谷崎潤一郎のレビュー一覧
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ネタバレ新潮文庫には未収録の「悪魔」「続悪魔」「神童」を読む。
「悪魔」は陰鬱とした作品。
神経衰弱の佐伯は汽車や地震を極度に恐れ、そのために死ぬのではないかと怯えている。上京して叔母の家で下宿を始めるが、そこには鈴木という陰気な書生がいて、佐伯の従姉妹の照子と婚約をしていると主張する。しかし照子と佐伯は次第に親しくなっていき、鈴木に恨まれるようになる。最後は照子の鼻水がついたハンカチを佐伯がこっそり舐めるシーンで終わる。
「続悪魔」は、佐伯と照子の関係がさらに進み、最後は鈴木に刺されてしまう。
谷崎は「続悪魔」を執筆するにあたって、「悪魔」の結末部分(ハンカチの場面)をないものと思って読んでもら -
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白州正子の『かくれ里』に谷崎の『吉野葛』の話が出てきたので吉野葛目当てに買ってみた。
奈良には行ったことがあるが、吉野には行ったことがない。行ってみたい土地だ。谷崎の美しい文章で吉野の地が広がる。とはいえ行ったことのない土地は想像が付きづらいので、Googleマップやネットを駆使して実際の情景を見ながら読むのもまた一興。
『盲目物語』は浅井長政の奥さんであるお市の方に仕える座頭による語り。ひらがなが多くて正直読みづらいため、若干うっとなってしまうが、読み始めるとこれが滅法面白い。時は戦国時代。織田信長、浅井長政、豊臣秀吉、明智光秀など錚々たる面々が登場するが、座頭はただ1人お市の方の身を案じ -
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あらすじ
1936年(昭和11年)秋から1941年(昭和16年)
春までの大阪の旧家を舞台に、4姉妹の日常生活の悲喜こもごもを綴った作品。阪神間モダニズム時代の阪神間の生活文化を描いた作品としても知られ、全編の会話が船場言葉で書かれている。上流の大阪人の生活を描き絢爛でありながら、それゆえに第二次世界大戦前の崩壊寸前の滅びの美を内包し、挽歌的な切なさをも醸し出している。作品の主な舞台は職住分離が進んだため住居のある阪神間(職場は船場)であるが、大阪(船場)文化の崩壊過程を描いている。
感想
没落商家の四姉妹、ある人からフランス語で発行された本をよんで描写が良かったと言われ日本語版を読んでみた。 -
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前から本書が中公文庫に入っていたのは知っていたのだが、今般の改版の機会に購入、読んでみた。
晩年に近い作品だし、日常雑記的な題材を、ユーモアを混じえた平易な文章で書いているので、とても読みやすい。
昭和11年夏に千倉家に雇われた「初」から始まり、昭和37年の千倉磊吉(本書では谷崎のこと)、数えで喜寿の祝いをするまでの間の、同家で働いた女中たちの中から、忘れることのできない人物の姿、性格、働き方などが、様々なエピソードと共に紹介されていく。
日本がまだまだ貧しくて、特に田舎の学歴もない女性には女中奉公のような仕事しかなかった時代ではあるが、磊吉が忘れることのできない人たちと言うだけに
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