谷崎潤一郎のレビュー一覧
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谷崎潤一郎の代表作『細雪』下巻。
戦時の思想・言論統制により掲載が止められた上巻、中巻と異なり、下巻の本作は、GHQの検問化にあったものの1947年雑誌掲載され、1948年に刊行されました。
その後、1950年代に世界各国で翻訳され、日本を代表する文学作品となります。
上、中巻に続き、大阪の旧家の四姉妹の日々が綴られます。
話の中心は、縁談がまとまらないまま年月が過ぎていく三女の雪子と、自由な思想で動き回る四女の妙子で、二人に頭を抱える次女・幸子の苦労が耐えない様子が引き続き描かれます。
東京に移り住む事となった長女の鶴子は、元々存在感は薄かったのですが本作ではますます希薄になったと感じまし -
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谷崎潤一郎の代表作『細雪』の中巻。
上巻に引き続き執筆されましたが、私家版として刊行された上巻と違い、完成後長らく日の目は見られない状態でした。
中巻は戦後ようやく中央公論社から刊行されます。
内容は上巻の続きで、大阪の旧家の四姉妹の日々が綴られるものとなっています。
自分の人生のため、洋行の希望や、手に職をつけるための活動を始める妙子と、それを快く思わない恋人の奥畑。
そんな折に発生する大水害でヒーローのように現れて妙子を救った板倉に苛立ちが募る奥畑と妙子の恋愛事件や、お隣に住んでいた仲の良かったドイツ人一家の引っ越し、恩師の逝去、そして板倉の病気と、次から次へと発生するトラブルだらけの日 -
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日常に倦んだ男が、刺激的な”秘密”を持つべく、気まぐれから夜な夜な女装しては街を練り歩く話。
艶やかな着物に身をつつんで、人々の視線を恣にしては悦に浸っていた男だったが、とある晩、すさまじい美貌の妖女に出会う。まさに一顧傾城のその女は、どこかで見覚えがある気がするのだが……。
という感じで、設定も筆致もちょっとエロティックで読みながらドキドキした。
女と再会した明くる日の晩の素晴らしい大雨に始まり、指定された逢い引きのルールはこれまた随分とアブノーマルで蠱惑的だし、退屈な日常からこんな非日常に連れ出されちゃったら行く末は変態まっしぐらですよ。
秘密、というものの危うい快感を伴う蜜の味。
てっ -
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『刺青』、『痴人の愛』と並ぶ谷崎潤一郎の代表作にして、近代の日本文学史上の代表作としても上げられる長編小説。
本書は、上中下巻の3巻構成の上巻です。
1900年前半の大阪、神戸、いわゆる阪神間モダニズム時代、大阪の旧家を舞台に、四姉妹の日々が綴られた作品となっています。
大阪の上流階級の生活様式と、終盤には太平洋戦争開戦によりその文化が滅びゆく様が描かれます。
本作は『中央公論』に掲載されましたが、第一回、第二回掲載時、軍部から"内容が戦時にそぐわない"との理由により、以降の掲載をストップさせられます。
徳田秋声の『縮図』同様、戦時下の思想・言論統制の対象となってしまった -
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文豪の名作と人気イラストレーターがコラボしたという、乙女の本棚シリーズ。
魅惑のラインナップの中で、ちょうど谷崎の刺青が発刊されたばかりだったのでこちらから読んでみました。
清吉という凄腕の若き彫物師は、理想とする美しい女に自分の魂を彫りたいと切に願っている。
そして漸くその娘に出会え、眠らせて背中に女郎蜘蛛を彫ってしまう。
激しい苦痛に耐えて目覚めた娘は、臆病な心を捨ててすっかり妖艶に生まれ変わっており、清吉は真っ先に娘の肥料(こやし)となっていたのであった、という話。
いかにも谷崎らしい耽美さ。女の美しさを描写する際の、圧倒的美を前に屈服するかのような丹念な文章表現は、何度繰り返して読 -
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俄然、おもしろい、うまい。ま、当たり前なんだけど。大作家谷崎潤一郎なればこその名作。
のっけから船場言葉「こいさん」だの「とうさん」だの「ふん、ふん」が頻発なのだが、そこは江戸っ子作家からみた関西なのでくみし易い。谷崎潤一郎は上方の生活文化を愛情込めて書き込んだ。
さて、あらすじ、没落はしたが船場育ち四人姉妹の三女雪子が30歳なのにお嫁にゆき遅れている。
昔よ(昭和12、3年ころ)、びっくり!だから最初から最後までお見合いの連続。
あいまに、物見遊山、観桜、蛍狩り、年中行事、食べ歩き。そして、大洪水の恐さ、大病、などの事件、大阪神戸と東京を行ったりきたりの変化、ほんとあきさせない。
でも -
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Posted by ブクログ
「フェチ」こと「フェティシズム」を全面に出した、いっそ清々しい程の性癖で知られる谷川潤一郎先生の作品集。現文の授業で名前だけ聞いた『刺青』が、こんなに艶めかしくも美しい作品だと、誰が思っただろうか(笑)
特に印象深かったのはやはりこの2作。
『刺青』
谷川潤一郎先生の作家デビュー作にして、フェティシズムの神髄とも形容できる本作品は、初読の私に大きすぎる衝撃を与え、同時にその世界へと私を引き摺り込んで行きました。足への描写がすごい(笑)これが耽美派かと圧倒。そしてその美しさにやはり心酔するばかり。燦燦と輝く蜘蛛の刺青と、それを崇拝する三吉の関係性……ここだけ見ればマゾヒスティックな趣を感じま