谷崎潤一郎のレビュー一覧
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多少の例外があっても。
日本では恋愛問題を取り上げた物語で、
知識階級が恥じない賞賛を博したのは、
明治の夏目漱石まで無かった。
ぢゃあ、「源氏物語」はどうなんだ?という声が聞こえますが。
アレは恋愛なんかぢゃあ無いよ、と。
だって、顔も見たこと無い相手と和歌を交換したら闇の中でベッドイン、ですよ?
個人と個人、性格と性格。
そういう人間性の交錯では、なかったわけです。
あれは恋愛ぢゃなくて、「もののあはれ」っていう、
長い歳月の人の営みの印象みたいなことについての文章でせう、と。
漱石さんは、19世紀までの欧州のブンガクを気が狂う寸前まで綿密に研究した学者さんだったわけで。
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痴人の愛位しか読んだことなく、特に好きでもなかったのですが、この間弥生美術館の展示を見て、あと森博嗣の本の冒頭で、ちょっと気になり。
乱菊物語。
普通の作品だったら、もっと時代小説ぽくなるのでしょうが、そこがエンタメになっていて、少女と女性が全く古臭くないとこが、もしかして谷崎のすごいとこなんだろうか…と初めて気付きました!
ちらっと出てくる遊女に姫君の姪御の描写やら、果ては戦闘の似合うカップルと、あれ、これが文豪の描写力のすごさなのか、と。
陽炎御前と海龍王にぐっときて、これからこの二人の話に移るのね…というところで…。谷崎おめ最後まで書きゃあ!と内心叫びました。
鏡花ほどではないまでも -
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・何かと物議を醸してゐるらしき池澤夏樹=個人編集「日本文学全集 15」(河出書房新社)は 谷崎潤一郎である。私が一瞬「残菊物語」かと思つてしまつた「乱菊物語」を中心に、「吉野葛」「蘆刈」等を収める。谷崎を全集で読むなどとは考へたことも ないので、私は谷崎全集の全貌を知らない。従つて、「乱菊物語」などといふ作品も知らなかつた。これは「残菊物語」の姉妹編か何かかと思ふほどの無知である。だから、これを収めることを一種の英断ととらえる人がゐる一方で、こんな作品を中心に編むなといふ人がゐるのも、私には全く分からないことである。全集には編集者の個性が出てゐて良いと思ふものの、収める作品には一定の質は必要だ
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7篇収録の短篇集。
「金色の死」は江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」に似ているなと思った。実は逆で、江戸川乱歩が「金色の死」に影響を受けて「パノラマ島綺譚」を書いたとのこと。理想の美を具現化すると気味が悪い。私はディズニ―ランドにも同様の気味の悪さを感じていて自分がおかしいのかと思っていたが、解説ではずばりその点について指摘されていて安心した。ディズニ―ランド大好きな人が多いのであまり大きな声では言えないけれど。
「富美子の足」の足フェチぶりはおもしろい。富美子の足の素晴らしさについて滔々と語られる。そんなに良いのか、足が。
「小さな王国」は世にも奇妙な物語的で印象に残る。謎の転校生が学校内 -
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ネタバレ「痴人の愛」以来谷崎小説は避けてきましたが、雅で上品な官能に満ちた話でした。
最初に驕慢な貴公子の恋の駆け引きにどぎまぎして、
妻への恋情に死んだ夫とそれを見つめる滋幹の場面にどこか無常観と業の深さを感じ取りました。
滋幹の母、北の方が最後に尼僧になったからかも。
何もせず、美人というだけで夫とその係累と元夫、情夫やもう一人息子も?死に至らしめてしまった北の方が一番浮世離れして、まるで雲をつかむように心情が読めなかった。
周りの男たち、滋幹すら北の方への欲望でドロドロしているのに。
最後の40年ぶりの親子の再会のおかげで、北の方は魔性の女という誹りを免れていると思うのは意地悪?
男って母と -
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おもしろすぎる。これが80年近くも前に書かれた小説とは信じられない。猫を妹かなにかに変えれば、そのままライトノヴェルとしてじゅうぶん通用するのではないだろうか。しかし、さすがに谷崎作品であるだけあって、ただエンターテインメント性に優れているのみならず、きちんと人間の深層心理も巧みに描き出している。とくに、リヽーを手放すのに難色を示しつづけ、ついにいなくなったあとも、その様子が気になって仕方がなくなり、前妻のもとまでわざわざ逢いに行く庄造という男は、最高に滑稽だし、いっぽうで、なにかに依存せずにはいられないというその性格は、かならずしも喜劇一辺倒ではない気もする。私自身はネコ好きではないが、この
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ネタバレエロス・足フェチ・ドMと、谷崎の小説をあまり読んだことがない頃に
抱いていたイメージをそのまんまぎゅぎゅっと濃縮した1冊。
どちらも日記形式のお話。
『鍵』は、はじめはこの旦那さん鬼畜だなぁーと思ってたけど、
終盤はぞっとした。最近よく週刊誌の見出しで「死ぬまでS〇X」なんて
フレーズをよく見るのを思い出して、あれは生涯現役な意味
なんだろうけど、こちらは本当に命をかけて性欲を満たそうと
しちゃうんだからすごい。
敏子と木村も日記を書いていたら、どんな内容なのだろうと
想像が膨らみます。
『瘋癲老人日記』
『鍵』に比べるとこちらの方がちょっと陽気というか、滑稽味がある。
足の形の墓石を作っ