谷崎潤一郎のレビュー一覧
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6編収録の短編集。
「M」のイメージとなると「女王様が男に対し鞭を振るったり、足蹴にしたり、ロウソクのロウを垂らしたり暴言を吐いたり」というのがまず思い浮かびます。
作中にもそういう描写があるのかな、と思っていたのですが、そこまで露骨な表現はなかったです。ほっとしたような残念なような……。
前半の作中の男性たちは性的興奮のためにマゾヒズムを追いかけているという感じではなく、もっと純粋に、そうされる方が楽しいからされているんだという風な、子供が楽しいおもちゃを見つけて遊ぶような感じで無邪気にマゾを楽しんでいる印象を受けました。そして、後半の作品からはそうした無邪気さ以上の楽しさを知 -
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菅原道真を左遷した左大臣藤原時平、
藤原基経の兄である藤原国経、
在原業平と並ぶ色男として知られる平貞文などが登場する。
老大納言国経は、若く美貌の妻である北の方
(筑前守在原棟梁(在原業平の長男)の娘)を、
若くて時の権力をひと手に握っている甥の時平に、
驚くべき手法で奪われる(差し出してしまう)。
しかし国経は北の方への思いは全く断ち切れぬままこの世を去る。
また、その北の方と幾度か浅からぬ仲となっていた、
平貞文も、彼女が時平のものになったことで、
思いを燻らせている。
後半は、国経と北の方との間に生まれた藤原滋幹の、
母への思いが描かれる。
藤原時平は、今昔物語の記述から、
「 -
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夕食の席で柿を齧りながら「谷崎はどうも苦手です。私は芥川が好きなんです。」と言ったら、先輩のYさんが自室から引っ張りだしてきて貸してくだすった。『少将滋幹の母』か、あんまり聞いたことないな。題名から考えるに、王朝物という共通項を見込んでの選択だろうか。と首を傾げつつしゃくしゃくと柿を咀嚼し飲み込む。「あたしは谷崎でこれが一番好き。貸したげる。」とYさんが笑った。
自分の四畳半に帰って、読んだ。
どろどろとした性的な描写に嫌悪感があって敬遠していた谷崎だが、この作品はそれほどでもなく、落ち着いて読むことができた。さすが先輩の推薦だけのことはある。おかげで、これまで気づかなかった谷崎作品の良さが -
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「私の貧乏物語」
自分がいつもお金に困っていて,常にお金のために書かなくてはいけないとぶつぶついっている.
「東京をおもふ」
関東大震災を機に関西に移住した著者が震災後10年たって書いた東京の悪口.ほとんど言いがかりのような文章だが,背後には自分が生まれ育った江戸の面影を残した下町が震災復興の名の下に大きく失われていったことがある.でもここまで書かなくてもという感じは残る.
「文章讀本」
古典から英語までを引用して谷崎流の文章の書き方を解説している.最後の「品格について」を読むと今の日本語が完全に失ってしまったものを見ることができる.自分で書くのに参考になるところは多くないが,谷崎潤一郎の -
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谷崎潤一郎が、こんな幻想的怪奇的な趣の作品を書いてたということが、この短編集を読んだ最大の発見だ。
人格が抹消された非人称的・匿名的な"何か"、或いはそれに触媒されて自我が溶解・侵犯されてしまうことへの憧憬と恐怖が、様々な意匠を通して繰り返し語られているように感じた。
「青い花」
男が抱く女体・女性装への物神崇拝の心理をみごとに表現した傑作。十年前に以下の文章に出会っていたら、狂喜乱舞して谷崎信奉者になっていただろう。
"………じっと見ていると、岡田にはそれが手だとは思えなくなって来る。………白昼――銀座の往来で、この十八の少女の裸体の一部、――手だ
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