谷崎潤一郎のレビュー一覧
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これから語られる二組の男女の複雑な愛憎劇の当事者の女性が、大阪弁で告白する形式で書かれています。一人の語りだけで、これだけの物語を読ませ、引き込むという流れが高度だなぁと。
園子(語部)は絵画教室で知り合った美貌の光子の小悪魔的な振舞いに夢中になっていく。そこに光子の元婚約者のイケメン男性が入り込む。彼は三人の関係を均衡を持たせようとする。そして、弁護士である園子の良人までも巻き込んでいく。夫は、理性的な人間だったが、光子の奔放な妖艶さに妻と共に支配され始める。光子が思いのまま振る舞い策略していく様子は、恋愛サイコかな。真面目な夫が、どこか真面目な感じに狂っていく様子が救えない。最後は、なかな -
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ネタバレ谷崎潤一郎のイメージというと、耽美、エログロナンセンスあたりが思い浮かびます。
私も若いころ「痴人の愛」「卍」「細雪」らを読んで、驚嘆した覚えがあります。いわゆるフェティシズムのはしりといえるかもしれませんが、明治生まれの人があそこまで極端な性癖を文章として露出できることに感激したものです。といっても内容は概ね忘れてしまいましたが。
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さて、本作「美食倶楽部」は、表題作を含め7作品を収録しています。
個人的に面白いと感じたのは「白昼鬼語」「美食倶楽部」「友田と松永の話」あたりです。
「白昼鬼語」は語り手の私が、神経症的な友人園村の「これから、殺人が起こる。一緒に見に行こう」という -
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1950(昭和25)年に刊行された『月と狂言師』に、「越冬記」「都わすれの記」「A夫人の手紙」および永井荷風、吉井勇との戦時の往復書簡を加えたもの。最後の資料を除いてどれも日記か随筆であり、小説とされている「A夫人の手紙」は他人の手紙をほとんどそのまま写したようなもので、創作の部分はほぼ存在しないらしい。
実は中公文庫版『月と狂言師』を私はずっと前に買って持っており、これが同書のリメイク版だということを知らずに買ってしまったのである。タイトルとなっている、戦時の日記である「疎開日記」も、同書に入っていたことを、私は完全に忘れていた。なので、大半のものが再読になる。
「疎開日記」「越冬記」は -
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ネタバレ新潮文庫には未収録の「悪魔」「続悪魔」「神童」を読む。
「悪魔」は陰鬱とした作品。
神経衰弱の佐伯は汽車や地震を極度に恐れ、そのために死ぬのではないかと怯えている。上京して叔母の家で下宿を始めるが、そこには鈴木という陰気な書生がいて、佐伯の従姉妹の照子と婚約をしていると主張する。しかし照子と佐伯は次第に親しくなっていき、鈴木に恨まれるようになる。最後は照子の鼻水がついたハンカチを佐伯がこっそり舐めるシーンで終わる。
「続悪魔」は、佐伯と照子の関係がさらに進み、最後は鈴木に刺されてしまう。
谷崎は「続悪魔」を執筆するにあたって、「悪魔」の結末部分(ハンカチの場面)をないものと思って読んでもら