谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    短編集。以前半分ほど読んで放置していたような気がする。

    女性の描写が破滅的ですごく良い。後半半分ほどを占める「白昼鬼語」がやはり最も読んでいて面白かった。理想の美女に殺されるのも悪くないと思ってしまった。

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    2018年05月22日
  • 春琴抄

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    ネタバレ

     思った以上に時間をかけて読んだ。春琴の人生が主軸だけれど、春琴の人生の中では手曳きの役割を与えられた佐助と2人で過ごす時間が圧倒的に多いし、佐助以外は地になっているような印象。そして、佐助もまた春琴に従順で、痛みや悲しみもよろこびに変えてしまう。マゾっていうよりは依存?麻痺?マゾとは違うんだよなあ……。
     主従関係だから、結婚という形には収まらなかった事が途中から納得できた。春琴に尽くすことが全てである佐助にとっても、佐助はあくまで手曳きであり従者にすぎないとしている春琴にとっても、上下でしか成り立たないんだな。それでも、佐助が事件の後に盲目になったところで春琴が涙をしたのは嘘ではないだろう

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    2018年01月28日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    江戸川乱歩に影響を与えたものがあるときいてはじめて谷崎潤一郎を読んでみました。
    女性関係のものが多いと思っていたので推理小説もあったとは…。

    素人探偵と助手のような関係のコンビが出てきたり、読者を騙したり焦らせたりするような話があったりとミステリの基礎みたいなものが詰め込まれてました。
    文章も巧みで読みやすかったです。
    でもやはり谷崎がえがきたかったのはミステリではなくて女の人がメインだったんじゃないかなという感じがしました。耽美。

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    2018年01月18日
  • 文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか 芥川vs.谷崎論争

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    芥川は、小説から構造を廃すべきと言ったわけではない
    ただ小説の前提には作家の個性がなければならず
    作家は、その自己表現を面白く読ませるための技法として
    構造を用いなければならない
    もちろんまた一方では個性が技法となり
    二代目○○、三代目○○と積み重ねられていきもするわけだが
    それを扱って作品とするのはあくまでも個人だ
    そうでなくては、詩はスローガンに
    小説はプロパガンダに堕していくしかないだろう

    それに対する谷崎は
    東京と大阪の文化性の違いなど挙げて
    要は受け手の個性が作品を完成させるという立場を取っているようだ
    もちろんそれもひとつのあり得べき解釈である
    しかしやがては
    スノビスト達の鼻持

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    2017年11月11日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    これは面白い短編集でした! 「柳湯の事件」、「途上」、「私」、「白昼鬼語」の4編収録。ここまでガチでミステリ書いてくれてるとは思わなかったよ。

    「白昼鬼語」が良いですね。「柳湯の事件」で全面に出してきたヌラヌラフェチを封印して、謎の女の妖艶さとそれに惹かれる男の駆け引きに振り回される友人の私、という構図。谷崎作品の中でポーの黄金虫や、ホームズ、ワトソンなんて単語が出てくる作品があるとは。乱歩が谷崎ファンだったのも納得でした。

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    2017年10月28日
  • 春琴抄

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    佐助は一途で健気ではあるが、どこか女々しい。春琴は本当にいや〜な奴。しかし谷崎潤一郎の小説って、何故こんなにも嫌味な女と女々しい男が出てくるんだろう。
    そして好感度の低い登場人物の織りなす世界が、何故こんなに面白いのだろう。

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    2017年09月09日
  • 夢の浮橋

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    ネタバレ

    読書会の課題本。前半の実母への恋慕や関わりは、自分の子どもの幼いころを思い出して共感しつつ読んだが、後半の継母との関わり、父子二代に渡っての想いの共有、妻澤子を迎えるくだり、「母に仕えることを唯一の生き甲斐にして、外に何の幸福も要らぬ」「お母さんを仕合わせにするためには、お前が嫁をもらう必要がある」あたりは、やはり前回読んだ谷崎本同様、若干ひいてしまう。
    一緒に収録されているエッセイの方が私にはむしろ面白く読めた。元々、エッセイが好きということもあるが、家族への想い、自分への評価などがつづられた「親不孝の思い出」、自身の病状とそれに対する心もちをつづった「高血圧症の思い出」、関わりのあった秋声

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    2017年12月30日
  • 春琴抄

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    谷崎の物語には必ず愛がある。
    春琴抄を読んで思ったのは、こんな風に愛されたいってこと。

    恋は盲目。まさに。

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    2017年02月19日
  • 少将滋幹の母

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    匂い立つような美しさが文章から滲み出るよう。過剰な美は人を狂わせる。
    最後の再会の場面が眼に浮かぶようだ。

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    2017年02月13日
  • 細雪(中)

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    中途半端な終わり方やと思ったが、三部に分けたのは筆者の知るところではないハズなので仕方ないか。
    「上→中→下と、どんどん引き込まれる。」とは言えないダラダラ感。
    さて、「下巻」に感動をもらえるのでしょうか・・・?

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    2016年10月11日
  • 谷崎潤一郎

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    痴人の愛位しか読んだことなく、特に好きでもなかったのですが、この間弥生美術館の展示を見て、あと森博嗣の本の冒頭で、ちょっと気になり。

    乱菊物語。
    普通の作品だったら、もっと時代小説ぽくなるのでしょうが、そこがエンタメになっていて、少女と女性が全く古臭くないとこが、もしかして谷崎のすごいとこなんだろうか…と初めて気付きました!
    ちらっと出てくる遊女に姫君の姪御の描写やら、果ては戦闘の似合うカップルと、あれ、これが文豪の描写力のすごさなのか、と。

    陽炎御前と海龍王にぐっときて、これからこの二人の話に移るのね…というところで…。谷崎おめ最後まで書きゃあ!と内心叫びました。
    鏡花ほどではないまでも

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    2016年09月26日
  • 谷崎潤一郎犯罪小説集

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    実に多彩なミステリ小説。
    谷崎潤一郎ってこういう小説も書いてたのか。
    ホラーじみた結末の「柳湯の事件」から始まり、探偵に追い詰められていくスリルにドキドキする「途上」。
    学内の盗難事件をめぐってトリックが光る「私」。
    友情、恋、性癖、妖しい美女にまんまと担がれる珠玉の名編「白昼鬼語」。
    四作すべて素晴らしく純粋に楽しんで読めました。
    特に白昼鬼語、私これ好きだなぁ。変人園村と、彼に翻弄されるいじらしい高橋とのやりとりが軽妙です。そしてなんと言ってもオチがたまらないね。途中本当に悲しかったんですけど!笑
    読後感最高。谷崎潤一郎もっともっと読んでいきたい。

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    2016年07月02日
  • 谷崎潤一郎

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    この本の半分以上を占める[乱菊物語]は 未完成の作品で前編しか読むことができないのが残念だが、完成していれば政村の生涯から見て悲劇で終わる結末になっていたのだろうか?
    未完とはいえ流石に谷崎潤一郎だけあって大衆文学も素晴らしく面白い。

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    2016年05月21日
  • 吉野葛・盲目物語

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    現代と戦国期を並べたのは、谷崎の意図だろうか?どちらも違った意味での郷愁を感じる。お市といえば、かつて光秀の娘・玉子が細川家に嫁ぐ際、戦国の世の女の定めを説いたと言われているが、その意味を深掘りしたくて、お市の生き様に興味を持っていた。それを盲目の尼僧が語るというのが斬新で、一層物悲しさを引き立てる。

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    2016年05月15日
  • 谷崎潤一郎

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    ・何かと物議を醸してゐるらしき池澤夏樹=個人編集「日本文学全集 15」(河出書房新社)は 谷崎潤一郎である。私が一瞬「残菊物語」かと思つてしまつた「乱菊物語」を中心に、「吉野葛」「蘆刈」等を収める。谷崎を全集で読むなどとは考へたことも ないので、私は谷崎全集の全貌を知らない。従つて、「乱菊物語」などといふ作品も知らなかつた。これは「残菊物語」の姉妹編か何かかと思ふほどの無知である。だから、これを収めることを一種の英断ととらえる人がゐる一方で、こんな作品を中心に編むなといふ人がゐるのも、私には全く分からないことである。全集には編集者の個性が出てゐて良いと思ふものの、収める作品には一定の質は必要だ

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    2016年04月10日
  • 美食倶楽部 ――谷崎潤一郎 大正作品集

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    不気味で滑稽でもあるが艶めかしい。

    「或る調書の一部」の掛け合いなんかは笑ってしまう。
    しかし、善いことができるはずがないから、
    気持ちの好い悪い事をするという一節にどうも心を惹かれる。

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    2015年08月17日
  • 谷崎潤一郎全集〈第2巻〉

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    恐怖、少年の記憶、恋を知る頃、熱風に吹かれて、捨てられる迄、憎念、春の海辺、饒太郎、金色の死、お艶殺し、懺悔話

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    2015年07月09日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    分かりやすいフェティシズムは刺青と足かな。でも、鼻水ズルズルがいちばんフェティッシュを感じる。あるよ。そういう気持ちは自分の中にも。。。

    軽く読めますが、書かれているのは本物のフェティシズムだと思います。

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    2015年06月24日
  • 金色の死

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    7篇収録の短篇集。

    「金色の死」は江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」に似ているなと思った。実は逆で、江戸川乱歩が「金色の死」に影響を受けて「パノラマ島綺譚」を書いたとのこと。理想の美を具現化すると気味が悪い。私はディズニ―ランドにも同様の気味の悪さを感じていて自分がおかしいのかと思っていたが、解説ではずばりその点について指摘されていて安心した。ディズニ―ランド大好きな人が多いのであまり大きな声では言えないけれど。

    「富美子の足」の足フェチぶりはおもしろい。富美子の足の素晴らしさについて滔々と語られる。そんなに良いのか、足が。

    「小さな王国」は世にも奇妙な物語的で印象に残る。謎の転校生が学校内

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    2015年03月28日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

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    知性が理性の味方だといつから錯覚していた?谷﨑の小説において知性とは欲望を豊潤に彩り駆り立てるデュオニソスであり、理性の盲目さを付いて快楽の足元へと導くメフィストフェレスなのだ。谷﨑の処女作である『刺青』を含むこの短編集は、人が自然に神を発見した様に人体の細部に神を見出す力=フェティシズムと谷﨑の文章力の共犯関係を愉しむにうってつけの選集と言えるだろう。人肌に対する匂い立つような表現力がたまらない。そしてフェティシズムとは他者を物化する概念でもある。だから彼ら皆、ひとりの世界に生きながらも満たされる。

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    2015年02月07日