あらすじ
きまじめなサラリーマンの河合譲治は、カフェでみそめて育てあげた美少女ナオミを妻にした。河合が独占していたナオミの周辺に、いつしか不良学生たちが群がる。成熟するにつれて妖艶さを増すナオミの肉体に河合は悩まされ、ついには愛欲地獄の底へと落ちていく。性の倫理も恥じらいもない大胆な小悪魔が、生きるために身につけた超ショッキングなエロチシズムの世界。
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Posted by ブクログ
面白かった…。
三宅夏帆さんの新書(『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』p67-71)で紹介されて初めて知り、手に取りました。
ナオミズムが流行したとのことで、悪女ナオミに注目していたけれど、とてつもない存在感を発揮していたのは主人公の変態童貞紳士(愛を込めて)・ジョージでした。
カフェで見かけた15才の西洋人っぽい女の子を自分好みに育てようと引き取る変態さ。
結果、ナオミは良い子に育つわけでなく…。
人の悪口を平気で言うし、金遣いは荒いし、垢のついた服を放置するし、嘘をつくし、浮気はするしの自由奔放なティーンになり、ジョージはたびたび振り回される展開に。
なのに、ジョージはナオミをますます離せなくなり、遂には信仰の対象にしていくという。(理解できない!)
自分好みに育てることができているようでよかったです。
自分が選んで小さい時から育てたこともあって、ナオミのヤバいところがフィルターを通して見えなくなっているのだろうと思いました。あとは度を超えている西洋人や白色への憧れが一種のフィルターとなっているようでした。
振り返ってみれば、ジョージの行動には何度も笑わされました。
発作的にお馬さんになりたくなったり、ナオミをベビさん呼びしたり、あからさまなチラリズムにイライラムラムラしたり。
後半では、口はつけずに吹きかけた息を吸わせるという新たなキスを生み出したナオミが面白すぎてあっぱれと思ったのですが、妄想を用いて何もないところで息を吸い込むジョージが出てきた時には面白すぎて勝ち目がないと感じました。
何もかも凄すぎて、誰かと語り合いたい1冊です。
Posted by ブクログ
一番興味深かったのは譲治。
なぜそこまで愛せるのか…。
ここまでやっても大丈夫なら、ナオミはもう無敵なんじゃないか。
じゃあ逆に、何をしたら譲治はナオミのことを嫌いになるのか?
それは、ナオミが普通の奥さんになった時なのかも。そう考えると、案外ナオミも楽ではないのかもしれない。
私は息子がいるので、譲治の母親のことも気になってしまった。
真面目で倹約家だった息子の変化に、母親は気づいていたと思う。
私だったら心配で聞かずにはいられない。
それでも何も聞かなかった母親は、何を思っていたんだろう…。
ナオミの肌や髪の質感、匂いまで伝わってきそうな描写。
他の作家が書けば下品になりそうな内容なのに、エロセンサーに厳しい自分でもまったく嫌な感じがしなかった。
谷崎潤一郎はやっぱり読みやすい。
無駄のない文章でどんどん先へ読ませる。
テレビも娯楽も少なかった時代に、この作品は相当面白かったと思う。
ちなみに、2人がよく行く「活動写真」とは何のことかと思ったら、映画のことだった。
大森海岸で泳ぎ、目黒が郊外として描かれていることにも時代を感じる。
物語だけでなく、約100年前の東京へタイムスリップしたような楽しさもあった。
Audibleにて。