谷崎潤一郎のレビュー一覧
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深謀遠慮、権謀術策、邪推の果て。
ふたりの女という題名が生々しさを際立たせる。
およそ愛玩動物、ペットは飼い主をはじめとしたヒトの感情、無意識に抑圧された欲求・願望・葛藤を投影させる。
その意味では、現実と心性の中間領域たる存在だろうと思う。
正造とふたりの女、都合3名だがそれぞれ、猫のリリーに自身の感情を投影させる。
嫉妬心、愛して欲しいという欲求、自由でいさせてほしいという葛藤がこの物語では投影される。
個人の感情を投影する対象として、リリーは機能しているようだ。
他方で、ある場合には愛玩動物は夫婦仲を取り持つ機能を果たす。
夫婦とはいえ、別々の個人、主観をもつヒトであるか -
Posted by ブクログ
ネタバレ深く美しい主従関係を描いた小説という印象を受けた。語りが当事者ではないため、春琴伝を頼りに2人の関係性を明らかにしていくようであるが、この書物自体が信憑性が高いとは言い難いため真実と断言することはできない。しかし、この書物を作った佐助にとっては紛れもない真実であったのだろう。春琴への崇拝は最後まで彼らを主従たらしめたが、実態は夫婦のような関係性であったこと。しかし契りを結ばなかったことが個人的に好ましく思う。佐助はどんな苦行であれども耐えうることができたが、春琴が春琴でなくなることだけは耐えられなかったのである。身勝手な従者の思いが人間らしくて良い。
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Posted by ブクログ
ネタバレ谷崎潤一郎のフェティシズムを、存分に味わうことが出来る1冊。
よくもまぁ、こんなに書けるものだ…こんなの、谷崎じゃなければ、思い付かないだろう。
趣味炸裂、と言ったところか。
どの話に出てくるフェティシズムの対象も、よくよく観察しないと書けないぞこれは…実際、どうやって書いたのだろうか。観察しながら書いたのか、それとも想像しながら書いたのか。
いやはや、どの作品もすごいけれど、やはり富美子の足がすごいな。足の話だけで何ページ使うんだ。素晴らしい。
自分の命と女の踵を天秤にかけ、後者の方が尊い、踵のためなら喜んで死ぬ….素晴らしいほどの脚フェチ。谷崎潤一郎ほどの脚フェチはいないだろうな。
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Posted by ブクログ
猫派ではないので、題名は知っていたものの読み残していた本書だが、〈愛猫家必読〉、「男に愛され女に憎まれたリリーの運命や如何に……?」等のオビが巻かれていたので、つい手に取ってしまい、読むことになった。
先ずは大阪弁のやり取りが読んでいてとても心地良く、さすがに大谷崎の文章と、改めて感じ入った次第。
そして、リリーを巡って繰り広げられる庄造と先妻、後妻との間の嫉妬や愛憎を混じえたやり取りが面白い。
何か底意があることを窺わせる、先妻から後妻宛ての猫を譲って欲しいとの手紙で読者の興味を引きつけると、庄造が飼い猫リリーに小鯵の二杯酢を与える描写が続くが、愛猫家でなくとも、可愛がるとはこういうこ -
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谷崎の小説を読むのは、これが初めてだ。一般には、『細雪』『痴人の愛』『春琴抄』あたりから入り、氏独特の耽美的な、官能的な、あるいは変態的な世界を楽しむのだろう。そしてその世界は、谷崎をもってすれば、わざわざ「犯罪」という要素などなくとも、純文学の世界で十分描くことができる。
この本を手にしたのは、したがって、読み手である自分が単に「ミステリーが好き」ということにのみ由来する。が、読んでみて損はなかった。
解説で渡部直己も言及しているが、最初に感じたのは、いずれの物語も(本書には四編の話が収録されている)実にポー的であるということだった。筆名をE・A・ポーからとった江戸川乱歩に大きな影響を与えた
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