谷崎潤一郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ谷崎潤一郎(1886-1965)の、フェティシズムを主題とするアンソロジー。収録作品は以下の通り。
「刺青」(1910)
「悪魔」(1912)
「憎念」(1914)
「富美子の足」(1919)
「青い花」(1922)
「蘿洞先生」(1925)
「刺青」「富美子の足」「青い花」は、いずれも再読だが、やはり面白い。特に「青い花」では、女性の身体とそれを包む女性の衣装に対して男が抱いているフェティシズムが見事に言語化されていて、圧巻である。
解題にドゥルーズ『マゾッホとサド』から次の言葉が引かれている。「否認と宙吊りの過程と定義されるフェティシスムは、本質的にマゾヒスムに属している -
Posted by ブクログ
挿画が目的で読みました。
100年以上前の作品を、当時の挿画そのままに出版している中公文庫に感謝。楽しめました。
半月ほど前に、別の文庫本で「魔術師」を読んだのがきっかけ。その際の感想は下記のとおり。読み直してよかった。表紙画、扉絵でもう気分が高揚します。ただ、挿画は「人魚の嘆き」の方が良かったかな。巻末に両作品の挿画を描いた水島爾保布の小伝が収録されているのも嬉しいです。
「人形の嘆き」「魔術師」ともに衒学的で独特の文体ですが、描かれた背景などは中井英夫による解説に詳しいです。
『魔術師』
デビュー7年後の大正期の作品。西洋やオリエント等々への憧れを絢爛な文章で並べ立てた幻想文学。「乙女 -
Posted by ブクログ
谷崎潤一郎のマゾヒズム関連作品を集めた短編小説集。石を投げればマゾヒズム小説に当たりそうな谷崎作品の中から厳選された下記6作品が収録されています。
『少年』
少年がマゾヒズムに目覚める物語。永井荷風が絶賛したとのこと。性の目覚めとマゾヒズムの目覚めがほぼ同時に訪れる点が早熟な谷崎潤一郎らしい。
真っ白な右脚の脛を見せた光子の初登場に「この人が女王様だ」と思ったものだが(だいぶ谷崎の嗜好にやられてます)、弟の信一が最初のご主人様だった。やがて、夜の西洋館で覚醒した姉が女王様となる。
夜の西洋館に忍び込む濃密な描写が秀逸。西洋館で待つのは洋服の美少女。もちろん素足。まだまだ“洋服“は特別な時代で
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。