谷崎潤一郎のレビュー一覧
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「なぜ日本人はうすくらがりが好きなのか」。西洋文明への「負け惜しみ」を含んだ谷崎独自の東洋文明論。谷崎が「薄暗いトイレは落ち着く」とか「電球は暑苦しい」とかつらつら述べるんだけど、これが妙な説得力。ほほう、これが噂の「大谷崎」ワールドかぁ……ってなった。関東大震災で洋館の自宅を焼かれ、関西に移住した谷崎の「実感」がこもっているからだろう。
今の私たちは、スマホも含めて視覚を使いすぎだと思う。西洋の影響を受けた清潔で明るい家は快適だけど、刺激が多すぎて脳のバッファが足りなくなってるのかも。かつての日本人が持っていた、「陰翳」の中にじっと沈み込むような瞑想的な感覚を、情報過多の今こそ大事にしたい -
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やや久々の谷崎。卍というタイトルの通り、男女の入り組んだ関係が題材で、主要人物の一人である園子による過去の出来事の告白体、ほぼ全編が絡みつくような大阪弁の会話主体で構成されている、という辺りが特徴。解説では「変態性欲」とざっくり評されているけれど、個別の関係に倫理や常識を踏み外すものがあるのは確かだけど、『痴人の愛』のような倒錯感はそれほど強く感じないし、よりフェティシズム的な側面が強い作品に比べると「変態」感はむしろ感じなくて、それぞれの人物がそれぞれの弱さや執着の中で絡み合っていくという意味ではそこまでドロドロはしていない印象を受ける。この構成や語り口で描きたいんだという谷崎の狙いやこだわ
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『吉野葛』
-芥川の呪縛を離れて
吉野葛は奈良県の銘菓だが、美食家谷崎による「食れぽ」ではない。
尤も、熟柿(ずくし)の魅力を語る場面では、涎が滴るが•••
本作は、吉野を訪ねた作者が語る、母恋物語。
この作品を谷崎潤一郎が書いたのは1931年。
谷崎 45歳。
谷崎を思うと、その6歳年下の芥川龍之介を思い出さざるを得ない。
芥川の『羅生門』発刊記念パーティに招かれた谷崎が芥川と共に写っている。
二人は友好関係を築くが、1927年、小説の筋を巡って激しく論争する。
その論争の直後、7月24日に芥川は自殺する。その日は、「河童忌」と呼ばれる。
だが、それは谷崎潤一郎の「誕生日」だった(!) -
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ネタバレ谷崎の愛欲系としてまずは手に取りやすそうな厚さで、かつ挿絵が入っている新装版が出ていた本作から!中公文庫は、棟方志功が「鍵」に挿絵入れてる版が出ていたり、目が離せない。本作も中村明日美子の絵がいい味を加えていて大満足。あとは、痴人の愛と春琴抄は読もうと思っていまする。。笑
卍自体は途中まではー光子と園子がどんどん仲良くしてるあたりーテンション上がってたんですけど、綿貫が出てきて姉弟の契りを結ぼうじゃないかみたいなところから、園子夫にバラされ、海岸の別荘でうんたらしようとして、結局夫も光子と関係持ってしまって、そこから光子に薬使ってコントロールされる、、みたいな後半戦は正直だる〜〜となってしまい -
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(Audibleにて、ナレーター:斉藤範子)
Audibleを初体験するのに何が良いかと思いつつ選んでみたが、なかなか良かった。ナレーターさんの関西弁は多少不自然だったが、耳当たりが良く楽しく鑑賞できた。
本で読むのとはだいぶ印象が変わるのかもしれないが、改めて読むつもりはないのでそれはわからない。
ハズに色々とバレたあたりからのドンデン返しのような展開は予想を超えていて呆気にとられた。え?そんなことになるん?すっかりモブキャラと思ってたハズさんの豹変にびっくり。それまでの長々とした筋書きは手の込んだ仕込みだったとは。
純粋なのか異常なのか、「先生」はどう思ったのでしょうね。 -
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まず装画が怪しげで綺麗!いわゆるジャケ買い
あとタイトル『疵の迷楼』別世界へと誘い込まれるような魅惑的な感じに加え、名だたる文豪たちの作品に興味を引かれてしまう。
まだ、このとき耽美という言葉の意味を理解していなかった。ただ「美しい」くらいにしかとらえていなかったので読んでみたら本当の意味を思い知らされ、常軌を逸した世界への入り口だった。
なかなか普通の感覚では理解、共感し難い作品ばかり。どの作品も何かに心を奪われていたり、病的にのめり込んでいたりと現実からかけ離れていて危うい空気が漂っている。
抗いがたい好奇心や欲望、まるで[パンドラの箱]を開けてしまったようなそんな感じだ。
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