谷崎潤一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2024/06/10
卍、まんじ
※書き方間違えると、ハーケンクロイツになってしまう....
全編、異様な迫力に満ち満ちた小説。
柿内園子というひとりの女性が、ある事件のことの顛末を証言していくお話。
話し言葉で書かれていて、改行がない。
文字のてんこ盛り。
本を開いただけで、異様なイメージなのに、
読んでいくと、さらに異様なワールドに巻き込まれてしまう感じ....
しかも、大阪言葉。これが、この小説の魅力をさらに倍化させている。
いくら、関東大震災を契機として、
関西に移住したからって、
東京・日本橋生まれの生粋の江戸っ子谷崎が、
勝手が違うことばの大阪弁で小説を書き上げるのは並大抵 -
Posted by ブクログ
未読のまま放っておいた。
谷崎のマゾヒズム小説6篇を集めた文庫本
マゾヒズムとは....
相手から精神的、肉体的苦痛を与えられることによって性的満足を得る異常性欲。
オーストリアの小説家ザッヘル=マゾッホのからの語。
被虐性愛。マゾ。
マゾか。
ないな、自分には…..
だから登場人物たちの気持ちに、どれも感情移入はできない。
それよりも、これらヘンテコリンなお話を、流麗な文章で綴っていく谷崎の筆力、というより魔力に恐れいった。
"鹿麟"の南子(なんし)夫人の残虐や、
"魔術師"における魔術師に魅入られた主人公の悲劇とか...
6篇のなかでは、 -
Posted by ブクログ
浅草の繁華街と、本当にはないテーマパークのような存在のある世界観が、同じ乙女の本棚のシリーズにある江戸川乱歩の「押絵と旅する男」と似ている気がした。
この彼女の存在がすごく嘘っぽい。本当に彼のことを好きなの? 何で魔術師のところにそんなに行きたがるの? とよくわからない。そして、二人で魔術師のもとにたどり着き、すぐに魔術師に魅了されて半獣人にしてほしいと言い出す彼も彼だ。そんなに、今に不満足だったのだろうか。
この作品は正直、何を言いたいのかちっともわからなかった。ファンタジーは、世界観を楽しむものなのだと思うが、何か教訓めいたものがないと、私は物足りなさを覚えてしまうようだ。そのことに気 -
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Posted by ブクログ
何を読まされているんでしょう。息子の嫁に執心する77歳の老人の話。
これが谷崎潤一郎でなければ、認知症で抑制が効かなくなった老人の性的異常行動の話しでしかないのだが、谷崎先生の作品なのだから一筋縄ではいかない。エンタメに仕上げられたエロくて哀れな話。
まず主人公一家の豪勢な生活に驚かされる。
自家用車を乗りまわし、ボクシングの世界戦(東洋チャンピオン?)を観戦し、プリンスホテルのナイトプールに行く。歴代の飼い犬はボルゾイ、グレーハウンド、コリー。舞台は昭和35年頃であるから第2次世界大戦から15年しか経過していない。かなりの富裕層の生活だ。
ちょっと調べてみたが、当時の自動車所有率は3%に満 -
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作品紹介とか他の人の感想でマゾヒズムについて触れられていたけど、マゾヒズムは加虐されること自体に喜びを感じることを指すと思っていたので、佐助がそうかと言われると違和感がある気がした。佐助は春琴に加虐されることも厭わないくらい春琴を愛していたけれど、加虐されること自体に喜びを見出していたわけではないような、、?相手のために自傷行為をすることはマゾヒズムに含まれるのか?そもそも佐助のそれは性的指向だったのか?そっちの方面には詳しくないのでわからないが、2人のそれは形はどうあれ確かに強烈な愛だったんだと思った。あと句読点があるべきところになく、読むのにかなり苦戦した。
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Posted by ブクログ
純文学の谷崎などと気構えず、気軽に読める、個性豊かで楽しい女中さん列伝。
山口晃さんによる挿し絵が楽しい。
特にウサギ耳の被り物をしている磊吉がクセになる可愛らしさ 笑
文豪千倉磊吉の屋敷で働く女中さんたちが主役。
姉御肌で、困っている同郷の娘を放っておけずに、次々と女中部屋に泊めてしまう初(はつ)。
「女中部屋と云いましても、せいぜい畳数四畳半くらいで、そこに多い時は七八人もの娘たちが鮪のように折り重なって寝るのですから、その騒ぎと云ったらありません。」
凄い様子だ 笑
彼女たちは鹿児島弁で話すから、方言も紹介されている。
鹿児島弁が分からないのをいいことに、初が磊吉に向かって
「いっけつ -
Posted by ブクログ
77歳の老人文筆家・卯木督助による旧かなづかい(カタカナ)形式の日記。督助は相当な資産を持ち、地位もあるが、体のあちこちに痛みがあり、寝たり起きたりの日々を送っている。彼は、同居する息子の嫁でダンサー上がりの颯子に特別な思いを寄せていた。颯子の足に性的魅力を感じ、その足で踏まれたいという倒錯的な感情を抱いている。
颯子はそんな督助につけこみ、300万円のキャッツアイを買わせたり、督助の気持ちを弄んだりする。
老人のフェティシズムやマゾヒズムが主題となっているが、コミカルタッチで描かれており、陰鬱さや深刻さは全くない。
ただ、カタカナの文面は読みづらく、最後の10頁余りで、お抱えの看護婦や娘・五
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