谷崎潤一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
谷崎の書く男の人って本当気持ち悪いなあ……でも褒めてる。平安期の登場人物が女性を思ったり、母親を慕ったり、ただ綺麗なだけの物語になるはずの要素が、本当に執着やエゴやらで気持ち悪くて、見事すぎる。しかも「少将の母親」である女性は、いろいろな男性の人生を意図せず狂わせていくことになるけど、その反応がごくごく抑えられた表現でしか書いてない。さすがだなあ、と思います。
情景描写ではやっぱり、女性の美しさ、着ているものの描写、綺麗な景色が綺麗すぎてネガティブな印象を伴う描写、あたりが本当に物凄いなあ、とどの作品を読んでも思います。桜の描写がすごく好き。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ意外? 谷崎のミステリ小説!
なるほど、気持ち悪い(褒め言葉)。私の谷崎理解は何か歪んでいるような気もしますが、なかなかに谷崎っぽく、面白く読みました。
谷崎が犯罪小説集ときいて、フェチか、と思っていましたが、その悪魔的な魅力。乱歩が影響されたのもわかる。というか、日本のミステリ初期の傑作と言っていい。もっと知られてもいい。私が無学なだけかもしれないけど。ミステリ好きよ、谷崎がいるぞ!
「柳湯の事件」冒頭は乱歩かと思った。推理小説にありがちな滑り出しではあったけど。でも、途中の触覚の描写がさすが谷崎。ごめん、そのフェチはわからない。
「途上」いわゆる谷崎らしさは薄めで、これを単独で読ん -
Posted by ブクログ
私が読んだ谷崎作品では、少し異風。
ご本人がよく登場する。
谷崎さんは日記に興味がおありと見える。
人の真実の声が描かれるからだろうか?
谷崎さんは、見栄や何かをとっぱらった人の気持ちに興味をお持ちでなはないかと思う。だからこそ、なかなか書くことに抵抗のあるジャンルについても書ける豪胆さを持っているかとも。
鍵も老人日記も日記が語るし、これも実在の人物の実際に存在しない日記を実存すると虚構を構えて、学術的に進めるていをとっている。
でも、物語としても入り込めないわけでもなく、やはり上手。
滋幹がお母さんに会いに行く場面が好き。お母さんが無言で、滋幹を膝に乗せ、頬ずりしてくれるところとか。
-
Posted by ブクログ
6編収録の短編集。
「M」のイメージとなると「女王様が男に対し鞭を振るったり、足蹴にしたり、ロウソクのロウを垂らしたり暴言を吐いたり」というのがまず思い浮かびます。
作中にもそういう描写があるのかな、と思っていたのですが、そこまで露骨な表現はなかったです。ほっとしたような残念なような……。
前半の作中の男性たちは性的興奮のためにマゾヒズムを追いかけているという感じではなく、もっと純粋に、そうされる方が楽しいからされているんだという風な、子供が楽しいおもちゃを見つけて遊ぶような感じで無邪気にマゾを楽しんでいる印象を受けました。そして、後半の作品からはそうした無邪気さ以上の楽しさを知
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。