谷崎潤一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
知人と「パートナーがその同性と浮気したらどうする」という話になった。「なんか、敵わないよね」という結論に至った気がする。本書はそんな昔話を思い起こさせる。
ただ、設定としての同性愛や中村光夫が解説で使う「変態性欲」というキツめの言葉、触れ込みの「淫靡で濃密な愛憎」を真に受けると谷崎は誤読すると思う。
見えてくるのは周囲を誤魔化してでも崇拝される者たろうとするエゴに満ちた悪魔的人間と、跪かざるを得ない凡夫たちだ。悪魔はそのまま谷崎的な女性崇拝につながるのだろう。
物語はその関係性を構築するため緻密に稼働する。まるで悪魔に奉仕するかのように。 -
Posted by ブクログ
戦争の足音が忍び寄り、時代の流れには抗えない様相になる中でも、日本の文化的行事や生活様式を変わらぬ価値観で貫いて生きる四姉妹とその家族。我々が生きる現代の日本を思うと、歴史的に見ればほんの数年の第二次世界大戦を経て日本の文化や価値観が劇的に変わったのだと実感する。敗戦とはこう言う事なのかと。。
結婚一つ決めるのも本家の許可が必要とか、戦後仕事も結婚も自由に選べる今を思えば生きづらい世の中だったとも思いますが、引き換えにならない程の今はなき良き日本もたくさんある。
神戸の大水害が実際にあった事とは初めて知りましたが、家のしきたりに逆らい奔放に生きる四女妙子がこの大水害にも巻き込まれて九死に一生を得るなど益々波瀾万丈な人生となる一方、相変わらず結婚が決まらず前に進まない三女雪子の人生がより対照的となってくる様から目が離せない。 -
Posted by ブクログ
慣れない文体なので入り込むまで時間がかかったけど、慣れたら読めるし情景がすごくしっかり思い浮かぶ描写だった。
雲雀を見上げる2人の姿とか、絵に描いたように見えたし、知らないはずなのに春琴の姿も佐助の姿も思い浮かんでいた。
わがままで高飛車で、潔癖で気難しくて暴力的、勝ち気で決して本音は話さない、そんな美女が自分だけに心を開く快感みたいなのは、たしかにわかるし、一度入ったら抜けられない沼だなと思う。
私がいなくちゃこの人生きていけない!とも思うだろうし。
いつから佐助は夢を見ていたのか、
きっと春琴は佐助の記憶よりももっとしおらしくて女性らしい人だったんだともおもうけど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ解説によると、新しい思想、文化の出現、私生活での千代夫人をめぐるトラブルなど、谷崎にとって大正期(関東大震災まで)は試行錯誤の時期だった。
理想の芸術の実現を目指す「金色の死」、撮った覚えのない映画にまつわる「人面疽」、学級を支配する生徒についての政治的な「小さな王国」、6ページに及ぶ足の描写にあっけにとられる美脚賛歌「富美子の足」、探偵との会話によって次第に真相が明らかになる「途上」など、いろいろなタイプの作品が収録されているが、どれも後の作品に通じる要素を含んでいる。(一見まじめに思える人物が、急に変貌する(正体を現す)というのもそのひとつ)