あらすじ
きまじめなサラリーマンの河合譲治は、カフェでみそめて育てあげた美少女ナオミを妻にした。河合が独占していたナオミの周辺に、いつしか不良学生たちが群がる。成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの肉体に河合は悩まされ、ついには愛欲地獄の底へと落ちていく。性の倫理も恥じらいもない大胆な小悪魔が、生きるために身につけた超ショッキングなエロチシズムの世界。
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Posted by ブクログ
平野啓一郎『私とは何か』講談社現代新書で言及されており、手に取った。
男性って、やっぱりわがままに振り回されるの好きなんだなあ、と改めて。おばかで可愛く愛おしい。
内容は狂ってるし、かなり気持ち悪いのに、耽美な文でむしろ読んでいて心地よかった。
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この本を一言で表すなら、「白人好きドM野郎の性癖紹介」だと思った。これだけ聞くと読む気が失せそうだが、読んだ感想としては不思議なくらい面白かった。
私小説的なものを普段読まない自分にとってこの本は、こんな個人的な性癖を書いてもいいんだという驚きと、それを読ませる描写力の凄さへの感動に満ちた本だった。
ナオミと譲治の関係の結末は自分の趣向からは離れたものに感じたけれど、そこ至る過程では共感するところがたくさんあって、解説にあった「しかし、人間はマゾヒズムにおいてこそ、つまり何ものかのため自己を隷属させることによってこそ、はじめて自己を確認できるというのが、谷崎の思想だったといえるのである。」という言葉には多少の理解をした。
恋人との関係の中で、ふとした瞬間に恋人の悪いところだけが目についてそれについてあれこれ考えても、なんか可愛いから許してしまったり、あるいは譲治のように肉体的な蠱惑に魅せられてどうでもよくなったりした経験がある。このとき自分は、自身の単純さや浅ましさに対峙せざるを得なかった。このような経験は恋人との関係や自身の精神衛生上ネガティブな側面が強いと思っていたが、自己を確認する一つの方法だと思えばそれも悪くないかと思うことができた。
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凄まじいの一言。
人間(男性)の愚かな情念を極限まで描き出した怪作。
陰鬱な雰囲気を纏ったカフェ店員のナオミが、譲治が愛情を注ぎ甘やかしていく内に、男性達の心を弄ぶ悪魔へと変貌していく様に戦慄する。ナオミは小悪魔系であるとネットで見たことがあるが、土台“小”悪魔どころではない。
P368の、譲治がナオミに絶対服従を誓うシーンは、滑稽でありつつも笑えない自分がいた。憎めば憎むほどナオミを美しく神秘的に思い、最後は肉体の魅力に抗えず屈服する譲治の姿は、彼固有のものではあるまい。
ある種の人間の“愚”の本質を捉えた、不朽の名作と言えるであろう。
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大人向けの本。割と読みやすいと感じた。
三島と同じく読みやすい。高校生なら読めると思う。
高校生が読んだらおもろいと思う。
高校生以上の大人なら楽しめる本だと思うので、手に取ってみてはいかがだろうか。
分からない単語が出てきた時はGoogle先生に聞いて頂くといい。
まず、
痴人って何だ?と思う人は、そこから調べてもよい。
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ナオミかわいすぎる!!「よう!よう!」←これかわいーーー後半ナオミこわすぎる!!主人公は一貫してキモくて好き 英語のシーンの怒り方ダルすぎる
ジョージとナオミのイチャイチャシーン、カップル垢見てるみたいなリアルな居たたまれなさと愛らしさがあって表現うますぎ
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色欲による清々しいほどの堕落と情けなさ。
どこまでも哀れな譲治に、しかしどこか憧れもある。
美の前に屈服してこそ男性性を全うしたと言えるのかもしれない。
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変態作家の嚆矢、谷崎潤一郎の作品の中でも一、二だど思われる『痴人の愛』。とにかく、谷崎の作品は句点がなかなか無いので音読には向かず、学校の教科書には採用されない(いや〜、内容だろう原因は、笑)。
カフェで拾ってきた小娘ナオミを主人公譲治(じょうじ)は理想の女に育て、あわよくば将来の妻にしようと画策する。妖婦になったナオミはバタ臭い西洋女の風貌とその肌の白さゆえ蠱惑なのだ。「白」は谷崎にとってそれ自体がフェティッシュの一つである。より悪に磨きがかかったナオミの白い肌に慴伏し、完全に屈服する主人公は「ナオミは今年二十三で私は三十六になります」と言う一文で、小説は大団円。谷崎は『社会化したマゾヒズム』を見事に描き切っている(ウラジミール・ナボコフの『ロリータ』にも通じる変態性)。
彼の評論『陰翳礼讃』は直射光よりも仄暗い光と影を大切にする日本の伝統美。その魅力は「白」の変幻であり、谷崎の初期の作品に大きな影響を与えた。この中に出てくる京都は『大市』のスッポン鍋、家元、外資系会社に勤めている時に食した、あれは高い金を払っても食べる価値あり。
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「もし実際に動物電気と云うものがあるなら、ナオミの眼にはきっと多量にそれが含まれているのだろうと、私はいつもそう感じました。」
ナオミの魅力は、その美貌もさることながら、彼女のこの鋭い動物性にあると思う。
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ナオミみたいな女に振り回されたい、、、って思いながらほんとに当事者になったら困る。というか清潔感無いのは嫌だな。いい身体してるんだろうな、ナオミ。
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譲治はナオミという偶像に恋してしまったから、彼女の中身を理解しようとも、対等に向き合おうともしなかった。結果、ナオミは育てられる存在から支配する存在へと変わっていった。
偶像じゃなく生身の人間として扱えていたら、ナオミもきっと別の姿を見せていたかもね。
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大正時代に、これほどまで“狂った恋愛”が描かれていたとは。谷崎潤一郎『痴人の愛』を読んで、そんな驚きを感じました。
主人公が自らの庇護下に育てた“ナオミ”という存在。はじめは支配していたはずが、気づけばその関係は反転し、彼女に支配される側へと転じてい。コントロール欲、嫉妬、愛憎、執着、被虐性。さまざまな感情が生々しく交差しながら、物語は破滅と再生の道をたどります。
男性視点の恋愛依存・執着がここまで丁寧に描かれるのは希少で、尾行や探偵的な行動など、今の時代にも通じる不穏さがリアルです。恋愛をしてこなかった人が、大人になってから溺れる危うさというテーマにも共感しました。
個人的には、裏切ったり裏切られたりしてきた過去の体験をフラッシュバックさせるような描写も多く、胸に刺さる読後感がありました。
令和版の『痴人の愛』があるのならば読んでみたい。そんな想像が膨らむ一冊でした。
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中盤までは、ナオミは嫌な女だなーとか、譲治も早くナオミを捨てればいいのにとか、ある種イライラしながらもなんとなく読んでいた。それなのにいつの間にか、ナオミが魅力的に見えたり(クズ度合いは一層増しているのに)、譲治が壊れていく様にちょっと共感できてしまったり。当事者にはなりたくないクズと馬鹿の話だけど、不思議な魅力で読む手が止まらなくなってしまった。
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河合さんのナオミへの愛が伝わって来て次はどうなるんだろうとページが進んだ。それにしても、その愛はナオミの外観に執着している。多分、その自由気ままで我儘な内面にも魅了されているんだろう。世の中には、こういう夫婦もいるんだろう。
このあとどうなるのかと思いながらページが進んだが、2人の関係に変化は無くというより、河合さんのナオミへの愛なのか外観への執着なのかわからないが、なるようになったんだと思う。
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人のあらゆる感情をどこまでも言語化できるのが怖かった。恋愛って純粋にお互いの好きを楽しむものだと思っていたけどここまで上手くできすぎていると宗教みたいだなって思った。ナオミがもう後半からは主人公を欲を満たす相手と使っていても主人公がナオミの手によってだんだんと壊されてしまっていたからそれを愛だと勘違いしてしまうのが少し切なかった。けど主人公はそれでも大いに満足していたしナオミもナオミで都合いい人間として扱ってて結果的にはどちらにとっても望んでたものなのかなと思った。愛には多くの形があるんだなってよく分かった。
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やはり文学作品とあって起承転結というか物語の緩急があり、私の考えていた生ぬるい筋書きではなかった
女性の魅力から抜けられなくなっていく怖さとともに共感するところもあって、自分も将来こうなってしまうのでないかという恐怖がありました
この作品は主人公は満足しているのになぜ胸糞な感じが残ってしまうのか?
私の考えではやはり最後にナオミはまだ他の男と関係を持っている所だろうなと思います。ここに私自身の純白主義の考えが出ており最初ぐらいで止まっておくべきだったと後悔するとともに、改めて私がNTRなどが嫌いということがわかりました。
ただ、音声作品にもあるお貢ぎ系や管理系もこんな感じなのかと俯瞰できたように感じます。
この作品を教訓とし、自身の生き方や人との関わり方そして女性への対応を見つめ直していこうと思いました。
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譲治くんの崩壊が恐ろしい。
執着が身を滅ぼしている
ナオミの描写はかなり過激?だけど詳細で美しさを捉えてはいる。病的な執着が感じられた。
初めのうちは良かったのだけれど、なんだか不穏になってくるところで一度読むのを諦めかけちゃった。なんとか読み切れて良かった。
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女中 メイド
ハイカラ 西洋風でおしゃれ
女怖い。
ナオミが幼い頃から育て上げ、結婚するために色々尽くしてきた主人公。
しつけを怠った結果、わがままな女に育っていき最終的には数々の不倫が起こった。
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日本の文豪を読もうシリーズ。だいぶ前に買ったのだけどしばらく後回しにしていた。文豪の本って、読むのが大変そうなので、生活が落ち着いている時に読もうかと思って。少し昔の本だと日本語が難しかったりするし。
読み始めてみると、サラサラ読める文体に驚いた。確かに、年季の入った単語は散見されるけど、特に苦労するほどでもない。そして日本語が美しいんですよね・・・三島由紀夫とはまた違って、難しい言葉だけが並んでいるわけでもないのに、なぜかロマンチックな雰囲気が漂ってくる日本語。 (後で調べてみると、谷崎潤一郎は「耽美主義」と呼ばれていたり、端麗な文章で知られているそう。)
物語自体も面白い。主人公はただのロリコンなのではないかと思わなくもないが、恋が日常になり、小悪魔が自己中心的になり、だけど気づいたらねっとりとした情が育っているという、それだけ書くとよくありそうな男女の話。だからこそ読者はあまり気構えず読めるのかもしれないけど、「よくありそう」にも関わらず、唯一無二の読後感なのは、さすが文豪。ナオミの魅力とか、二人の関係の描写の細やかさとかのおかげなのかな。
読み終わってすぐ、細雪も買ってしまった。
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ヒロインのナオミによって心をかきむしられることはなはだしいので、星4つつけました。こういう女に男はかき乱されそれでも追いかけてしまうんだと思います。愚かしいですね。
高校時代に読んで好きだった村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」が受賞したのが谷崎潤一郎賞でした。それがために読んだのが今作。
面白かったんですが、いやぁまったく、ヒロインのナオミは酷い悪女でした。こんな女にはむかっぱらが立つね。そしてその女にだらしない主人公のジョージの情けなさといったらないです。大正期の作品なんですけれども、現代にも十分通じますね。登場する若者の愚かしさなんかは今とちっとも変わりゃしない。こういう作品を読むと、何十年と昔のことなのに、近い時代のように感じます。
Posted by ブクログ
情けない男と激ヤバ女の話。
読んでいて恥ずかしくなってくるくらい主人公が情けない!着物をのせて足袋を手につけて一人でお馬さんごっこしている図、キモすぎてゾッとした
情けないし気色悪いのに、一周回って面白いから癪だな〜
ナオミはとんでもなく贅沢我儘破天荒で、それに憧れるなんてことは1ミリもないんだけど、その贅沢我儘破天荒が許される美しさがあるのはいいなぁと思ってしまう
Posted by ブクログ
三宅香帆氏の「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」にも紹介されていた大正時代に新聞連載されいたサラリーマン (男) 向けのエンタメ小説。川端康成、三島由紀夫より前。古いわりに違和感なくとても読みやすい。当時としては一般向けとして大分飛んでる話だろうが、現在の方が余程ぶっ飛んでいるのでそんな世界もあるだろうと思うレベル。ところどころ読者に語り掛ける文言が出てくるのが今読むと新鮮な感じ。
Posted by ブクログ
譲治の愚かさとナオミの股のゆるさに終始苛立つばかりですが、それが作者の目論見なのでしょう。読んでいて極めて不愉快だが、目を逸せない。愛は不合理であること、男女の仲はバランスゲームであることをまざまざと感じさせられました。
Posted by ブクログ
話題になってたから読んでみた
結局、惚れた方が負けってことなのかな..
最後の方は飽きてきて飛ばし読み
何十年も前の話とはいえ28歳と15歳の恋愛は少し気持ち悪かった
お風呂に入れてあげるシーンとか出てくる
そこまで生々しくはないけど、どうしても、、
Posted by ブクログ
文庫本1冊ほどの長さで、ほぼ等間隔で描写が移り変わるのでそこまで胃もたれすることもなく読みやすかった。だが谷崎潤一郎の他作春琴抄と同じようにラストでいきなり情報量が多くなるためそこだけ少々読みづらい。かなり表現が生々しいがそこが痴人の愛の良さだと思う。
始めは譲治とナオミの共依存の話かと思いながら読んでいたが後半にかけてのナオミの悪女っぷりは凄まじかった。最後まで語り手が譲治だったがいい意味で感情移入できる場面はほとんど無かった。自分にはない恋愛観だった。谷崎潤一郎の良さが少しわかった気がする。面白かったです。