谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 細雪(中)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    引き続き面白い〜淡々とした日々なんだけど、普通に続き気になるし、面白いんだよなあ。。下巻もこのまま続けて読んでしまう

    社会の情勢はそろりそろりとよくなくなり、隣人のドイツ人一家も引き上げてしまう。上は三女の雪子が中心だったけど、中は四女の妙子へスポットライトが多く当たる。
    まさか板倉とああなるとは、大水の際には思いもせなんだでしたが、進んでみればそうなるのも当然のような経緯で、とはいえ板倉が死んでしまうし(驚き!)、これが下巻でどうなっていくのか。。

    以下好きだったところ。
    …彼女(幸子)と二人の妹達の間柄は、ちょっと普通の姉妹の観念では律し難いものであった。彼女はしばしば、貞之助のことや

    0
    2025年10月14日
  • 細雪(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    谷崎は敬遠しがちなんですが、みんな細雪面白いって言うから(?)、朝ドラみたいだよと言われたのを契機に手に取りました。朝ドラみたい…!面白い…!全然クセがなくて、これは好きかも笑。元祖「あの子は貴族」だと思った。
    太平洋戦争中に執筆して批判されるのもわかるが、これは在りし日への懐古と、精一杯の軍国主義への抵抗だよなあとおもいつつ読みました。途中途中不穏な形で入る情勢も、実際にこんな感じでみんなおそるおそる、だったのだろうし。

    自分はずっと関東にいて、親も標準語しか喋らないので、言葉がどれだけ古い感じ・お上品な感じがするのか肌感がなくて、悔しい〜〜〜
    雪子の「ふん」という返答どういう感じか分から

    0
    2025年10月10日
  • 悪魔 乙女の本棚作品集

    Posted by ブクログ

    イラストレーターのしきみさんの、乙女の本棚作品集です。どこか怪しい美しさのある、しきみさんのイラスト。作品の冒頭に、どういう意図でこのイラストを描いたのか、解説が入っていて、一度読んだことのある作品でも、新たに楽しむ事が出来ました。

    新規収録作品は、芥川龍之介の悪魔。短い作品ですが、インパクトがありました。最後の悪魔の表情が、文章を底上げしている気がします。
    素敵な作品集でした。


    0
    2025年09月26日
  • 痴人の愛

    Posted by ブクログ

    クセになる面白さ

    可愛げのある2人

    ちょっと、ちょっと?気持ち悪いんだけど2人の生活をもっと見たくなる

    0
    2025年09月24日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    美しい写真とともに日本の美について綴られた随筆
    すっかり明るい室内に慣れてしまった現代人からすると伝統ある寺社仏閣の薄暗さは不便であるように感じるが、そこに蟠る陰こそが障子越しの柔らかな光を、揺らめく灯火の明かりを、それに合わせて鈍く輝く螺鈿や波打つ金箔を、
    奥行きのある美しさとして表現している。
    特に金箔や螺鈿の美しさは、煌々と全てを照らす電灯の元では充分に発揮されないのだろうと気が付かされました。
    文体は硬くなく、添えられた写真が綺麗なので引っかかることもなく読み進められます。
    日本家屋に潜む闇は、野外の闇よりもザラザラとした手触りがる、そのような一文がありましたが、昔祖父母の家の片隅に蹲

    0
    2025年09月23日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    我儘で気の強い春琴と崇拝にも及ぶ愛を持った佐助の物語。
    私は「愛するということは、その人のために自分の命をも捧げられるということ」と定義している。
    佐助は春琴のために「視力」を捨てて、彼女と同じ苦痛(彼等にとっては苦痛ではなかったが)を受け入れた。春琴が私のために死ねと言えば、彼は自分の左目を針で刺したように、自分の命でさえも春琴を想い、満足を感じながら捧げたであろう。
    春琴は佐助が盲目になって以降も、依然心を開いていたのは彼に対してだけであり、「ほんとうの心を打ち明けるなら今の姿を外の人には見られてもお前にだけは見られとうないそれをようこそ察してくれました。」というセリフからも、佐助への気持

    0
    2025年09月22日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    「今まで肉体の交渉はありながら師弟の差別に隔てられていた心と心とが始めてひしと抱き合い一つに流れて行くのを感じた」
    この一文に佐助と春琴の愛の模様が表れていると思った。
    またその後の「盲人の師弟手を取り合って空を仰ぎ遥かに遠く雲雀の声が落ちて来るのを聞いていた」の一文から、最も彼らの愛の深さ、様子を感じられた。
    彼らの中でしか通じない愛の形。彼らだけの幸せの形。

    0
    2025年09月09日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    盲目の三味線奏者の春琴と彼女の奉公人である佐助を描いた小説。二人は師弟関係であるが、徐々にお互いに恋愛感情を抱くようになる。ところが話が進んで終盤辺りになると、彼は春琴と同じ状態になろうと針で両目を潰すという行動に走った。その際の描写は痛々しく、佐助の異常さが伝わる。

    0
    2025年08月31日
  • 痴人の愛

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    譲治はナオミという偶像に恋してしまったから、彼女の中身を理解しようとも、対等に向き合おうともしなかった。結果、ナオミは育てられる存在から支配する存在へと変わっていった。
    偶像じゃなく生身の人間として扱えていたら、ナオミもきっと別の姿を見せていたかもね。

    0
    2025年08月27日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    盲目の娘・春琴、彼女の下男・佐助、二人だけの人生が描かれた物語。

    物語の途中から佐助は春琴の弟子となり歪な師弟愛が展開され、めくるめく耽美を味わうものの、春琴が重い火傷を負い佐助が自ら眼を傷つけ盲目となる件は狂気が過ぎる。読んでて目が痛いーーー。

    語り手による物語は自分の拙い想像力では鮮やかに再現できない場面もあり、ところどころ文章を楽しむことに重きを置いて読み切りました。読み慣れていない文章ですがやっぱり文豪の作品って面白いです。

    佐助にとって春琴は永遠でありすべてだったんでしょうね。

    0
    2025年08月18日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    とても豪華な1冊。
    求めていた文豪の短編がビッシリ詰まっていて、不気味!耽美!最高!
    夏目漱石、夢野久作、江戸川乱歩、太宰治が入っていてとても嬉しい。
    どれも面白くて良い。

    0
    2025年08月14日
  • 猫と庄造と二人のおんな

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    猫リリーと庄造の関係、庄造と妻福子、前妻品子の関係を細かく描写した小説で、リリーを頂点に、庄造、そして福子と品子という上下関係が明らかになっている。人間の言葉を話せないリリーだが、その可愛らしい姿の為か、庄造からの無償の愛を受けている。それに対し、福子はリリーに嫉妬するという歪な構造となっている。本作は猫をめぐっての三人の関係性が注目どころである。

    0
    2025年08月10日
  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    7月30日は谷崎潤一郎の命日ということで。

    『美というものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。』

    民藝とはちょっと違う観点。

    0
    2025年07月30日
  • 人魚の嘆き(乙女の本棚)

    Posted by ブクログ

    7月30日は、谷崎潤一郎文学忌、潤一郎忌
    1917年大正6年 雑誌「改造」初出

    幻想と耽美の短編

    富豪の若き貴公子――南京随一の美男子。
    両親の死後、莫大な財産を背景に放蕩にふけり、美貌を武器に美女を漁る日々。
    あらゆる快楽に飽き果てたころ、ヨーロッパから来た人魚に心奪われる。
    水槽越しに募る恋情。
    ついには人魚の種族に堕ち、自らも異形となることを願うように。
    しかし人魚は、西洋の海を恋い慕う。
    その願いを叶えようとする貴公子――
    彼もまた、人魚とともに西洋へと旅立っていく

    イラストはねこ助さん。耽美な物語に添えられた繊細なイラストが、世界観を一層引き立てていました。ただ、個人的にはもう

    0
    2025年07月29日
  • 刺青(乙女の本棚)

    Posted by ブクログ

    7月30日は、谷崎潤一郎文学忌、谷崎忌
    1910年明治43年 「新思潮」初出
    商業雑誌デビュー作 一躍文壇の人となる

    文庫でもレビューしているけど
    冒頭の時代設定の文章が日本に中の時代を
    想像させて心地よい
    彫師の男の物語
    いつか理想の女の肌に芸術を刻みたい――
    そう夢見ていた男は、ついにその完璧な肌を見出す。
    だが刃を入れた瞬間、支配していたはずの彼が、
    すでに女の虜となっていた。

    彫り上げられた女は 痛みとともに“美”を宿す
    恐れや従順を脱ぎ捨て、受動的な存在から
    支配する側へと昇華する。

    イラストは夜汽車さん
    美しいけれど 谷崎の幻想耽美には向いていないかもしれません
    着物を美しく

    0
    2025年07月29日
  • 痴人の愛

    Posted by ブクログ

    大正時代に、これほどまで“狂った恋愛”が描かれていたとは。谷崎潤一郎『痴人の愛』を読んで、そんな驚きを感じました。

    主人公が自らの庇護下に育てた“ナオミ”という存在。はじめは支配していたはずが、気づけばその関係は反転し、彼女に支配される側へと転じてい。コントロール欲、嫉妬、愛憎、執着、被虐性。さまざまな感情が生々しく交差しながら、物語は破滅と再生の道をたどります。

    男性視点の恋愛依存・執着がここまで丁寧に描かれるのは希少で、尾行や探偵的な行動など、今の時代にも通じる不穏さがリアルです。恋愛をしてこなかった人が、大人になってから溺れる危うさというテーマにも共感しました。

    個人的には、裏切っ

    0
    2025年07月27日
  • 卍(まんじ)

    Posted by ブクログ

    関西弁の告白態小説。疑心暗鬼に陥る様が丁寧に描かれていて面白かった。光子の自分勝手で強欲な所が周りを狂わせていく感じとか、登場人物は少ないのにドロドロとしていた。

    0
    2025年07月24日
  • 痴人の愛

    Posted by ブクログ

    中盤までは、ナオミは嫌な女だなーとか、譲治も早くナオミを捨てればいいのにとか、ある種イライラしながらもなんとなく読んでいた。それなのにいつの間にか、ナオミが魅力的に見えたり(クズ度合いは一層増しているのに)、譲治が壊れていく様にちょっと共感できてしまったり。当事者にはなりたくないクズと馬鹿の話だけど、不思議な魅力で読む手が止まらなくなってしまった。

    0
    2025年07月23日
  • 刺青(乙女の本棚)

    Posted by ブクログ

    文章は読みやすいし、絵はとても美しい。
    特に瞳の境界線が淡いのが好き。
    でも話はドン引き。
    稀代の彫物師が5年前に見た、籠から少し出た女の片足に惚れて、たまたま巡り会えたお使いで来た芸妓の卵の彼女に「顔も雰囲気も最高に好み」と薬で眠らせて(!)勝手に背中に蜘蛛の刺青を入れる。
    まじで彫物師の男の勝手な大暴走。犯罪だよ。
    許可なく刺青を入れられて吃驚されたり、芸妓デビューに障るかも知れない。一晩帰ってこなかったから周りからの目もある。
    彼女が激怒しなかったから話はまとまった感じだけど、昨今の飲み物に睡眠薬を入れて女の子を眠らせて無体をする男の話を思い出して、ムカムカした。

    0
    2025年07月22日
  • 人魚の嘆き(乙女の本棚)

    Posted by ブクログ

    幻想的だし、敗退的で物哀しい雰囲気を感じた。
    文章がきれいだなぁ。
    特に人魚の容姿を表す文がとても好き。

    0
    2025年07月21日