谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 春琴抄

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    ネタバレ

    今年はこういう作品をたくさん読もうと思う。
    谷崎潤一郎といえば、私の中では、昔読んだ『痴人の愛』の異常な愛欲に、共感はできずとも鮮烈さを残した。
    『春琴抄』やはりその異常なところを残しつつ、さらに磨きのかかった美しい珠のような愛のお話。

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    2026年05月10日
  • 谷崎マンガ 変態アンソロジー

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    一流の漫画家さんたちが独自の解釈で谷崎潤一郎の小説をマンガにしている。なんて面白そうな企画!と飛びついた。
    とても面白いのもあれば、個人的には微妙、、というのもあった。
    この前に台所太平記を読んで、その挿絵がたまらなく良かったのでこっちを読んだってのもあるので。
    谷崎の作品は、直接的に政治的な意図とかはほぼ感じない気がする。けれど行間を汲み取り、書いている時の谷崎の心境を想いながら読むことで見えてくるものがあって。いろいろ言われたりめんどくさいことが嫌だったのかな。グロかったり怖い女を書いてるけど、なんかしらカラッとしてて恨みごとが見えない谷崎潤一郎の小説がやっぱり好きだなと。
    マンガっぽいよね。

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    2026年05月07日
  • 卍(まんじ)

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    登場人物は、徹頭徹尾大阪弁の文字なので慣れないとしんどいです正直。タイトルの意味は、美貌しか魅力がない光子を中心とする、園子との同性愛と、園子の夫の孝太郎と、光子の情夫の粘質な綿貫が絡む相互不信のこころ模様をまんじになぞらえたと思われる。とにかく常識人の私は光子に腹が立ちますが、しかしすべての人がその光子に振り回されて止められない事実こそ耽美主義の根幹です。ラストにへんなかたちでキーパーソンとなる女中の5人が登場します。中身はもろ少女漫画で、何度も映画化された魅力はわかりますが、実在の人物で光子を演じさせるのは非常に難しいと思います、私のイメージだと真田広之を不倫に走らせた葉月里緒奈のような女優がぴったりだと思います、なので翻案した漫画を読むのが一番いいのではないかなと

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    2026年05月05日
  • 春琴抄

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    第三者が日記を解説する形で進む形式であることや解説も充実していることなどがあり内容が理解しやすかった。

    初めは句読点がないことに苦戦していたが読み進めるうちに慣れてきてスラスラ読めるようになってきた。

    自分が敬っている師匠とはいえあれほどの忠誠を誓えるのは凄いと感じた。
    手厳しい稽古などは耐えられたとしても顔を見られたくないという春琴の思いを汲み取り自ら針で目を指し失明するという行為をとれる人はそういないだろう。

    視力を失っても春琴と同じ世界を過ごしたかったという佐助の思いの強さには感動した。

    春琴と佐助が最期に共にすごした空に向かって真っ直ぐに飛んでいく雲雀の行方を盲目の2人が聴覚だけを頼りに追うというシーンはなんとも魅力的だった。他者には分からない2人だけの幸せを最期に共有できたのはさぞ嬉しかったことだろう。

    冒頭の春琴の墓を尋ねる場面も哀愁が漂ってきて個人的に好きだった。

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    2026年04月27日
  • 新装版 細雪 中

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    前作よりも妙子についてのお話が多く、なかなかは波乱に満ちた内容だった。

    谷崎潤一郎は人の心境や考えを詳細に文章化してくれていて、登場人物の細やかな心の変化がよくわかる。
    個人的には、雪子や妙子の気持ちがもっと知りたいけれど、これは読者側が推測するものなんだろうなぁ。

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    2026年04月23日
  • 魔術師(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズ。
    魔術師というタイトルですが、魔術師の目線や心情の描写は一切無し。中心人物は主人公の男性とその彼女。

    主人公の男性は、怪しげで退廃的な物に美しさを見出す人物であるとされているんですが、物語の中の印象では主体性が無く感じられ、周囲に流されやすい人?という印象を受けました。(あえてそういう描写をしているのか?)
    結末も、流されやすさ故なのか。でも物語の冒頭は、主人公らしき人物の回想で始まっているので、一時的な物だったのか…。どう受け取って良いのか分からず、モヤモヤする作品でした。

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    2026年04月16日
  • 春琴抄

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    盲目の美しい三味線師匠・春琴と、彼女に仕える奉公人・佐助が、被虐性愛(マゾヒズム)に傾倒しながらも、それすらをも超える究極の耽美主義と壮絶な愛を描く。『鵙屋春琴伝』という小冊子や、周囲の証言をもとに二人の人生が掘り下げられていくモキュメンタリー作品となっている。フィクションだと分かっていながらも、本当に二人は実在したのではないか、本当にその本が存在するのではないかと錯覚してしまう。昭和初期の文章であるがゆえ、読みづらさは否めないが、それでも情景がはっきりと浮かび上がってくるので、一気に読み終えてしまった。

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    2026年04月04日
  • 作家と猫

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    ネタバレ

    松田青子さん 選ばれし者になりたい
    「皆好きな巨猫に食べられたらいい。私はもちろん巨猫のグーちゃんに食べられたい。そしてグーちゃんの一部になりたい。私の心もちょっとだけグーちゃんの中に残ったらいい。グーちゃん、そしたらゴジラみたいに、あいつとあいつとあいつ、それからあいつも踏んづけに行こうね。あいつとあいつ、バリバリ食ってやろうね。」

    が好きです。

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    2026年04月02日
  • 細雪(上)

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    昭和の話なのに、時代劇のよう。かえって時代劇の方が読みやすかったかも。
    なかなか話に乗れなかった。
    戦前の旧家の暮らしの窮屈なこと。
    雪子さんがかわいそう。
    薬との付き合い方も、なかなか…

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    2026年03月31日
  • 卍(まんじ)

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    昭和初期が舞台、魔性の女に翻弄される既婚者の嫁とそれを取り巻く人間関係のドロドロとした悍ましい様が描かれる。

    コテコテの関西弁をそのまま使っているのと今では使わないような古風な表現が頻出するので、正直読みづらいと感じる部分はあるが、人間が内に秘めている欲望がむき出しにされて、どんどん制御不能になっていく過程が恐ろしくも魅力的。

    どの時代でも根源的に人間が秘めている恐ろしさっていうのはさほど変わらないんだなと。

    結局、卍が何を意味するのかは分からなかったな。

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    2026年03月19日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    名だたる文豪の耽美小説集なので、好きな人には気が狂うほどのめり込む作品群です。
    ただし読むのになかなかの精神的カロリーを要するので、ちょっと疲れている時に読むと目が滑ってしまいます。もともと好きな作品も何作か入っているのに、いまは読むのにとても時間がかかってしまった自分が悲しい。
    心に余裕のある時にどうぞ!

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    2026年03月10日
  • 痴人の愛

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    長く読まれ続けている文章に触れてみたくて手に取りました。
    子供の様に若い女性を、どの場所に伴わせても遜色のない妻にする様、大人の男が教育という名目で自分の生活に引き入れるお話。その粗筋の歪さが気になり読み始めました。
    いざ隣り合うと、手玉に取りきれず、男側が魔性の女の底深さに少しずつ呑み込まれてゆく様は、ある場所においての普遍的なリアリティを感じました。
    女に勝てない男という構図に終始した小さな世界の物語で、そこに至るまでのお互いのやり取りが、客観的に読み進めると、人間の陳腐さの枠からはみ出しておらず、それ故の生々しさも感じます。滑稽でくだらないです。

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    2026年03月10日
  • 少将滋幹の母

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    平中の恋に始まり、国経の妻を権力によって奪う時平、時平に妻を与え苦しむ国経、そして母を乞う滋幹へ。

    平中と時平の造形は古典に現れる記事をことごとく渉猟して書かれているが、単なる焼き直しではなく、多数の記事から総合的に見えてくる人物として作者の想像を交えながら再構築されている。
    心理や性格までしっかりと再構築されており、古典に材をとりつつれっきとした近代文学として練り上げられている。

    滋幹の物語もある日記に取材していると明言されているがこれはフィクションで、典拠を捏造して作者が母恋いのテーマを創造する形。
    変幻自在に古典を操っている。

    滋幹が最後に母の顔に自分の顔を近づける描写は、国経がかつて妻と同衾していたときの描写を思い起こさせる。
    そうでなくても国経は老人なのに幼子のように声をあげる描写がくりかえされているので、国経の妻恋いと滋幹の母恋いは重ね合わされているのだろう。
    そもそも滋幹が母に再会したときにはすでに当時としては高齢とされる年齢になっているので、国経も滋幹も幼児返りのように滋幹の母を慕っているのである。

    谷崎もこの小説を書いたときは国経ほどではないとはいえ高齢だったので、老いからの幼児返りと母性への執着は彼のリビドーだったのだろう。

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    2026年03月06日
  • 秘密(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズ。
    雰囲気のある文体、雰囲気のある魅力的なイラスト。とても素敵でしたが、この主人公。何だこの、自意識の高い、いけ好かない男は!
    タイトルの通り、秘密の絡んだお話。男の愛した秘密、お互いの身の上を明かさない秘密…。秘密を暴きたくなるのも人の心理だろうけど、勝手に暴いて勝手に失望するんじゃないよ。女性も魅力的なのに、何だか残念に感じてしまいました。これも時代の味なんでしょうね。

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    2026年02月28日
  • 春琴抄

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    ネタバレ

    高校の時、模試か何かで目に針を刺す場面の文章を読んで気分が悪くなった記憶しかなかった 今読んでもその場面は描写がリアルでいい気持ちはしない
    けれど話は面白い
    春琴がお前にだけは醜くなった顔を見られたくなかった、て言っていたところでなるほどと思った 理解はできないけれど2人はこれで幸せなんだろうな 大きな愛だな

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    2026年01月28日
  • 春琴抄

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    読み進める中で、佐助の心理描写が無くていまいち入り込めないな〜と思っていた。第三者的な視点で淡々と描かれているし、内面に言及があるとしても春琴についてであることが多かった。丁稚として仕えているのは分かるけど、なぜここまで従順に春琴に付き従うのだろう?という疑問が拭えないまま読んだ。
    だけど、失明してから怒涛の描写で少しだけ圧倒された。句読点がほぼ無く繋がっている文章(めちゃくちゃ読みにくい!!!!途中で慣れたが読みにくい!!!!)であることも相まって、佐助の春琴に対する崇拝に近い想いが強く伝わる。傷ついた想い人を見ないようにするため自発的に失明するというのはどこかで聞いたことがあるような気がしたが、前後の経緯が分かりやすい上に春琴の変貌っぷりも相まって終盤はぐいぐい読んでしまった。
    とはいえ子供時代の佐助が春琴を強く想っていた理由や経緯は分からず。そもそもそこが重要ではない、と言われれば同意せざるを得ないけど、なんとなくスッキリしない感覚。ただキャラクターの心理や価値観を分かりやすく深堀るのが良い、というのは意外と最近の作品の考え方で、案外絶対的なものではないよな…?とこの文を書きながら感じてもいる。春琴抄でいえばそこがないからこの短さで話がまとまっているわけだし。著者の中にキャラクターの価値観は存在してて、それを作品の中で深堀ることで読者にも分かるように表していくのだとすると、深堀りは読者への解説サービスのようなものかもしれない。「深堀りがない!キャラクターの価値観が分からないじゃないか!」と文句を言うのは自分勝手な文句のようにも思える。


    「マゾヒストが多かった」を「ジャン・ジャック・ルソーが多かったのかもしれない」と表現している文が、著者がシンパシーと嬉しさを覚えて若干テンションが上がっているように感じられて気持ち悪くてよかった。

    谷崎は被虐趣味というか女性に屈服して服従したいんだろうな〜と痴人の愛同様春琴抄でも感じた。よく言われる文章の美しさは今回も理解できず。細雪読んだら分かるかな〜と思いつつ、3作あるからなかなか手を出す気になれない。

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    2026年01月23日
  • 刺青・秘密

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    初めて谷崎潤一郎の作品を読んだ。なかなかフェチズム。なのに最後の「母を恋ゆる記」では泣かせにくる。聴覚の表現が恐ろしくリアル。個人的には「二人の稚児」が気に入った。瑠璃光、イケメン

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    2026年01月12日
  • 春琴抄

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    愛が重い…
    10トンくらいありそう笑
    ouiさんにご紹介いただいた1冊。

    多分私が手にした文庫本の中でもダントツに薄いんだけども、古文を読んでいるかのような古い文体に最初苦労した。

    佐助の愛が金10トンだとしたら、春琴の愛は鉛10トンみたいな、どっちがいいとかじゃなくて種類の違うめっちゃ重すぎる愛…
    むしろもう怖いよ。
    怖すぎて一周回って面白くなってくる。

    なんだろ、誰か第三者が語っているから本人たちの気持ちが一切分からないっていうのがまたね。
    いやあすごいもの読ませてもらいました。

    長女が今読んでる本(自負と偏見)読み終わったら読んでみようかな。だって笑

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    2026年01月06日
  • 猫と庄造と二人のをんな

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    15年くらい前に読んで、猫を溺愛する男を取り合う女たち……程度の認識になっていたのを再読。覚えていた倍以上は猫猫猫だった。リリーの気持ちが何もわからないからこそ惹かれるのだろうか。だいぶ猫びいきというか、人間は愚かな部分もどうしようもない部分も多めに描かれている。

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    2026年01月06日
  • 春琴抄

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    春琴が最後まで性格悪かったので佐助が可哀想にも思えるが、佐助本人は幸せなのだそう。本人が良いなら良いか。佐助の忠誠心は凄い。ストーリーは面白かった。
    昔の作品あるあるで本編と注釈の行ったり来たりが多少面倒なのと、句読点が少なく若干の読みにくさはあるが、そこまで長編ではないので割とすぐに読めた。
    谷崎潤一郎の他の作品は未読だが、特殊な男女関係や官能、耽美を書くのが得意なようなので『痴人の愛』や『刺青』、『蓼食う虫』、『卍』あたりも読んでみたい。

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    2026年01月05日