谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 卍(まんじ)

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    知人と「パートナーがその同性と浮気したらどうする」という話になった。「なんか、敵わないよね」という結論に至った気がする。本書はそんな昔話を思い起こさせる。
    ただ、設定としての同性愛や中村光夫が解説で使う「変態性欲」というキツめの言葉、触れ込みの「淫靡で濃密な愛憎」を真に受けると谷崎は誤読すると思う。
    見えてくるのは周囲を誤魔化してでも崇拝される者たろうとするエゴに満ちた悪魔的人間と、跪かざるを得ない凡夫たちだ。悪魔はそのまま谷崎的な女性崇拝につながるのだろう。
    物語はその関係性を構築するため緻密に稼働する。まるで悪魔に奉仕するかのように。

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    2023年05月03日
  • 細雪(中)

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    戦争の足音が忍び寄り、時代の流れには抗えない様相になる中でも、日本の文化的行事や生活様式を変わらぬ価値観で貫いて生きる四姉妹とその家族。我々が生きる現代の日本を思うと、歴史的に見ればほんの数年の第二次世界大戦を経て日本の文化や価値観が劇的に変わったのだと実感する。敗戦とはこう言う事なのかと。。
    結婚一つ決めるのも本家の許可が必要とか、戦後仕事も結婚も自由に選べる今を思えば生きづらい世の中だったとも思いますが、引き換えにならない程の今はなき良き日本もたくさんある。
    神戸の大水害が実際にあった事とは初めて知りましたが、家のしきたりに逆らい奔放に生きる四女妙子がこの大水害にも巻き込まれて九死に一生を得るなど益々波瀾万丈な人生となる一方、相変わらず結婚が決まらず前に進まない三女雪子の人生がより対照的となってくる様から目が離せない。

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    2023年04月30日
  • 細雪(上)

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    初めての谷崎潤一郎。
    昭和初期から第二次世界大戦勃発前まで、明治時代より続く上流階級の一族が衰退を辿りながらも、その生活様式や価値観を失わず生活する四姉妹の様子が、優雅で実に美しい。
    四姉妹が京都で花見をする場面は、目の前に満開の桜が咲き誇る景色が見えるようで、その文章の美しさに浸ってしまい、文庫の紹介文に書かれていた小説絵巻とは良く言ったものだと感心してしまう。
    結婚話がなかなか決まらない大和撫子を絵に描いたような三女雪子、自由奔放な四女妙子の行方が気になる中巻下巻。

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    2023年04月30日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」での会話で谷崎潤一郎の「途上」を完全犯罪と言っていたので見てみたがほんとに偶然に偶然を重ねた必然的な事件で驚いた。
    こんな執念深さをもつことに恐怖すら感じた。

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    2023年04月04日
  • 痴人の愛 アニメカバー版

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    さすが谷崎先生、変態でみっともなくて好きです。人間こうなったら終わりと思いながらも共感できるところもあったりして、男という生き物の哀しさ、情けなさにグッと来ました。

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    2023年03月26日
  • 秘密(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    最初は理解して読めたものの女性の登場からよくわからなくなってしまった。
    つまり、よからぬ関係だったということ?
    それとも本当に別世界に迷いこんでたのかしら?
    なんにせよ秘密まみれの作品。
    イラストがすごく綺麗でみとれました。

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    2023年03月22日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    レジに持っていくのをためらうタイトルとは反対に、ポップな装丁。
    楽しめる人と拒絶する人に分かれそう。
    谷崎が好きなら問答無用で受け入れるか。
    「少年」のエスカレートしていく感じがやばい。

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    2023年02月19日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    高校生の時に読んだ「富美子の足」に
    衝撃を受けて以来、久しぶりに谷崎潤一郎作品を読んだ。
    (メインタイトルの「白昼鬼語」は
    そんなオチ?と思ってちょっと消化不良...)

    とにかく女性の描き方に並々ならぬ作者の拘りを感じる。
    女の滑らかさ、白さ、美しさ、など
    人一倍女性に執着してたんだろうなと改めて思った。

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    2023年01月15日
  • 新装版 細雪 上

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    中学の頃、国語の問題で『細雪』の花見のシーンが一部出てきたのだが、当時は本に興味がなくスルーしてしまっていた。なぜかそれをふと思い出し、年末、実家に帰省する新幹線の中で読み始めた。

    蒔岡家が持つ高貴な雰囲気とコテコテな大阪弁が相まって、4姉妹の上品さが際立っている。会話形式が多いため、長編小説の割にはすぐに読み終えられる手軽さもある。

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    2023年01月03日
  • 春琴抄

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    慣れない文体なので入り込むまで時間がかかったけど、慣れたら読めるし情景がすごくしっかり思い浮かぶ描写だった。
    雲雀を見上げる2人の姿とか、絵に描いたように見えたし、知らないはずなのに春琴の姿も佐助の姿も思い浮かんでいた。

    わがままで高飛車で、潔癖で気難しくて暴力的、勝ち気で決して本音は話さない、そんな美女が自分だけに心を開く快感みたいなのは、たしかにわかるし、一度入ったら抜けられない沼だなと思う。
    私がいなくちゃこの人生きていけない!とも思うだろうし。

    いつから佐助は夢を見ていたのか、
    きっと春琴は佐助の記憶よりももっとしおらしくて女性らしい人だったんだともおもうけど。

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    2022年12月24日
  • 細雪(下)

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    昔ほど羽振りは良くないものの旧家としての誇りを持つ姉妹を巡る物語。身分や財産が伴侶を決める第一条件で、人柄や相性が二の次なことに驚かされるが、昔はこれが当たり前だったのかしら。就職のようなものと思えば何とかなりそうな気もする。

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    2022年12月23日
  • 人魚の嘆き・魔術師

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    2作品とも、どこか絵本や民話のようなお話。この世のものとは思えない美しさに魅入られる人間。
    旧仮名文字のまま収録されていて、今はほぼ使われていないような美しい言葉にどきどきする。注釈はあるが自分で意味を予測しながら読むのも楽しい。
    また、水島爾保布の挿絵が美しすぎる。水島氏に関する解説も丁寧なのでとても良い。谷崎はやっぱりおもしろい。

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    2022年12月11日
  • 細雪(下)

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    ネタバレ

    よく言われる源氏物語感は感じなかったが、当時の家庭のリアルが書かれているなぁと。
    順序、体裁、社会、環境変化に戸惑いながらも必死で生きることの素晴らしさと難しさが良かった。
    結果的に見れば、雪子は婚約、妙子の子供も亡くなってはしまったが、これをきっかけに新たな道に進んでいる。現代の我々は縛られて、不自由だと感じているかもしれないが、個人として意思や意見が言いやすくなり、戦争をきっかけにアメリカ的な自由が入り込んできたのだなと改めて思った

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    2022年12月08日
  • 細雪(下)

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    4姉妹の日常物語の終結。 下巻は中巻以上に様々な事件が起こり、また4姉妹の人間関係が浮き上がってきます。 雪子の見合い話にやきもきする幸子。 妙子の天真爛漫(と、言っていいのかはさて置いて)な振る舞いに、不満を募らせる幸子。 東京からなかなか姿を現さない鶴子。 物語は突然に終わってしまい物足りなさもあるけど、そこはタイトルの細雪"の通り、4姉妹の儚い日常を描いたものだと感じました。 もっと色々書きたいですが、何を書いてもネタバレになりそうなので自重します。 また数年後に改めて読み直したい作品でした。"

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    2022年12月01日
  • 卍(まんじ)

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    光子の誘惑というか、悪魔的な魅力がホント恐ろしい…。
    異性のみならず、同性をこうも骨抜きにまでしてしまうその手段。少し味わってみたいけど、味わったら多分ハズさんと同じ道に陥るんだろうな(笑)

    ミステリーみたいな感じもして、ハラハラしながら読み進められました。

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    2022年11月19日
  • 猫と庄造と二人のをんな

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    谷崎作品で描かれる女性たちはみな美しい。谷崎自身が憧れる強さを持った女性たち。この作品に登場する先妻と後妻はどちらも大人の女性としてのしたたかさがある。また庄造の弱さが際立つのはその母の強さも感じられるからだろう。庄造を取り巻く3人の女に対して、リリーというメス猫も女として描かれているのではないか。読んでるうちに、『痴人の愛』のナオミを思わせる自由な女の虜になっている男と重なった。

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    2022年11月11日
  • 細雪(中)

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    ネタバレ

    人の死に直面しても、社会的体裁を気にしてしまうこと。これもまた当時の文化なのかと。家柄、前年踏襲の傾向など、今の日本で『それってどうなの?』といった考え方が普通であった時代を今一度見つめ直すいい作品だと感じた。今が良くて、昔が悪いのではなく、昔を知った上で、今をどうするべきかを考える良いきっかけになった。

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    2022年11月05日
  • 細雪(中)

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    上巻がまったりとした雰囲気なので、このまま続くのかと思いきや、事件勃発しすぎでした。 大洪水に縁談、隔離、手術と目まぐるしい。 幸子・妙子・本家とのやりとりで、人の描き方がまあうまいこと。 幸子の、腹は立つけど義理を通さないといけない等、心と頭の乖離がよく分かるし、情に熱いのかと思ったら、身分違いだ、とばっさり切り捨てたり、そこら辺の匙加減が絶妙。 下巻はどういう結末になるのか楽しみ

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    2022年12月01日
  • 細雪(上)

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    大阪の旧名家だった、四姉妹の日常を描いた始まりの本。 鶴子(長女、本家、既婚)、幸子(次女、既婚)、雪子(三女、未婚)、妙子(四女、未婚)で、主に出てくるのは、次女〜四女。 事件といえば、雪子の縁談が破談になるくらいで、あとはお金持ちの旧家らしく、優雅な京阪神ライフが描かれてるのだけど、人情味ある話なので、飽きなく読ませてくれます。 文章が綺麗で、いつの間にか自分も四姉妹と一緒に昔の京阪神にいる気持ちになってしまう。

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    2022年12月01日
  • 金色の死

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    ネタバレ

    解説によると、新しい思想、文化の出現、私生活での千代夫人をめぐるトラブルなど、谷崎にとって大正期(関東大震災まで)は試行錯誤の時期だった。

    理想の芸術の実現を目指す「金色の死」、撮った覚えのない映画にまつわる「人面疽」、学級を支配する生徒についての政治的な「小さな王国」、6ページに及ぶ足の描写にあっけにとられる美脚賛歌「富美子の足」、探偵との会話によって次第に真相が明らかになる「途上」など、いろいろなタイプの作品が収録されているが、どれも後の作品に通じる要素を含んでいる。(一見まじめに思える人物が、急に変貌する(正体を現す)というのもそのひとつ)

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    2022年09月20日