谷崎潤一郎のレビュー一覧
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古めかしい物好きの古い人が書いた文章だと思っていたが、読み進めると日本人なら誰しも説得感を感じる表現でなんだかそうだなぁと感じてしまった。
昼下がりの窓から入る光、少し薄暗い空間がなんだか好きだし、御手洗いは暗い方が確かに落ち着く。
ただ、欧州にもバーは薄暗い方が良いと感じる空間はあるし、どれがメジャーなのか、、という違いか。
他国に影響を受けて今の混交としている日本も好きだが、筆者の言う影響を受けずに独自に発展を遂げた日本の姿にも興味をそそられた。
初めて谷崎潤一郎さんの本を読んでいるが、色々と自分でも考察をしながら読み進めており、少しハマった。
この本には陰翳礼讃以外にも収録されているの -
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“フェティシズム”という括りで集められた6編の短編ですが、「刺青」「富美子の足」「青い花」以外はフェチと言うより精神分析の話のように思えました。
「刺青」
谷崎潤一郎のデビュー作。
初めて読んだのはおそらく中学時代。感想は当時とあまり変わらない。よく言えば様式美、悪く言えば頭でっかちな印象を与えるフェティシズム小説。
晩年の「瘋癲老人日記」まで足フェチを貫き通す大谷崎先生に大変失礼な感想だが、そう思ってしまったのだから仕方がない。
「悪魔」
後半は確かにフェティシズムの話なんだけど、前半の電車恐怖症とでも言うべき主人公の症状が気になってしまいます。今で言えばパニック障害?いや脅迫性障害?。 -
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【2025年1冊目】
二十八歳の時、私こと河合譲治は運命的な出会いをしてしまう。カフェでウエイトレスの卵として働く十五歳のナオミに、夢中になってしまったのだ。ナオミが希望するまま、音楽と英語を学ばせ、新しい家にまで引っ越した譲治。彼女を自分好みに育てる過程で、二人は夫婦の誓いを交わすが――。
源氏物語をちゃんと読んだことはないんですが、失敗した光源氏みたいな話やないかと思いました。贅沢の限りを尽くさせ、堕落しないわけがないというか。そこに天性の魔性さを遺憾無く発揮させたんでしょうね、という感じ。馬鹿だなぁという気持ちよりも、生物として、多分最初から負けていたんじゃないでしょうかという推測。恐 -
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1931(昭和6)年から1935(昭和10)年に初出の作品集。
おなじ中公文庫で『盲目物語』のみが入ったのをずっと前に読んで持っているのだが、他の作品を含めて編み直し出版したらしい。
谷崎潤一郎の文章は極めて流麗で美しく、しばしば文章そのものがエロティックな妖しさをも帯びるのがとても好きだ。『盲目物語』はさらに、極めて恣意的な「ひらがな化」が試みられている。さっきは漢字表記だったのが何故かひらがなで出てきたりする。ひらがなばかりで読みにくい(文意が瞬間的に認知できない)ところがたくさんある。谷崎はここで、字面の視覚的なリズム書法をでも試みたのだろうか。しかし、ここまで徹底した作品は他に無 -
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ネタバレ関西弁の会話が心地いい。
猫のリリーにデレデレの庄造と、それに振り回されながら庄造を取り合う品子と福子のお話。
もとはと言えば庄造のダメ男っぷりが根元なのだけれど、庄造って人は、何故か憎めない、のらりくらりの愛すべきへなちょこ 笑
品子の言葉を借りれば、
「子供を一人歩きさせているような、心許ない、可哀そうな感じ」
「そしてもともと、そう云う点にへんな可愛気のある人」
「妙にあたりの柔かい、優しい肌合があるものだから、だんだんそれに絆されて…」
なのだ。
作品冒頭にある手紙作戦が功を奏し、まずはリリーを手元に呼び戻すことに成功した品子。
これに釣られて庄造も呼び戻す算段だったけれど、リリーの -
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ネタバレ話としては、まず、語彙力と言葉の選び方がすごい。
前半、すべてを手にした貴公子のつまらない日々について書かれていて「人魚全然出てこない…」って思ってたら、中盤、謎の魅力的なオランダ商人が人魚を売りにやってくる。
オランダ商人から人魚を買ったあと、怒涛のスピードで人魚を地中海に返して物語が終わる。
作者は途中で書くの飽きたのかな、と思うぐらい人魚と貴公子の生活ストーリーがほぼなかった。あと、七人の絶世の美女たちの特徴について、最初の4人ぐらいはちゃんと書いてるのに、3人ぐらい端折っててちょっと笑った。
人魚が本当に貴公子のことを恋しく思ってたとは思えず、上手く騙して地中海に帰ったんだと思うけど、 -
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盲目の琴の名人春琴と丁稚の佐助、二人の恋物語。容姿端麗で琴の腕も名人並の春琴だが盲目になったことで性格も意地悪くなるが、そんな春琴の身の回りの世話をしていたのが佐助。彼女の傲慢な要求にも誠実に応える佐助。ある日春琴は何者かによって火傷を負わされ誇っていた綺麗な顔が醜いものへと変貌してしまい、その姿を佐助に見られたくないと言う。それに対して佐助は自らの眼球を針で刺し盲目となることで彼女の綺麗な姿を頭の中に留めることにする。
思ったりよりも読みやすかった。佐助の愛が凄すぎる。自分じゃ到底できない。盲目になってから見える世界があると佐助が言ってるのがまたいい。
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