谷崎潤一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今更、自分ごときがどうこう言う作品でないのは重々承知ですが、個人的備忘録を兼ねて。
「主人と奉公人」「師匠と弟子」そして「視覚障害者と介助者」の歪んだ愛。
主人であり師匠であり視覚障害者である春琴は、最大の自慢であり、自信の源泉である美貌をとある事件によって失うことになる。
奉公人であり弟子であり介助者である佐助は、春琴が見られまいとするその変わり果てた姿を、生涯目にしないことを決意する。
二人の育んできた歪んだ愛は、二人の手によってさらに歪まされることにより、ついに完成するのである。
一般的な恋愛とはあまりにもかけ離れた愛の姿。
そのどうしようもなく歪んだ愛が感動を誘う。 -
Posted by ブクログ
「なぜ日本人はうすくらがりが好きなのか」。西洋文明への「負け惜しみ」を含んだ谷崎独自の東洋文明論。谷崎が「薄暗いトイレは落ち着く」とか「電球は暑苦しい」とかつらつら述べるんだけど、これが妙な説得力。ほほう、これが噂の「大谷崎」ワールドかぁ……ってなった。関東大震災で洋館の自宅を焼かれ、関西に移住した谷崎の「実感」がこもっているからだろう。
今の私たちは、スマホも含めて視覚を使いすぎだと思う。西洋の影響を受けた清潔で明るい家は快適だけど、刺激が多すぎて脳のバッファが足りなくなってるのかも。かつての日本人が持っていた、「陰翳」の中にじっと沈み込むような瞑想的な感覚を、情報過多の今こそ大事にしたい