谷崎潤一郎のレビュー一覧
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美しい。が非常に重い。元気じゃないと読めない。引きずる。
春琴の視点で考えてみると
なにを言っても、どんな態度をとっても、
この人は絶対に自分を嫌いにならないだろうという人に大柄な態度を取ったり傷つけることを言ってしまうのは、想像できなくもない。
しかし私の顔を見ないでと言ったら自ら目を潰した男に何を思ったのだろう。
佐助は寄り添いたいゆえの自己犠牲だったのか
火傷を負い美しくなくなった春琴は見たくなかったのか。
盲目になった後も佐助は春琴の痒いところに手が届くように春琴を労り、春琴は「私の身の周りの事は眼明きでは勤まらない長年の習慣ゆえ佐助が一番よく知っている」と言う。
もう見える見えない関係なく佐助にやってほしいんだよね。
素直に「うちら主従関係だけど身分の違いなんてどうでもいい、好きになってしまったものは仕方ない、結婚しよう」と言えたらどんなによかっただろうよ。 -
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ネタバレ※昭和32年発行の谷崎潤一郎全集で読みました。
「刺青(しせい)」
谷崎先生の処女作ですね。短いお話ですが、谷崎先生のフェティシズムがダイレクトに現れている作品であります。登場人物は 刺青を入れるための理想の女を何年も追い求める若く腕利きの刺青師の清吉とその眼に叶った若い女。私としては、短すぎて人物の心理描写が十分になされていないので 刺青を彫られただけで女がまるで人が変わったかのように自信をつけた意味がよくわからず釈然としないまま読み終えました。冒頭の「其れはまだ人々が「愚」と云ふ貴い徳を持って居て…」という一文は銀魂の冒頭のようで好きです。 -
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変わらず、谷崎作品。
近年、再販されたものではないせいか、読みにくいところがあった。
盲目の美少女、春琴と春琴のお世話を甲斐甲斐しくする佐助のお話。
純愛物語と書いてあったりするけど、そうなのだろうか…
盲目になってしまったこともあり、わがままで傲慢な春琴。30代にさらなる悲劇が春琴を襲うけど、自業自得とも思える。
佐助との子供も決して佐助との子だとは認めず、さらには養子にだす。
佐助との主従関係はずっと崩さず、結局佐助は自ら失明してしまう。
子供達は全て養子にだし、死ぬまで主従関係を貫き、盲目になり…それでも佐助は昔の美しかった春琴を思い出し幸せに浸る。佐助は歪んだ愛でも幸せだったんだろーなぁ。
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ネタバレ映画春琴物語の一場面を目にした記憶がある。現代文の授業で流れたのか、国語便覧に載っていたのかは覚えていないが、着物の男性と針が映っていて目を背けた気がする。
春琴抄はあくまで伝記というか、本人たちの台詞や心理描写がされるわけではないのでいささか思ったのとは違った。句読点のない文体に慣れるまでが非常に読みにくく、最初の数十ページがしんどかった。
春琴と佐助がメインになってからはスルスルと情景が入ってきた。何故佐助がここまで春琴に心酔しているかが書かれず、ショーケースの中を見ている気持ちだった。
春琴は火傷事件のあと、人が変わったようになってしまったのは少し心が痛んだ。それほどの振る舞いをしていたし、読んでいて春琴のどこが良いんだとも思っていたが、美貌と琴三弦の腕前、高慢で加虐嗜好とも取れるほどの厳しさ全てを含めて人を惹きつける魅力がある。
しおらしくなったお師匠様は佐助の崇拝した春琴ではなかった。
ある男女の師弟を超えた、愛、依存、崇拝、そういった関係を俯瞰してなぞっていく物語だと感じた。 -
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『男はもはや孤独を怖れる必要がなかったのです』
桜の森の満開の下 坂口安吾
『誰かが後にいて、じっとその視線を彼女の上に集注しているような心もちである』 影 芥川龍之介
『そこの二階の六畳は、二人にとって唯一の世界であった』 芋虫 江戸川乱歩
『那時あの妓ーは緋の長襦袢を着て居ました。月夜のような群青に、秋草を銀で刺繍して』
浮舟 泉鏡花
『この美しい若衆はもて囃されていた』
身毒丸 折口信夫
『落盤に鎖された真暗な隧道の中で、十四郎は恐怖のために変貌を来たしてしまい』白蟻 小栗虫太郎
『この足こそは、やがて男の生血に肥え太り、男のむくろを蹈みつける足であった』
刺青 谷崎潤一郎
『この美しい、楽しい島はもうスッカリ地獄です』
瓶詰地獄 夢野久作
『あの人は、誰のものでもない。私のものだ』
駆け込み訴え 太宰治
『「何がって、知ってるじゃないか」と子供は嘲けるように答えた』 夢十夜 夏目漱石
美しい日本語に触れたくて読み始めましたが、十作のどれも不思議な世界にどっぷり浸かってしまいました -
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もんくなく面白いです。本オフの割引セールの時に
ぶらぶらしていて発見し、回収した。
『谷崎万華鏡』の文庫版で、もちろん万華鏡は持っているが
文庫特別付録がついていたので、それはもう回収せねばなるまい。
しかも、138円(そこからの割引)
おまけは対談山口晃×近藤聡乃
インタビュー古屋兎丸/中村明日美子
裏話マンガ榎本俊二などなど
谷崎マエストロ、学生時代に私ももれなくドハマりして
読み耽り読み漁り、さらに再読しまくった。
アオハルやねぇ。
私の中では谷崎三島川端は青春と耽美のシンボル(どんな青春よ)
もちろん、他に好きな作家で読込み入れ込んだ作家もおったし、
なんならメイン研究対象は漱石だったが(笑)
谷崎は考察しまくって、レポートだしまくったねぇ
筆が進む、課題でもなんでもないのに考察したり
書評書いたりしまくった(あははははは)
そう、私のヲタ部分をアクチベイトしまくる。
そして、今もたまに読むが、
あの頃の、なんていうか、
わーーーーってなるような心の動きはないし
なにかにつけ沈静化している(自分)が
ふつふつと別の感想が湧くんですよねぇ。
それがまた面白いっちゅうね。
ということで、ン十年来の推し作家
そらまあ、全部集めたいですわな(笑) -
Posted by ブクログ
巻末の解説(千葉俊二氏)に「ひとりの性的不能者からはじまった異常性愛の連鎖がひとつの破局にまで至る過程をほとんど数学定正確さをもって緻密に描き出したこの「卍(まんじ)」は、谷崎文学の極北を示した傑作ということができよう」とあった。
この作品が書かれた当時の社会、慣習、常識、文化、文芸などの背景から、その内容、描写スタイルなどから、退廃的、耽美的と評された事は理解出来た。
ただ、同性愛を描いた耽美的作品、とのイメージから、勝手に煽情的な描写、世界が展開されているものと想像していたが、扱う内容はそうでも、描写は流石にそんなものではなかった。