谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 鍵・瘋癲老人日記

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    老夫婦の閨房日記を交互に示す手法で性の深奥を描く「鍵」。老残の身でなおも息子の妻の媚態に惑う「瘋癲老人日記」。晩年の二傑作。

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    2019年06月27日
  • 細雪(中)

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    雪子と対照的に末娘の妙子は自由奔放な性格で、男との恋愛事件が絶えず、それを処理するためにも幸子夫婦は飛びまわらざるをえない。そんな中で一家は大水害にみまわれ、姉の鶴子一家は東京に転任になる。時代はシナでの戦争が日ましに拡大していき、生活はしだいに窮屈になっていくが、そうした世間の喧噪をよそに、姉妹たちは花見、螢狩り、月見などの伝統的行事を楽しんでいる。

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    2019年06月27日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    色っぽい小説が読みたかったのだけど…ちょっと思ってたのとは違ったな。「魔術師」の描写はめいっぱい煌びやかで浮かれた光景を想像させてくれてわくわくした。「日本に於けるクリップン事件」おもしろかった。

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    2018年11月16日
  • 金色の死

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    これを読み、僕の中では谷崎潤一郎と江戸川乱歩がつながった。怪奇趣味、倒錯趣味、陶酔主義。どちらもいいね!
    「金色の死」:破滅的美意識。
    「人面疽」:幻惑的不条理。
    「小さな王国」:服従の陶酔。
    「母を恋うる記」:孤独な追憶。
    「富美子の足」:フェチズムの虜。
    「途上」:不可解なまでの心理的追及。
    「青い花」:少女に搾り取られる精気。

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    2018年08月19日
  • 金色の死

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    ネタバレ

    収録されている「途上」が読みたかったので。
    推理小説の部類だろうけど、谷崎らしさがそこかしこに表れているのは何とも言えない。
    湯河が「夫の言うことを疑わない病弱で従順な前妻」よりも「派手な装いが似合う、ねだり上手な20歳そこそこの後妻」が好きなあたりが、特にタニザキ作品の登場人物っぽさを感じた。

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    2017年12月31日
  • 夢の浮橋

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    タイトルから察せられるように、近代版源氏物語といった感じ。
    やや、気色悪めだが、ストーリーは普通に面白い。

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    2017年10月28日
  • 吉野葛・盲目物語

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     同じ時期に書かれているので文庫本ではドッキングされているが、片方は紀行随筆でもう片方は盲人による説話とまるでタッチが違います。井上靖の巻末解説のほうが出来が良かったように感じたというのがなんともはや。
     さいわい盲人物語は登場人物を官職名も含めてほとんど知っていたので不思議と私はつっかえなかった。吉野葛はあのあたりに住んでいる人にはピンとくるのかも。 ある程度谷崎潤一郎に慣れた中級者向け

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    2017年08月21日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    推理小説4編。推理小説を読む楽しみの一つは思い込みを打ち砕かれることにある。大概それは物事への認識に対するものだけれど、本書が面白いのは読み手の感情に対してなされることにある。特に「白昼鬼語」の読後感は今までに無いものだった。

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    2016年12月30日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    6編のマゾヒズム小説集。本質的にはあまり共鳴出来なかったが、それでも惹きこまれる文章だ。喜びはあくまで肉体的、官能的なものであって精神的なものではなく、奴隷になるのも芝居として楽しんでいるに過ぎない、とマゾヒストの心理が書かれていて腑に落ちた。小川洋子の『ホテル・アイリス』でも感じたが、SMはどうやら他人を道具的に介した自己愛の表現らしい。余談だが、関東大震災を小説で読むのは本書に所収されている「一と房の髪」が初めてだ。

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    2016年12月25日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    ネタバレ

    扁桃体に直接、揺さぶりをかけてくる6つの短編集。短編ながら「登美子の足」ほど足が蠱惑的に描かれた作品は無いだろう。美しい足を何度も心象化するうちに、惹きこまれていく自分に気づく。これは感染なのだろうか、あるいは、、、覚醒なのだろうか。

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    2016年12月25日
  • 少将滋幹の母

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    谷崎の書く男の人って本当気持ち悪いなあ……でも褒めてる。平安期の登場人物が女性を思ったり、母親を慕ったり、ただ綺麗なだけの物語になるはずの要素が、本当に執着やエゴやらで気持ち悪くて、見事すぎる。しかも「少将の母親」である女性は、いろいろな男性の人生を意図せず狂わせていくことになるけど、その反応がごくごく抑えられた表現でしか書いてない。さすがだなあ、と思います。
    情景描写ではやっぱり、女性の美しさ、着ているものの描写、綺麗な景色が綺麗すぎてネガティブな印象を伴う描写、あたりが本当に物凄いなあ、とどの作品を読んでも思います。桜の描写がすごく好き。

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    2016年11月02日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    ネタバレ

    意外? 谷崎のミステリ小説!

    なるほど、気持ち悪い(褒め言葉)。私の谷崎理解は何か歪んでいるような気もしますが、なかなかに谷崎っぽく、面白く読みました。

    谷崎が犯罪小説集ときいて、フェチか、と思っていましたが、その悪魔的な魅力。乱歩が影響されたのもわかる。というか、日本のミステリ初期の傑作と言っていい。もっと知られてもいい。私が無学なだけかもしれないけど。ミステリ好きよ、谷崎がいるぞ!

    「柳湯の事件」冒頭は乱歩かと思った。推理小説にありがちな滑り出しではあったけど。でも、途中の触覚の描写がさすが谷崎。ごめん、そのフェチはわからない。

    「途上」いわゆる谷崎らしさは薄めで、これを単独で読ん

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    2016年09月22日
  • 鍵・瘋癲老人日記

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    「瘋癲老人日記」
    カタカナ表記でとても読みにくい。日記調の物語。息子の妻に甘い、そしてエロい主人公のお爺ちゃん。後半は病気に悩まされる。

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    2016年06月24日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    初めて読んだ谷崎潤一郎。
    もっとヘビーなのを想像していたのですが、この短編集はわりとすらすら読めました。
    マゾヒズムがテーマということで、女性に踏み躙られて悦ぶ男がたくさんでてきます。
    そこに全く下品さを感じさせないのは、谷崎の美しい文体のおかげなのかな。
    マゾヒズムを”狂言”と言い切る開き直りっぷりも清々しかった。
    収録作の中では特に「少年」が好みです。
    性に目覚める前、好奇心故のとことん無邪気な卑猥さがたまらなかった。ああもう私も変態でいい。

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    2016年06月01日
  • 少将滋幹の母

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    私が読んだ谷崎作品では、少し異風。
    ご本人がよく登場する。
    谷崎さんは日記に興味がおありと見える。
    人の真実の声が描かれるからだろうか?
    谷崎さんは、見栄や何かをとっぱらった人の気持ちに興味をお持ちでなはないかと思う。だからこそ、なかなか書くことに抵抗のあるジャンルについても書ける豪胆さを持っているかとも。
    鍵も老人日記も日記が語るし、これも実在の人物の実際に存在しない日記を実存すると虚構を構えて、学術的に進めるていをとっている。

    でも、物語としても入り込めないわけでもなく、やはり上手。

    滋幹がお母さんに会いに行く場面が好き。お母さんが無言で、滋幹を膝に乗せ、頬ずりしてくれるところとか。

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    2015年08月12日
  • 吉野葛・盲目物語

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    エッセイ・吉野葛と歴史小説・盲目物語の二編。盲目物語はひらがなが多く凄く読みにくかった…。谷崎は言葉の選び方、表現が相変わらず綺麗だなと思う。2013/144

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    2015年04月09日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    マゾプレイは一種の芝居とおっしゃるのはなるほどと思いました。この道の代表者ならではの重みのある言葉でした。なかなか難しい言葉もあり、結構重たく感じました。

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    2015年03月11日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    なるほど、タイトルも含め谷﨑の入門書としては格好の一冊だ。マゾヒズムとは一方的な被虐者を装いながらそれ以上に束縛しようとする独占欲の裏返しであり、より優れた加虐者がいれば積極的に主人を交換しようとする関係性の享楽こそが本質である。無垢なるままに奉仕者と受益者の立場を行き来する『少年』の完成度は素晴らしく、その世界観を構築するために言葉の一つ一つが奉仕者として主題の鮮やかさ、艶めかしさを引き立てる。そう、谷崎の本は主題以上に、徹底的に責め立てられることで妖艶に花開く言葉自身がマゾヒズム性を帯びているのだ。

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    2015年02月09日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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     6編収録の短編集。

     「M」のイメージとなると「女王様が男に対し鞭を振るったり、足蹴にしたり、ロウソクのロウを垂らしたり暴言を吐いたり」というのがまず思い浮かびます。

     作中にもそういう描写があるのかな、と思っていたのですが、そこまで露骨な表現はなかったです。ほっとしたような残念なような……。

     前半の作中の男性たちは性的興奮のためにマゾヒズムを追いかけているという感じではなく、もっと純粋に、そうされる方が楽しいからされているんだという風な、子供が楽しいおもちゃを見つけて遊ぶような感じで無邪気にマゾを楽しんでいる印象を受けました。そして、後半の作品からはそうした無邪気さ以上の楽しさを知

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    2014年03月22日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    初っ端の「少年」が子供のマゾってやつでパンチが効いててすごいですね。逆に他が霞むような。最後の「日本に於けるクリップン事件」はまとめとしては良いです。

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    2014年03月01日