谷崎潤一郎のレビュー一覧
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菅原道真を左遷した左大臣藤原時平、
藤原基経の兄である藤原国経、
在原業平と並ぶ色男として知られる平貞文などが登場する。
老大納言国経は、若く美貌の妻である北の方
(筑前守在原棟梁(在原業平の長男)の娘)を、
若くて時の権力をひと手に握っている甥の時平に、
驚くべき手法で奪われる(差し出してしまう)。
しかし国経は北の方への思いは全く断ち切れぬままこの世を去る。
また、その北の方と幾度か浅からぬ仲となっていた、
平貞文も、彼女が時平のものになったことで、
思いを燻らせている。
後半は、国経と北の方との間に生まれた藤原滋幹の、
母への思いが描かれる。
藤原時平は、今昔物語の記述から、
「 -
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夕食の席で柿を齧りながら「谷崎はどうも苦手です。私は芥川が好きなんです。」と言ったら、先輩のYさんが自室から引っ張りだしてきて貸してくだすった。『少将滋幹の母』か、あんまり聞いたことないな。題名から考えるに、王朝物という共通項を見込んでの選択だろうか。と首を傾げつつしゃくしゃくと柿を咀嚼し飲み込む。「あたしは谷崎でこれが一番好き。貸したげる。」とYさんが笑った。
自分の四畳半に帰って、読んだ。
どろどろとした性的な描写に嫌悪感があって敬遠していた谷崎だが、この作品はそれほどでもなく、落ち着いて読むことができた。さすが先輩の推薦だけのことはある。おかげで、これまで気づかなかった谷崎作品の良さが -
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「私の貧乏物語」
自分がいつもお金に困っていて,常にお金のために書かなくてはいけないとぶつぶついっている.
「東京をおもふ」
関東大震災を機に関西に移住した著者が震災後10年たって書いた東京の悪口.ほとんど言いがかりのような文章だが,背後には自分が生まれ育った江戸の面影を残した下町が震災復興の名の下に大きく失われていったことがある.でもここまで書かなくてもという感じは残る.
「文章讀本」
古典から英語までを引用して谷崎流の文章の書き方を解説している.最後の「品格について」を読むと今の日本語が完全に失ってしまったものを見ることができる.自分で書くのに参考になるところは多くないが,谷崎潤一郎の -
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谷崎潤一郎が、こんな幻想的怪奇的な趣の作品を書いてたということが、この短編集を読んだ最大の発見だ。
人格が抹消された非人称的・匿名的な"何か"、或いはそれに触媒されて自我が溶解・侵犯されてしまうことへの憧憬と恐怖が、様々な意匠を通して繰り返し語られているように感じた。
「青い花」
男が抱く女体・女性装への物神崇拝の心理をみごとに表現した傑作。十年前に以下の文章に出会っていたら、狂喜乱舞して谷崎信奉者になっていただろう。
"………じっと見ていると、岡田にはそれが手だとは思えなくなって来る。………白昼――銀座の往来で、この十八の少女の裸体の一部、――手だ -
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あらすじは、お市の方に長年仕えた盲目の男の独白。浅井家に奉公し、お市の近くに仕え、やがて浅井が滅亡し、お市が柴田勝家に再縁して、その柴田も滅び、豊臣も滅び……といった歴史が男の視点から語られる。私の脳内では長政が完全に無双のサラサラ金髪でトンガリのアレなのでニヤニヤしながら楽しめた。
「吉野葛」での時間遡行や追想が伝説や創作の域を出なかったのに対し、「盲目」は、作者(谷崎)が資料で知ったことが、作中では男の体験として語られる。「蘆刈」のようにある女性を貴びながら物語るのだけれど夢幻の彼方には行かず、男は現世にとどまり続ける。
というよりは取り残される。
男にとってはお市に仕えることが何より -
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谷崎さんは細雪、痴人の愛、春琴抄あたりが好きなのですがこれは微妙。
『鍵』は最初この夫婦二人がまわりくどいバカップルで娘と木村に呆れられている話かと思ったら、どんどん雲行きがあやしくなっていきます。
結論は4人とも馬鹿だった。ってか、黒幕は誰? という話。
寝とられ系の話が苦手な私にはきつかった。
奥さんは、谷崎さん好みのあるいは妄想の結晶した女性なのかもしれないけれど、まったく共感できない。エロスってそういうこととじゃないだろ、とどん引きです。
最初の方の、旦那への愛憎入り混じる描写が良かっただけになんだかなあ。ただの男好きじゃん、としか思えなかった。
ラストもよくわからない。結局なにがし
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