谷崎潤一郎のレビュー一覧
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ネタバレ引き続き面白い〜淡々とした日々なんだけど、普通に続き気になるし、面白いんだよなあ。。下巻もこのまま続けて読んでしまう
社会の情勢はそろりそろりとよくなくなり、隣人のドイツ人一家も引き上げてしまう。上は三女の雪子が中心だったけど、中は四女の妙子へスポットライトが多く当たる。
まさか板倉とああなるとは、大水の際には思いもせなんだでしたが、進んでみればそうなるのも当然のような経緯で、とはいえ板倉が死んでしまうし(驚き!)、これが下巻でどうなっていくのか。。
以下好きだったところ。
…彼女(幸子)と二人の妹達の間柄は、ちょっと普通の姉妹の観念では律し難いものであった。彼女はしばしば、貞之助のことや -
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ネタバレ谷崎は敬遠しがちなんですが、みんな細雪面白いって言うから(?)、朝ドラみたいだよと言われたのを契機に手に取りました。朝ドラみたい…!面白い…!全然クセがなくて、これは好きかも笑。元祖「あの子は貴族」だと思った。
太平洋戦争中に執筆して批判されるのもわかるが、これは在りし日への懐古と、精一杯の軍国主義への抵抗だよなあとおもいつつ読みました。途中途中不穏な形で入る情勢も、実際にこんな感じでみんなおそるおそる、だったのだろうし。
自分はずっと関東にいて、親も標準語しか喋らないので、言葉がどれだけ古い感じ・お上品な感じがするのか肌感がなくて、悔しい〜〜〜
雪子の「ふん」という返答どういう感じか分から -
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美しい写真とともに日本の美について綴られた随筆
すっかり明るい室内に慣れてしまった現代人からすると伝統ある寺社仏閣の薄暗さは不便であるように感じるが、そこに蟠る陰こそが障子越しの柔らかな光を、揺らめく灯火の明かりを、それに合わせて鈍く輝く螺鈿や波打つ金箔を、
奥行きのある美しさとして表現している。
特に金箔や螺鈿の美しさは、煌々と全てを照らす電灯の元では充分に発揮されないのだろうと気が付かされました。
文体は硬くなく、添えられた写真が綺麗なので引っかかることもなく読み進められます。
日本家屋に潜む闇は、野外の闇よりもザラザラとした手触りがる、そのような一文がありましたが、昔祖父母の家の片隅に蹲 -
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ネタバレ我儘で気の強い春琴と崇拝にも及ぶ愛を持った佐助の物語。
私は「愛するということは、その人のために自分の命をも捧げられるということ」と定義している。
佐助は春琴のために「視力」を捨てて、彼女と同じ苦痛(彼等にとっては苦痛ではなかったが)を受け入れた。春琴が私のために死ねと言えば、彼は自分の左目を針で刺したように、自分の命でさえも春琴を想い、満足を感じながら捧げたであろう。
春琴は佐助が盲目になって以降も、依然心を開いていたのは彼に対してだけであり、「ほんとうの心を打ち明けるなら今の姿を外の人には見られてもお前にだけは見られとうないそれをようこそ察してくれました。」というセリフからも、佐助への気持 -
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7月30日は、谷崎潤一郎文学忌、潤一郎忌
1917年大正6年 雑誌「改造」初出
幻想と耽美の短編
富豪の若き貴公子――南京随一の美男子。
両親の死後、莫大な財産を背景に放蕩にふけり、美貌を武器に美女を漁る日々。
あらゆる快楽に飽き果てたころ、ヨーロッパから来た人魚に心奪われる。
水槽越しに募る恋情。
ついには人魚の種族に堕ち、自らも異形となることを願うように。
しかし人魚は、西洋の海を恋い慕う。
その願いを叶えようとする貴公子――
彼もまた、人魚とともに西洋へと旅立っていく
イラストはねこ助さん。耽美な物語に添えられた繊細なイラストが、世界観を一層引き立てていました。ただ、個人的にはもう -
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7月30日は、谷崎潤一郎文学忌、谷崎忌
1910年明治43年 「新思潮」初出
商業雑誌デビュー作 一躍文壇の人となる
文庫でもレビューしているけど
冒頭の時代設定の文章が日本に中の時代を
想像させて心地よい
彫師の男の物語
いつか理想の女の肌に芸術を刻みたい――
そう夢見ていた男は、ついにその完璧な肌を見出す。
だが刃を入れた瞬間、支配していたはずの彼が、
すでに女の虜となっていた。
彫り上げられた女は 痛みとともに“美”を宿す
恐れや従順を脱ぎ捨て、受動的な存在から
支配する側へと昇華する。
イラストは夜汽車さん
美しいけれど 谷崎の幻想耽美には向いていないかもしれません
着物を美しく -
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大正時代に、これほどまで“狂った恋愛”が描かれていたとは。谷崎潤一郎『痴人の愛』を読んで、そんな驚きを感じました。
主人公が自らの庇護下に育てた“ナオミ”という存在。はじめは支配していたはずが、気づけばその関係は反転し、彼女に支配される側へと転じてい。コントロール欲、嫉妬、愛憎、執着、被虐性。さまざまな感情が生々しく交差しながら、物語は破滅と再生の道をたどります。
男性視点の恋愛依存・執着がここまで丁寧に描かれるのは希少で、尾行や探偵的な行動など、今の時代にも通じる不穏さがリアルです。恋愛をしてこなかった人が、大人になってから溺れる危うさというテーマにも共感しました。
個人的には、裏切っ -
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文章は読みやすいし、絵はとても美しい。
特に瞳の境界線が淡いのが好き。
でも話はドン引き。
稀代の彫物師が5年前に見た、籠から少し出た女の片足に惚れて、たまたま巡り会えたお使いで来た芸妓の卵の彼女に「顔も雰囲気も最高に好み」と薬で眠らせて(!)勝手に背中に蜘蛛の刺青を入れる。
まじで彫物師の男の勝手な大暴走。犯罪だよ。
許可なく刺青を入れられて吃驚されたり、芸妓デビューに障るかも知れない。一晩帰ってこなかったから周りからの目もある。
彼女が激怒しなかったから話はまとまった感じだけど、昨今の飲み物に睡眠薬を入れて女の子を眠らせて無体をする男の話を思い出して、ムカムカした。
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