谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 少将滋幹の母

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    三島由紀夫は見上げて「大谷崎」と呼んだ。私にとっても神に等しい作家だからレビューを書くのも畏れ多い。かつて法然院の墓に参った時、思わず柏手を打った。すぐに仏と気づいて、恥ずかしかった。
    谷崎の作品には、建前の裏に隠れた生々しい情欲と、幼い頃に失った母の美しすぎる記憶への憧憬とが、良く出てくるものだ。
    その二つが盛り込まれているだけでなく、とにかく盛りだくさんだ。よくぞ、このページ数に収まるものだ。超絶技巧を持つ作家の推敲の賜だろう。
    一人の女を、妻として執着する老人と、母として慕う滋幹は、いずれも谷崎の思いの反映であろう。
    そして、ただただ美しいラスト。思わず涙が溢れた。

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    2010年10月25日
  • 鍵・瘋癲老人日記

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    僕の初めての谷崎が「鍵」だったンだけども、駅のホームで読み始めていきなりウワチャーとなった。冒頭から夫の日記で、「最近性生活が充実してない」「妻は類稀なる名器で絶倫なのに自分は満足させることができなくてくやしい」とかそういうのが頻出する。

    「鍵」は夫と妻の日記が交互に提示され、地の文が存在しない日記体の作品。夫は自分の日記で自分の衰え始めた性能力がどうやったら盛り上がって妻を満足させることができるかを書いていて、その日記を妻に読ませようとあれこれ仕掛ける。でも妻もそんな夫の浅い作戦なんてとうに見破っていて、そんな日記読むもんか、ということを自分の日記に書く。お互いの日記の内容が呼応して、その

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    2010年09月30日
  • 鍵・瘋癲老人日記

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    「瘋癲老人日記」のお爺ちゃんが気持ち悪すぎて吹いた。以後、オススメの本を聞かれた際にはこれを薦めようと思う。

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    2010年04月29日
  • 少将滋幹の母

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    これを授業で取り上げられたから読んだんだけど・・・
    もう、これで谷崎に落ちました。
    老人→美しい若い妻
    っていうのがたまらない。

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    2009年11月01日
  • 少将滋幹の母

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    蘆刈・吉野葛の系譜の作品で大好きだった。中世の色好みな男と周辺の解説のような顔で始まって、北の方という一人の美しい女をめぐる男達それぞれに焦点が当たりずれていき、少将滋幹が登場するのは大分あと。御簾の影に暗闇色の霧のように立ちこめていた北の方を時平が劇的に引きずり出したあと再び彼女は姿が朧気になり物語から遠ざかった掻き消えたかのように見えるが・・・。最後まで北の方は月の暈のような女性だった。彼女の意志は見えずそれとは関係なく男達は彼女を扱い、興亡を繰り返す。彼女に自由意志はないけど、彼女を真に自由に扱えた男もいない。筆もこちらも一番盛り上がる北の方の奪取場面、鼻をつまみたくなるおかしいおまる事

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    2011年07月28日
  • 少将滋幹の母

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    なんだろうこれ、どうしよう。

    びっくりするくらいあちこち歪んでいて、でも描写があんまり綺麗なもんだからくらくらする。
    特に北の方が時平に引っ張り出されてきた時、滋幹にはっきり顔を見せた時、その情景がどうしようもなく儚くて美しい。

    美女のせいで男がどんどん狂ってしまって一人も幸せになれないし、渦中の美女の心境は読みにくい、というかちっとも分からないし、こんなの絶対いい話じゃない。語り口だって結構突っぱねてるし。

    それなのに、でも、やっぱり、だ。

    08.12.11


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    2009年10月04日
  • 少将滋幹の母

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    主人公ではないけれど、平中が、好きな女性の「おまる」を奪ってしまうあたりの描写が、一番(作者が)楽しそう。元になった古典と照らしあわせると面白い。こういうセンスは、私は芥川よりよっぽど谷崎の方が好き。

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    2009年10月04日
  • 吉野葛・盲目物語

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    「吉野葛」は大好きな作品です。主人公の男が吉野に旅をする、というだけの話なんですけど。「盲目物語」は少し読みにくい文章になっています。これは語り手の教養の低さを表すためにわざと平仮名を多用しているせいなのですが、漢字と平仮名が両方あっての日本語なんだなあ、と思わせてくれます。日本語の表記をローマ字だけにするなんて却下です!

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    2009年10月04日
  • 細雪(上)

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    読みやすい。姉妹の会話がテンポ良くて良い。
    それぞれの心理描写が丁寧なおかげで全員に感情移入して読める。

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    2026年06月10日
  • 痴人の愛

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    あらすじには小悪魔ってあったのに、ただの色欲魔じゃんと思っていたら、後半畳み掛けるように小悪魔ムーブ(最早"小"ではない)。
    男を落とすためには①簡単にヤらせないこと②でもワンチャンあるかも、、?と期待値は残してあげること。→これ普遍的すぎ。
    改めて勉強になりましたナオミ姐さんっ...!!

    そしてサレ夫の独白ストーリーだけで読ませる文章力、実体験かと思う解像度、谷崎潤一郎ネ申です。

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    2026年06月04日
  • 陰翳礼讃

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    他の本を読んでいて、この陰翳礼讃に触れられていたので、ふと読んでみたくなっただけだったのだが、大変面白かった。文豪の書いた随筆ということで、もっと真面目な難しいものを想像していたのだが、昭和初期から戦後すぐ位までのものとは思えないほど現代にも通じるものがある。また、厠について一家言あるというかしょっちゅう出てきていて、なんとも面白いというか。あこんな人だったんだなと思った。 オススメ。

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    2026年06月02日
  • 痴人の愛

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    歳上の男性の「自ら騙されにいく」姿勢が嫌いになれない、
    男の器、と言うと違うかもしれないがそれを良いと感じてしまう自分が少し恥ずかしいなと感じた。
    初めて読んだ谷崎潤一郎作品でした。

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    2026年05月26日
  • 痴人の愛

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    男の浅はかさと愚かさばかりが物語が進むにつれて大きくなっていったな。ナオミの魅力がどこにあるのかは女性には全くわからなくって不潔感すら感じるのに、まぁおそらくその妖艶な身体の為なのか、結局男性は性欲からは逃れられない生物なんだなぁとまざまざと感じた。
    裕福な男と時代背景もあってこそ成り立つおままごと恋愛ではあるけれど、それを描くのが非常にうまい谷崎さすが。

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    2026年05月23日
  • 痴人の愛

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    後半に進むにつれて面白くなった!
    男性目線から見る女性ってたまに女性目線のそれをはるかに超えてることがあるんだろうなーと思った

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    2026年05月19日
  • 陰翳礼讃

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    「むかしは良かった」みたいな話かなぁ?と思って読み始めたら、まさにその通りだったので笑った。電灯の普及により明るすぎる座敷、無粋な家電のコード、白く無機質な西洋トイレ…。清潔で効率よく便利なのは確かだが、そのために失われていく暮らしの中の風雅や花鳥風月を、谷崎は縷々嘆くのである。
     しかし、それだけで終わらないのは、さすが文豪である。京都の料亭「わらんじや」が登場するあたりからグッと文章がノッてきて、暗い座敷における吸い物椀について語る時などはこうである。

     ──まずその蓋を取って、口に持っていくまでの間、暗い奥深い底の方に、容器の色とほとんど違わない液体が音もなく澱んでいるのを眺めた瞬間の

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    2026年05月16日
  • 春琴抄

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    佐助。男。家は貧しく、9歳のときから裕福な商家で奉公人(使用人)。奉公先の商家の娘・春琴(しゅんきん)。盲目の美少女。「端麗にして高雅」。佐助は春琴の世話係になる。春琴は気位が高く、神経質、他人に弱みを見せない。春琴は佐助が些細な失敗をすると激しく叱責、暴力を振るう。美貌・未婚・資産家の娘。盲目の美少女から”ムチ”うたれる不思議な快感。佐助は春琴を崇拝するように。しかし、ある日、春琴は寝込みを襲われ、顔に熱湯を浴びせられて重い火傷を負う。春琴の顔の皮膚は焼爛(ただ)れ、醜悪な姿に。春琴「見てはならぬ」。佐助は春琴の変わり果てた姿を見る前に、自分の両眼を縫い針で刺し、自ら盲目となる。これで春琴は

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    2026年05月15日
  • 陰翳礼讃

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    生まれたときからピッカピカに照らされた家で育ったため(父が蛍光灯好き)、光にも影にも鈍感なようで、谷崎さんが語る陰翳は私の生活からはかなり遠い存在。
    古い建物を訪ねるのは好きで、この部屋でどのように暮らしていたのだろうかと想像してみる。雨の日に、窓を閉めてしまうと家の中は真っ暗なのだろうか。夜にお手洗いに行く途中、廊下に人が立っていたらさぞかし恐ろしいだろう、なんて思うのだが、上手に思い描くことができない。暗い家で暮らしたことがないからかしら。
    当たり前に思っている私の感覚はひと昔前の日本人のそれとはおそらく全く違うのだろう。

    谷崎潤一郎=文豪
    かなり前に生きた人と思っていたのに、戦前、戦中

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    2026年05月13日
  • 刺青(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    前提条件としてこの物語は、美しい者=強い者という世界である。
    彫り師が最初は、美を作り、支配していた。
    しかし理想的な美女に、刺青を施した瞬間に、変貌を遂げて、こちら側が彫り師を支配するという主従逆転が発生。

    美とは、いわば刺青のことであり、鎧でもあり、力でもあり、同時に人を変質されるものである。

    また、刺青は彼女の中に眠っていた、支配性や妖艶さを目覚めさせただけである。

    刺青をしたら異性から好かれるとかそういった話ではない。自分の中に眠っている気質(本質)は何かに気付き、引き出せるかが、美しくあるために大切なことではないかと感じた。

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    2026年05月05日
  • 春琴抄

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    ネタバレ

    美しい。

    谷崎ならではの色彩豊かな美しい文章表現や魅力的な女性キャラは健在で、そのうえで狂気的ではありつつも恋の真理が描かれていた。

    相手の見ている世界を知りたいと願うのが恋で、同じ世界を見ることができたのであれば、盲目になったことなど災いどころか幸福であるという佐助の考え方は真理ではないか。
    文中の「佐助は今こそげかいの眼を失った代りに内界の目が開けたのを知り嗚呼此れが本当にお師匠様の住んでいらっしゃる世界なのだ此れで漸うお師匠様と同じ世界に住むことが出来たと思った」「誰しも眼が潰れることは不仕合せだと思うであろうが自分は盲目になってからそう云う感情を味わったことがない 寧ろ反対に此の世

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    2026年04月24日
  • 刺青・秘密

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    刺青がとても短くて、純文学を読むのには
    まだわかりやすかった。
    谷崎潤一郎のフェティシズムが溢れている気がして面白いと思った。

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    2026年03月30日