谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 陰翳礼讃

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    和紙がユネスコ世界文化遺産に登録されたということで読んでみた。近代建築や文明はどんどん光を取り入れる方向へ向かっているが、谷崎は逆に陰翳の賛歌をうたいあげる。漆器や金屏風、掛け軸、和食に至るまですべからく古来日本のものは薄暗い部屋にあってこそその真の価値が分かるという。
    そういうものかもしれませんねー。わからんけど。
    文芸書というより今では建築とかデザインの入門書的地位を占めているっていうのが興味深い。

    旅について語ったところもあって、汽車のなかでうつらうつら読むといい感じだ。旅に出たーい。

    0
    2014年12月07日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    プロフのお気に入り、第2位にランクインしているのが本作品である。中学時代の多感なころに、なにげに手にして、強烈な印象を残したのが、今回紹介する『春琴抄』である。この本を切っ掛けに、谷崎潤一郎作品を読みあさった記憶がなつかしい、谷崎潤一郎が求めた至高の愛の姿がここにある。

    0
    2026年03月15日
  • 少将滋幹の母

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「痴人の愛」以来谷崎小説は避けてきましたが、雅で上品な官能に満ちた話でした。
    最初に驕慢な貴公子の恋の駆け引きにどぎまぎして、
    妻への恋情に死んだ夫とそれを見つめる滋幹の場面にどこか無常観と業の深さを感じ取りました。
    滋幹の母、北の方が最後に尼僧になったからかも。

    何もせず、美人というだけで夫とその係累と元夫、情夫やもう一人息子も?死に至らしめてしまった北の方が一番浮世離れして、まるで雲をつかむように心情が読めなかった。
    周りの男たち、滋幹すら北の方への欲望でドロドロしているのに。

    最後の40年ぶりの親子の再会のおかげで、北の方は魔性の女という誹りを免れていると思うのは意地悪?
    男って母という女には弱いのねと思いました。
    女性とその親…ならまずないように思います。
    実際、こんな綺麗なだけの生き物じゃないもの。
    だから北の方視点の話がないのかしら。

    0
    2014年06月08日
  • 少将滋幹の母

    Posted by ブクログ

    平安絵巻物のような美しさ。
    ただモノにするだけの男女関係ではなく、嫉妬・後悔もあり人間らしさに共感。ラストの情景がグッとくる。

    0
    2014年05月17日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

    Posted by ブクログ

    比較的初期の短篇を6篇集めたもの。他の文庫なら、タイトルは普通に「少年・幇間」などとするところを、あえて『谷崎潤一郎マゾヒズム小説集』と銘打った。これで新たな読者を開拓しようとの目論見だろうが、『フェティシズム小説集』とともにまずは成功か。ただし、これだと例えば篇中の「少年」等をマゾヒズムの枠組みに固定してしまうことで、他の要素から遠ざけてしまうという欠点も併せ持つ。「少年」、「幇間」、「魔術師」などは耽美、幻惑、哀しみに満ちており、谷崎の筆法は冴えに冴えている。それぞれの短篇は長編に優に匹敵する密度だ。

    0
    2014年03月30日
  • 猫と庄造と二人のをんな

    Posted by ブクログ

    おもしろすぎる。これが80年近くも前に書かれた小説とは信じられない。猫を妹かなにかに変えれば、そのままライトノヴェルとしてじゅうぶん通用するのではないだろうか。しかし、さすがに谷崎作品であるだけあって、ただエンターテインメント性に優れているのみならず、きちんと人間の深層心理も巧みに描き出している。とくに、リヽーを手放すのに難色を示しつづけ、ついにいなくなったあとも、その様子が気になって仕方がなくなり、前妻のもとまでわざわざ逢いに行く庄造という男は、最高に滑稽だし、いっぽうで、なにかに依存せずにはいられないというその性格は、かならずしも喜劇一辺倒ではない気もする。私自身はネコ好きではないが、この感情はむしろよく理解できるし、こういうどうしようもなさは、誰しもが多少なりとも持ち合わせているものだ。人間の心の闇といってしまっては大袈裟だが、そういう特殊ではない普遍的な感情を、あえて極端に戯画化して描いたのではないか。そんな気もする。とにかく、やはり大谷崎は凄いと思った。

    0
    2014年02月09日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

    Posted by ブクログ

    何ページにもわたって脚についての魅力を語っていたり
    ちょっと一般人のわたしからしたらひいてしまうような性的嗜好を持つ主人公ばかりの短編集なのですが、文章が美しいので最後まで読めました フェチという言葉は現代ではかなり一般化していますが、これには真のフェティシズムの深淵を垣間見せられた・・・!

    0
    2014年02月04日
  • 鍵・瘋癲老人日記

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    エロス・足フェチ・ドMと、谷崎の小説をあまり読んだことがない頃に
    抱いていたイメージをそのまんまぎゅぎゅっと濃縮した1冊。
    どちらも日記形式のお話。

    『鍵』は、はじめはこの旦那さん鬼畜だなぁーと思ってたけど、
    終盤はぞっとした。最近よく週刊誌の見出しで「死ぬまでS〇X」なんて
    フレーズをよく見るのを思い出して、あれは生涯現役な意味
    なんだろうけど、こちらは本当に命をかけて性欲を満たそうと
    しちゃうんだからすごい。
    敏子と木村も日記を書いていたら、どんな内容なのだろうと
    想像が膨らみます。

    『瘋癲老人日記』
    『鍵』に比べるとこちらの方がちょっと陽気というか、滑稽味がある。
    足の形の墓石を作って、死んだ後も踏んでもらおうと企むところが
    やはり印象的。自分だったらどんな墓石がいいかななんて
    想像してしまいました。

    これだけ性癖をさらけ出した内容だと嫌悪感が募りそうなものだけど、
    それよりも結末が気になる気持ちの方がずっと強かった。
    カナの文章が多くてちょっと怖気付くけど、やはり文章が綺麗なので
    濃密な世界をたっぷり堪能できました。

    0
    2014年08月09日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

    Posted by ブクログ

    病的です。フェティシズムの対象を崇拝し、変態として酔い痴れ、堪能し尽くす…文体の美しさが近頃のフェチものとは別格。
    「悪魔」にいたってはかんだ後の鼻水ですよ?きちゃない。幸い、この境地には達しておりません。

    「刺青」「悪魔」「憎念」「富美子の足」「青い花」「蘿洞先生」収録。
    「刺青」と「富美子の足」が同時収録されているのがいいですね。

    0
    2013年09月21日
  • 少将滋幹の母

    Posted by ブクログ

    谷崎潤一郎が昭和24年に発表した王朝物の時代小説。昌泰の頃、高齢の大納言藤原国経が、その美しく若い妻・北の方を、左大臣藤原時平に奪われたという"今昔物語"が伝える史実をもとに創作されたお話です。タイトルにもある"少将滋幹の母"こと北の方についてはほぼ語られません。話の中心にくるはずの彼女について詳しく語られないことによって、彼女を奪った時平、奪われた国経、そして彼女のかつての情人だった平中、息子である滋幹と、彼女をめぐる男たちの浅ましさや欲望が浮き彫りにされています。これは見事としか言えません。

    0
    2013年09月11日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

    Posted by ブクログ

    「幇間」、何度読んでもいい。あの最初の舟と河岸のにぎやかさ、あれを味わうために「幇間」を何度も読む。最後の一文も徹底してていい。
    確か新潮文庫だと「刺青」に入っていたはず。
    「麒麟」は初めて読んだ。中国を舞台にした(孔子とか)作品で、南子夫人の悪さがいい。

    0
    2013年06月14日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

    Posted by ブクログ

    決して巷に出回る手頃なエロ小説なんかではない。フェティシズムも谷崎氏の手にかかれば、何と崇高で美しい歓楽の世界となって映ることか。

    とにかく女性美に対する病的な憧憬と畏敬の念は並大抵でない。特に「富美子の足」では、脚の美しさを讃える描写が何ページにも渡り、氏が相当の脚フェチであったことが窺える。

    ストーリーの中に描写があるのでなく、描写でストーリーが進むことを強く実感する短編集。

    0
    2013年05月18日
  • 吉野葛・盲目物語

    Posted by ブクログ

    谷崎潤一郎の中期の名作"吉野葛"と"盲目物語"を収録。"吉野葛"は谷崎らしい作品だと感じました。幼くして亡くした母への息子の追慕を扱う点で後期の"少将滋幹の母"を思い出した。本人ではなく、第三者の友人を主人公にしている点が面白かった。吉野の自然や人の暮らしの描写も紀行文的な雰囲気が良かった。一方、"盲目物語"は歴史小説です。織田信長の妹、お市の方の波乱の人生を仕えていためしいのあんまが感じたことや聞いたことを話すという形式で第三者を通して語らせています。やはり日本語の選び方が綺麗で、読んでて気持ちがいい。

    0
    2013年05月12日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

    Posted by ブクログ

    どの短篇も印象に残ります。登場人物がフェティシズムの渦に巻き込まれるスイッチみたいなものが入る瞬間、ああこの人もう戻れないんだな、と思うと同時に何故かワクワクしてしまいます。

    0
    2013年03月19日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

    Posted by ブクログ

    「マゾヒズム」っていうワードと表紙に惹かれての衝動買い(●^o^●)
    もやもやっとしたまだ「芽」のようななんとも言えない感じがいい。
    一番最初の少年たちの話は読んでてかなりどきどきした^^

    ・・・これって、やばいかなぁ(^_^;)

    0
    2013年02月27日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

    Posted by ブクログ

    谷崎潤一郎の短編の代表作と考えられる「刺青」はとても官能的。
    墨汁が肌に染み入る描写は、不可能だと考えられる自我と他人の同一化をこれ以上ないくらい美しく実現させている。
    また、彫られた蜘蛛が生命を持って女性を抱くシーンも美しい。

    他の短編については、それぞれの中で開眼させられるような描写は出てくるが(「憎念」の蒟蒻についての描写や「青い花」の洋服についての描写など)、個人的には自然派を思わせるような写実的な描写は冗長に感じた。

    一転して、「富美子の足」にみられる富美子の肢体の描写は非常に官能的で美しい。

    思うに、谷崎の描写はフェティッシュの対象を描く時には読むものを惹きつける官能性を帯びるが、情景や特徴を描写する場合には少々冗長になるのではないか。

    「憎念」にサディズム傾向を感じる人が多いようだが、精神的な嗜虐性や暴行中のシナリオ性の欠如と極端なまでの部分の描写から、自分はサディズムではなくフェティシズムの表現だと感じた。
    反対に、「悪魔」における鼻水を愛でるシーンには相手の羞恥心を表す表現があることから、サディズム傾向を感じた。

    また、どうでもいいことだが、脚フェチと足フェチは別物なんだなと思った。

    0
    2013年02月18日
  • 谷崎潤一郎フェティシズム小説集

    Posted by ブクログ

    まさか「悪魔」がこんなに可愛い装丁の文庫になることがあるとは。
    学生時代に必死で文献探しに付き合わされたことを思い出しつつ、懐かしさと共に読みました。
    無難に「刺青」から始まり、「憎念」……はあまり私好みではありませんでしたがこれも確かにフェチ。
    「冨美子の足」も久々に読み、本当に脚大好きな谷崎潤一郎です。「青い花」等はもう女の子大好きです。「蘿洞先生」はもう、だからなんだというMですね。
    本だから許せ、引き込まれました。谷崎のフェチズム、軽く集大成レベルで集められていると思いました。
    変態万歳……とか思わず呟きそうになる作品群。

    0
    2012年12月27日
  • 谷崎潤一郎マゾヒズム小説集

    Posted by ブクログ

    マゾヒストに執って―或いはサディストに於いても―、相手は道具でしか無く、自分の内で描いたシナリオに愉悦、美を求めている。それが叶わないのなら、その相手は不要となる。
    "マゾヒストは精神的の要素を含まない"と云う谷崎の価値観には、大いに賛同せざるを得ない。それを履き違える者が、此の世に多過ぎる事も。
    マゾヒズムもサディズムも、表裏一体であり、何れも各々の価値観を識らなければ、其処に官能的美学は産まれない。それがSMと称されるものの本質であると、以前から私も感じていた。

    此の一冊は短編集で構成されているが、中でも「魔術師」と「少年」は私の中では途轍も無く官能美を備えている様に思う。「一と房の髪」は、「痴人の愛」の簡易ver.の様で、それならば「痴人の愛」を読み耽る方が幾らか愉しめる様に思う。
    虐待等の過去から生じるマゾヒズム(或いはサディズム)の性質は、無感動にその行為に悦びを感じ、そして僅かな切欠と共に反転する事もある。
    それがSとMが或る種同義である事を物語っている。

    谷崎の作品は、登場人物の中で格別に美しいものより、それを"利用"した者の動きが綿密に描かれている。其処が、他作品よりも秀逸な点だろう。
    一見、利用されているかの様に思わせる男女関係だが、マゾヒスト達はその"美"を「(谷崎の言葉通り)利己主義」な主人公の脚本の為に利用しているに過ぎない。
    それを如何に捉え、エロティシズムを感じ取る事が出来るかが、読者の感性に懸かっている。

    0
    2012年07月22日
  • 夢の浮橋

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    随筆がだいぶおもしろかった。谷崎氏の血圧が240を超えたあたりでついつい笑ってしまう。他の文豪の話も噂話を聞いてるようでおもしろい。
    表題の話は乳吸うあたりで生理的にかなり気持ち悪い。

    0
    2012年06月16日
  • 鍵・瘋癲老人日記

    Posted by ブクログ

    日本を代表する変態作家、谷崎潤一郎の二篇を編んだ一冊。

    『鍵』は長年を共にした夫婦が、相手が盗み読んでいるに違いない!と思いながら書く日記が交互に語られるお話し。
    『瘋癲老人日記』は教養ある金持ちのジジイが若い嫁への執着と日々の出来事を綴るお話しです。

    私は谷崎は二三冊読んだ程度だし、すでに各方面から専門家の詳細な評が出ている(wikiをみてその評価の高さにびっくりだよ)ため簡単に。

    まず美文。
    やっぱり読みやすいし物凄くわかりやすい。
    章の連なり、その中の文の連なり、その中の言葉の連なりに無理や無駄が無いので本当に読みやすいなぁと思います。
    時代を超えても読みやすいもんは読みやすいんだよ、という事がよくわかりました。
    (もちろん新潮社ルールの現代語訳はされていますが)

    そして普通に小説として良くできている。
    いつも思うのですが谷崎は別にエロはあんましなくて普通にお話しが面白いよねぇ?と思います。
    フェティシズムやエロス依然に楽しいストーリーテリングが上手な作家さんだよ、と思います。
    展開にも(特にこの本は)倦みがなくて止まりません。
    (まぁ毛皮を着たヴィーナスもとかも別にそこまでのエロは無い訳で性愛がテーマだとどうしてもそこが注目されがちですよね…)

    女性に対する物凄いリスペクト。
    彼の母や足に関するフェティシズムは
    よく語られるところですが、とにかく全般的に女性の描写が鋭い、ねちこい、素晴らしい!
    ディテールから広げる情緒や色彩表現、湿度まで感じられそうな肌の表現はまさに変態(褒めてる)!
    女性で谷崎が好きな人が多いのはきっとこの『あこがれ』感もあるんだろうと思います。
    大人向け少女漫画というか…現実感がない生々しさというか。
    でも性愛や痴情を多く扱ったからと言って世間での評価がエロに偏りすぎなのは残念。
    物凄い上手い作家(しかも純文学と面白いの融合!)さんなのに…

    教養。
    随所に出てくるディテールがとにかく洗練された教養を感じさせる。
    菅楯彦とかびっくりだよ…まぁ関西の人だけれども。
    歌舞伎、医療、花道茶道建築西洋思想輸入文化から化粧品まで、とにかくなんとなく『それっぽい』のです。
    例えこれらが意図され緻密な下調べと共に書かれた知識であったとしても(彼がとても教養ある人物であったことは知られていますが)、読者に物凄く『きっと教養ある人はこーゆーことを言うんだわー』と思わせる点はほんとうに凄いと思うのです。

    とまぁここまで書いて自分の文章の汚さにびっくりしつつ笑い
    綺麗で楽しいちょっと変態な小説を読みたい方にオススメ!
    (でも日本語わかるのに彼の文章を読まないのはやっぱり損してると思うんだよ。)

    0
    2012年05月31日