀`)

    文章がとても綺麗なので、ただのエロってだけでは無く、完成度の高い文学と

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    2023年01月29日
  • 陰翳礼讃

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    日本人が持つ美の感覚、美意識について書かれた著書。この本は大川裕弘さんの写真とコラボしたビジュアルブックです。写真で表現してくれているので視覚的に楽しめるようになっていて、ただ眺めるだけでも楽しめます。本棚に入れておきたい一冊です!!

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    2023年01月21日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    高校生の時に読んだ「富美子の足」に
    衝撃を受けて以来、久しぶりに谷崎潤一郎作品を読んだ。
    (メインタイトルの「白昼鬼語」は
    そんなオチ?と思ってちょっと消化不良...)

    とにかく女性の描き方に並々ならぬ作者の拘りを感じる。
    女の滑らかさ、白さ、美しさ、など
    人一倍女性に執着してたんだろうなと改めて思った。

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    2023年01月15日
  • 新装版 細雪 上

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    中学の頃、国語の問題で『細雪』の花見のシーンが一部出てきたのだが、当時は本に興味がなくスルーしてしまっていた。なぜかそれをふと思い出し、年末、実家に帰省する新幹線の中で読み始めた。

    蒔岡家が持つ高貴な雰囲気とコテコテな大阪弁が相まって、4姉妹の上品さが際立っている。会話形式が多いため、長編小説の割にはすぐに読み終えられる手軽さもある。

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    2023年01月03日
  • 春琴抄

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    慣れない文体なので入り込むまで時間がかかったけど、慣れたら読めるし情景がすごくしっかり思い浮かぶ描写だった。
    雲雀を見上げる2人の姿とか、絵に描いたように見えたし、知らないはずなのに春琴の姿も佐助の姿も思い浮かんでいた。

    わがままで高飛車で、潔癖で気難しくて暴力的、勝ち気で決して本音は話さない、そんな美女が自分だけに心を開く快感みたいなのは、たしかにわかるし、一度入ったら抜けられない沼だなと思う。
    私がいなくちゃこの人生きていけない!とも思うだろうし。

    いつから佐助は夢を見ていたのか、
    きっと春琴は佐助の記憶よりももっとしおらしくて女性らしい人だったんだともおもうけど。

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    2022年12月24日
  • 細雪(下)

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    昔ほど羽振りは良くないものの旧家としての誇りを持つ姉妹を巡る物語。身分や財産が伴侶を決める第一条件で、人柄や相性が二の次なことに驚かされるが、昔はこれが当たり前だったのかしら。就職のようなものと思えば何とかなりそうな気もする。

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    2022年12月23日
  • 人魚の嘆き・魔術師

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    2作品とも、どこか絵本や民話のようなお話。この世のものとは思えない美しさに魅入られる人間。
    旧仮名文字のまま収録されていて、今はほぼ使われていないような美しい言葉にどきどきする。注釈はあるが自分で意味を予測しながら読むのも楽しい。
    また、水島爾保布の挿絵が美しすぎる。水島氏に関する解説も丁寧なのでとても良い。谷崎はやっぱりおもしろい。

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    2022年12月11日
  • 細雪(下)

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    ネタバレ

    よく言われる源氏物語感は感じなかったが、当時の家庭のリアルが書かれているなぁと。
    順序、体裁、社会、環境変化に戸惑いながらも必死で生きることの素晴らしさと難しさが良かった。
    結果的に見れば、雪子は婚約、妙子の子供も亡くなってはしまったが、これをきっかけに新たな道に進んでいる。現代の我々は縛られて、不自由だと感じているかもしれないが、個人として意思や意見が言いやすくなり、戦争をきっかけにアメリカ的な自由が入り込んできたのだなと改めて思った

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    2022年12月08日