谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    変態性欲炸裂してます。谷崎センセイは常人ではないです。明治や大正にこんな素晴らしい嗜好の小説をお書きになるなんて勇気ある天才です。『富美子の足』が一番良かったです。フェティシズムが精密かつ美しく狂い咲きしてました。

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    2014年12月31日
  • 陰翳礼讃

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    和紙がユネスコ世界文化遺産に登録されたということで読んでみた。近代建築や文明はどんどん光を取り入れる方向へ向かっているが、谷崎は逆に陰翳の賛歌をうたいあげる。漆器や金屏風、掛け軸、和食に至るまですべからく古来日本のものは薄暗い部屋にあってこそその真の価値が分かるという。
    そういうものかもしれませんねー。わからんけど。
    文芸書というより今では建築とかデザインの入門書的地位を占めているっていうのが興味深い。

    旅について語ったところもあって、汽車のなかでうつらうつら読むといい感じだ。旅に出たーい。

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    2014年12月07日
  • 少将滋幹の母

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    「痴人の愛」以来谷崎小説は避けてきましたが、雅で上品な官能に満ちた話でした。
    最初に驕慢な貴公子の恋の駆け引きにどぎまぎして、
    妻への恋情に死んだ夫とそれを見つめる滋幹の場面にどこか無常観と業の深さを感じ取りました。
    滋幹の母、北の方が最後に尼僧になったからかも。

    何もせず、美人というだけで夫とその係累と元夫、情夫やもう一人息子も?死に至らしめてしまった北の方が一番浮世離れして、まるで雲をつかむように心情が読めなかった。
    周りの男たち、滋幹すら北の方への欲望でドロドロしているのに。

    最後の40年ぶりの親子の再会のおかげで、北の方は魔性の女という誹りを免れていると思うのは意地悪?
    男って母と

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    2014年06月08日
  • 少将滋幹の母

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    平安絵巻物のような美しさ。
    ただモノにするだけの男女関係ではなく、嫉妬・後悔もあり人間らしさに共感。ラストの情景がグッとくる。

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    2014年05月17日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    比較的初期の短篇を6篇集めたもの。他の文庫なら、タイトルは普通に「少年・幇間」などとするところを、あえて『谷崎潤一郎マゾヒズム小説集』と銘打った。これで新たな読者を開拓しようとの目論見だろうが、『フェティシズム小説集』とともにまずは成功か。ただし、これだと例えば篇中の「少年」等をマゾヒズムの枠組みに固定してしまうことで、他の要素から遠ざけてしまうという欠点も併せ持つ。「少年」、「幇間」、「魔術師」などは耽美、幻惑、哀しみに満ちており、谷崎の筆法は冴えに冴えている。それぞれの短篇は長編に優に匹敵する密度だ。

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    2014年03月30日
  • 猫と庄造と二人のをんな

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    おもしろすぎる。これが80年近くも前に書かれた小説とは信じられない。猫を妹かなにかに変えれば、そのままライトノヴェルとしてじゅうぶん通用するのではないだろうか。しかし、さすがに谷崎作品であるだけあって、ただエンターテインメント性に優れているのみならず、きちんと人間の深層心理も巧みに描き出している。とくに、リヽーを手放すのに難色を示しつづけ、ついにいなくなったあとも、その様子が気になって仕方がなくなり、前妻のもとまでわざわざ逢いに行く庄造という男は、最高に滑稽だし、いっぽうで、なにかに依存せずにはいられないというその性格は、かならずしも喜劇一辺倒ではない気もする。私自身はネコ好きではないが、この

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    2014年02月09日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    何ページにもわたって脚についての魅力を語っていたり
    ちょっと一般人のわたしからしたらひいてしまうような性的嗜好を持つ主人公ばかりの短編集なのですが、文章が美しいので最後まで読めました フェチという言葉は現代ではかなり一般化していますが、これには真のフェティシズムの深淵を垣間見せられた・・・!

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    2014年02月04日
  • 鍵・瘋癲老人日記

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    ネタバレ

    エロス・足フェチ・ドMと、谷崎の小説をあまり読んだことがない頃に
    抱いていたイメージをそのまんまぎゅぎゅっと濃縮した1冊。
    どちらも日記形式のお話。

    『鍵』は、はじめはこの旦那さん鬼畜だなぁーと思ってたけど、
    終盤はぞっとした。最近よく週刊誌の見出しで「死ぬまでS〇X」なんて
    フレーズをよく見るのを思い出して、あれは生涯現役な意味
    なんだろうけど、こちらは本当に命をかけて性欲を満たそうと
    しちゃうんだからすごい。
    敏子と木村も日記を書いていたら、どんな内容なのだろうと
    想像が膨らみます。

    『瘋癲老人日記』
    『鍵』に比べるとこちらの方がちょっと陽気というか、滑稽味がある。
    足の形の墓石を作っ

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    2014年08月09日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    病的です。フェティシズムの対象を崇拝し、変態として酔い痴れ、堪能し尽くす…文体の美しさが近頃のフェチものとは別格。
    「悪魔」にいたってはかんだ後の鼻水ですよ?きちゃない。幸い、この境地には達しておりません。

    「刺青」「悪魔」「憎念」「富美子の足」「青い花」「蘿洞先生」収録。
    「刺青」と「富美子の足」が同時収録されているのがいいですね。

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    2013年09月21日
  • 少将滋幹の母

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    谷崎潤一郎が昭和24年に発表した王朝物の時代小説。昌泰の頃、高齢の大納言藤原国経が、その美しく若い妻・北の方を、左大臣藤原時平に奪われたという"今昔物語"が伝える史実をもとに創作されたお話です。タイトルにもある"少将滋幹の母"こと北の方についてはほぼ語られません。話の中心にくるはずの彼女について詳しく語られないことによって、彼女を奪った時平、奪われた国経、そして彼女のかつての情人だった平中、息子である滋幹と、彼女をめぐる男たちの浅ましさや欲望が浮き彫りにされています。これは見事としか言えません。

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    2013年09月11日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    「幇間」、何度読んでもいい。あの最初の舟と河岸のにぎやかさ、あれを味わうために「幇間」を何度も読む。最後の一文も徹底してていい。
    確か新潮文庫だと「刺青」に入っていたはず。
    「麒麟」は初めて読んだ。中国を舞台にした(孔子とか)作品で、南子夫人の悪さがいい。

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    2013年06月14日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    決して巷に出回る手頃なエロ小説なんかではない。フェティシズムも谷崎氏の手にかかれば、何と崇高で美しい歓楽の世界となって映ることか。

    とにかく女性美に対する病的な憧憬と畏敬の念は並大抵でない。特に「富美子の足」では、脚の美しさを讃える描写が何ページにも渡り、氏が相当の脚フェチであったことが窺える。

    ストーリーの中に描写があるのでなく、描写でストーリーが進むことを強く実感する短編集。

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    2013年05月18日
  • 吉野葛・盲目物語

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    谷崎潤一郎の中期の名作"吉野葛"と"盲目物語"を収録。"吉野葛"は谷崎らしい作品だと感じました。幼くして亡くした母への息子の追慕を扱う点で後期の"少将滋幹の母"を思い出した。本人ではなく、第三者の友人を主人公にしている点が面白かった。吉野の自然や人の暮らしの描写も紀行文的な雰囲気が良かった。一方、"盲目物語"は歴史小説です。織田信長の妹、お市の方の波乱の人生を仕えていためしいのあんまが感じたことや聞いたことを話すという形式で第三者を通して語らせています。やはり日本語の選び方が綺麗で、読んでて気持

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    2013年05月12日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    どの短篇も印象に残ります。登場人物がフェティシズムの渦に巻き込まれるスイッチみたいなものが入る瞬間、ああこの人もう戻れないんだな、と思うと同時に何故かワクワクしてしまいます。

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    2013年03月19日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    「マゾヒズム」っていうワードと表紙に惹かれての衝動買い(●^o^●)
    もやもやっとしたまだ「芽」のようななんとも言えない感じがいい。
    一番最初の少年たちの話は読んでてかなりどきどきした^^

    ・・・これって、やばいかなぁ(^_^;)

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    2013年02月27日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    谷崎潤一郎の短編の代表作と考えられる「刺青」はとても官能的。
    墨汁が肌に染み入る描写は、不可能だと考えられる自我と他人の同一化をこれ以上ないくらい美しく実現させている。
    また、彫られた蜘蛛が生命を持って女性を抱くシーンも美しい。

    他の短編については、それぞれの中で開眼させられるような描写は出てくるが(「憎念」の蒟蒻についての描写や「青い花」の洋服についての描写など)、個人的には自然派を思わせるような写実的な描写は冗長に感じた。

    一転して、「富美子の足」にみられる富美子の肢体の描写は非常に官能的で美しい。

    思うに、谷崎の描写はフェティッシュの対象を描く時には読むものを惹きつける官能性を帯び

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    2013年02月18日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    まさか「悪魔」がこんなに可愛い装丁の文庫になることがあるとは。
    学生時代に必死で文献探しに付き合わされたことを思い出しつつ、懐かしさと共に読みました。
    無難に「刺青」から始まり、「憎念」……はあまり私好みではありませんでしたがこれも確かにフェチ。
    「冨美子の足」も久々に読み、本当に脚大好きな谷崎潤一郎です。「青い花」等はもう女の子大好きです。「蘿洞先生」はもう、だからなんだというMですね。
    本だから許せ、引き込まれました。谷崎のフェチズム、軽く集大成レベルで集められていると思いました。
    変態万歳……とか思わず呟きそうになる作品群。

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    2012年12月27日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    ネタバレ

    きっと私が初めて読んだ谷崎作品は「刺青」だったのだと思います。
    教科書に載っていたような記憶があるので。
    その時は何と言う作家の作品か知らなかったのですが、なかなかすごい話だなあと印象に残っていました。

    手元に用意するのが面倒でちょっとわからないのですが、マゾヒズム小説集の「麒麟」も末喜の話ではなかったかな。
    自身の嗜好を体現している女性、のような思いでお気に入りだったのでしょうか。

    わたしも封神演技ではだっきちゃんが一番お気に入りだったこともあり、刺青がいちばん気に入っています。
    次が青い花、そして冨美子の足かな。
    青い花は読んでる最中は、何だこの話・・・早く着せ替え人形して遊んでくれよ

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    2012年11月01日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

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    マゾヒストに執って―或いはサディストに於いても―、相手は道具でしか無く、自分の内で描いたシナリオに愉悦、美を求めている。それが叶わないのなら、その相手は不要となる。
    "マゾヒストは精神的の要素を含まない"と云う谷崎の価値観には、大いに賛同せざるを得ない。それを履き違える者が、此の世に多過ぎる事も。
    マゾヒズムもサディズムも、表裏一体であり、何れも各々の価値観を識らなければ、其処に官能的美学は産まれない。それがSMと称されるものの本質であると、以前から私も感じていた。

    此の一冊は短編集で構成されているが、中でも「魔術師」と「少年」は私の中では途轍も無く官能美を備えている様に

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    2012年07月22日
  • 夢の浮橋

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    ネタバレ

    随筆がだいぶおもしろかった。谷崎氏の血圧が240を超えたあたりでついつい笑ってしまう。他の文豪の話も噂話を聞いてるようでおもしろい。
    表題の話は乳吸うあたりで生理的にかなり気持ち悪い。

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    2012年06月16日