谷崎潤一郎のレビュー一覧

  • 鍵・瘋癲老人日記

    Posted by ブクログ

    二作品ともぎりぎりのところでもがいている感じがいい。

    「鍵」のほうはちょっとした叙述トリックみたいになっていて、信頼して素敵だなーなんて思いながら読んでいた気分が裏切られます。

    瘋癲老人日記のさつこへの曲がった欲望を読むとなんとなく歳をとる希望を感じる。

    0
    2010年08月24日
  • 細雪(上)

    Posted by ブクログ

    1948年(昭和23年)。
    しっとりとした日本情緒と、瀟洒な昭和モダンの雰囲気、双方が味わえる風雅な風俗小説。前者の象徴として雪子が、後者の象徴として妙子が配置されていて、その対比も面白い。それもステレオタイプに美化されているのではなく、内気な雪子が実は強情で口論となると舌鋒鋭かったり、怖いもの知らずにみえる妙子が案外意気地がなかったりと、人物造形がリアルで生き生きしている。世間体を気にする所や、金銭的にガッチリしている所も、関西人らしくて楽しい。幸子が桜に思いを馳せるくだりでは、日本人なら誰もが感じ入るところがあるのでは。

    0
    2022年09月06日
  • 鍵・瘋癲老人日記

    Posted by ブクログ

    ブランデーで妻をベロベロに酔わせて、
    寝ているうちに身包みを剥いで裸体をポラで撮る教授に
    「ヤー、ずいぶんな変態ですなあ」と感心しましたが、
    好みの腕や手を持つ男子を酔わせてつぶして
    袖を勝手に捲り上げて写メを撮りまくる自分も
    大差ない変態ぶりだと気づき、ちょっとブルーになりました。

    0
    2010年02月12日
  • 少将滋幹の母

    Posted by ブクログ

    国経が御簾の蔭へ手をさし入れると、御簾の面が中からふくらんで盛り上がって来、紫や紅梅や薄紅梅やさまざまな色を重ねた袖口が、夜目にもしるくこぼれ出して来た。

    それは北の方の着ている衣装の一部だったのであるが、そんな工合に隙間からわずかに洩れている有様は、万華鏡のようにきらきらした眼まぐるしい色彩を持った波がうねり出したようでもあり、非常に暈のある罌粟か牡丹の花が揺らぎ出たようでもあった。

    0
    2010年01月19日
  • 鍵・瘋癲老人日記

    Posted by ブクログ

    老いてなおあいかわらずエロ&ドM趣味全開の谷崎先生。
    「瘋癲老人日記」は70過ぎてからの作品だって言うからしびれるぜ

    0
    2009年10月04日
  • 少将滋幹の母

    Posted by ブクログ

    美しくいやらしい。きれいなおかあさん。という幻想。美しい妻という現実。谷崎の男たちはいつでも振り回されるのである。おまるのあたりが良い。

    0
    2009年10月04日
  • 新装版 細雪 下

    Posted by ブクログ

    とうとう雪子が嫁に…
    幸せになれるかな?良い夫婦になれるかな?
    妙子はどうかな…?
    色々と先が気になるところで終わってしまった。

    それにしても、まるで蒔岡一家の姿が目に浮かんでくるくらいリアルに物語が描かれていた。
    谷崎の文章は美しく、コテコテの関西弁もまた美しく、世界観に引き込まれた。

    0
    2026年06月15日
  • 痴人の愛 アニメカバー版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     無垢なナオミを自分好みに育てているうちに、いつの間にか自分の方が従えられる立場になった譲治目線の物語。ナオミの浮気癖に激怒しながらも、結局はナオミの魅力に負けて受け入れてしまう譲治が心に残った。

    0
    2026年06月09日
  • 文豪たちの微妙な関係

    Posted by ブクログ

    やはり芥川、太宰、オダサクは面白いね。スルスル読めちゃう。安吾、中也は初見読みづらいが読み込むと面白さが出てきそう。初心にたちかえり、この辺の小説を読み返したい。汚れちまった自分にもまだ響くのだろうか。しかし文豪は短命が多い。タバコ吸いで、ストレスまみれで、寝不足で、酒飲みでないと文章は生まれないのかな。

    0
    2026年06月04日
  • 卍(まんじ)他二篇

    Posted by ブクログ

    巻末の解説(千葉俊二氏)に「ひとりの性的不能者からはじまった異常性愛の連鎖がひとつの破局にまで至る過程をほとんど数学定正確さをもって緻密に描き出したこの「卍(まんじ)」は、谷崎文学の極北を示した傑作ということができよう」とあった。
    この作品が書かれた当時の社会、慣習、常識、文化、文芸などの背景から、その内容、描写スタイルなどから、退廃的、耽美的と評された事は理解出来た。
    ただ、同性愛を描いた耽美的作品、とのイメージから、勝手に煽情的な描写、世界が展開されているものと想像していたが、扱う内容はそうでも、描写は流石にそんなものではなかった。

    0
    2026年05月11日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今年はこういう作品をたくさん読もうと思う。
    谷崎潤一郎といえば、私の中では、昔読んだ『痴人の愛』の異常な愛欲に、共感はできずとも鮮烈さを残した。
    『春琴抄』やはりその異常なところを残しつつ、さらに磨きのかかった美しい珠のような愛のお話。

    0
    2026年05月10日
  • 卍(まんじ)

    Posted by ブクログ

    登場人物は、徹頭徹尾大阪弁の文字なので慣れないとしんどいです正直。タイトルの意味は、美貌しか魅力がない光子を中心とする、園子との同性愛と、園子の夫の孝太郎と、光子の情夫の粘質な綿貫が絡む相互不信のこころ模様をまんじになぞらえたと思われる。とにかく常識人の私は光子に腹が立ちますが、しかしすべての人がその光子に振り回されて止められない事実こそ耽美主義の根幹です。ラストにへんなかたちでキーパーソンとなる女中の5人が登場します。中身はもろ少女漫画で、何度も映画化された魅力はわかりますが、実在の人物で光子を演じさせるのは非常に難しいと思います、私のイメージだと真田広之を不倫に走らせた葉月里緒奈のような女

    0
    2026年05月05日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    第三者が日記を解説する形で進む形式であることや解説も充実していることなどがあり内容が理解しやすかった。

    初めは句読点がないことに苦戦していたが読み進めるうちに慣れてきてスラスラ読めるようになってきた。

    自分が敬っている師匠とはいえあれほどの忠誠を誓えるのは凄いと感じた。
    手厳しい稽古などは耐えられたとしても顔を見られたくないという春琴の思いを汲み取り自ら針で目を指し失明するという行為をとれる人はそういないだろう。

    視力を失っても春琴と同じ世界を過ごしたかったという佐助の思いの強さには感動した。

    春琴と佐助が最期に共にすごした空に向かって真っ直ぐに飛んでいく雲雀の行方を盲目の2人が聴覚だ

    0
    2026年04月27日
  • 新装版 細雪 中

    Posted by ブクログ

    前作よりも妙子についてのお話が多く、なかなかは波乱に満ちた内容だった。

    谷崎潤一郎は人の心境や考えを詳細に文章化してくれていて、登場人物の細やかな心の変化がよくわかる。
    個人的には、雪子や妙子の気持ちがもっと知りたいけれど、これは読者側が推測するものなんだろうなぁ。

    0
    2026年04月23日
  • 魔術師(乙女の本棚)

    Posted by ブクログ

    乙女の本棚シリーズ。
    魔術師というタイトルですが、魔術師の目線や心情の描写は一切無し。中心人物は主人公の男性とその彼女。

    主人公の男性は、怪しげで退廃的な物に美しさを見出す人物であるとされているんですが、物語の中の印象では主体性が無く感じられ、周囲に流されやすい人?という印象を受けました。(あえてそういう描写をしているのか?)
    結末も、流されやすさ故なのか。でも物語の冒頭は、主人公らしき人物の回想で始まっているので、一時的な物だったのか…。どう受け取って良いのか分からず、モヤモヤする作品でした。

    0
    2026年04月16日
  • 春琴抄

    Posted by ブクログ

    盲目の美しい三味線師匠・春琴と、彼女に仕える奉公人・佐助が、被虐性愛(マゾヒズム)に傾倒しながらも、それすらをも超える究極の耽美主義と壮絶な愛を描く。『鵙屋春琴伝』という小冊子や、周囲の証言をもとに二人の人生が掘り下げられていくモキュメンタリー作品となっている。フィクションだと分かっていながらも、本当に二人は実在したのではないか、本当にその本が存在するのではないかと錯覚してしまう。昭和初期の文章であるがゆえ、読みづらさは否めないが、それでも情景がはっきりと浮かび上がってくるので、一気に読み終えてしまった。

    0
    2026年04月04日
  • 作家と猫

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    松田青子さん 選ばれし者になりたい
    「皆好きな巨猫に食べられたらいい。私はもちろん巨猫のグーちゃんに食べられたい。そしてグーちゃんの一部になりたい。私の心もちょっとだけグーちゃんの中に残ったらいい。グーちゃん、そしたらゴジラみたいに、あいつとあいつとあいつ、それからあいつも踏んづけに行こうね。あいつとあいつ、バリバリ食ってやろうね。」

    が好きです。

    0
    2026年04月02日
  • 細雪(上)

    Posted by ブクログ

    昭和の話なのに、時代劇のよう。かえって時代劇の方が読みやすかったかも。
    なかなか話に乗れなかった。
    戦前の旧家の暮らしの窮屈なこと。
    雪子さんがかわいそう。
    薬との付き合い方も、なかなか…

    0
    2026年03月31日
  • 卍(まんじ)

    Posted by ブクログ

    昭和初期が舞台、魔性の女に翻弄される既婚者の嫁とそれを取り巻く人間関係のドロドロとした悍ましい様が描かれる。

    コテコテの関西弁をそのまま使っているのと今では使わないような古風な表現が頻出するので、正直読みづらいと感じる部分はあるが、人間が内に秘めている欲望がむき出しにされて、どんどん制御不能になっていく過程が恐ろしくも魅力的。

    どの時代でも根源的に人間が秘めている恐ろしさっていうのはさほど変わらないんだなと。

    結局、卍が何を意味するのかは分からなかったな。

    0
    2026年03月19日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    名だたる文豪の耽美小説集なので、好きな人には気が狂うほどのめり込む作品群です。
    ただし読むのになかなかの精神的カロリーを要するので、ちょっと疲れている時に読むと目が滑ってしまいます。もともと好きな作品も何作か入っているのに、いまは読むのにとても時間がかかってしまった自分が悲しい。
    心に余裕のある時にどうぞ!

    0
    2026年03月10日